ライザのアトリエ 不思議な工房と秘密の多い錬金術師 作:もふもふたぬきねこ
どうぞ最後までよろしくお願い致します。
「それじゃあ……用意はいい?」
「幾度となく繰り返した確認だけど、流石に緊張するね。だけど大丈夫だよ、やってみせる」
「そうだね。私は成功した後の事を考えても……既にちょっと胃が痛いけど。こわいなあ」
「そっちの緊張? そこは存分に話を聞いてあげる事だね。じゃあ――いくよ!」
「ん!」
パンッ!!
ドッ!
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!!
「あだだだだだだだだだだだだだ!!!!!!??????」
なに!? 何! 何事!?
髪の毛引っ張られる感じが全身にするんだけど!!
千切れる! 身体が千切れるって!!
あぁんもう!!
「痛いっての!!!」
一体なんだっつうのよ……。
寝てたんだっけ? どのくらい経ったんだろ。数千万年くらい?
ここにはあたししかいないんじゃなかったの?
「……成功した? 見た感じは良さそうだけど。エレメント的にも正常」
「と、思う……としか言えない。僕にとっても初めての事だから」
人の声? まともに聞かなくなって、あまりに時間が経ちすぎて、ここでも久々の幻聴かな?
世界一頼りになってお世話になった、あたしが延々と捜し求めた、どこか落ち着く男性の声。
とっても頼りになったけど、最終的にとんでもない事をやらかしてくれた容疑の女性の声。
最初に聞けなくなった――例えあたしが何になろうと、最後まで覚えていただろう二人の声だ。
こっち側から聞こえ…………へっ?
「おはよう。気分はどうだい?」
「どういう記憶の状態なんだろうね。私達の事、分かる?」
その声の主たちが、すぐ傍にいた。真っ暗闇の中だけどハッキリと見る事が出来る。
しかも幻覚より記憶にあった通りのままの姿。どれだけ前の話だよ。
「………………夢?」
「夢であって欲しくないなあ。この瞬間のために幾千と理論を立てては潰して、考え直しては組み上げて……やっとたどり着いた答えなんだから」
「まだちょっと寝ぼけてる感じなのかな……泡沫になってしまうと私は永遠に贖罪の機会を失っちゃうよ。普通の現実とはちょっと違うかもだけど、夢でも幻でもない。私も、彼も、貴女も、間違いなくここに居るからね」
起きてはいるらしい。で、こっちの人も、そっちの人も現実で。
あたしも現実……つまり生きている。あの頃の姿のまま? ホントに夢じゃないんだよね?
って事は。
「キロさんと………………アルさん、なんですか?」
「お、記憶も大丈夫っぽいね。そうだよ。おかえりなさい、ライザ」
「おかえり、ライザ。随分と待たせてしまったようで本当にごめんよ。だけど――やっと会えた」
ガバッ! ぎゅうぅーーっ
「おっとっと。大丈夫かい?」
「若いっていいねぇ……」
考えるより先に身体が動いた。この人に再会したら最初にこうするとずっと決めていたんだろうけど、わざわざ思考する必要もなかった。身体は正直で素直だ。
「おかえりなさい! アルさん!!」
「で、あなたは釈明はありますか?」
「…………キロさん。取り敢えず、正座しよっか」
「ハイ……」
それはこっちの人に対しても同じである。言いたい事が文字通り死ぬほどある。
♢♢♢
「大変申し訳ありませんでしたああぁぁぁ!!!」
≪さーせん≫
まったく……この一言を引き出すためにどれだけ時間を掛けた事か。なんかキャラ変わってない?
にしても。
「大蛇さんがあたしの面倒を見てくれてたのもそういう事情だったわけですか。こんな力ぶっ放されたら、そりゃあ世の中おかしくなりますよ」
≪まじさーせん≫
「まあまあ、一旦はそこまでにしてあげようよ。説教兼釈明会見が始まって多分もう半年くらいは経っただろうから。残りは追々、ね?」
「アルさんがそう言うなら……というか、どうやって二人はここに?」
「やっと、かいほうされる…………さ、すがに……あ゛っあしが……きつ、い゛…………」
理解している範囲では――ここは別次元の別格の存在であり、正体不明のエレメントの源であり、キロさんの契約精霊だと正式に判明した大蛇さん「ヨルムンガンド」が創った真の闇の世界。
時間も空間も超越した、どことも干渉しない、
今に至るまでの意識が曖昧で、経緯をきちんと理解しているわけじゃないけど。
あたしは大蛇さんの力を一部持っているような存在であるらしく、「面倒見てやるから寝てろ」的な感じの認識だ。アルさんを捜さなきゃって事だけは忘れてなかったはずだけど、何かしらでその思考が緩んだのと、大蛇さんの言葉に妙に納得した結果、だったと思う。
キロさんと繋がりがあったのは間違いないみたいだけど、過去形なんだよね?
精霊の世界以上に来る事が難しい所じゃない?
「一応の確認なんだけど、ライザの中での僕とキロさんの最後ってどうなっていたかな?」
「あんまり思い出したくないですけど……アルさんは影のボトルの世界の崩壊に巻き込まれて行方不明に。キロさんは翌早朝に大蛇さんをぶっ放して木っ端みじんに。そんな感じだったはずです」
二日連続の絶望だった。全てが壊れた瞬間――いまだに目の前が闇より真っ黒に塗り潰されそう。
当時真相は誰にも分からなかったけど、目の前の二人はあたし達の前から姿を消した。
そして世界は歪み、みんなは変質し……ああ、これ以上はダメ。フラッシュバックしちゃう。
「まだ痺れてるよ……あの世界のライザで間違いないみたいだね。お詫びの続きは後ほどとして、確かに私はヨルムンガンドの力を解放して闇のエレメントへ融けた。だけど死んだわけじゃなかったんだよ」
うん? どういう事だ?
「私は《大いなる精霊》であるヨルムンガンドの器、半分人で半分神みたいなものになっていたからね。一度「キロ・シャイナス」の見た目は失ったけど、そもそも持っていたエレメントが世界そのものだったから。目に見えないエレメントの形で星を巡っていたの」
「つまりは……法則的な存在になった、でいいです?」
光と闇のエレメントは物質を構成する要素ではなく、概念や法則を形作る。
それと化したって事は、言葉の上ではこうなる。体感的には意味不明だけど。
「そんな所だと思うよ。で、僕の方は「災厄」の封印に関わっていたのは話した通りなんだけど、ヨルムンガンドの解放でそれどころじゃなくなってね。構築が微妙そうだったら封印そのものになっていた可能性もあったんだけど、解放の余波で精霊の世界ごと吹っ飛ばされちゃって」
「飛ばされた? あの世界、というか軸そのものからですか?」
「うん。だけど僕の身体も光のエレメントって一つの世界みたいなものだから、自我を保ったまま色々な世界を精霊状態で彷徨う事になったよ。可能性ってすごいものだね、あんなに色んな道があるだなんて」
裏側にいたらしい「災厄」とかいう謎の存在。アルさんが言うには、「フィルフサを滅ぼすために、錬金術で人工的に造り出された蝕みの女王」が過去に送り込まれたものだったそう。
災厄の発生にはフィルフサの存在が不可欠。だけど過去で目的を果たすと未来で存在しえない時間矛盾が生じる。その解決のために別の世界まで巻き込むゴミ機能付き。はた迷惑過ぎる……。
これの対応がアルさんの召喚された本来の理由だったらしい。まぁたクリント王国かい。
まあ因果関係が変な事に管理者達にすぐ気づかれて、精霊の世界に封印されていたご様子。
けど別次元の神である大蛇さんの力が解放された結果、世界の垣根を越えて本来存在しないはずの要素に溢れかえり、封印してた場所も本体も世界ごと消し飛んだと。
つまり。
「まとめると……キロさんがアルさんの邪魔を?」
「ストップストーップ! その気配怖いから! 確かにアルの邪魔をした形にはなったけど、さっきアルも「自身が封印になる所だった」って言ってたでしょ? 完璧な封印なんて存在しないから、最終的には人柱的な手段が挙がって。だけどそれも時間稼ぎでしか無くて、いつかはアルという概念ごと封印が破壊されるのはほぼ確実だったらしいんだよ」
「だから僕が今も「アルフォンス・エルリック」って個を維持できているのは、ある意味キロさんのおかげだよ。そこは汲んでもらえると嬉しいかな」
アルさんの光の加護は、本来は光のエレメントの身体の余波だったと聞いた。
その身体まるごとで災厄を封印して、いつかは存在そのものが砕け散る予定だった未来を……キロさんの大蛇さんぶっ放しで回避した、と。代価としてあたし達の世界があの姿になったけど。
即ちキロさんは当初の目論見通り、アルさんを救う事
「……内心めっちゃ複雑なんですけど」
「そこはそうだよね。ライザもライザで特別だったから、その後の世界で唯一我を保つ事になったそうだし。本当にお疲れ様だったよ」
「何とかしようとしたけど……ライザには干渉できなかったんだよ。あの形が最善だったなんて言うつもりはないけど、守ってあげたかったんだ。
「その……あたしが特別ってなんですか? 「ナニカ」にならなかったって事ですよね?」
あたしが正しく「ライザリン・シュタウト」であった世界に於いて、あたしを除いた全動物がナニカと化したはず。おかげで話し相手を
ナニカ達はやがて進化を止め、ただそこに居るだけの存在に落ち着いた。互いに傷つけ合うこともなく、原形の残っていた
そして最後まであたしだけはナニカにならず、なれず。最終手段を採る事になったはずだ。
「ライザも光のエレメント持ちなんだよ。それもアルと違って私と同じ天然物の。純粋な素質は私より上だね」
「……はぁ?」
「ライザのエレメントは4属性とも等量って事だったでしょう? 実際には世界そのものを持っていたからそう見えていただけなんだよ。魔法も光と星を模ったものだったし、闇のエレメントコアを渡された時も感じるものはあったんだよね?」
「……ええぇ」
たしかにあたしは得意属性も不得意属性もなかった。
一方で当時、タオやクラウディアの様な単一4属性の魔法が何故か使えなかったのは事実だ。
必ず混じっちゃっていて、結果的に作ったのが光と星の魔法――複数属性って
闇のエレメントコア……あの黒紫色の石ね。エレメントの変化みたいなのは感じたっけ。随分前に工房を守るための結界に使ったんだったかな。
世界は、ただの平凡な農家の娘になんてものを宿したんだ。
「私はアルとの誓約もあったから、エレメントと化した後も個は維持できていて……あの時のライザの結末も見届けていた。その後はヨルムンガンドの力を借りる形でライザを捜し続けていたんだよ。貴女には本当に辛い思いをさせてしまったから、なんとしても助けたくて。貴女を発見できる可能性は那由多の彼方もいいところだったけど、まさかのヨルムンガンドに保護される奇跡の世界に移動していた。だからこうして再会できたんだ」
「あたしの結末……あたしって結局どうなったんです? 今はまあ、こんな状態ですけど」
要はあたしと
理論はともかく、碌な結末じゃなかった可能性の方が高かったと思うけど……。
『今の其方が円環の大蛇に保護された世界における災厄に取って代わった。元は同じ存在が複数居るだの、別次元の神が表に出てくるだの、道理であの軸だけ色々とおかしかったわけじゃ』
聞いた事のない声が、二人とは逆方向から響いてきた。
振りむいて……。
「……どちら様?」
『ふむ、ここのこやつは肝が据わっておるな。叫ばんのか』
「闇の大精霊様だよ。吹き飛んでしまった僕をずっと捜してくださっていたんだ」
「加えて、あっちの世界のその後にも手を付けて頂いたよ。エレメントの大半は失われたけど、また違う形の世界になったからね」
この人が話に聞いた大精霊。あの世界で現れる予定だった世界の管理者。
闇って事は……影のボトルで遭遇したっていう事情通の。こんな人だったんだ。
精霊の世界もふっ飛んでいたんだったら、そりゃあ降臨できないはずだね。
あの後の始末もつけてもらったのか、流石はプロというかなんというか。お礼言わないと。
『責任の大小はあれど、偶像の世界の崩壊を阻止できなかったのもアルフォンスを我らの世界に運んだのもわらわじゃからな。わらわが手間をかけるのが筋というもの。とはいえ、捜すのにこれほど時間を要するとは思わんかったが。光のやつの事を言えんの』
「あっちの世界の事はありがとうございました。ところで、アルさんは何処で見つかったの?」
「僕達が「召喚されなかった」世界さ。僕の世界の要素が一切なく、代わりの誰かがいたわけでもなく、ライザ達だけで全てを解決した軸。他の「僕」がいなかったからこそ、僕を異物と認識できる余地が生まれたそうだよ」
「アルが居なかった分、不思議なくらいあなた達が強くなってたんだって。その世界の私なんてオーリムから離れなかったらしいよ。何で私だけハブられるかなあ……何年かしたら、ボオスに手を引かれてたみたいだけれど」
そんな世界も存在したんだ。あたし達だけで全部解決したってのには驚きだけど、ちょっと寂しい世界だっただろうなあ。
というか、そっちのあたしは何処にどうやってアトリエを構えたの? 釜とかどう用意したし。
まあそれは置いておいて。
「じゃあつまりは……まさかあたしがどこかの世界の「災厄」になった、って事?」
『他の軸より遥かに凶悪で、世界に穴を穿てるほどのな。封印に用いられるはずのアルフォンス達の錬金術理論を使って、本来
「その世界では「常闇」って別存在で定義されて、そっちの私達とも戦ったんだって。半暴走状態で結構強かったらしいけど、それでもそっちでのアルを見てめっちゃ動揺したり、元の自分の在り方である光に怯えと後悔を持っていたりで何とかなったみたいだね」
『本来なら我らが止めておっただろうが、当時はまだ管理を外れておったしの。巫女は干渉できんかったらしいし。光の力持ちはどこでも突拍子もない』
マジかぁ……その世界の人達、本当に申し訳ない。あたしも色々ガチにやらかしたくさい。
自分でも無茶な事をするつもりではいたけれど、そんな状況を招いちゃったとは。
世界の穴って
ホーエンハイムさんってのは、大昔にあたしの意識に入って来たっぽかった謎の存在か。
なんとなく感じた事のある気配で警戒を緩めた結果、封印される事になったっぽいけど。
まさかアルさんのお父さんだったとは。封印してもらっていなかったら……元の災厄より凶悪だったって話だから、探索という名目であたしも世界を食い潰していたかもしれなかった。
親子そろって大変お世話になりました!
『其方はそちらのアルフォンスに分解されたのち、そちらのライザリン・シュタウトの手によって概念を書き換えられ、最終的に大蛇に保護された。元々は……フィルフサと言うたか? それと完全に融合して一つの独立した存在と化しておったが、分解と概念の書き換えによって「フィルフサと其方が混じった存在」程度にまで定義が緩んだようだの』
「ここでライザを最初に確認できた時は……本当にショックだったよ。かつて僕達が救えなかった女の子に完全にダブってしまって。こっち側の世界で初めて大泣きしたなあ」
「アル達にとって最大の業であり、そして悲願だったからね。私もそれについては知っていて、だからライザを何とかできないか捜しながら考えてはいたの。けどアルは「光」、私は「闇」で在り方も違ったから簡単には同時に存在出来なくて。結局全てが一つになるまで合流できなくて時間がかかっちゃった」
まさかあたしがアルさんを泣かす原因になってしまったとは……罪悪感がさらにヤバイ。
「それは……なんというか、とんでもなくご迷惑をお掛けしました、なんですけど。全てが一つになった……えっ? じゃあまさかここの外は?」
『「「今は真っ
≪おつ≫
うおお、そんな状況? 数千万年レベルの睡眠じゃなかったよ。
まあその程度だったらヒトでいた時の方が長かったかもだけど。もう考えるのも馬鹿馬鹿しい。
飛んだ先の世界のあたしは超優秀だったご様子――当時のあたしをタコ殴りに出来たとは。
すっごい時間を掛けて組み上げた理論で調合したのに、多分錬金術に触れて数カ月でその域に到達してるんだよね? 概念の書き換えって何? 天才なあたしもいたもんだなあ……世の中広い。
つうか、どの世界でもあたしは蝕みの女王や災厄と戦う流れだったの?
まあどうせ自分から首ツッコんだんだよね……あたしなんだし。
「この場のメンバーが揃うまではそんなところだよ。で、最初は今の環境で錬金術を使う方法を編み出す事から始めて、そこからライザを元に戻す新しい理論をキロさんと一緒に長年考えて」
「試す事が出来なかったのは大変だったね。で、半年くらい前に実行して」
「今のあたしとこの子に分かれました、と……そうでしたか」
最初の感覚は、あたしとこの子を引っぺがした感じだったのか。超痛かったわけだね。
膝の上には無理矢理付き合わせてしまった女王の成れの果て。既に崩壊してしまった。
同じく永く付き合ってくれているシーカーは残っているけど、彼女は正しく生き物だったのだ。
貴女も長年お疲れ様でした。そして本当にごめんなさい。
あたしの目的を達するまで、まあとんでもない時間がかかっちゃったけれど。
お陰で見つける事が出来ました。ゆっくりやすんで。
『で、だ』
闇の大精霊さんは今からが本番と言わんばかりの気配だ。
『先程伝えたようにこの空間の外も此処と変わらずただの闇、白紙の世界。我らはこれよりそこに新たな世界を構築する仕事に入る。これまでは我らだけで取り掛かるのが常だったが……せっかくここに知恵を持っておる上に光と闇のエレメントを有した存在が三体もおるのだ、手を借りられんかと思ってな。このままここで悠久の時を過ごすのも、何処かへ旅立つのも、無に消えゆくのも勿論其方らの選択の自由だが』
なるほど、闇の大精霊さんが今までアルさんに協力していたのはそういう打算もあったわけだ。
世界を創る手伝いをする気はあるか、と。
あたしはそんな大層な存在になるつもりは欠片もないんだけどなあ……。
一先ずアルさんとずっと一緒にいる選択肢は良いとして――
「私、ハブられてない!?」
「何の事ですか?」
相っ変わらず勘の良い……。
アルさんとキロさんと、何にもないけど駄弁って過ごすもよし。ここから出るもよし。
他のみんなと同じ……になれるかどうかはわかんないけど、自分を終わらせるもよし。
だけどまあ、せっかく再会できたんだから。世界に対するお詫びもしなきゃだよね。
たっぷり眠らせてもらったんだし、キリキリ働くとしますか。為すべき事を為すとしましょう。
「その仕事中でもアルさんの側にいるってのはOKです?」
『構わぬぞ? 本来は我らだけでやるべき事じゃからな、ある程度は好きにしてもよかろう』
「やっぱり私ハブられてるじゃない! アルも何とか言ってよ!」
「ライザ。キロさんへの命令権、しばらく渡しておこうか」
「いいんですか!? というか、まだそれ有効だったんですか!?」
≪
「なんか扱い雑過ぎない!? 酷いよ! 私だって頑張ってたんだよ!?」
「だとしてもですよ! あたしが寝てた間はずっと一緒だったんでしょ!? ならその時間分くらいは好きにさせてくださいよ! たかが半年程度の反省と正座で清算できたつもりですか!?」
「やっぱり僕の意思がまったく考慮されないなぁ。ライザと一緒……まあクラウディアが不在ならかなり気が楽かな……」
「アルさんは……ダメ、な感じですか……? というか、何故にクラウディア?」
「ああ、ダメってわけじゃないよ、ごめんごめん。ただこっちの意思を全く確認されないままにイロイロとヤる事を強行される様子とか、
「??? だいがいしゃ? 今度は何故にロミィさん?」
「今の私にアルを尻に敷くなんて気はないよ。ロミィみたいに完璧にはなれないだろうけど……休憩はちゃんとできるだろうから! ぼっちはやめて!」
「「今」限定でしょ? 言い切られない時点でミイラが出来上がる未来が既にチラついているよ」
「だってあなた自分から全っ然動かないんだもん! 誰の時でも大体はそうだったんでしょ? ちょっとは私達の気持ちを理解してって。それでいいのはリラくらいだよ。だからメイにすら襲われてたんでしょうが」
「…………はい」
≪
『では、手を借りられるという事でよいか?』
『駄目だったら時間を引き延ばしてでも説得するという話だったではないか』
『口にするな。まだヒトの心の機微というものを理解しておらんのか』
『
『わらわが焼いてやろう。暑さ寒さを知れる』
『止めよ。優秀な人材の仕事を余計に増やすな』
いつのまにやらカラフルな大精霊さん達が5人増えた。
これまでこの6人で世界を創ってたんだ。
そこに
だけどまあ。
「そうだ! クラウディアならまた協力してくれるんじゃないですか!?」
「え゛っ……? いや、まあ、うん、そうだね……レントとタオにも居て欲しいなあ。癒しはアガーテさんとロミィさんか」
「制御役にはボオスね、またストレス溜めちゃいそうだけど……指導役に当然この子の師匠二名にも世話になりたいかな。でないととんでもない事になりそうだよ、私達の扱いが」
それは――なかなか楽しい
という事で、二回目の最終話でした!
二年にわたり読んでいただきました皆様、ここまで本当にお疲れ様でした。
元々は設定補完の産物でしたが、ライザに対して「おかえり」を言う事と、
こちらの彼女にも救いが欲しかったという思いでこのストーリーを作っていました。
その都合で最終話なのに解説塗れになってしまいましたが……。
アルが何を見てきたのか、ライザやキロ達がそこで何をしたのか、今後どうなるのか。
それは皆様のご想像の中でという事で。クラウディアのキャラがブレないのは断言します。
いかがだったでしょうか?
冒険譚要素がゼロに等しくアトリエ世界感も薄い、
その他諸々賛否ある外伝だったと思いますが、ご感想や評価を頂ければ嬉しいです。
原作はまさかの状況ですが、どんな内容でしょうね? タイミングにびっくり。
色々期待は膨らみますが、本作はこれにて完結となります。
予定より随分と長くなってしまいましたが、ここまでお付き合い頂けた事に感謝致します。
こちらで見た限り、日間ランキング最高7位! 沢山の方に読んでいただけて嬉しかったです。
ありがとうございました!