この素晴らしい魔王軍に死の支配者を!   作:ちくわ部

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10話 栄えある栄光 アインズ・ウール・ゴウン

 

「みんな大変よ、お金がないわ」

 

 お昼時。昼食を食べる冒険者の賑わうギルドの酒場の中で、アクアが机を両手で叩き、近くに座る仲間の注目を引く。

 アインズの目の前にある野菜スティック入りのカップがコトコト音を立てる。

 切り刻まれて生き物としては死んでいるはずなのに蠢く野菜スティックから、アインズが目を離して言った。

 

「カズマ。このパーティーは共有の資産を持っているのか?」

「いや、持っていないし、そういう意味じゃない。こいつの言葉を付け加えるなら“私の“お金がない、だな。俺たちに影響はないし全然大変じゃないから大丈夫だぞ」

「一大事だわ!ねえ、めぐみんとダクネスだって新しい装備を買ったからお金がないでしょう?」

 

 アクアが、抱き枕に抱きつくように杖にひっつくめぐみんと、今までより一段と輝く純白の鎧を身につけたダクネスに問いかける。

 

「わ、私はもうこの杖さえあれば何もいりません・・・!はあ、この艶やかに光るマナタイトの金属光沢・・・!早く爆裂魔法をぶち込みたいです・・・!」

「報酬分を使っただけで全財産叩いたわけではないからな、お金がないわけではないぞ。・・・そ、そろそろやめろめぐみん。さっきからギルド内の人たちからの目線が痛い」

 

 新しい杖を手に入れたからか興奮して、杖に頬擦りをして纏わりつく。このまま放っておけばポールダンスを始めてしまいそうな勢いだ。

 ダクネスが落ち着くように促すがそんなことに一切耳を貸さない。

 

「だってよ。無計画に金を使うからこうなるんだ」

「私ずっとあそこのコロッケ屋でバイトするのは嫌よ!さっきお願いしに行ったらまたかって顔されたもの!売れ残って怒られるのは嫌、すぐに稼げるクエストを受けたいわ!」

「まあ、せっかくみんなが揃ったんだし、何か一つクエストを受けに行くというのはアリだな。それとめぐみん、まじでやめろ。お前だけここに置いてクエストに行ったっていいんだぞ」

「どうせなら、雑魚モンスターが沢山いるクエストがいいです。新調した杖の威力を早く試したいのです!」

「やはりここは強敵を狙うべきだ!そうだな・・・超強力な一撃をくらわせてくるような、強いモンスターだ!」

 

 あまりのまとまりのなさにカズマは思わずため息をつく。カズマ個人としては新しく覚えたスキルを試したく、無難なクエストに行きたいところであったが、行きたいクエストのベクトルが四方八方に散乱しすぎているため口には出さない。

 そんな中アインズは小さく提案を口にする。

 

「そういえばだ。昨日見たんだが、初心者殺しの撃退クエストがあったはずだ。クエスト内容は巣を作ったゴブリンの討伐と、それの近くに居着く初心者殺しの撃退。あくまで初心者狩りは追い出すだけで、倒さなくてもいいそうだ。ゴブリンを討伐すれば自ずと初心者殺しは別のモンスターの巣を探しにその場一帯から離れるから実質的にゴブリンの討伐だけで良し。初心者殺しを討伐すれば追加報酬が出るから撤退を視野に入れて戦うのも良しだ」

 

 その言葉にカズマは驚きで目を丸くする。

 ゴブリンの討伐で雑魚を一掃したいというめぐみんの願いが叶い、初心者殺しの撃退でダクネスの強敵と戦う望みが叶う。ついでに初心者狩りを倒せれば追加で報酬が手に入ってアクアの懐も潤うし、撤退を視野に入れて臨機応変に戦えるというのはカズマにとっても好都合だ。

 願望をまとめたクエストを提示するアインズに対し、好き勝手自分の行きたいクエストを言う女性陣にカズマは軽蔑の視線を送る。

 

「おお、ちょうどクエストが張り替えられる時間みたいだ」

 

 掲示板を見るとそこにはギルド職員が集まってきており、貼り付けられたクエストの依頼書を貼り付けたり剥がしたりしていた。だが、掲示板に貼ってあった依頼書のほとんどが剥がされたというのは、掲示板の閉める面積のほとんどが紙ではなく、掲示板の木目で占めているのを見れば一目瞭然だった。

 

「おい、クエストがほとんどないじゃないか」

 

 カズマが困惑の声をあげる。

 ほとんど何もない掲示板にかろうじて貼られているのは、もはやクエストと呼んでいいのかわからないペットの捜索や、高難易度のクエスト。討伐対象がこの街の郊外で遠方にいるようなクエストばかりだったのだ。

 

「せっかく来てくださったのに申し訳ございません。どうやら街の近くに魔王軍幹部が出没したらしく、ここら一体のモンスターが姿を隠してしまって・・・」

 

 そうギルド職員が申し訳なさそうに言うと、アインズの体がぴたりとと止まる。

 

「その話・・・もう少し詳しく話してくれないか?」

 

 思わずアインズの声は強張り、威圧感が出る。

 よく聞くと丘の上にある廃城に魔王軍幹部が住みつき、モンスターがいなくなったのだという。そう、上位冒険者さえも苦戦するようなモンスターの依頼さえもだ。

 部下にあのような散々な言われかたをされていたとしても一応は魔王軍幹部。始まりの街とも言われるここの周辺には、例外は少なからずいるものの、文字通り初心者冒険者が倒せるレベルのモンスターばかりであることから、ベルディアの覇気によって逃げ隠れしてしまったようだ。

 であれば必然的に残った依頼書は、モンスターの討伐に関係のない内容や、その覇気を感じ取れないほど遠くにいるモンスターに関する内容ばかりになる。

 

(おい、あいつ!一流の剣士となれば隠密能力もさることながらよ、って言葉はなんだったんだ!めっちゃバレてるし居場所も割れてるじゃないか!)

 

 アインズの頭の中に、頭を小脇に抱えてサムズアップするベルディアが浮かぶ。

 そうなればモモンガの存在が気づかれている恐れもあるが、どうやら具体的に幹部の情報が示されてないようで、その可能性は低そうだ。

 沸々とベルディアに対する怒りが湧き上がるも、すぐに感情の沈静化が行われ冷静になる。そしてアインズはふと初めてベルディアに会った時のことを思い出す。そう、指輪を外して己の力を、魔力を解放した時である。

 

(もしかして・・・俺のせいか?)

 

「どうかしましたか?アインズ」

「い、いや。なんでもない。いやでも、まさか・・・・」

 

 アインズは様々な可能性を考慮するが、どう考えてもアインズの影響であるという結論に帰結してしまう。たとえ部下に嫌われるようなあのポンコツ幹部であっても、気配を隠さずにこの街の周辺を彷徨くという愚行を冒すことなどしないだろう。つまり結果的に廃城に住んでいるということを知られたのはアインズのせいであることは明白なのだ。

 

「ってことはクエスト受けられないじゃない!」

 

 アクアの悲鳴で、アインズの意識が戻る。

 魔王軍がこの街の近くに潜伏していることがばれ、非常にまずい事態となった。

 

「なあ、受付のお姉さん。どうにかなんないか?」

「王都から討伐隊が派遣されているそうですが・・・恐らく到着が来月になると思われますので、次の月まではどうしようもありません。どうしてもというのであれば・・・あまりおすすめはできませんが、こちらにございます高難易度のクエストを受けていたただくことになります」

 

 そう言って受付のお姉さんは掲示板に貼られたクエストに目を向ける。

 

「カズマ!これなんてどうだ!?グレートワイバーンの巣の撤去!運が良ければ巣の主2体に遭遇するかもしれないそうだぞ!」

「運が悪ければ、だ!却下!」

「カズマカズマ!この鞄を指定された場所に運ぶお仕事はどうかしら!こんな簡単なお仕事なのに40万エリスももらえるわ!これは受けるしかないでしょ!」

「おい、それは別の意味で危なそうだからやめろ。絶対ダメだからな?」

 

 はっきりいってどれもこれも碌でもないクエストである。

 クエストボードを指差し、好き勝手言う二人に呆れたカズマはあくびをしながらクエストボードに背を向ける。

 

「みんな、今日は解散だ。俺は朝早く起きて眠いから帰るわ。アクアはもっと仕事探しとけよー」

「えー!コロッケ屋のバイト受かったじゃない!これ位でいいでしょ!」

「どうせまた飲み代で貯金もできないだろ。また一個掛け持ちした方がちょうどいいんだよ。ダクネス、またこいつとバイト探してもらってもいいか?」

「あ、ああ。ほら、行こうアクア。そうだ、前やってたと言っていたネロイドを加工する仕事なんてどうだ?」

「わーん!オフチョベットしたネロイドをマブガットしてシュワシュワにする仕事も嫌ー!」

「ん?おいちょっと待て。シュワシュワって何でできてんだ!おい、それだけは教えてくれ!」

 

 騒がしい3人が消え、少し静かになった冒険者ギルド。

 そこに残っているのは漆黒の剣士と紅の魔術師のみである。

 

「ふむ・・・また暇になってしまったな。めぐみんはどうする?」

「アインズは今日は特に予定などないのですか?」

「その通りだ。今日はクエストに行く気だったからな、どうしたものか・・・」

「それでは私の日課に付き合ってもらえませんか?」

「ほう、日課か。いいだろう」

 

 了承したアインズはそのままめぐみんと一緒に街の門を出て、小さな平野を越え、山とも言えるような大きい丘へと移動する。周りは木々で囲まれていたが、そこには確かに人間が通っていたであろう草木の生えない道があり、そこを辿るように2人は歩みを進める。

 

「街からずいぶん離れたようだが・・・ここで何をするつもりなんだ?」

「うん、ここまで来たらいいでしょう。私は一日に一回爆裂魔法を撃つのが日課なのです。そのためにここまで来たのですよ」

「ん?別にここでなくとも街の近くの草原で撃てばいいんじゃないか?」

「ふっふっふ。私の爆裂魔法の力を舐めてもらっては困りますよ?その光は街で遊ぶ子供の目をくらませ、その音は寝たきりの老人でさえ叩き起こし、その威力は地面を深く抉りクエスト戦闘中の駆け出し冒険者をすっ転ばすのです!」

「あー・・・つまり、街の人にとんでもない迷惑になるということだな?」

「ええ、また守衛さんに叱られてしまうので」

 

 街の門を出る時に、守衛がめぐみんに向ける視線が険しかったように見えたのは気のせいではなかったとアインズは思い返すと、周りの木々が薄れてきて開けた場所に来たことに気づく。そこには丘の上にそびえる廃城が佇んでおり、それは2人のいる位置から全体がよく見えた。

 そして、それはアインズにとっては見覚えしかない城であった。

 

「あれなんてどうでしょう!」

 

 興奮気味に言うめぐみんに対し、アインズは一拍置いて冷静にめぐみんに語りかける。

 

「・・・なあ、めぐみん」

「どうしました?」

「確かー、丘の上の廃城に魔王軍が住み着いたという話じゃなかったか?」

「そうですね。確か受付のお姉さんがそんなことを言っていましたね」

 

 そう言うとめぐみんとアインズはしばらく口を噤み、丘の上に建てられたかつて名のある者が住んでいたであろう荒廃した建築物を見つめる。

 

 ───生暖かい風が二人を撫でる。

 ───めぐみんは杖を構え、廃城を曇り一つない金属光沢で輝くマナタイトに写す。

 

「ちょっと待て、めぐみん。話を聞いていたか?」

「ええ勿論。丘の上の廃城に魔王軍が住み着いたという話ですよね?」

 

 めぐみんがそれが何かとでも言いたげな顔でアインズを見る。

 

「そうだ、丘の上の廃城に魔王軍が住み着いたという話だ。・・・念の為聞こう、めぐみん。一体何をしようとしている?」

「見ての通り一発かましてやろうかと思いまして」

「・・・ふむ」

 

 ───静寂の中、風が吹き、木々の木の葉を揺らす。

 ───眠りへと誘う様な、優しく生暖かい風が二人を撫でる。

 

「・・・え?なんで?」

「なぜも何も、私は爆裂魔法を撃ちにここ来たんですよ?」

 

 まるでアインズがおかしいと言わんばかりのめぐみんの態度に、アインズは額に手を当てて少し考える素振りを見せる。

 

「・・・魔王軍幹部が居るんだぞ?」

「だからなんだと言うのです。別に街の人に迷惑がかかる訳でもありませんし、ひょっとしたら、うまいこと魔王軍幹部に直撃して討伐できるかも知れません。この距離なら我々がやったとバレることもないでしょう」

「それもー・・・そうなのか?万が一バレて魔王軍幹部の怒りを買って、街の住人大虐殺だなんてことになったら目も当てられんぞ」

「うっ・・・。そう言われるとちょっと考えてしまいますが・・・一度だけなら誤差ですよ!ちょうど城から出ている可能性だってありますし。それに向こうが勝手に住み着いたんです。一発ぶち込んだところで何も言われないでしょう」

「魔王軍にその理屈が通用すると思えないが・・・。やめておこうめぐみん、別のところを探そう。ここは危険だ。言ったじゃないか、丁度外出しているかもしれない、とな」

「むー・・・名残惜しいですが・・・わかりました。別のところを探しましょう」

 

 今すぐ魔法をぶっ放そうとするめぐみんを落ち着かせ、アインズは帰路へ歩みを進める。

 日は少しずつ落ち、空がほんのりと赤色に染まっていた。

 

「そうだ、行き道にあったハートのような形をした岩はどうだ?あれをいい感じにかち割って半分にしてやるんだ。どうだめぐみん。・・・めぐみん?」

 

 ふと足音が一人、アインズのものしか無いことに気がつき足を止める。しかし、足音は聞こえない。再びアインズはめぐみんの名を呼び振り返る。

 その次の瞬間である。突風がアインズの背後から吹き荒れる。だが、その突風が魔力の流れであることに気づくのにアインズは時間はかからなかった。そして、その魔力の流れがなんなのであるか、それも同様であった。

 

「あれぇ!?めぐみん!?」

 

 魔力の集まる渦の元には一人の少女があり、その手には新品の杖があった。そしてその杖の上には莫大な凝縮された魔力。その凝縮された魔力は天へと舞い、一つのエネルギーの塊と化す。そう、それは巨大な魔法陣である。

 

「なっ、え、あれ?なんか俺間違ったこと言っ─・・・!」

 

 複数の閃光が走ると同時に、ズンと腹の底に響き渡るような衝撃が走る。そして遅れてやってくるのは爆音と突風であった。

 突風により砂埃が舞いアインズの視界が塞がる。

 しばらくたった後。視界が開け、アインズは急いで元の来た道へ戻ると、そこには大の字で寝そべり満足げな笑みを浮かべる少女の姿があった。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「あ、アインズ。そろそろ下ろしていただけないでしょうか・・・うっぷ」

 

 アインズの左脇から微かに声が聞こえる。

 

「ああ、これくらい離れれば大丈夫だろうか」

「ええ、流石に大丈夫かと・・・。あっ、お腹が圧迫されて、なんか喉元まできちゃいましたあ。うぐっ・・・」

「頼むからマントに吐くのだけは勘弁してくれ」

 

 そう言ってアインズは小脇に抱えためぐみんを丁寧に降ろす。

 あの後アインズは倒れためぐみんを抱え、一目散に丘を滑り落ちるように降り、凄まじい勢いでその場から大きく離れたのだ。勿論、めぐみんは魔力がすっからかんの状態であるため、体に力が入らず半分振り回された状態であったため、今のようにグロッキーな状態となっている。

 

「これに懲りたら2度と勝手に爆裂魔法を撃たないんだな」

「ふう・・・日も暮れてきたので一旦ここで一休みしましょう」

「聞いているのか・・・?はあ、全く。あの敵陣に突っ込んでいく無茶な感じ・・・やまいこさんそっくりだ。魔力が回復するまで少し野営でもしよう。私は薪になる枝を取ってこよう。まあこの近辺にモンスターはいないだろうが・・・何かあったら大声で呼んでくれ」

「りょ・・・うっぷ」

 

 途中の言葉を小さく呟き、アインズは森の中へ姿を消す。

 

 アインズが枝を持ってめぐみんの元に帰ってきた頃には、すでに陽は落ちて周りを黒色に染め上げていた。

 

「少し、聞きたいことがあるのですが」

「ん?何だ?」

 

 めぐみんが徐に質問する

 

「アインズには昔、一緒に旅をした仲間でもいたのですか?」

 

 アインズは焚き火から目をやったまま、それを突く手を止める。

 

「なぜ・・・そう思ったんだ?」

 

 焚き火がパチパチと音を立てて弾ける。

 

「なんとなく・・・私とアクアの対応が小慣れていたように感じられるのと、パーティー加入歓迎会の時にチームの構成について非常に詳しくカズマと議論をしていたのとー・・・」

 

 そう言ってめぐみんは少し口を紡ぐ。間違いなく、アインズの口調が重くなったのを感じ取ったからである。

 

「その・・・やまいこさん、なる人とチームを組んでいたのではないかな、と」

 

 昼間の暖かい風と対照的な涼しい風が、焚き火の炎をゆらめかせる。

 

「その通り。素晴らしい仲間達だった。聖騎士、刀使い、神官、暗・・・盗賊、二刀忍・・・二刀盗賊・・・。最高の友人だった。それからも数多の冒険を繰り返したが、その中でもあの日々は忘れられない」

 

 勿論他にも、世界に災いをもたらす魔法使いや、敵を欺き味方を勝利の導いた軍師、全てを防ぐ盾使いなど、その数は合わせて四十人もなる。アインズはその仲間達の異形の姿を思い出す。

 

「ではアインズ。私たちはその仲間達をも超えるチームとなろうではありませんか!」

「そんな日はー・・・」

 

 アインズの中で黒い何かが膨れ上がるのが感じられた。めぐみんの発言から、ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの仲間達の思い出を軽んじられたようにアインズは感じられたのだ。

 その言葉に続き、“来ない”の言葉を口に出そうと、アインズがめぐみんに顔を向けると口が止まる。彼女のその目は可能性に満ち足りていて、それでもって無邪気さが感じられてるのだ。

 そう、アインズ、もといモモンガはもはやギルド、アインズ・ウール・ゴウンの一員ではなく、めぐみんのチームの一員だ。そして、あの栄光あるギルド、アインズ・ウール・ゴウンはユグドラシルの終わりと同時に、ナザリック地下大墳墓と共に消えたのである。

 その事を考えると、アンデットの種族特性たる感情抑制が働くことなく、アインズは少し冷静になる。

 

「そうだ・・・な」

 

 ユグドラシルは終わった。だがこれは始まりでもあることにアインズは気づく。

 アインズは自分の言おうとした発言が、とても大人気ないものであると感じ己を恥じる。その言葉は、今の仲間達に対してと(・)て(・)も(・)失(・)礼(・)な(・)も(・)の(・)であったからだ。

 

「そうか、そうだなめぐみん。同じチーム同士、今後ともよろしく頼む」

「勿論ですとも!」

 

 とびきりの笑顔でそう答えるめぐみんに眩しさを覚え、アインズは星を仰ぎ見る。未だ、この綺麗な星空を見ると自然をこよなく愛したギルドメンバーを思い出す。この寂しさも新たな人との出会いと時の流れが解決するはずであるとアインズは確信するのであった。

 

 焚き火がまた音を立ててパチパチと弾ける。

 

「ちなみにお聞きしたいのですが、やまいこさんという方はどのような人だったのですか?」

「・・・ふっ、そうだな・・・これから話す内容は他言無用だぞ?彼女の話をするにはどうだろう、天空山で龍の宝玉を盗みに行った話から始めた方が良さそうだな」

「な、何ですかそれは!ぜひ聞かせてください!」

 

 結局この話は野営の目的を忘れるほど長く続いたものの、めぐみんのお腹が空腹で鳴ることによって中断されることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (しまった。城に潜伏しているのがバレたのと、城に放った爆裂魔法について、ベルディアに連絡するの忘れてた!・・・まあ、明日でもいいかな)

 

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