Q:何? 自分は光の創造神ホルアクティなのだがら、この世界に転生(特殊召喚)された時点で私の勝ちが確定していて未来も約束されているのではないのか!?

A:世界観が違います。


Q:世界観が違うということはどういうことですか?

A:世界観が違うということです。




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突発的執筆欲膨張症候群の解消のため(ry





光の創造神「今後、益々の活躍をお祈り申し上げます」

.

 

 

 それは、現代から1000年ほど過去の話である。遥か昔より天界にて地上を見守ってきた神々は、地上に未知と刺激を求めて地上に降り立ち、人々と共に生活するようになった。

 

 本来、神々は神の力(アルカナム)といわれる万物を超越する力を有している絶対的な存在であった。しかし、地上に降りる際にその力に大きな制約をかけられた。その神々が地上において振るうことができた特権の1つが【神の恩恵(ファルナ)】である。

 

 それは、神血(イコル)と称される自らの血を地上に生きる子供(人間)たちに与えることで、彼らを自らの眷属にしつつ、その身に宿る潜在能力を引き出すことができるという、まさに神の加護というものであった。また、恩恵を受けた人々の中にはスキルや魔法といった特殊な力を発現させる者も現れた。

 

 そして、恩恵はただ受けて終わりではない。恩恵を受けた者は鍛練を重ねることでその経験値を恩恵に貯めこんで、自らに宿る力をより強くすることができた。その上で、自らの命を懸けるほどに過酷な"試練"を乗り越えることによって恩恵は"ランクアップ"し、人としての器が昇華されることで更なる高みへと至ることができるようになった。

 

 こうして、地上に降り立った神々はこの力を人間たちに与えて自らの眷属を増やしていき、【ファミリア】とよばれる主神と眷属から成る組織を産み出した。未知や刺激を求めて行動する神と恩恵を受けたことによって卓越した能力を有する眷属たちは時代を動かす動力源となり、歴史の中心には常にファミリアが存在するようになっていくのだった。

 

 

 


 

 

 

 ──迷宮都市"オラリオ"

 

 そこは迷宮(ダンジョン)と呼ばれる地下深くに広がる未開の領域と、それを蓋するように建てられた"バベル"と呼ばれる天高くそびえる楼閣を中心として建てられた大都市である。

 

 ダンジョンに現れるモンスターから採取できる上質な魔石やダンジョン内でしかお目にかかれない貴重な品々を求め、冒険者──【ファミリア】に所属し、恩恵を受けた者──たちが命を懸けて今日も探索を続けている。迷宮が呼び起こす理不尽な脅威に立ち向かう環境下の中で鍛え研がれ磨かれた冒険者たちは一様にして屈強であり、世界で最も強者が集う街と言っても過言ではない。

 

 また、希少な物資と大勢の人々やら神々やらが集まることでそこに巨大な経済基盤が出来上がり、巨大な物流の流れも生まれた。その賑わい様は『オラリオにはこの世の全てが揃っている』という風説が語られるほどであった。

 

 さて、様々な強者が集うオラリオであるが、多くの強者たちが集えば誰が強いのか、どこが強いのかという所謂最強議論が語られるのは自然な流れとも言えるだろう。この手の話題は古今東西途切れることのない議題だ。

 

 このオラリオにおいて、長らく最強の名を欲しいままにしていたのが【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】の2大巨頭であった。2つのファミリアは約1000年近く、つまり神々が地上に降り立ちファミリアを形成し始めた初期の時代から頂点に君臨し続けていた。

 

 しかし、その2つのファミリアは今から約15年ほど前に壊滅した。人類の悲願といわれる【隻眼の黒竜】の討伐に失敗し、数多の強者が命を落としたからだ。

 

 人員の殆どを喪った2つのファミリアはそれらの次に勢いがあった【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】によって追放され、その終焉を迎えた。画して、次なる最強の座は【ロキ・ファミリア】か【フレイヤ・ファミリア】のどちらかに渡ることになるだろう──と、誰もがそう思っていた。

 

 

 

 しかしその数年後、そのどちらでもないファミリアがその座に座ることになった。

 

 

 

 オラリオの外からやって来た彼らは、当時のオラリオのどのファミリアよりも強かった。また、世界の全てが集うオラリオにおいても解明できない未知の力を有していた。オラリオに腰を据えた彼らは闇派閥(イヴィルス)と呼ばれる世界に破滅と混乱を招こうとする無法者たちの討伐において功を挙げ、またダンジョン攻略においても実力を見せつけ強さだけではなく功績においてもオラリオ最強の名を揺るぎないものとしてみせた。そのファミリアは畏敬と畏怖を込められ、こう呼ばれている。

 

 

 

 

 

 ──【ホルアクティ・ファミリア】と。

 

 

 

 

 


 

 

 ──【決闘塔(デュエル・タワー)アルカトラズ】

 

 オラリオには様々な建築物が存在する。例として挙げられるのは【ロキ・ファミリア】の本拠地『黄昏の館』、【フレイヤ・ファミリア】の本拠地『闘いの野(フォールクヴァング)』、【ガネーシャ・ファミリア】の本拠地『アイアムガネーシャ』、【イシュタル・ファミリア】の本拠地【女主の神娼殿(ベレート・パピリ)】などになるだろう。これらはオラリオでも随一の勢力を誇るファミリアの本拠地であり、自らのファミリアの力量を周囲に喧伝しているともいえる。

 

 そして、【ホルアクティ・ファミリア】の本拠地であるこの塔もそのひとつである。円形の土台の中心から伸びる1本の塔と土台の両端から中心の塔にに向かって伸びる2本の塔という独創的な佇まいは、その三角錐状のシルエットや無機質的な外観も相まってこのオラリオの中でも異質といえる建築物であった。それはまるで、ファミリアの強さや性質の隔絶を示すかのようでもあった。

 

 「本当にありがとうございます。あの【ホルアクティ・ファミリア】に招いてもらって更に入団試験の推薦までしてもらえるなんてなんて夢のようです!」

 

 「いえ、気になさらないで下さい。私としても貴方のような"勇者"を探していたのですから。」

 

 「えっと、その"勇者"って本当に僕でいいんですか? 勇者、って呼んでもらえるのは本当に嬉いしんですけど、僕なんかよりも勇者に相応しい人がいるんじゃ……」

 

 「いいですか、ベルさん。勇者とは世界に1人しかなし得ない存在でもなければ優劣があるような存在でもないんです。勇者とは清水のように湧き出でるものなんです。大自然によって磨かれた雑じり気のない水は確かに貴重ですが、1ヵ所しか湧き出ないものでは無いですし、その水の特色は在れど優劣などありません。貴方もそれと同じなんです。美しき水には違いないんです。」

 

 アルカトラズの一室にて、1組の男女が談笑に耽っていた。少年の方は雑じり気のない白い髪に鮮やかな真紅の瞳、初々しい顔をして所轄お上りさんというような格好と態度を示していた。一方の少女は青い長髪に鮮やかやな青色の瞳、尖った耳を持ち、青と白を基調とした三角帽子に丈の短いドレスのようなローブを纏い、太ももの真ん中ほどある長い白のブーツを履いていた。

 

 「その、水遣いさんの言ってることはよく分からないんですけど……でも、励ましてもらってるというのは分かります。ありがとうございます。」

 

 「むっ、その顔、私が慰めてるだけだと思ってますね? いいですか?私は比喩でも誇張でもなく貴方のことを………」

 

 「水遣いよ、私だ。入っても構わんか?」

 

 2人の話はコンコンコンというドアのノック音によって中断される。次いで、ドアの向こうからは女性と思わしき声が部屋に届く。

 

 「はいっ、ホルアクティ様。どうぞお入りください。」

 

 水遣いの声に従い、部屋のドアが開く。ドアの向こうには1人の女性が立っていた。その女性は左右に広がった兜のような黄金に輝く王冠を被り、兜と同じように金色に輝く鎧にも似た細身のドレスを纏っていた。そして背中からはこれまた金色に輝く鳥のものに似た1対の羽を背負っていた。

 

 そう、彼女こそ地上に降り立った神々の一柱にして、オラリオ最強と称される【ホルアクティ・ファミリア】の主神である女神ホルアクティであった。

 

 (あれが、ホルアクティ様……。オラリオ最強を誇るファミリアを率いる神様……。)

 

 ベルは彼女の神々しさに目を奪われていた。彼もこのオラリオに到着してからは幾柱もの神々を見てきた。しかし、目の前の女神はそれらと比較して隔絶したオーラを放っていた。

 

 一方のホルアクティもベルをまるで値踏みするかのように一言も発することなく見つめていた。

 

 

 

 


 

 

 

 (おいおいおい!! 入団希望者って主人公(ベル・クラネル)だったのかよ! やべぇ、本当にヤバい! 原作から逸脱してきてるとはいえ、いくらなんでも主人公がここに所属することになるのは本当にマズイ!!)

 

 ここ数年で多分1番焦ってた。まさか、あのベル・クラネルがヘスティアに先んじてこっちに来るのは流石に想像してなかった。最大手で来る者拒まずとはいえ、怪しさ漂うウチに来るとは……。くそっ、油断してた!

 

 「ホ、ホルアクティ様? 僕、何か気に障るようなことをしてしまいましたか……?」

 

 「……い、いえっ。私事なので気にすることではない。さて、貴殿がこのファミリアへの入団を希望する者でよろしいか?」

 

 「は、はい! ベル・クラネルといいます。よろしくお願いします!」

 

 落ち着け、今はこの場の対応を第一に考えろ。自分は焦る気持ちを押さえつつ、ベルの向かいの席に座った。

 

 「では、改めて説明しましょう。我がファミリアの入団試験では力や知恵、志などを問うことは一切ありません。」

 

 「はい、水遣いさんからも聞いています。魂の変容を受け入れられるかどうかだと。」

 

 よろしい、とベルの返答に応えた自分はカードの束、もとい遊戯王でお馴染みのあのカードの束を取り出してテーブルに置いた。

 

 「これは私が"魂のカード"と呼んでいるものです。その名の通り、引いた者の魂に沿って様相を変える、私の権能が込められたカードです。」

 

 「僕の魂に沿った……。」

 

 「ええ、そしてそれこそが私が入団志願者に唯一求める試練、"運命のドロー"です。あなたが山札の一番上から引いたカードこそが私があなたに求める姿です。」

 

 「僕の姿……ですか?」

 

 ベルはカードの束を興味深そうに眺めつつ、こちらの顔を交互に見ながら返事を返している。……さて、少々脅してみるか。これで辞退してくれねぇかな……。

 

 「はい、その姿をあなたが受け入れるか否かです。しかし忠告しましょう。それはあなたの醜さを写し出すものでもあります。」

 

 「醜さ、ですか?」

 

 「ええ。噛み砕いていえば、そのカードはあなたに相応しい姿を写すものといって差し支えありません。そして、如何なる情を挟むことも許しません。あなたは覚悟してますか? 四つ足の獣や禍々しい悪鬼、おぞましい奇形物や生気のない絡繰(カラクリ)がお前にはお似合いだと突きつけられるかもしれないということを。」

 

 「……!!」

 

 ちょっと神威を出しつつ、強い口調でベルを威圧する。いや、マジでそのカード容赦ないんだよ。本当に人型してるカードが出るならならまだ優しい方なんだよ。サクリファイスとかミュートリアとかネクロフェイスとか平気で出しやがるし。寄生虫パラサイトが出たときは思わず変な声を漏らしちまったよ。

 

 そもそも、この世界の人たちって異形に割りと厳しめなんだよな。比較的人型に近いシラユキとかLL、空牙団とかを引いても露骨に嫌そうな顔してたし。そう考えるとパンクラトプスを受け入れた彼なんかは滅茶苦茶覚悟が決まってたよな~。

 

 「ベルさん、怖いですか? 自分が化け物になるかもしれないことが。」

 

 「み、水遣いさん……?」

 

 「ベルさん、何度でも私は言います。世界が否定しようとも、あなた自身が信じられなくても、あなたは"勇者"だと。最後には困難に立ち向かい、そして越えることができる強さを持っていると。」

 

 おいおい、水遣い。ベルをそこで励ますんじゃないよ。その兎は美女・美少女の応援を受けると途端に薩摩隼人ばりに覚悟決める男なんだから。

 

 「……引きます。ホルアクティ様、僕はカードを引きます。」

 

 「……よろしいのですか? 先ほどの言葉は脅しではないのですよ?」

 

 「はい。水遣いさんは、身寄りも何もない僕をここまで連れてきてくれたんです。」

 

 あーあ、覚悟決めちゃったよコレ。内心頭を抱えながらも自分はベルの話に耳を傾ける。まあ、話の内容自体は生半端な原作知識でも予想がつく範囲内だった。祖父を喪って、その遺言を頼りにオラリオに来たのはいいけど門前払いの連続で心が折れそうだった、といった感じだ。

 

 とにかく、彼の覚悟が固まってるところからしてこれ以上は時間の無駄だ。もうヘンテコなカードを引いてもらって辞退を引き出すしかない。……いや、寧ろメルフィーみたいなのを引いてもらった方が断る確率が上がるかな?

 

 「よろしい。では、山札からカードをドローしなさい。それが貴方の魂となるでしょう。」

 

 「はいっ……!」

 

 ベルは恐る恐る山札の上に手を乗せて

 

 「えいっ!!」

 

 掛け声と共にカードを1枚ドローした。

 

 「……あれっ?」

 

 「まあ……」

 

 捲ったカードを確認したとき、ベルは困惑し水遣いは驚きの表情をみせた。ベルがドローしたカードに写っていたのはベル・クラネルの本人の姿だったからだ。

 

 (……!! よしっ! これで自然に断れる! 流石は主人公!! ここでそのカードを引いてくれるとは!!)

 

 どうやら、本来あるべき流れから外れてしまったこの世界においても(ベル)は必要な存在であることに変わりないみたいだ。なら、ここは丁重にお断りして、どこかの紐女神のもとへ送り出すか。

 

 「まず、結論から申し上げましょう。ベル・クラネル、貴方をこのファミリアに迎え入れることは出来ません。」

 

 「!? ど、どうして……」

 

 「先ほども説明した通り、我がファミリアでは魂の変容を受け入れられることのみを入団条件としています。ただし、これは正確な条件ではないのです。」

 

 「正確ではない? どういうことですか?」

 

 「我がファミリアの正確な入団条件、それは『本人の同意のもとで、カードに記された姿になるように魂が変容する』ことなのです。」

 

 「? で、でも僕が捲ったカードに写ってた姿は僕自身ですけど……。」

 

 「そうです。カードは貴方が貴方の姿に変容することを示しました。しかし、既に貴方は貴方自身です。ベル・クラネルという存在がベル・クラネルという存在になることを果たして変容と呼べるでしょうか?」

 

 「????」

 

 うん、ベル君凄く混乱してるわ。純粋無垢な少年にコンマイ語聞かせりゃこうもなるか。

 

 「つまり、このファミリアに入団するためには変わることは強制的な条件なんです。カードはベルさんのままで良いと示しましたけど、それってベルさんから変わってないですよね?」

 

 「カードの姿と同じことじゃなくて、カードの姿へと変わることが条件ってことですか?」

 

 おっ、水遣いナイスアシスト。ベルも理解したようだな。遊戯王的に例えるなら手札を見せて発動するのに、カードの効果で手札が見えてる状態だから不発になるのに似てるんだよな。見えてる"状態"じゃなくて見せる"動作"が重要ってやつだ。

 

 「ええ、つまり変わることの出来ないあなたでは我がファミリアの入団は受け入れられないということです。」

 

 「そう、ですか。……水遣いさん、ごめんなさい。あんなに応援してもらったのにこんなことになってしまって。」

 

 「いえ、謝らないでください。寧ろ今の私は感謝したいくらいなんですから。」

 

 「えっ、でも僕はこのファミリアにはいられないんですよ?」

 

 「はい、でもこのファミリアに所属することは私が見惚れたあなたが変わってしまうことでもあるんです。それに一緒のファミリアじゃないと一緒に冒険できないわけではありませんよね? だから、どこか別の形で変わることのない貴方と冒険出来ると思うと、私はそれだけで嬉しいんです。」

 

 「水遣いさん……。」

 

 水遣い、お前ヒロインレースに参加なされるおつもりで? いや、自分としてもベル君と接点を持てるのは嬉しいんだけど下手に接点が強くなりすぎるとそれはそれで困るんだよ。ウチらと接触してるのが勘づかれたら某小人族(パルゥム)のサポーターとか絶対ベルに近寄らないだろうし。

 

 ……まあこれは正直悩んでもどうにもならん。自分が出来ることがあるとするならベルがロリ女神の子供(眷属)になるようにもうちょっと口添えするか。

 

 「ベル・クラネルよ。ここでこのようにしているのも何かの縁だ。お前に助言を授けるとしよう。」

 

 「は、はい! ホルアクティ様!!」

 

 「まず、お前はその弱さ・その繋がりの無さゆえに様々なファミリアの入団を断られたと聞く。私が見るかぎり、それは事実なのだろう。」

 

 「……はい、おっしゃる通りかと。」

 

 「そして弱さは1日2日でそうそう脱却出来るものではない。恩恵を受けられないのなら尚更だな。つまり繋がりを持つことが進むべき道だろう。」

 

 「繋がりの……。でも、僕に身寄りや頼りに出来そうな人は……。」

 

 「ああ、居ないと言っていたな。繋がりが無いから新たな繋がりが生まれず、繋がりを生み出そうにもそれを成す力を持たず……手詰まりの様相を見せているな。」

 

 「ううっ………。」

 

 うわ~っ、我ながら酷い言い様だな。だが、しっかり追い込まないと変な方向に行きかねないからなぁ。さあ、ここからが正念場だ。

 

 「だが、お前の身の上話と重ね合わせると1つ光明が出てくると思わないか?」

 

 「えっ? ホルアクティ様は何か分かったのですか?」

 

 「ああ、私が思うにそれは家族ではないのかな?」

 

 「家族……。」

 

 おっ、いい感じに食らいついたな。よしよし、ここまでは順調だ。後はいい感じに話を持っていけば……

 

 「そうだ。家族の繋がりに強さや弱さは介在する余地はない。弱さが許されないのならば、赤子など間違いなく許されないからな。お前には祖父が居たと聞いていたが、弱いお前はその祖父との家族の繋がりは許されなかったのか?」

 

 「いいえ、そんなことはありません。どんな時でもおじいちゃんは僕を見守って、応援してくれて、励ましてくれる自慢のおじいちゃんでした。」

 

 「そうだろう。家というのはそういうものだ。ならば、お前がファミリアに、主神に求めるのはそのような指針であろう。噛み砕いて言うならば、英雄になるための鍛練場ではなく、何もなくても許される我が家のような場所と例えるべきだろうか。」

 

 「はい。でも、お言葉なんですがそんなファミリアが本当にあるんでしょうか? それに、あったとしても僕を受け入れてもらえるかどうか……。」

 

 「ふむ。ならば、もう1つ付け加えよう。そのような穏健的な神々は自発的な募集をかけていることは殆ど無く、規模が少数であることが多い。下手をすれば眷属を持っていないこともあるだろう。お前はギルドから情報を受け取っていたようだが、それでは的外れというわけだ。」

 

 「つまり、細々と生活をしている神様を探せばよろしいのですか?」

 

 「そうだな、加えるなら家の団らんに関わるものに関する権能を持つ神ならば尚良いだろう。この場で思い付くのは…………竈や暖炉などか。もし、このような神々と巡り会えたのなら話してみるといい。それがファミリアを組織していない、つまり眷属がいない神だとしてもだ。」

 

 「竈や暖炉……。分かりました、探してみます!」

 

 よーしよしよし。いい感じに誘導できたな。後は路地裏辺りでボーイ・ミーツ・ゴッデスしてくれるのを待つだけだ。

 

 「さて、私が言えるのはここまでだ。後はあなたの運と覚悟次第です。良き魂ベル・クラネルよ、あなたに望ましい出会いがあらんことを。……では水遣い、エントランスホールまでベルを案内なさい。」

 

 「承知いたしました。では、ベルさん参りましょう。」

 

 「はい、ホルアクティ様もありがとうごさいました。このご恩は必ずやお返しいたします!」

 

 そう言うと2人は部屋を後にした。

 

 「……そうだ、せっかくだし餞別の1つでも用意するか。」

 

 

 


 

 

 

 ──《オラリオ市内 とある路地》

 

 

 

 「アドバイスだけじゃなくてお金まで頂けるなんて……。」

 

 アルカトラズを後にしたベルはホルアクティの助言に従って、静かに暮らしている神を探して路地などを探索していた。懐にホルアクティから貰った3万ヴァリスの入った袋を抱えていた。

 

 『それは私個人で所有しているものだ。冒険者となるならば何かと入り用なのだから遠慮など無く使うと良い。』

 

 「遠慮なくっておっしゃってたけど、そんな簡単に割りきれませんよ……。僕もホルアクティ様みたいな神様の眷属になれたらよかったのになぁ。」

 

 ベルはホルアクティの言葉を思い返しながら恐縮していた。多くのファミリアから門前払いされていたベルにとって、ホルアクティは真摯な対応に加えてこれから先の助言と金銭的な援助までしてくれた文字通りの救いの神様であった。結果的に入団を断られたことは早々割りきれるものではなかった。

 

 「それにしても、もう暗くなってきたな。今日はもう切り上げて、何処かで宿をとらないと……。」

 

 「おーい、そこの君。こんな時間にこんな所をウロウロしてたら危ないぜ?」

 

 「へっ?」

 

 今日の探索を切り上げようとしていたベルのもとに1人の少女が声をかける。その少女は黒い髪に青い瞳、袖のない白いワンピースを身に纏っていた。そして二の腕間に青い紐を結びつけ、それで胸部を持ち上げるという奇妙な装飾を身に付けていた。しかし、それがただの少女ではないことはベルにはすぐ分かった。彼女が神の1柱だったからだ。

 

 「あの、もしかして神様ですか? 実は僕、冒険者になりたくて……」

 

 「! 冒険者!? つまりファミリアを探しているのかい!?」

 

 「は、はい! そ、それで暖炉とか竈とか家に纏わる神様を探しているんですけど……」

 

 「!!!! 君、名前は!!?」

 

 「ベ、ベル。ベル・クラネルです!」

 

 「ベル、ベル君だね! 僕の名前はヘスティア! 君がお探しの竈を司る神様さ! ベル君、この出会いは運命だ!! 僕の眷属にならないかい!!」

 

 「えっ、えええええっ!!??」

 

 

 

 

 

 ──後日、某じゃが丸君の神様のもとに兎のような人間(ヒューマン)の眷属ができたという話がオラリオ内に広まった。その話を聞いたホルアクティは人知れずガッツポーズするのだった。

 

 

.







※以下、本文に組み込もうとしたら長くなりすぎるのでカットした設定


・光の創造神ホルアクティ
神様転生したと思ったら神様に転生しちゃった転生者。
『相手のカードを書き換える』のではなく『相手をカード(のモンスター)に書き換える』というラスボスっぽい権能までオマケに貰ったので、本編に関わらなさそうな人を眷属に迎え入れて眷属成長記録をつけながらのんびり生活を楽しもうとしてたのに、持っている力のせいで物語に引きずり込まれ内心焦ってる神様。


・魂のカード
外観は遊戯王OCGのカードそのもの。スリーブ等には入れていないが特に傷がついたりはしない。対象者が引いたカードのモンスターにホルアクティの恩恵を混ぜることで相手をそのモンスターに変化させられるが、どのカードを引くかはホルアクティ含めて誰にも予想が出来ない。


・聖殿の水遣い(Lv.3)
勇者を求める少女。腹黒疑惑があるがこの世界では勇者の到来を純粋に喜べる少女。ただし、勇者の資格がある人に声をかけて回るせいで尻軽属性持ちのように見られている。
ダンまち世界の設定を擦り合わせると【アラメシアの儀】によってスキル無しとはいえLv.4の前衛職(勇者トークン)を呼び出して、【運命の旅路】で強化を施してくるので厄介な存在。




Q:今後の執筆予定は?

A:調整中。

眷属(遊戯王のモンスター)たちってどこまでOK?(なお、話題に出しちゃったパンクラトプスは何とかして出します)

  • 顔と四肢が人間してないと駄目だろ
  • 人型の異端児(ゼノス)レベルならOK
  • 獣に恩恵与えた設定で獣系出そうぜ
  • モリンフェンみたいな異形がいてもいい
  • 同族感染ウィルスとかでも許容範囲
  • その答はデュエルの中で見つけるしかない

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