やはり俺が現実でゲームするのはまちがっている。   作:嗚呼津

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最近書けるようになったので(自分にとっては)更新早いです。がんばる


12話 2位と8位

「──フッ!!」

 

 一歩、エイジが近づいてきて俺に殴りかかかる。

 

「──!?」

 

 俺はそれを何とか腕でいなして避ける。

 ⋯⋯なんだよアレ、速すぎる。少なくとも5メートルは離れていたぞ。コンマ数秒でその距離を0にするって人外かよ。

 

「⋯⋯チッ」

 

 こいつ⋯⋯一発目避けられたからって、舌打ちしたぞ。そんな俺が攻撃喰らわなかったことが気に食わないのかよ。今までなんでも親にさせてもらってきたお坊ちゃまかよっての、すこし思い通りにいかないぐらいで怒りやがって。

 もう少しやらないと安心はできないが、まあ⋯⋯大体わかった。この感じなら絶望的に敵わないということはないだろう。

 俺はある程度の安心感を持って拳をいなした体勢から構えなおす。

 俺が慄くことなく構えたのがまた癇に障ったのか、エイジはまたムカついた顔を見せ、俺に殴りかかってくる。

 これなら、いけるな。

 

「──残念」

 

 俺はそう言いながら殴りかかってきた右手を左手で内側から弾き、がら空きになった腹に右手をぶち込む。

 

「⋯⋯な!?──グフッ」

 

 エイジは2、3歩腹を抑えながら後退り、俺を今までで一番睨む。

 

「クソ、なぜ⋯⋯」

「なぜ?そんな簡単なこと聞くんじゃねえよ。お前が弱いからだろ」

 

 俺がそう言うと、エイジは遂に憤怒の顔を浮かべる。

 

「⋯⋯舐めるなァ!」

「──グア⋯⋯!」

 

 今度は俺が痛みを食らう番だった。エイジは俺に向かって回し蹴りを繰り出し、避けられないと判断した俺はそれを腕で受け止める。

 ──痛ってぇ⋯⋯!なんだこれ!?⋯⋯腕でガードした後やばいと思って威力を逃すために飛び退いてなかったら俺の腕が折れてたぞ。

 

 飛び退いた俺に向かってエイジがもう一度距離を詰めて顔に向かって右手で殴りかかってくる。

 俺はそれをすんでのところで顔を傾け避け、エイジの突き出された腕を掴み一本背負いを仕掛けようとする。

 しかし、エイジはその掴まれた腕を力に任せて引き、腕を掴んでいた俺は引っ張られてバランスを崩す。

 

 こいつ──マジか!?もう投げれる体勢だったろうが⋯⋯!てかヤベェ、もう投げる体勢だったからその状態で引かれたらエイジに向かって後ろ向きに倒れちまう!

 

 エイジはやはりその隙を逃しはせず、向かってくるその後頭部に向かって左手を振り上げる。

 俺はそれをきちんと目で見ていたわけではない。ただ、後頭部になにか嫌な予感がしたからバランスを崩して後ろ向きに倒れ行く無茶な体勢のまま、無理やり頭だけを前向きに傾けさせるために精一杯体を前屈させる。

 その結果、拳が頭に直撃することは避けた。

 

「──グッ⋯⋯!」

 

 しかし、拳を避けるためだけの無理な行動だったためまともに受け身も取れずに地面に体を打ち付け鈍痛が走る。

 

 ──あ、やべ。

 

 そんな隙をまたエイジが逃すはずがなく、地面に倒れる俺を踏みつけようとする。

 俺はそれをまた何とか体を転がして避ける。

 

「──たくッ、少しは休憩挟んでくれてもいいんだけどな!」

 

 俺は転がりながら口を開き、言い終わると同時に体を跳ねさせるようにして立ち上がる。

 

「ハッ⋯⋯抵抗をやめれば楽になりますよ?」

 

 その言葉に俺は少し目線を逸らす。

 逸らした先にはまだ風林火山を介抱するためにメンバーを安全な場所に移すクラインの姿が見える。移動できていないメンバーは残り半数ほど⋯⋯まだ、もう少し掛かりそうだ。

 

「バーカ、楽を求めて大怪我しろってか、頭大丈夫かよ。まだやるぞ」

 

 俺はそう言って今までの初動をしないスタンスを変え、俺から攻撃を仕掛ける。

 右拳を振りかざしながらエイジとの距離を詰め、そしてその拳を突き出す。

 そのあまりにも単純な攻撃方法にエイジが笑いながら言う。

 

「馬鹿はそっちだ!そんな見え見えの攻撃が当たると思っているとはな!」

 

 そしてエイジはその言葉を証明するようにその場から足も動かさず最低限の動きで避ける。

 

 ──よし、狙い通り。

 

 この攻撃をするためには距離を詰めるため、虚を突くために相手をその場から動かさず油断させる必要があった。それを達成するためのあの見え見えの殴りかかり。つまりただのブラフ。

 

 ブラフが成功した俺はすぐさま拳を引くと同時に左足を軸に体を左方向へと回転させる。そしてエイジに向かって完全に背中を向けたところで軸足を右足に変え、回転を続けながら左足を振り上げて左脚の踵でエイジの顔を蹴る。

 

「──ガッ!?」

 

 脚が当たったエイジは吹っ飛び、体が数回転がって止まった後、悶えながらその場に蹲る。

 

「ク⋯⋯ソッ⋯⋯!」

「⋯⋯ふぅ」

 

 上手く後ろ回転蹴りがキマり、とりあえず勝敗がついていそうなことに安堵の息を吐く。⋯⋯たく、こいつはなんのために俺たちに攻撃を仕掛けてきたんだ。というか、ボスが現れる前の声、こいつの声だろ。考えたくないが、こいつにOS運営が関わっている──というか、任意でボスを出せるとなるとこいつが運営である可能性がある。

 ⋯⋯はあ、なんでただ楽しくゲームしようとしてるだけな俺にいきなりこんなことを考えさせるんだ。オーディナル・スケールはゲームじゃなかったのかよ。なんでこんなボスといい、現実に支障が出るレベルの暴力といいSAOみたいな⋯⋯──SAO?

 

「お前、なんのためにこんなことしてるんだ」

 

俺は引っ掛かりを感じながらエイジに問いかける。

 

「クソ⋯⋯なんでこんな奴に⋯⋯。また何も出来ないのか僕は⋯⋯」

「おい、早く答えろ。お前はこのゲームの運営側の人間なのか?」

「フッ⋯⋯」

 

 いきなり、エイジが笑い始める。⋯⋯なんだこいつ、やっぱり警察をすぐ呼んだほうが良かったか。今時まともに決闘みたいなことするもんじゃないな。⋯⋯てかがっつり殴って蹴っちゃったけど大丈夫かな⋯⋯正当防衛になるよね?

 

「そんな余裕でいていいのか?」

「あ?」

 

 エイジが笑いながら不穏なことを言う。

 ⋯⋯こいつさっきから俺を見てるようで見てないし、どこ見てるんだよ。俺の背後なんかあんの?

 

 ──俺の、背後?

 

 俺は急いで後ろに振りむく、そこにはクラインたち風林火山のメンバーがいる。全員がとりあえず安全で救急対応がとりやすい場所に移動している。

 そのことに一瞬安心してしまいそうになるが、風林火山のそれぞれの顔を見て安心が消える。

 風林火山のメンバーはクラインを除いて全員が怯えた顔をしていたからだ。

 

「う、ウワアアアァ⋯⋯!!」

 

 俺が何かおかしいと向かおうと足を動かしたのと同時に、風林火山の一人が悲鳴を上げる。

 

「いいぞ、そいつらを倒せ。⋯⋯これでまた近づく──悠那」

 

 倒せだと?あそこになにかいるのか⋯⋯?

 俺はエイジの言葉の全体が気にはなりながらも、現在の状況に一番役に立ちそうな言葉に引っ掛かりを覚え、考える。

 見ると、エイジはまだオーグマーを着けている。そして風林火山のメンバーも()()()()()()はオーグマーを着けている。

 

「クソ!そういうことかよ!!」

 

 何が起こっているか気づいた俺は急いでオーグマーの電源を点けながら走る。

 

「オーディナル・スケール起動!!」

 

 そしてオーディナル・スケールを起動して急いで剣を持ち、その剣を風林火山に迫っていた()()()()()()()()()()ボス、『ゼーギ・ザ・フレイムコーラー』に振り下ろしてボスの体力を削り切る。

 

「⋯⋯クソ」

 

 そして倒したボスが消えたことで()()姿()の風林火山の面々が見えるようになった。

 間に合わなかった。ボスが風林火山に手を出す前に倒したかったが、少し遅かった。もう皆が踏みつけられてHPを全損した後にやっと剣がボスに届いた。

 

 エイジがなぜこの状況を作りたかったかは解らないし、ゲーム内でボスに倒されたくらいで意味があるとも思えない。しかし、これを求めていたというのなら、それを阻止するべきだった。

 

「いい加減教えてもらおうか──⋯⋯チッ」

 

 またエイジに問いただそうと振り向くと、エイジが倒れていた場所にはもうその姿が無かった。相当なダメージを食らわせたと思ったが、どうにか立ち上がって逃げたらしい。

 

「クライン、大丈夫か」

「あ、ああ⋯⋯。さっき何があったんだ?」

「倒せてなかったボスがいたろ。そいつに皆が倒された」

「なるほど⋯⋯。()()()()()()()()()()()()()()がいたのか、オーグマー着けてなかったから分からなかったぜ。⋯⋯叫んだと思ったらこいつらまた意識を失くしたんだが、もう何がなんやら」

「多分意識を失くしたのは倒されたから⋯⋯だと思う。なぜかは分からないが」

 

 タイミング的にボスによって倒されたから意識を失った、こう結論付けるのは簡単。しかし、理屈が分からない。

 

「救急車は読んだか?」

 

 今は分からないことは頭の隅に追いやり、とりあえず今をどうにかすることに意識を向ける。

 

「ああ、相当強く殴られたりしたみたいで全員気絶してたからな、⋯⋯それに今も気絶しちまったし。もう少しで来ると思う」

「そうか」

 

 それから、どこか不気味なことが起こっている感覚を感じながらどちらも話すことなく救急車が到着するまで静寂が支配した。

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

「え!風林火山の皆さんが!?」

「エイトは大丈夫だったの⋯⋯?」

 

 到着した救急車によって風林火山が搬送され、それにクラインが付いて行ったことでその場に一人残った俺は、イベントボス戦を終えたシノンとアスナに事情を説明すると、案の定アスナには驚かれ、シノンには心配された。

 因みにシノンとアスナはボス戦でシノンは飛び上がったボスを撃ち抜いて見事ボスを墜としたり、アスナは指揮兼アタッカーとなりラストアタックを与えたりと大活躍をしたらしい。

 

「ああ、俺は大丈夫だ。⋯⋯まあ、すこしやり合ったから疲れてはいるけどな」

「攻撃は喰らってないのね?」

「喰らったけど、痛みはないから心配するほどじゃない」

「馬鹿ね、そういうのは今はアドレナリンが出ていて痛みはないけど、後から感じてくるものなのよ。一応また病院で診てもらいましょ」

「それって一緒にか?」

「アナタが一人で言われたとおりに行ってくれるのならそうじゃないけど、エイトは一人で行くの?」

「⋯⋯」

「ほらね、また一緒に、ね?」

「⋯⋯りょうかい」

 

 ⋯⋯俺のことをよく分かってらっしゃるようで。シノンには八幡検定二級を贈呈しよう。というか思ったより心配されて驚くんだが。

 その心配に負けてまともに見てなかったエイジの回し蹴りをガードした腕を袖をまくって、さすりながら状態を見てみる。

 まあ、特に異常な感じはない。赤くなったり変色してるわけでもない。⋯⋯でもまあ、そうか。よく考えたらサブレを助けるために雪ノ下の車の前に飛び出して轢かれた時も痛みは遅れてきた気がする。心配して損はない、か。

 

 そうしてると、アスナが口を開く。

 

「その2位のエイジって人、前のイベントの時は助けてくれたのに、なんでこんなことを⋯⋯」

「それは分からん。でも、エイジがOSの運営と繋がってるのはほぼ間違いない」

「それは⋯⋯なんで?」

「エイジが俺たちに向かってボスモンスターを意図的に出現させたフシがある。しかもあいつはボスが風林火山を倒すことを望んでいた。それが出来るとなれば運営と連携が取れてるということになる」

「なる、ほど⋯⋯」

 

 そう言うとアスナは顎に手を寄せ思考に耽る。

 

「風林火山のみんなはボスに倒された時に意識を失ったんだよね?」

「ああ、タイミング的にそうだと思う。クライン以外のオーグマーを着けて、オーディナル・スケールを起動していた全員は意識を失ってた」

「だとしたら、プレイヤーがボスに倒されたら何か得られるのかしら。オーグマーの過激な社会実験⋯⋯?でもオーグマーに危険性はないはず、もしあったら⋯⋯」

「──SAO事件の再来か?」

「エイト!」

 

 俺がアスナの言葉を受けて、思ったことを直接言うとシノンからの止めが入る。

 

「考えないようにしましょう。⋯⋯今はまだ」

「⋯⋯そうだな」

 

 俺達が暗くなっていると、アスナが雰囲気を変えるように明るく話す。

 

「今日は帰りましょっか。またみんなと話し合って、どうするか決めていきましょう」

 

 SAOサバイバーであるアスナが一番、今回のことの最悪の想像には堪えるだろうに、明るく振る舞うその様子は強さも感じつつもやはりどこか痛々しい。

 でも、今はその心遣いに乗っておくことにする。

 

「まあ、もう遅いし賛成だな」

「そうね。じゃエイト、帰りも安全運転でね」

「おう。⋯⋯アスナは家近いのか?」

「え?うん。歩いてこれる距離かな」

「⋯⋯シノンが帰り遅くなるのが良くて、アレだったら一緒に家まで行くけど」

 

 事件があった直後だし、エイジの場所も分からない。なにがあるか分からない以上、警戒しといて損はない。

 つまりこの理論だとアスナが送っていくと言う俺のことを警戒するのも損はない。あれ、自分で言っててなんか涙が出てきたぞ。

 

 提案を聞いたアスナは少し驚いたように目を開いてパチクリしたあと、少し笑顔になって答える。

 

「じゃ、お願いしようかな」

「了解。じゃまず、バイク取りに行くから、悪いが付いてきてくれ」

「はーい。⋯⋯ねね、エイト君って基本こんな感じなの?」

「そうねぇ、控えめなのに優しいところは優しいのよ」

「へぇ、シノのん本当に良い人見つけたね」

「⋯⋯少し含まれた意味が気になるけど、まあ、そうね。⋯⋯ちょっとアスナなによそのニヨニヨした顔は」

 

 俺が先に歩き出したからって後ろでそうやってコソコソ話すのやめてくれませんかね……。俺そういうの聞こえちゃう人だから。

 アスナさん、ホントそーゆーのじゃないから。




エイジの、
「馬鹿はそっちだ!そんな見え見えの攻撃が当たると思っているとはな!」
ってセリフ、エイジは相手の予測行動がオーグマーに表示されてるので、比喩とかじゃなくて本当に見え見えです。

作者はなんかあらすじ考えるの苦手で、この作品を書き始めた当初にテキトーに考えたあらすじを今も使ってるんですが、いかんせん雑すぎるというか、心残りがあるので質問です。   あらすじを変えるべき?

  • 変えるべき
  • そのままで
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