曇らせ好きTS少女の自業自得   作:すっごい性癖

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わたしゃ単純なのでねぇ、好きって言われちゃったら続きを出しちゃうんです

でもあっちで投稿する内容でもないので、こっちに輸入する形となりましたが

カラナが一番好きだと言ってくださったそこのあなたに届くことを願います


アンドロイド娘の輸入

「マスター、マスターッ!」

 

ガララッ、と力強く開かれた扉。

 

普段からは考えられないような声量を上げ、勢いよく部屋に飛び込んできたのはワタシ専属のアンドロイド、カラナであった。

 

「なんだなんだ、こんな朝から急に……。戦争でも始まったか?」

 

現在リビングで一人コーヒーを飲んでいたオレは、そんな珍しいカラナの様子にククッ、と笑いを漏らしながら軽口をたたく。

 

そんな彼女の服装は純白のドレス。結婚式で着用するアレだ。髪を結び上げている姿はなかなかに珍しい。ヴェールで隠れた顔が印象的だ。

 

「なんだ、今日のコスプレはウエディングドレスか?とても似合っているとは思うが、その格好で走り回るのはどうかと思うぞ」

 

見たことないようなテンションのカラナの姿に自身も当てられたのか、口から放つ言葉はどこかからかいの気を帯びている。

 

なんというか、見ていて楽しいのだ。出会いから今日まで、大体コイツに主導権を握られていたから。度々コイツはオレに対してマゾだの受けだの言いやがるが、やっぱりオレの本質はガン攻めだと思う。こう、久しぶりの嗜虐心がどんどん膨張してくるのを感じる。

 

とはいえ、パートナーが困っている様子に一人興奮するというのも人が悪いか。

 

そう思い、カラナに用件を問う。

 

「で、なんでそんな慌ててんだ?魔力切れでも近いのか?」

 

そんなオレの対応に勢いを削がれたのか、カラナも普段の落ち着きを取り戻した様子。

 

「い、いえ。魔力の方は昨晩もマスターから存分に絞らせていただきましたので大丈夫です」

 

うっさい。絞られてねぇし、自分の意思で分けてやったし。

 

「ーーその、マスターにお尋ねしたいことがありまして……」

 

ヴェールの奥で眉を八の字に、口数も少ないその姿はまさに悩んでいるとでも言いたげで。

 

機械でもそんな顔をするのだな、と少し意地の悪いことを考えてしまう。

 

「マスターは愛が分かりますか?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

……愛?

 

今こいつは、愛と言ったのか?

 

ッ、ふふっ。

 

「んふふふっーー、んふっーー」

 

「……マスター?」

 

ダメだ、堪えきれない。

 

「アハハハハッ!!」

 

ひーっ、ひーっ、と腹を抱えて笑ってしまう。腹がよじれ、痛みを訴え、痙攣し、しかしやっぱり収まらない。

 

パートナーであるカラナの真剣な問いだから、なんとか堪えようとしては見たがやはり無理だった。

 

カラナはそんなオレの様子を見て困惑している様子。

 

まぁ、笑っている理由が不明なのだろう。実際、この笑いの理由は理不尽なものだ。

 

だって……

 

「アンドロイドが愛って、どんだけ定番のネタを持ってくんだよ……!」

 

前世でトップクラスにあふれていたテーマではないだろうか?なんなら今世でも技術がどんどん進歩してきた中で増えだしてきてる文学分野でさえあるし。

 

主人に対する愛、主人との会い、機械同士の愛。

 

色々なタイプで表現され、そしてされつくしてきた機械と愛。

 

まさか、本物の機械の口からそんなものが漏れ出てくるとは。

 

言ってしまえば歴史上の人物が目の前で『儂って女子じゃったっけ?』などと言ってきているようなもの。しかも髭もじゃのおっさんが。……いや、若干違うな。ちょっとテンション上げ過ぎて例えが意味不明で的を得ていないぞ。まぁ良いか。それぐらい面白いって話だ。

 

「マスター。笑わないでください。私は真剣です」

 

「んふふふっーーいやっ、悪い悪い。ーーぶふっ。っで、ーーなぜそんなことを?」

 

しかし、流石に目の前で実際に苦悩している人物に窘められれば反省もする。なんとか必死に笑いを抑え、理由を聞いてみる。と、

 

「はい。実は本日のランダムコスプレで選択されたものがこのようにウエディングドレスなのですが……」

 

「ふとウエディングドレスから連想してしまったのです。私はマスターを愛しているのか、と」

 

きゅ、と口を結び陰鬱な表情で聞いてくる。

 

「貴女を他の誰かに渡したいか。ーーいいえ、渡したくはありません。ずっと、ずっと。いつまでも一緒に居たいと思っています」

 

「貴女を喜ばせたいか。ーーはい、貴女の笑顔が一番の幸せです。私の生、至上の命令は、貴女を幸福に導くことだと自身で定義しています」

 

「貴女のことを忘れられるか。ーーいいえ、私のメモリのイチバン奥で壊れる最後の最後までそのデータは保持し続けます。絶対に、忘れたくなどありません」

 

「貴女のことが好きなのか。ーーはい、私はマスターのことを好ましく思っています。こんな私を面白いと受け容れてくださった貴女のことは大好きだと、胸を張って宣言できます」

 

「しかし」

 

「貴女のことを愛しているのか。ーーこれだけは、いくら悩んでも結果が導き出されませんでした」

 

「私の思考回路は0と1のみで構成されています。その性質上、愛の定義が曖昧なままでは、決して解など得られません。ですのでマスター」

 

「愛とは何なのでしょう?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……はぁ」

 

話は終わったのか、目の前で俯くカラナ。

 

そんなカラナに対しオレは

 

「そっか」

 

かける言葉が見つからなかった。

 

おそらくその議題に1時間は悩んだのだろう。いなかった時間的に。

 

機械の頭で1時間だ。おそらく人間の悩みとしてなら数十年分もの悩みに匹敵するのだろう。

 

機械の頭を持たぬオレには計り知れぬが、それが何だか口惜しい。苦難を、理解してあげられない。オレからソコへはたどり着けない。

 

だから

 

「ソファに行こうか」

 

その悩みを分けてもらおう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

横並びでソファに座るオレ達2人。

 

俯いたカラナの右手に、そっとオレの左手を重ねる。熱が機械に対し安心を与えるかなんてわからないが、それでも何もしないよりはいいだろうと願って。

 

「ーーカラナはさ」

 

「……はい」

 

「カラナは、どっちが良いの?愛していたいのか、愛していなくていいのか」

 

ぽつりぽつり。互いに静かな雨音のような語り草で話し合う。激流はこの娘を決壊させるだろうから。少しずつ、少しずつ。水たまりを作り、海を目指す。

 

「愛していなくてもいいというなら話は早いだろ?真実がどうであれ、その結果はお前を害さない」

 

しばし考えこむカラナ。しかし、もともとその解は持っていたようで。多分、そう付け加えながら、

 

「おそらくマスター、きっと、貴女のことを愛したいのです。私は、きっと……」

 

 

 

「なら。ーーならです」

 

「うん」

 

「マスターは私のことを愛していますか?」

 

そう、こちらに問いかけるカラナ。その瞳は、弱った小動物の様におびえていた。

 

「オレが、か」

 

よくよく考えたら、その問いに面と向かい合わせたことはなかったな、オレも。

 

カラナのことを愛しているのか、か。

 

でも、まぁ。きっとーー。

 

意識すると途端に顔に血が集結し熱を帯び始める。目は彼女から離したくなり、胸の動悸が収まらない。

 

こういうこと、言うの慣れて無いからな。考えるだけで恥ずかしくなってしまう。

 

その点を考えると、カラナはすごいと思う。こんな、真剣に考えれば考える程恥ずかしくなってしまいそうな議題に、面と向かって悩み続けて。オレ一人ならきっと何処かで理由をつけて、逃げてしまうだろう。

 

そもそも、他者が自分を愛しているか、などと自己中心的な欲求などではなく、あくまでこの疑問は、自分が他者を、オレを愛しているのかというモノに起因している。この娘の、芯の心優しさが見え隠れしている。

 

きっと、きっと、きっと。

 

オレは、そんなカラナのことを

 

「愛してる」

 

そうなんだろうと、思っている。

 

一瞬で顔が焼けてしまったような錯覚を受ける程の羞恥心が湧いてくる。想像するだけであれだったというのに、口にしたら更にだ。本当に、金輪際言わんぞ。柄でもないのに。

 

ギュ、と重ねていた自身の左手で、カラナの右手を握りこむ。カラナの指と指の間に自身の指を差し入れ、折り曲げ、絡め合う。無限に湧き上がるこの熱を逃がすように。

 

「まっ、まぁアレだ!お前がオレのことを愛してるかわかんないって言うんなら、気が済むまで付き合ってやるよ!何年だろうと、何十年だろうと。ずっと傍にいてやるから。お前が分かると言うその日まで、ずっと。だから、今日のところは、もうーー「マスター」……っ」

 

今わかんないなら、それでいいんじゃないかと。そう話を締めて、この羞恥心からとりあえず今は逃げようとするも、カラナに話を遮られる。

 

下に敷いたカラナの手は裏返り、互いの掌が向かい合う。1人で重ねていた手は、2人で握り合い、指を互いに絡め合う。

 

互いに互いの顔を向かい合わせれば、間には何とも言えない空気が流れ始めた。

 

「マスター、1つ。ーー1つだけお願いがあります」

 

その空気を切り裂いたのはカラナであった。

 

「……なんだ?」

 

つい、と重ね合った手をカラナは持ち上げ、上へ、上へと運んでいく。それは終いに、顔の横まで上がり切り

 

「マスター」

 

「このヴェールを上げてくれませんか?」

 

「ーーわかった」

 

自身の開いた右手も運んでくる。正しい上げ方など、わからないけど。ゆっくりと、ゆっくりと。両手でつかみ、上に挙げる。

 

スッ

 

今日初めて見る、はっきりとした彼女の顔。つい先ほどまでは、うっすらとしか見えなかったから。

 

普段なら身長差があるので、見上げる体勢が厳しかったがソファに座っているからか幾分か楽だ。

 

互いの目線が交じり合う。カラナは何かの決意を瞳に、オレの瞳を見つめている。だからオレも、静かに彼女の瞳を見つめる。

 

「マスター」

 

その宣言は、唐突に始まった。

 

「マスター。私は今、ここに。神でなく、貴女の前に誓います」

 

「当機、もとい私カラナは、マスターであるモルを永久に愛することを、誓います。愛する貴女に、貴女を愛し続けることを誓います」

 

唐突の告白まがいの行為に面食らう。なんだろう、言うのも相当恥ずかしかったけど、面と向かって言われるのもかなり、ヤバい。ちょっとは引いてきてくれていた熱が、ぶり返してきたぞ。

 

「ーー永久って、長くない?ちょっと前まで愛しているのかすら悩んでたのに」

 

「ずっと居てくれるとおっしゃられました」

 

「うぅ」

 

その恥ずかしさから逃げるための苦し紛れの軽口も、彼女にすぐさま叩き落された。

 

というか真顔のままそんなこと言えるの、ズルすぎるって。

 

真剣な顔のまま、まっすぐ見つめられてそう言われると……、ちょっと嬉しくなっちゃうじゃん。

 

……。

 

ちゅ、と唇と唇重なり合う音が響く。

 

神前でのキス……じゃなかったな。オレの前でか。……なんだ、オレの前でオレがキスって。

 

そんな風に頭の中で茶化してみても、実際のところ本心では喜んでいるのを感じ取る。

 

こんな、飯事じみた行為でも、幸せだ。

 

この時が、ずっと続けばいいのに。

 

そんな、自分らしくないことを思うくらいには、幸せ。

 

 

 

ポスン

 

 

「はぇ?」

 

しかし、少しするとオレは後ろに倒された。ソファの奥に頭を落し、その場で仰向けに。

 

オレの上にはウエディングドレスを着たカラナが覆いかぶさっていて。

 

「あの……、カラナさん?」

 

「結婚式が終わったなら次は……わかりますよね?」

 

ニコリ、と満面の笑みを浮かべ問いかけてくるカラナ。こんな顔を見るのも、初めてだな。

 

いや、しかし。まさか……。

 

それって。

 

「初夜です♡」

 

「朝ですよッ?!」

 

「つまり、長時間愛し合えます♡」

 

無敵かコイツッ?!

 

「マスター♡」

 

「うわぁッ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ーーマスター」

 

「はぁ、ーーはぁっ……ん、だよ」

 

「次はマスターがドレスを着てください。私もタキシードを着ますから。可愛いマスターが見たいです」

 

「はぁ?」

 

「ーーまぁ、気が乗ったら。……着てやらないこともないけど」

 

「それともう一つ、マスター」

 

「ーー何?」

 

「もう流石にマゾじゃないは通じないのでは?」

 

「うっさいッ!!」

 

「ふふふっ」




書いてて思ったけど、この娘たちのラブコメ適正異様に高いな……

ネタにも湿度高めにも両方いける

さて、ココからはお知らせ的な話ですが新作をいくつか始めたのでこちらで広告を打たせていただきます

・最初は厳しく、次第に甘く(なる予定)となっている蒙古タンメンみたいな話
 https://syosetu.org/novel/335752/
・最初は甘く、次第に厳しく(なる予定)となっているポップターツのような話
 https://syosetu.org/novel/338740/

個人的にこのシリーズを見ている方なら、2つ目の方は気に入ってもらえると思いますので是非
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