【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

331 / 339
第九十七話 紅玉
Part-A


 アラスは、ひしゃげて使えなくなった騎士盾(カイトシールド)を投げ捨て、バスタードソードを構える。

 

 今のジョージは、両手棍だけでなく、体術も併せて使うようだ。先ほど盾を破壊したのも蹴りだったし、両手棍と同時に足払いなども仕掛けてくる。かなりトリッキーな攻撃になっていた。

 

 聖騎士だった頃のジョージは、捕縛術を主としていた。刃物は使わず、打撃武器である両手棍を使う。

 基本的に、打撃はHFには効きにくい。内部フレームである素体はヒトを模して物質光子(Material photon)で作られている。人体を模しているとはいえ、内臓も骨もないので、打撃でダメージを与えるのは難しい。

 

 また、霊子を含んでいるため、霊子で強化した武器でしか傷をつけることはできない。そのため、HFは剣などの刃があるもので切断を試みる。打撃武器では衝撃が分散してしまい、簡単には破壊はできない。剣以上の衝撃を与える必要がある。

 

 体術と合わせることで、相手を転倒させ、有効打を入れる戦術のようだ。

 

(強くなったな。ジョージ)

 

 元円卓の騎士団(Knights of the Roundtable)の同僚だったジョージとビリーは、アラスの2つ年下で、弟分として可愛がっていた。

 情報交換だけでなく、試合などでお互いの能力を高め合う。そういう、ある意味幸せな時間は、いつ無くなったのだろうか。

 

(帝国の侵攻……いや、サミットテロからか……)

 

 ジョージの猛攻を防ぎつつ、切っ掛けを考える。

 

(あのテロに父が関わっていた?)

 

 先ほどのジョージの言葉。『元教皇聖下殺害の重要参考人』に心当たりはまったくない。ただ、アラスが父や年の離れた兄のしていることを教えられることは殆どなく、いわゆる蚊帳の外だった。

 自分は軍務に忠実であれば、それでよいと思っていたが、テロで誰かを害するのは違う。真面目なジョージが嘘をつくとは思えない。本当のことなのだろうか、父に直接、確認したい。

 

 色々考えながら、バスタードソード一本で攻めあぐねていると、突然通信が繋がった。

 

『(ザッザザ)……大佐! そばに所属不明機が居ます! 気を付けて!』

「カタリナ!? 不明機ってなんだ!?」

 

 しかし、それを最後に再度通信不能になる。

 

 カタリナの忠告に従い、周りを警戒していたが、誰も居ない。しかし、突如として接触通信が繋がった。

 

『敵はあんたじゃねーよ』

 

 唐突にぼそりと聞こえる。その声に聞き覚えがあった。

 

「ラファエル!?」

 

 父親のフランシス卿が爵位を降格され、ラファエル・フランシスも軍の階級を下げられ、騎士師団隊長の任も解かれていた。その後、どこに異動したか情報がなかったが、何故、ここに居るのか。

 

 混乱しているアラスの隙を、ジョージは見逃さなかった。

 

 HFF-16カスタムは深く腰を落とし、ビリヤードのキューを持つように両手棍の切っ先を向け、神速の突きを放つ。狙いは剣を持つ手のひらだ。

 

『クライド流棍術! ウルフファング!』

 

 突きは音速を超え、衝撃波を伴いながらHFの手甲に命中。アラスはバスタードソードを地面に落とす。

 

 ストライクイーグルは、完全に無防備になった。

 

『アラス・エルメンドルフ! 乗機を降りて降伏しろ! 拘束す……』

 

 外部スピーカーで聞こえたジョージの声は、途中で途切れる。

 

 青いHFF-16カスタムの胸から、鋭い棘のようなものが飛び出していた。

 

 ジョージのHFの後ろに、突然、黒いHFが出現。その黒いHFが、背後からレイピアで串刺しにしている。

 

『ぎゃははははは! ざまぁ!! 裏切った報いだ!』

 




評価、ご感想お待ちしています。

【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。