本格的に攻め始めた左之助さんと飛天御剣流を使い始めた剣路君の仕合は目まぐるしく位置を変えて、攻撃を繰り返す行動に変わっていく。
「しとり殿は、見えるでござるか?」
「ん、見えるよ。けんちゃん、父様の足を打って倒そうとしてた。でも、父様の足が硬くて竹刀が折れそうになってる」
「景さんの鍛練法ね」
「左之助さんの筋肉が優れているだけですよ」
なんでも私が絡んでいるわけではありません。左之助さんの筋肉は努力して手に入れたものですし、そもそも左之助さんはプロテインやステロイドを使用していない純粋なマッスラーなのです。
ズボン越しにも分かるあの大腿四頭筋は如何なる打撃を受けてもダメージを吸収し、しっかりと分散するように鍛え上げている。
「オラ、どうしたぁ!」
「ん、父様が動く」
「太刀筋が乱れたでござるな」
緋村剣心の呟きに薫さんの視線は剣路君に向き、円を描いて攻めていた筈の剣路君の円はぐにゃぐにゃと歪み、左之助さんの威圧感に退き始める。
負けるものかと剣路君が踏み込んだ瞬間、竹刀はへし折れてしまい、剣路君は慌てて後ろに飛び下がり、左之助さんは折れた竹刀の欠片を払い除け、ゆっくりと此方を見上げてきました。
「しとり、お前の刀貸してやれ」
「ん!使って良いよ、電光丸!」
そう言ってしとりの投げた電光丸を上手くキャッチした剣路君は腰に電光丸の鞘を佩いて、居合の構えを取りました。
天翔龍閃。
まさか教えたんですか?
そう驚きながらも緋村剣心に視線を向けるも彼は首を横に振りました。では、あの倭杖でやっていた双龍閃を使おうとしている?
「俺が教えた」
「師匠!?」
「ん、比古先生、わたしは?」
「お前は一度見れば十分だろう」
しとりの頭をワシャワシャと撫でて、酒壺を片手にやって来た比古清十郎は左之助さんが座っていた座椅子に座り、剣路君が本当に飛天御剣流奥義「天翔龍閃」を使えるのかを確かめに来たようです。
「比古さん、剣路君は使えるんですか?」
「未完成だが、九頭龍閃は使えた。どこぞの馬鹿と違って、あの坊主は俺の言い付けを、真面目にしっかりと守るからな」
「おろぉ……」
緋村剣心のそれは自業自得なので私は何も言えませんが、左之助さんが満足する一撃を放てるわけですね。
そう目を闘技場に向ける。
────刹那、剣路君が消える。
左之助さんが両腕を上げるよりも速く剣路君の抜刀術が直撃した。しかし、左之助さんは倒れず、剣路君は悔しそうにしています。
「……今のは、ギリギリ合格にしてやる。剣路、認めてやるが祝言前にまた試すからな?景、オレの負けだ」
左之助さんは剣路君の頭を掴み、最後に頭突きしてから宣言しました。