【完結】殺帝の子   作:ねをんゆう

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最終話.女王蜘蛛

 彼女は意外と、普通の人だ。

 

 

「グラナさん、大丈夫ですか?なんだかまた仕事が増えてたみたいですけど……」

 

「ああ……まあ、概ね予想は出来ていた事です。オラリオに向けて他国から批判の声が集まっていまして、その解決策を一通り取り揃えていました。まあ彼等からすれば嫌でしょうね。政治なんて大体何かしら黒いことをやっているのが常なのですから。頼っている主神が排除される可能性が出来た以上は、当然の対応です」

 

「……お昼、食べましたか?」

 

「いえ、すみません。せっかく買って来て頂いたのに」

 

「そ、そんなの気にしなくても大丈夫ですから!」

 

 

 なんでもバリバリとやってこなしてしまうイメージのある彼女だけれど、実際にそうしてはいるのだけれど、それでも個人では限界がある。他者に任せる事は出来るが、他者に任せるより自分でやった方が早くて的確で把握も容易い。その辺りの線引きもしっかりやってはいるものの、立ち上げたばかりの今の時期。彼女が直接手を回した方が最善な事案は多くある。

 

 

「前例を作る事が大切なのです」

 

「前例……?」

 

「わたくし達は神を選別するという、これまでには無かった道を歩んでいます。これほど大それた事をしようとしているのですから、それが仮に雑事であっても、仕事を任されてしまえば人は萎縮するもの。個人で選択が必要になってくるような仕事であれば、つまりは責任を持つような仕事を振られてしまえば、それはより顕著になる」

 

「……だから、グラナさんが前例を作っていると言う事ですか?」

 

「ええ。わたくしが過去に判断した記録があるのなら、少しは動き易くなるでしょう?何よりわたくしは前例というものは、法に準ずる力があると思っています。なんなら法の解釈さえ固定化させてしまう。故に前例を作っておく事は非常に重要なのです。組織の方向性まで定めてしまうのですから。なるべく自分の手で作っておきたい」

 

「なる、ほど……」

 

 

 だから彼女は今、判断が必要な業務は全部自分でこなしている。そして判断を行った資料は全て部下達に読ませているし、今の彼等の仕事の大半は、それ等の書類を読み込む事だ。より進んだ仕事をやらせて貰っているのはヴィトーさんくらいで、そんな彼もまた大半の時間を読み込みと資料整理に使っている。

 どう考えてもグラナさんが今やっている事は、グラナさんにしか出来ない事だ。今をどうにかするだけでなく、将来を見据えて仕事をしている。最近になってそれが分かってきて、より強く驚いた。彼女は普通の人ではあるけれど、やはり特別な人でもあったのだと。……そう、特別な。

 

 

「まあ、そんなお仕事の話より?わたくしはレフィーヤ様に癒して欲しくて今日も一日頑張ったのですが?」

 

「あ、あう」

 

「ご褒美、今日は頂けないのでしょうか?」

 

「ぅ………も、もう、仕方ないですね」

 

「ふふ、お優しいですね」

 

 ご褒美。

 それは同じ部屋で生活をし始めてから、数日が経った頃から続けている習慣のようなもの。その日は特に疲れていた彼女を出迎えて、どうしたら良いのか焦っていた時に、こうして何も考えずに膝枕へ誘導したのが最初だったか。自分と彼女の油断の結晶。

 

 

「その……これ、私すごく恥ずかしくて」

 

「まだ恥ずかしいんです?もうあんな姿やこんな姿まで、わたくしに見せてしまったのに」

 

「〜〜!そ、それとこれとは別の話です!」

 

「今日もします?」

 

「っ……そ、それは……」

 

「嫌なら、しなくて良いですよ?して欲しいなら、わたくしにもして下さい。ちなみにわたくしはこれのために今日一日頑張りました」

 

「……狡いです、グラナさんは」

 

「ふふ、今更でしょうに」

 

「します、しますよ。……私も恥ずかしいですけど、その、別に嫌な訳ではないので」

 

「まあ、最初に勝手にし始めたのはレフィーヤ様の方ですからね」

 

「お、思い出させないでください!」

 

 

 ……そう。膝の上で眠ってしまった彼女を見て、それを最初にしたのは自分の方だ。この習慣を最初に作り出したのは、決して彼女の方ではない。

 

 

「……っ」

 

 

「ん……」

 

 

「す……好き、です。好きです、グラナさん」

 

 

「……ふふ〜」

 

 

 彼女に対する気持ちについて迷走していた当時の自分は、色々と考え過ぎていた。本当に、今思うと馬鹿馬鹿しいくらいに。故に自分の膝の上で眠る彼女の横顔を見て、そのあまりに綺麗な横顔を見て、呆けた意識のままに妙な決意をしてしまったのだ。

 

 

「な、なんでこんなの好きになっちゃったんですか……耳に、その、キスするなんて……へ、変ですよ」

 

「だって、レフィーヤ様の声がよく聞こえるでしょう?息遣いさえも。私も最近は目隠しをしながら生活をしている事も多いので、音の素晴らしさに気付き始めたと言いますか」

 

「……そ、そう言われたら、何も言えないですけど」

 

「さ、さ、続きを」

 

「もう………………好き、好きです。大好きです、誰よりも」

 

 

 自分はどういう感情で彼女のことが好きなのか、そこに恋愛感情は本当にあるのか。それに悩んでいた自分は、思わず膝上で眠る彼女に向けて『好き』と言ってみることにした。なかなか言う勇気のなかったその言葉を、少し卑怯だとは感じながらも、眠っている彼女に向けて伝えることにしてみた。

 

 

「好き、好き、好き……本当に好きです。あ、愛しています……」

 

 

 一度そんな事をしてしまうと、なんだか妙な高揚感とドキドキが襲って来て。けれど同時に嬉しさや多幸感まで襲って来て。気付けば2度3度と、眠っている彼女に向けて好意を伝えてしまっていた。

 

 ……そうして冷静さを失い、いつの間にか目の前にあった彼女の美しい耳。全く起きる気配のない彼女。その末に調子に乗ってしまった、いつもの自分。

 

 

 ちゅっ

 

 

 思わずしてしまったそのキスは、自分自身にさえも大きなダメージを与えた。真っ赤になるほど熱を込み上げた自身の顔、いっそ痛いほどに鼓動する心臓、あまりの熱量に暴走し始める心の内。つまりは恋を自覚した、というよりは恋が発生した、明確なキッカケ。

 

 ……そして、どうやら眠るに眠れなかった彼女も、流石にこれには反応を堪える事が出来なくなってしまったのだという。その時からだ。自分達の関係が変わったのは。

 

 

「……あの、グラナさん」

 

「なんですか?」

 

「その、これ……私、洗脳されてませんか?」

 

「ふふ、どうしたんです?いきなり」

 

「いえ、ちょっと今日、ある本で読みまして……最初は嘘であっても、繰り返し言葉にしているうちに本当のことだと思い込んでしまう、みたいな事があるって」

 

「特に洗脳はしてませんよ?それに別に嘘ではないでしょう?」

 

「そ、それはそうなんですけど……本当ですよね?」

 

「ええ、刷り込んでいるだけです。レフィーヤ様は誰のことが好きなのか、誰のことを愛しているのか。意識に強く植え付けています。それを当たり前のことにさせようとしています」

 

「や、やっぱりしてるじゃないですか……」

 

「というか、あんな姿を晒しておいて、今更わたくし以外の誰に嫁入りするつもりなんです?」

 

「ふぐっ……」

 

「やれやれ、まったく……仕方ありませんね」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

「レフィーヤ様はもう、わたくしのモノです」

 

 

 

「っ!?」

 

 

「刷り込むのも当然でしょう?誰にも渡すつもりがないのですから。……貴女は生涯わたくしだけを愛す、それ以外の誰にも心と身体を開くことは許しません。わたくしの人生の全ての時間を使って、グラナ・グレーデという存在を貴女の魂にまで刻み込みます。気付けば無意識にわたくしの名前を呟いてしまうくらいに、脳も意識も一色に」

 

 

「ぁ……ぅ……」

 

 

 

「さあ、言葉になさい?レフィーヤ・ウィリディス。貴女はわたくしの"何"ですか?」

 

 

 

「ぇ……ぁ………」

 

 

 

【言いなさい】

 

 

 

「つ、妻……で、す……」

 

 

「……ふふ、よろしい。努々忘れることのないように。既に貴女の存在価値はわたくしと同等、自覚を持ちなさい?その長き命の死後でさえ、貴女はわたくしの片割れであるということを」

 

 

「は、はぃ……じ、自覚、します……」

 

 

「よく出来ました」

 

 

 一瞬向けられたその視線に、自分の何もかもが貫かれる。

 心の奥底、魂にまで烙印を押されたかのような感覚。心臓の音が鳴り止むことはなく、息さえ少し荒くなる。けれど感じているのは、強烈な幸福感。背筋を走るゾクゾクとした快楽。身体の内部が収縮するような感覚。

 

 ……もう、逃げられない。

 

 自分はこの人からもう逃げる事は出来ない。自分の心は気付かぬうちに囚われてしまっていて、支配されることを受け入れてしまっている。この生涯だけでなく、死後に至るまで。きっと彼女が離してくれることは、決してない。

 

 

「はぁっ……はっ……」

 

 

「ふふ、少し息が荒くなっていますわね。怖がらせ過ぎてしまいましたか?……それとも。興奮、してしまいました?」

 

 

「っ!?ち、ちがっ……」

 

 

「他者に支配されること、従属させられることに快楽を感じる方は一定数存在します。そして別にそれは恥ずかしいことではありません。……とは言え、わたくしの場合は少し毛色が違いますが。自身にそういう才があることは自覚しています。……気持ち良かったですか?わたくしに支配されるのは」

 

 

「……っ」

 

 

 顎下の部分をゆっくりとくすぐられて、自然と自分の頭は頷いてしまう。

 言葉と雰囲気、それだけで自分の心は彼女に鷲掴みにされてしまう。羞恥心も何もかも、彼女の前では障子紙に過ぎない。こうしてそのまま優しく頬を撫でられてしまえば、益々この人に引き込まれてしまう。

 

 

「……あ、あの!」

 

「ん?」

 

「か、髪……!ま、また伸ばそうかなって、思ってるんですけど!」

 

「髪?へえ、それはまたどうして」

 

「ぐ、グラナさんは!長い方が好きって、聞いたので……」

 

「!」

 

「ど、どんな髪型が……こ、好み、ですか?」

 

 

 それは密かにずっと、気にしていた。

 空気をあえて破るように口にする。

 

 彼女の好みが長い髪だと知った時から、思い切って短くしてしまったこの髪型を。もしかしたら彼女の好みではないのではないかと、不安でいた。けれど、そう容易く伸びてくるものでもない。だから今のうちに、そこを話しておかないといけないと思っていた。

 

 

「……色んな髪型を見せて頂きたいです」

 

 

 けれど彼女は、そう言葉にする。

 

 

「確かに長い髪の方が好きなのは否定しませんが、それよりも色々なレフィーヤ様の姿を見せて欲しいと思います」

 

「そ、それで良いんですか……?」

 

「というより、わたくしが長い髪の方が好きなのは、単純に色々な形に出来るからです。髪というのは人間の雰囲気を一変させてしまいますから。だから本当にわたくしのために変えてくれるのであれば、色々な姿を見せて下さい。その為に洋服代が必要なら、幾らでも出しましょう。……愛する相手の可愛らしい姿を見る為ですもの、幾らかかっても安いものです」

 

「う………ま、またそんなカッコいいことばかり言って」

 

「ふふ、もっと好きになってしまって構いませんよ?どうせ今夜も長いのですから」

 

 

「っ」

 

 

 膝の上に居た彼女に、いつの間にかベッドの上に倒される。

 痛みはない、衝撃も。

 ただいつの間にか、今度は自分が彼女の下に引かれていた。

 

 

「あ、あの……私、偶にはグラナさんのことも、気持ちよく……」

 

「……残念ですが、わたくしの性機能は役立たずでして。レフィーヤ様がご期待されるような活躍は出来ないのです」

 

「っ!……ご、ごめんなさい」

 

「いいえ、貴女は悪くありませんもの。まあその辺りの改善は将来的に……」

 

「え?治るん、ですか?」

 

「さあ、それはわかりません。仮に治るとしても、女性機能の方なのか、男性機能の方なのか。そこもギャンブル。どちらにせよ容易くはないでしょう。……ですので、実は今のわたくしの楽しみは、只管レフィーヤ様に気持ち良くなって頂くことだったり」

 

「んっ……ふぅっ……」

 

 

 耳にではない、本当の口付け。

 未だ慣れていないが故に、ただされるがまま。流し込まれる何もかもに、溺れていくだけ。上手く呼吸が出来ないことさえ見抜かれて、少しの余裕を与えて貰いながら。けれど意識を飛ばすように、少しの苦しさも同時に与えられて。

 

 

「……ふふ、可愛らしいお顔。唾液を溢しながら、こんなにも蕩けてしまって。身体もピクピクと跳ねていますわね。単に感じ易いのか、それとも、それほどの幸福を感じて貰えているのか」

 

 

「ぁ……やぁ……」

 

 

「おやおや、どうされました?そんなに縋り付いて。わたくしはただ、立ちあがろうとしただけでしょう?」

 

 

「ぃ……行っちゃ……や、です……」

 

 

「うん?」

 

 

「ひとり、やだぁ……」

 

 

「〜〜っ!ああ、もう、本当に愛らしいお方。もう大丈夫ですよ、何処にも行きません。今日もレフィーヤ様が泣いて懇願して、意識が真っ白に飛ぶまでお付き合いいたしますから。……この、レフィーヤ様がだぁい好きな、長ぁい舌で」

 

 

「っ……!」

 

 

「ふふ、知っていますよ。仕事の最中でも、レフィーヤ様の視線が時々わたくしの指や口元に注がれているのを。……いけない方ですね、仕事中に"えっち"なことを考えて」

 

 

「ち、ちが……」

 

 

「そんな悪い妻には、しっかりと躾をしないといけませんね。……仕事もいち段落しましたし、今日は眠れると思わないことです。気絶しても、意識を手放しても、しっかりこの指と舌で起こして差し上げます」

 

 

【何度でも】

 

 

「ぁ……うあぁ……」

 

 

「さあ、今夜もたくさん声を出しましょうね。全部出し切って、全部空っぽになるまで。何時間でも身体を解して、壊れるほどに口付けましょう。刻み込む程に愛を囁き、貴女の全てをわたくし色に染め上げましょう」

 

 

「っはぁ……っぐ、ぅ……ふっ、くぅ……」

 

 

 両腕を掴まれる。首筋に走る小さな痛み、紅い吸痕、胸元に刺さる小さな刃、印付の噛痕。腰から腹にかけて、胸まで登って来る細く冷たい指先。足の付け根、臍の横、肋骨下、脇の中央、時々手を止め親指の腹で強く擽られる。足は動かず、手は掴まれ、ただ快楽を逃すための身を捩ることしか許されず。跳ねようとする腰さえ許されない。

 

 自分の何もかもが、彼女に支配されていた。そしてその事実がどうしようもなく幸福で、頭を焼く。自分が目の前の尊大な女を、これほどまでに夢中にさせているという事実が、どうしようもなく嬉しくて。

 

 

「わたくしには性行為は出来ませんが、性行為では得られない快楽で貴女をグズグズにすることは出来ます。……ふふ、なんなら男性器も無い方が盛り上がるかもしれませんわね。レフィーヤ様もそちらの方が好きでしょう?知っていますよ、だから見せないのです」

 

 

「ぁ……ぁぁ……」

 

 

「さあさあ、心を開いて、身体を開いて、全てを委ねて?……ああ、レフィーヤ様?わたくし以外を見ないで下さいな?わたくしだけを見て、わたくしにこそ欲情して下さい。他の誰にも、そのような顔は見せないで?貴女は永遠にわたくしのもの、わたくしだけのもの。絶対に誰にも渡しません。それはたとえ神にさえも。世界にさえも。……だから、溺れて?依存して?執着して?」

 

 

「ぁぁ……ぅ、ぁぁ……」

 

 

 

 

 

 

 【貴女の全てを、私に頂戴?】

 

 

 

 

 

 

 その言葉は、単なる幻聴だったのか。

 

 それとも、聞こえた心の声なのか。

 

 けれど、どちらにせよ、そんな彼女の女王の巣に、私は絡め取られてしまった。ぐるぐるに巻かれて、縛り、閉じ込められて、もう2度とは抜け出せない。甘く美しい夢を見ながら、長く永い時と共に、骨の髄までドロドロに溶かされていく。

 

 

 遠き空の世界の果て。完全なる平穏と幸福に辿り着いたその先でも、きっと私の見ている景色は変わらない。変えては貰えない。変わらずこうして彼女の腕の中。ただ愛を注がれ続け、与えられる快楽と幸福に身を震わせるだけ。嬌声を上げ、意識を飛ばし、流れる体液を舐め取られる。囁かれる言葉に、必死で返して、また貪られる。その繰り返し。

 

 人によっては、それは不幸だと言うかもしれない。

 家畜の所業だと、卑下さえされるかもしれない。

 

 でも、もう遅い。

 

 もう、それでいい。

 

 それで良いと、思わされてしまった。

 

 

 だってきっと、彼女は飽きてくれないから。液に塗れた自分にさえ、美しさを見出してしまう。絶対に見捨ててはくれない。そして、飽きさせてもくれない。それは間違いなく幸福な人生だ。別にそれでいいではないか、人生など。

 

 

 

 

 殺帝の子がまともな筈がない。

 

 誰かがそう言った。

 

 そして彼女は間違いなく、生粋の異常者だった。

 

 けれどそれは、女王の血と混じ合い。

 

 母親さえ霞む程の、怪物と成った。

 

 

 恐ろしく、悍ましい。

 

 それでいて、不気味な程に美しい。

 

 惚れ惚れするほどの。

 

 

 女王蜘蛛。

 

 

 張り巡らされた巣は、未だ何処かに残っている。

 

 世界の掌握に個人の武力など必要ない。

 

 気付けば誰もが、その糸に絡め取られている。

 

 そうしてきっと、彼女はこれから先も世界を揺らすのだろう。

 

 揺れた世界の、果てを見るのだろう。

 

 

 ……その傍らに、小さな妖精を至極大事そうに抱えながら。

 

 

 女王蜘蛛はようやく。

 

 宝を得たのだ。

 





 以上で、グラナ・グレーデがレフィーヤ・ウィリディスを手に入れるまでの物語はおしまいです。長きに渡る応援、多くの感想、評価等ありがとうございました。

 ……正直に言いますと、当初の予定ではグラナは最終決戦の最中に唐突に自殺させる予定で書き始めました。
 それまで献身的に努力をして来ても、こんなくだらない理由で邪魔をされる。レフィーヤという楽園を失い、自身の人生にも虚しさを感じて、突発的に自殺を選ぶ。正にウラノス様が想定していた通りの結果にしようと。つまりバッドエンド目標です。

 しかし書いているうちにグラナ・グレーデという人物像が定まり、むしろ引っ張られ、計画がより壮大になっていき、いつの間にか私の手には負えなくなっていました。そして当初想定していた筋書きをどんどん逸脱していき、私はその様子を文字に起こしていくだけの作業となっていました。完全にキャラに振り回された形になります。

 なんというか、あまりに自我が強いキャラだったなという印象です。書いていてとても面白かった反面、私の脳は常にフル回転していましたし。唯一こちらが手を加えられる最終ステイタスも、結果的にほとんど作り直させられました。楽しかったです。

 今後の予定ですが、一先ずオリジナル作品である『無知で無垢な銃乙女は迷宮街で華開く』の続きを投稿していく予定です。30話程度の書き貯めがあります。
 また、アンケートで最も人気のあった『オラリオ滅んじゃった……』についても少し進めようかなと思っています。いつも通りのオリ主1人体制で、オラリオが滅んじゃった後の物語になります。気長にお待ちください。

 これまで本当にありがとうございました。
 ぜひ改めて当作品を含めた投稿作品を読み返して頂けると嬉しく思います。
 今後ともよろしくお願いいたします。
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