TS転生軍人少女、『太陽系』をもらう 作:ひのかぜ
かつての栄光の時代に比べれば落ちてしまったものの、それでもなお世界的に大きな影響力を保持している先進国、イギリス。
なお、こちらの方は通称であり、正式名称はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国である。
首都であるロンドン中心部のみならず、地方都市や田舎の豊かな自然の織り成す景観など見所が満載で、観光に行けば退屈とは無縁な経験が出来るだろう。無論、他の娯楽でも同様だ。
また、同国の歴史的背景や文化的理由が複合した結果、料理が諸外国と比べて不味い事でも有名な国だが、当然全ての料理が当てはまる訳ではない上、現代では改善傾向にある。
流石に、日本やアメリカなどの食が強い国に肩を並べるまで行くかは不透明だが、現状でも美味しいと評価を受けている料理が複数ある以上、そこまで僻む必要もない。
「お疲れ様でした、アリス首相。その様子だと、何とか議会の方の意見は纏まりそうで?」
「はぁぁ……いいえ。例の宇宙人案件ともなれば、自国内で対立している場合じゃない、右派も左派も早急に意見を纏める必要があると考える議員は予想より多いけれど……」
「なるほど。まあ、強権的になる訳にはいきませんからね。幸いにも、彼女は軍属な割には温厚な性格みたいですし、返答期限もない」
そんな歴史のあるイギリスの政府機関では、今現在地球全土を賑わすリーガル大帝国のチェイスによる複数の大型艦艇の地球追加派遣案件に関する話題で、来訪時程ではなくても騒ぎとなっていた。
防衛武装した自前の搭乗艦、数日後更に来訪した友人の搭乗艦と輸送船に護衛のためのアストラ級航宙巡洋艦。イギリス領土に直接降下した訳ではなくても、これらの宇宙船の来訪による熱量が冷めやらぬ中での、この出来事。
全ての艦艇が民間企業所属で、スペースデブリに対処するための掃宙船であったとしても、大型かつ複数隻であることも相まって、警戒感が拭えないのも致し方ないだろう。
加えて、領宙警備艇や大帝国軍艦艇のように攻撃武装こそ搭載していないが、岩石といった自然物や船舶の破片ないしゴミなどの浮遊・飛来物対策で、防御装備は搭載している。
しかも、その様相が地球の常識からして攻撃武装に見えなくもないというのだから尚更だ。
なお、これは日本を満喫中の当人が本矢首相に来訪を伝えたおよそ1時間後に、慌てて追加した情報である。
「それはそうと、今回の発表による国内の反応はどうなのかしら? ヴァイン」
「まさしく、三者三様といった感じですね。諸手を上げて喜ぶ者、不安に駆られる者、自分の生活に影響しなければどうでもいいと考える者。イギリス国外でも概ね似たような感じでしょうが……」
「何か言いたげね。面倒な輩でも沸いてきたの?」
「国内最大級の反体制過激派が、各地で宇宙人来訪反対派や極貧困層を取り込み始めているみたいでして」
「……全く。次から次へと、いたちごっこね」
そして、イギリス国内の民間人の間では、反体制過激派の隆盛によるネット環境への影響も含め、大分混沌とした受け止め方をされていることが、アリス首相の
過激派組織の規模や声の大きさこそ徐々に拡大する傾向にあり、その影響力こそ政府や警察、組織の運営や思想などに関係のない一般のイギリス人にとって、無視は不可能。身近に差し迫った脅威と言い表しても過言ではない。
だがそれは、宇宙人来訪以前に打ち出された革新的な経済・移民政策でじわりじわりと弱体化させられていたところに、今回の来訪に際して行われた、法律スレスレの手段も含めた強権的な取り締まりに急所を突かれたことによる、最後の足掻きの1つによるもの。
このまま続けていれば、チェイスとイラのイギリス訪問時には反動で大きな縮小に転じるとの推定が成されていた。
国内外各方面からの批判やその最後の足掻きに屈して、取り締まりを緩めたり止めたりしなければという注釈はつくが。
「しかしまあ、彼女もわざわざ業者を呼び寄せてまで解決に動いてくれるなんて、随分と人が良いわね」
「人が良い、ですか」
「ええ。こちらの感覚で言うなれば、数十km程度離れた町の人間が散らかしたゴミを持ち帰り、自分の町ないし家で処理するようなものよ」
「確かに。その上、無償で。実際は、我々地球人からの好感度稼ぎも含め、何らかの見返りを期待してはいると思いますが」
「そうね。彼女が特別なのか、案外軍事国家の割には温厚なのか……いや、前者ね。愚問だったわ」
ちなみに、アリス首相と秘書官のヴァインの、個人的なチェイスやイラに対する印象は悪くはないが、決して良くもない。日本の本矢首相以下政府の役人、ホテルスタッフやコンビニ店員といった一部の一般人のように、実際に会話をした経験がないとの理由からだ。
リーガル大帝国という星間国家そのものに対しては、潜在的な警戒感が拭えずにいる程度には、印象が良くない。現状判明している性格や職業を鑑みて、この来訪にも何らかの軍事的・政治的な意図が複雑に絡み合っているのではないかと、そう判断しているからなのもある。
「何にせよ、今回の来訪が最大限イギリスの国益になるよう、動いていかなければね」
「はい、アリス首相。どこまでもお供致します」
無論、だからと言って露骨にその態度を露にするつもりは、イギリスという国を率いる政治家として当然ない。
チェイス一行へ自身の心の内を露にすることが、イギリスという国の国益が最優先なのは当然として、友好国の国益に中長期的に利するというのであれば、話は別であったかもしれないが。
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