カゲチヨside
戦意を失ったバルボア軍はアサヲ率いるエルフ族によって連行。ゲンレイやアハト、他にも傷を負った者達はマチャソによって回復させたが、限界が来たマチャソは気を失い、ゲンレイのような重症者達はしばらく入院する事になった。
アハトは毒の首輪を外し、寿命を延ばした。本人は不服そうにするが、照れ隠しだと思う事にした。ゼクス曰く、アハトとしばらく一緒に傍にいてゲンレイ宅で暮らして行くそうだ。
アハト自身、不貞腐れながらも了承してるみたいだ。
そして、現在。
俺はかというと
カゲチヨ「やっと電話寄越してきたか。そっちで何かあったのか?」
ヒサメ『うん。里にアヌビスって言う滅茶苦茶強い子と戦ってたの。もう死ぬかと思ったよ。』
ゲンレイが入院してる病院の外で、ヒサメと電話していた。
カゲチヨ「今こうして連絡できてるって事は、勝ったんだな。」
ヒサメ『シディとシディのお父さんのゴブアツさんの3人掛かりでなんとかね。』
カゲチヨ「へぇ。アヌビスは強いと聞いてはいたが、3人掛かりとはいえ勝てたなんて凄いじゃないか。強くなったな。」
ヒサメ『っ!』
?何か急に黙り込んだぞ?
それに何か啜り泣きっぽい息遣いが聞こえる。
泣いてるのか?
カゲチヨ「どーした?」
ヒサメ『いや・・・カゲにそんな事言われて嬉しくて・・・。』
カゲチヨ「そんな事?」
ヒサメ『何でもない。こっちの話。』
本当何なんだ?向こうで何があったんだ?
ヒサメ『そー言うカゲこそ、そっちで何かあったの?』
カゲチヨ「まぁ、色々とな。」
ヒサメ『色々って何さ。』
カゲチヨ「それはお前らが帰ってきてから茶でも啜りながら話すさ。」
ヒサメ『約束だよ?』
お互い、長い話になりそうだからな。
電話で語ってたら充電切れそうだわ。
ヒサメ『あ、それと私達、夏休み最終日まで帰れなくなっちゃった。』
カゲチヨ「ほぉ。それな何故?」
ヒサメ『私達、アヌビスとの戦いで割と怪我してるし、何よりゴブアツさんが酷い状態だから病院行く事になったの。』
カゲチヨ「そっかぁ。なら仕方がないな。」
ヒサメ『・・・・早くカレコレ屋に帰りたいな。』
カゲチヨ「何々?この数日間俺が居なくて寂しくなっちゃった?」
なんて、ちょっと落ち込み気味のヒサメをからかってみたいけない俺氏。
きっと、いつもの調子でツッコミかディスが飛んでくるだろーな。
ヒサメ『・・・うん。カゲが居ないと・・・寂しい。』
・・・あれ?
思っていたのと違うんだが?
カゲチヨ「おいおい。そこは「は?何キモい事言ってんの?」ってディスる所だろ。」
ヒサメ『カゲは私を何だと思ってるの?』
カレコレ屋の看板ツッコミ担当娘だが?
ヒサメ『たった数日間離れただけどそう思うくらい、カゲの存在は大きいって実感した。』
カゲチヨ「・・・・。」
ヒサメ『・・・カゲはさ・・・どこにも行かないよね?カレコレ屋に居てくれるよね?』
カゲチヨ「当たり前だ。黙ってお前らの前から消えたりはしねぇーよ。」
黙って消えるって事はつまり、俺がどっかで死ぬときだけだ。
カゲチヨ「だからそんな心配するな。お前らは普通に帰ってこい。豪華な飯準備して待ってっから。」
ヒサメ『うん。』
カゲチヨ「・・・じゃあ切るな。」
ヒサメ『・・・うん。』
返事を聞いた後、通話を切った。
・・・・俺の存在が大きい・・・か。
まさか俺のいつもの行動が、あいつらに影響を与えたなんてな。
嬉しいような、むず痒いような・・・・。
電話を終え、ゲンレイが居る病室に戻った。
そこにはゲンレイのベッド回りにカンナやゼクス、ユキノにほたみ、さらにアハトが見舞いに来ていた。
意外な事に、ほたみはアハトを大層気に入ってるみたいで、アハトの身体に伸し掛かっていて、そんなほたみにアハトは赤面していた。
このむっつりスケベめ。
カンナ「ヒサメちゃんはどうだった?」
カゲチヨ「ヒサメもシディも無事だってさ。」
カンナ「そっか。よかったぁ。」
カゲチヨ「何でも、アヌビスと戦っていたらしい。」
ゼクス「アヌビスだと!」
カゲチヨ「詳しい話しは聞いてないが、ヒサメとシデイとシデイの親父さんの3人でなんとか対処出来たらしい。」
アハト「あ、あり得ない。アヌビスはかなりの強者なのに・・・たった3人で・・・。」
俺とゲンレイ以外はかなりの驚きの表情を浮かべた。
カゲチヨ「それほど強くなったってことだろ?」
ゲンレイ「もしくは、お前みたいに覚醒したのかもな。」
おいおいそんなご都合主義あるかよ。
何?帰ってきたら姿形変わってたりしない?
ゲンレイ「2人の無事は分かった。それで?お前は吸血鬼化になったが、これからどーするんだ?」
カゲチヨ「は?どーって、修行するに決まってるだろ。」
ゲンレイ「もうお前は自由自在に変身できる筈だ。もう修行しなくてもいいんじゃないか?既にお前は私を越えているしな。」
カゲチヨ「馬鹿言うなよ。なっただけで満足すると思うなよ。」
カンナ「まだ強くなるつもりぃ~?」
カゲチヨ「あたぼうよ。吸血鬼化の更に上を目指す。」
『どこまで行っても修行馬鹿何だな。』
失敬な!
俺はただ次も負けないようにしてるだけだ!
本当は努力とかしたくないよ?
でもしないと強くなれないじゃん!
くそぅ。
何で転生した際にチート能力が付属されないんだよ。
やっぱ現実はクソゲー。
カゲチヨ「そー言う事だから、俺はもう行くぞ。」
ゲンレイ「あぁ。」
カンナ「あーしたちも帰るねししょー!」
ゼクス「僕も失礼します。」
ユキノ「ゆっくり身体を休めてください。」
ほたみ「また来るからねー!」
アハト「いい加減離せよ!おい!」
こうして、俺らは病室を出て各々、帰る事にした。
まぁ俺は今日から吸血鬼化の特訓だがな。
いやー忙しい忙しい・・・・・。
・・・・・あれ?
なんか忘れてるような・・・・・何だっけ?
◇◇◇◇◇
ゴブリンの里
「フゴフゴフゴ!」
ミキ「えっと~・・・。」
カゲチヨに頼まれて、ヒサメとシディの現状を知るためにわざわざゴブリンの里に来たミキ、ノリコ、フィーアの3人は、シディのゴブリン兄弟たちシディ達の居場所を教えてもらおうとするも、言葉が分からず試行錯誤していた。
言葉が通じないため、わざわざ地面に絵をかいて説明してくれた。
ミキ「この絵は・・・。」
ノリコ「ヒサとシディが大きいゴブリン連れて病院に行ったって事?」
「フゴ!」
フィーア「どうやらそうみたいですね。」
ミキ「そんなー!!」
三日もかけてここにやって来たのにと凹むミキ達。
完全なすれ違いである。
ゴブリンたちに別れを告げ、帰るために森を歩いていた。
フィーア「カゲチヨからメールです。ヒサメとシディは病院に行ったとの事です。」
ミキ「遅いよ!!もう少し早く知りたかった!!」
ノリコ「まぁまぁ。ヒサ達が無事でよかったじゃない。」
ミキ「そーだけど・・・・はぁ、バスも電車も通って無いとかどういう事・・・。シディ君の実家遠すぎるよ・・・。」
ぐちぐち言うミキだったが、何かにつまずいてこけてしまった。
ノリコ「ミキ、大丈夫か?」
ミキ「う、うん・・・。何にかにつまずいたみたい・・・。」
ミキが自分がつまずいた物を見ると、そこには
ミキ「ショタっ子が倒れてる!?」
フィーア「アヌビス!!」
ノリコ「アヌビス?」
フィーア「ミキ!そいつから離れてください!危険です!!」
ミキ「で、でも怪我してるし・・・。」
アヌビス「んっ・・・・。」
『!!』
アヌビスが目を覚まそうとしていて、ミキとノリコは驚き、フィーアはいつでも戦えるように構えた。
ミキ「ねぇ!君、大丈夫!?」
アヌビス「お姉ちゃん達・・・誰?」
ミキ「わ、私はミキで後ろに居るのがノリピーとフィーアちゃん。ヒーちゃんとシディ君を探しに来たの。」
アヌビス「ヒーちゃん・・・シディ?」
アヌビス「あれ・・・僕って・・・誰なんだっけ?」
フィーア(!?まさか彼は今、記憶を喪失してるのですか?)
ミキ「とにかく病院に・・・。」
スマホを持ち電話しようとしたら、ミキの腕を掴みそれを止める。
アヌビス「ダメ・・・僕の事・・・誰にも知らせないで・・・。」
ミキ「へ?」
◇◇◇◇◇
カゲチヨside
あれから数日が立ち、今日はヒサメとシディが帰ってくる日だ。
この夏休み、色々な事が置き過ぎたな。
地衝祭、バルボア来襲、争闘結界崩壊、バルボア軍が地球に侵入目前、自称神の力を持つマスデス、吸血鬼化覚醒、ヒサメとシディの前にアヌビス出現。
さらに、フィーアからの話によると、アヌビスは記憶を失っており、現在ミキの家で匿ってるそうだ。
おいおい大丈夫かよそれ・・・。
まぁフィーアが様子を見るそうだし、何かあったら連絡するって言ってたな。
カゲチヨ「・・・・帰って来たか。」
外から、2人の気配を感じた。
俺はずっとなっていた吸血鬼化を解除し、部屋から出て2人を出迎えた。
カゲチヨ「おう。おかえり。」
ヒサメ・シディ「ただいま。」
積もる話は沢山あるだろうが、まずは腹ごしらえだな。