無人島編に向けてのネタを考えるためのプール回。
遊んでて投稿遅れました…申し訳ない。
俺たち一学年は期末テストを無事に乗り越え、太陽煌めく夏休みへと突入した。
青い空に白い雲、活発化するアウトドア気分。
太陽の光は俺たちをサンサンと照らして人肌を焦がし、学徒達は青き衝動のままにこの日々を謳歌する。
そうやって夏休みに入る前は、この夏を全力で楽しんでやる!と意気込んでいたものの…
「ひ、暇だ〜。」
「激しく同意する。」
俺は相も変わらず清隆の部屋に入り浸ってはアニメ見たり、漫画読んだりと完全インドアな生活に堕落の限りを尽くしていた。
漫画とDVDしかない部屋で、やかましいエアコンが俺たちを煽るようにその羽を上下している。
それに夏休みに入ったからと言って、やることは夏休み前と変わらない。
葛城と筋トレしてたまに葛城の筋繊維を虐め抜く。彼は休み期間ゆえぶっ倒れ放題なので、俺は普段より葛城の筋育に勤しんでいる。
また坂柳と度々チェスを指し俺が稀にタコ負けするなど、普段関わっている友人たちと程々に交流している。
…坂柳か〜会いてぇ〜。
「なー清隆、前にも言ったと思うけど、女の子を遊びに誘うのってどうやればいいんだ〜。」
「何度も言うがオレに聞くな、知らん。そもそも遊び…デートとは女の子側から恥じらいを持って誘ってくるものじゃないのか?」
「2次元脳バカめ。そんなことあるならとっくに彼女出来てらぁ。」
「…そもそも誰を誘うと言うんだ、佐倉か?」
は?
「…俺が佐倉の隣を歩く?馬鹿言え、俺が消し飛ぶぞ。遠くから見守るぐらいが丁度いいんだよ。」
「そうか…じゃあ一体誰なんだ…あれか、Aクラスの坂柳か。」
「…そそそんなわけけけけけ。」
「図星か廻那。お前も相当馬鹿みたいだな。」
清隆はフッと勝ち誇ったかのような視線を向けて失笑してきた。
「…良いだろ別に、可愛いじゃん坂柳。見た目も性格も。」
「そうか…?確か俺がちらりと目にした坂柳有栖は、女王のような印象が強かったが…廻那、お前もしかしてマゾヒストか?」
「ちげぇよ。ていうか誰だよそいつ。俺の知ってる坂柳はもっとこう、子猫みたいな感じだぞ。」
「あれが子猫?…廻那お前、そろそろ頭までも人の領域から逸脱し始めたみたいだな…。」
清隆は何を言ってるのか分からないという表情で、困惑したような雰囲気を出していた。お前にあの可愛さは分からんよ。
「うるせぇよ…あ〜坂柳〜俺と遊んでくれ〜。」
「…随分とご乱心だな廻那。…坂柳のことがそんなに好きなのか?」
「うーん…恋愛なんてしたことないから、好きかどうかは分からん。ただめっちゃ会いたい。」
「…?それは好きなんじゃないか…?」
「…そんなこと言ったら、お前のことも恋情を持って好きってことになるんだが…。清隆、好きってなんなんだ?」
「…オレにもよく分からん…。」
「あー詰んだぁ〜この最高傑作使えねぇ〜!」
俺は肉体が人の辿り着ける領域を遥かに凌駕している故に、人が持つべき本能がいくつか欠け落ちているのかもしれない。
清隆はホワイトルームで心を空っぽにされた挙句、サブカルチャーの影響でその心がカオス、混色に染まっている。
結果、どっちも恋愛というものに関しては無能極まりないのである。
そもそも坂柳は俺の事どう思っているのだろうか?…鬼神か何かなんだろうな多分…。今度聞くか。
その後は清隆と談笑していた。しかし、その会話はある1つの電子音によって絶たれることとなった。
「あ、メールだ…って坂柳じゃん!」
なになに…ご無沙汰しております西園寺君。明後日の午前頃から解放日の期限が迫っているレジャー施設に皆で行くことになりました。ご一緒しませんか?…と。
頭の中でUCのあのBGMが流れた。
「清隆…俺は勝ったぞ、この夏に。」
俺は即OKの旨を坂柳へと伝えた。本当に遊べるとは。
「…良かったな廻那。」
若干不貞腐れたような語気で清隆はそう言った。こいつは誰からも遊びに誘われていないらしい。
「…清隆、強く生きろよ。」
「別に気にしてない…。」
俺が坂柳からのお誘いを受けて舞い上がっていると、なんと清隆の端末の方にもメールの受信音が響いた。
「…廻那、どうやらオレもこの夏に勝利の旗を掲げられたらしい。」
俺はニヤつく清隆に向けられた端末の画面を見る。清隆にもレジャー施設へ皆で行こうとのお誘いがあったようだ。良かったね。
「…しゃあ!謳歌するぞ清隆!ホワイトルームから抜け出してから初めての激アツな夏をよぉ!」
「おう…!」
俺は枯れかけていた夏への情熱を再び燃やし、奮起させるような声色でそう言った。
清隆も案外乗り気なようだ。楽しそうで何より。
少し遅いかもしれないが、始まるぜ、俺たちの夏。
「西園寺君、お久しぶりですね。お待たせしてしまいましたか?」
坂柳は神室や橋本などの自身の一派を揃えてこちらへとやってきた。
「坂柳やっほ。今来たところだ。」
嘘っす。このやり取りをしたかったがために、30分前ぐらいからここに来てました。
「葛城君たちはまだのようですね。もう少し余裕を持って準備するべきでしたでしょうか…。」
「いや、その反省は無用だぞ坂柳!」
野太い声が少し離れた所で響いた。どうやら葛城達も到着したようだ。
「…なんでこの距離で葛城君は私の声を聞けたのですか…。」
「うーむ…最近耳が良くなってきたような気がしてな。」
…坂柳が静かにこちらを見てきた。俺のせい?…まぁ俺のせいか。
しかし葛城は短期間でかなりいい所まで来てるな…。やりすぎたかもな。
「…よし。とにかく全員揃ったことだし、行くぜレジャー施設!」
考えるのはやめだ。とにかく夏を楽しもう。
俺達Aクラス御一行は坂柳の歩くペースに合わせながら、レジャー施設へと足を進めて行った。皆優しいね。
歩いて施設に向かっていたその間、少し神妙な面持ちで坂柳が俺に話しかけてきた。
「その、西園寺君。貴方プールに入るつもりですか…?」
「当たり前だろ!夏といえばプールで水泳……あ。」
そうじゃん、俺発情パッシブスキル持ちだった…。
「…上に何か着といてくださいね。」
坂柳は目を伏せ頬を少し朱色に染めながら忠告してきた。
「うっす…。」
仕方ない、今着てるオープンカラーシャツでも羽織っとくか…。
しばらく徒歩でクラスメイトと会話しながら歩いていると、いつの間にか目的地へと辿り着いていた。まずは皆水着に着替えようとのことで、更衣室の方向へと向かって行ったのだが…。
「む?清掃中か?」
葛城が言葉をこぼす。…何故か更衣室からかなり離れた所に清掃中のバリゲードと立て看板が配置されていた。
俺は感覚を研ぎ澄ませ、内部の様子を確認することにした。
「…掃除しているような音も、人の気配も感じられない。回収し忘れたんだろ。」
とは言いつつも、更衣室の中で怪しい動きをしているような気配があったのは気のせいだろうか。強姦未遂者の後に盗撮犯が出てくるとかは…ないよな。
「この時間からは混み始めてしまうかもしれませんし、先を急ぎましょうか。」
坂柳の発言を皮切り、もしくは言い訳にして俺たちは予定通り更衣室へと向かうことにした。そうだ、早く坂柳は俺に水着を見せろ。
そのまま俺たちは更衣室へと足を進めて歩んだ。すると目の前にはCクラスの面々、龍園達がたむろしていた。あと何故か須藤が更衣室の入口前に居た。どうやら言い争っているらしい。
「…見苦しいですね、底辺同士の争いとは。」
女王様モードになった坂柳が龍園へとそう言葉投げかける。
「坂柳か…それに西園寺と葛城も。悪いがお呼びじゃねぇ。犬共を連れてとっとと失せろ。」
「あら、貴方も飼ってあげましょうか?」
毎回思うけどほんとに誰〜。
俺が坂柳の豹変ぶりに苦笑いしていると、須藤が何やら焦りを表していた。同時に上から聞き覚えのある芯のある声が聞こえた。
「何を騒いでいる。レジャー施設として開放されているとはいえ、ここも校内だということを理解していないのか?」
2階の柵を飛び越えて静かに着地してきた声の主は生徒会長だった。よく怪我しないですね。
「うふふ、これはこれは生徒会長さん。」
「…会長ご無沙汰っす。」
「西園寺…本当によく会うな。俺たちは…。」
俺も生徒会長もちょっと気まずそうな雰囲気で顔を見合わせていた。また生徒会長の登場により、須藤の顔がさらに強ばる。
そんな須藤は龍園に突っかかって再び言い争いを始めた。
生徒会長が注意喚起を再び言い放つも、須藤は身動ぎながら生徒会長に謎の言い訳をし続けた。それを見て坂柳はくすくすと笑っていた。
何この状況…早く着替えさせて…。
また、龍園、坂柳、生徒会長などの名だたる面子の会合によって生まれたこの喧騒を一目見ようとしに来た連中で、気づけば更衣室前では若干の人だかりができていた。
「だから足がつってんだよ!寄るんじゃねぇよ!」
「そうは見えんが。」
生徒会長が須藤に詰め寄っていると、外野の1人が騒がしく声をあげた。
「おいあっちで何かやってるぞ!Dクラスの堀北とか言う奴が!」
「堀北…?」
どうやらプール方面で堀北がなんかしようとしてるらしい。龍園はそちらに興味を持ったのか、着替えることを諦めひとまずそちらに仲間を連れて足を進めるようだ。
「…何やら面白そうなものが見れそうですね。西園寺君、行ってみましょうか。」
「え?…おう…。」
俺としては須藤の怪しさが満点な故にこっちの方が気になるんだが…。
「な、なんだよ西園寺!行って見てみようぜ!」
懐疑的な視線を須藤に向けていると、須藤が堀北の方向へと向かうように催促してきた。背中まで押してきて向かわせようとするな…。
「分かった分かったって…。」
俺は諦めて堀北の元へと向かう。生徒会長や葛城達もこちらへと向かうようだ。
ガヤ立つ場所に着くと何故か堀北が飛び込み台の上に威風堂々と見参していた。
堀北は宣誓していた。不良品ばかりのDクラスだとしても、Aクラスに必ず上がってみせると。…とりあえず拍手でもしておこう。
「Dクラス…ふふっ。」
坂柳はあしらう様な笑みを浮かべてそう吐き捨てた。恐らく取るに足らない雑魚、負け犬の遠吠えだとでも捉えているのだろう。…清隆さんいる時点で相当な強クラスなんですけどね…。
「…西園寺君貴方いつまで拍手してるのですか。早く着替えますよ、ほら。」
「えぇ…分かったから杖でつんつんするのやめて。」
坂柳は俺を杖で小突きながら更衣室へと誘導していった。なんかちょいちょい俺の扱い雑になってきましたねあなた…。
これも信頼の表れだ、と勝手に結論付けて俺は更衣室へと向かって行った。
「西園寺の肉体はやはり…う、グスッ…あぁ、俺は今日プールにきて良かったぞ…。」
更衣室で着替えているとまた葛城が泣き始めた。悪目立ちするからやめてくれ…。
俺達は着替えたあと女子達と合流することになった。ちゃんと体の上にシャツを羽織っているので、発情対策はバッチリだ。
「お待たせ致しました。」
更衣室から坂柳達が出てきた。坂柳は上は白を基調としたビキニのようなもの、下は水に濡れても大丈夫そうな丈の長いスカート型の水着を着用していた。
「その…西園寺君、あまり見ないでください…。」
「…可愛い。可愛すぎる。おかしい。」
「や、やめてください…恥ずかしいです…。」
おっと心の中に潜めていた感想が露呈してしまったようだ。仕方ないね。
「うむ、確かに皆可愛らしい水着だな。」
ブーメランパンツ姿のもっこりした葛城は、女子達の水着を褒めて言った。
正直、その姿で何言われてもクソ面白くなるだけだからな、お前。
「女の子たちも揃ったことだし、皆で遊ぼうぜ。」
橋本がそう扇動してきてくれた。そうだよ、遊ばなきゃ損だろ…!
「おっしゃ!行くぞお前ら!!」
俺たちは青春の名のもとに遊びの限りを尽くした。
ウォータースライダーで葛城のパンツがどっかにいって爆笑したり、飛び込み台で俺があまりにも回転しすぎて人の目を引いたり、流れるプールで神室達などのあまり普段関わらないクラスメイトと談笑したりと、とにかく楽しかった。
だが、俺は満足していなかった。みんなと遊びすぎていたのもあるが、坂柳とあんまり遊べてない。
坂柳は体の関係上、泳げずに水面を浮き輪に揺られながらぷかぷかしていたり、プールサイドで訳わかんない色したトロピカルジュース的なものを飲みながらみんなの様子を眺めていた。
空は橙色に染まりつつあり閉園時間も近い、坂柳と遊ぶことで俺の今日一日は完成される。
そう考えた俺はプールサイドのパラソルの下にいた坂柳の近くに向かった。
「坂柳〜!楽しんでる?」
「えぇ西園寺君、お陰様でとっても楽しい一日ですよ。」
「優雅に佇むのもいいけど、水に触れて俺たちと熱い夏を過ごそうぜ!」
「はぁ…嫌味ですか西園寺君。泳げないんですよ私は。」
「大丈夫、あの時みたいにおぶってやるから。」
「そ、そんな恥ずかしいこと皆の前では出来ませんよ…!」
「うるせぇ!行こう!泳ぎたいと言え!」
「ちょ、ちょっと西園寺君…!?」
俺は初めての俗世での夏に酔っていたのか、坂柳の許可を取らずに彼女をおぶってプールサイドから離れて皆のいる方へと走った。
「皆〜!坂柳連れてきたぞ!」
「お、下ろしてください…!」
坂柳は羞恥に晒されることを危惧してそう呟くが、当然逃げられない。
「おりゃ!」
「ちょ…!」
バシャーンと軽快な水飛沫をあげて、俺は坂柳に負担のかからないようにプールへと飛び込んだ。
「坂柳、皆で楽しもうぜ。」
「う〜…もうこうなればヤケです…。」
俺は坂柳を連れて皆のいる場へと足を進めて行った。神室や橋本が何やってんだお前みたいな顔で俺と坂柳を見てきたが、そんなことはどうでもいい。
坂柳を交えてAクラスの面々は水を掛け合って遊んだり、泳ぎで競走したりと楽しんでいた。坂柳も最初は乗り気では無かったが、徐々にその顔を綻ばせていった。
俺が傍にいるからか、坂柳は神室達の前でも無垢になっていた。
彼女をおぶりながら俺が泳いでいた時なんか、わーいとか聞こえてきたしな。
しばらくして閉園時間の間際となり、俺たちは帰る準備をすることになった。
「…俺、この学校で、Aクラスで本当に良かったよ。」
「西園寺…あぁ俺も同じだ。」
「俺もめっちゃ楽しかったぜ!」
更衣室内で、戸塚達もわいわいと今日が楽しかったことを発してくれた。白い部屋の中では知らなかったことが、今こうやって体験出来ている。嬉しい限りだ。
着替えて外に出ると、皆は寮やそれぞれの行く場所へとまばらに解散していった。
「西園寺は帰らないのか?」
「あぁ、俺は坂柳を待つかな。」
「…前から気になっていたんだが、お前たち2人はその、恋仲なのか?」
「そうだぜ西園寺!姫さんとめちゃくちゃ距離近いのお前だしよ。」
橋本などがニヤつきながら俺にそう聞いてきた。
「付き合ってねぇよ。ただ俺がそうしたいだけ。」
「ふーん…なら恋愛成就願っとくぜ、西園寺。」
男どもは俺に生易しい視線を向けてきた。やっぱり傍から見れば、坂柳のことが好きなように見えているのか…じゃあ俺って今恋してるのか…?
俺がそう考えていると、葛城や橋本達はじゃあな、と言って帰路に着いて行った。しばらくすると、着替え終えた坂柳達が更衣室から出てきた。
「…待ってたぜ坂柳。帰ろう。」
「あ、貴方待ってたのですか…。」
坂柳は軽く頬を染めながらそう言った。女子たちの視線がこれまた生易しい。更衣室内で恋バナでもしていたのだろう。
「ほらほら〜坂柳さん、西園寺君待ってるよ。私たち先に帰ってるからね。」
女のクラスメイトの1人が坂柳にキャッキャしながら言った。最近同性のクラスメイトにも坂柳がマスコット的な扱いされていることが多いのは、気の所為じゃなかったか…。
「…じゃあね、西園寺、坂柳。」
「か、神室さん待って…。」
神室は俺たちにさよならを告げ、クラスメイト達と帰って行った。
「…俺達も帰るか。」
「はぁ…事をややこしくしないでください西園寺君…。」
俺たち2人は寮へと足を進めて帰ることにした。
「中で恋バナでもしてたのか?」
「…まぁ十中八九そうでした。私達の関係に質問してくる人達がほとんどでしたよ…。その話の後で、貴方がまさか外で私を待ってるだなんて。」
「待つだろ。坂柳ともっと一緒にいたいし。」
「よ、よくそんな恥ずかしいこと言えますよね…!」
「そう?」
火照った顔で坂柳は俺にそう言った。しばらく歩いていると喉が渇いてきたので、俺たちは近くの自販機で飲み物を買うことにした。
「坂柳は何がいい?」
「…やっぱり優しい…。」
「え?何?」
「なんでもありません…!…カフェオレでお願いします…。」
「…あいよ。」
聞こえてんだけどね〜。まぁ坂柳は初期とは違って、俺の事良く思ってくれてる…のかな。そうなら嬉しいな。
ガシャンと横暴な音を立てて飲み物が落ちてきた。
「…西園寺君は無料のお水なのですね。いつもコーラとかでは?」
「あれだよ、節約節約。」
「10万ポイント以上貰えているのに、ですか…?」
とある理由により、俺のポイント先日大減少した。この理由はまだ坂柳には言えないな。
「細かいことは気にすんな。それより、もうすぐ学校側がバカンスさせてくれるらしいな。」
「そのようですね。しかし、私は身体の関係上、参加が出来ませんので残念です。」
「…そうかもな。」
「…?」
坂柳は俺の中途半端な返答に疑問を抱いたようだ。まぁ楽しみにしててくれよな。
話しながら歩いた俺たちは寮に付き、そのまま解散する流れになった。
「今日は流石に疲れましたね。今晩はよく眠れそうです。」
「確かにな。」
ふぁ…と欠伸を我慢しながら坂柳は言った。あ、ちょうどいい、坂柳にあのことでも聞いてみるか。
「坂柳。」
「なんでしょうか?」
「…単刀直入に坂柳は俺の事、どう思ってる?」
「は、はぁ…!?」
坂柳はいきなりの質問に戸惑っていた。夕日に照らされているせいか、顔は赤く染まっていた。
「…俺は最初、坂柳を恐怖させてた、今でもそうかもしれない。…お前の気持ちが聞きたいんだ、坂柳。」
「うぅ…。」
真剣な眼差しで俺は坂柳の目を見る。
ホワイトルームで俺は他の人間から畏怖の目を向けられることが常だった。そんな目を今でも坂柳に向けて欲しくない。
坂柳は顔を熱くさせながら言葉をくれた。
「わ、私はもう…西園寺君のことは怖くありません。貴方は優しくて、強くて、頭も良くて…と、ともかく、気の許せる大切な人だということに変わりはありません…。」
「そうか!…ありがとう坂柳!」
良かった〜!
これで「いえ私は貴方のこと身も心も化け物だと認識しています。」とか言われたら泣いちゃうところだったわ。
「俺も坂柳のこと、大切に思ってるよ。」
「…ありがとうございます。」
湯気が出そうな顔をしながら坂柳は感謝をこぼしてくれた。…っとそろそろ時間がまずい、清隆の部屋に行く予定があるんだった。
「じゃあまたな坂柳。気が向いたら何時でも遊びに誘ってくれ。」
「…はい。」
俺は清隆の部屋へと足を進めた。坂柳は少しばかりエントランスで休むようだ。いっぱい歩いたからかな。
さて、今日が終われば夏のクルージングが俺たちを待っている。坂柳がどんな反応するか楽しみだ。
俺は迫り来る船旅に思いを馳せて、清隆の部屋のインターホンを鳴らした。ひとまず須藤の奇行について問い詰めよう。
坂柳有栖は寮のエントランスで立ち尽くしていた。
「私ってこんなに感情豊かでしたっけ…。」
私は最近、いや入学してからどこかおかしい。
今まで精神的に大人びていた私がほろほろと崩れ落ち、年相応の私が顕になっている。
西園寺廻那という1人の青年によって私は変わってしまった。
自分にとって、確立してきた自身が崩れつつあるのはとても恐ろしいこと。
しかし彼のおかげで私は、今までの冷淡だった人生が暖かく覆われてゆくことに気づくことが出来ました。
他でもない、あの白い部屋にいた彼によって。
化け物だと思っていた彼によって。
「…西園寺君…なんなのですか、貴方は。」
少しの恨みがましさを交えながら、誰もいないオレンジ色の斜陽に照らされるエントランスで1人呟く。
彼は、私も知らない私を掘り出してくれる。
心地よい胸の高鳴りも、頬にほとばしる暖かな熱も、私は知らない。
次、無人島です。
果たして坂柳はついてくるのだろうか…(すっとぼけ)
あとまたアンケート作りましたので、回答して頂けると幸いです。
坂柳と西園寺の関係性をどうするか。
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付き合え。
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このままで。
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作者の自由でも良し。
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最早別キャラと付き合え。