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https://syosetu.org/novel/336127/12.html
その大元の二次創作と三次創作をラーニングしてる方がすんなりと入りやすいかなと思いますが単体でも読めなくはないのでよろしくお願いします
なお独自設定があるのでご注意くださいませ
【挿絵表示】
家事を一通り片付け、絢瀬絵里はふぅ……と一息ついた。
明日は久しぶりの休日だから、夜更かししてしまおうか、または早めに寝て早めに起きて一日をフル活用しようか……
そう思っている時にリビングに置いていたスマホに着信が入った。
私用のスマホに電話とは珍しいと思いながら手に取ると、そこには大切な友人の名が表示されており、何かあったのかと嫌な予感が胸を過ぎってすぐさまボタンを押した。
「もしもし?」
『もしもし?えりち?』
「どうしたのよ〜……何かあった?」
声の主は長い間自分を支えてくれていた存在でもある東條希だった。
普段からメッセージのやり取りは行うが、こうして通話してくるとなるとやはり不安になる。
『うんっ、ほんの少しだけ嬉しいことがあってね、久しぶりにえりちの声聞きたいなぁって思って……何かやってる途中だった?』
「いえ、大丈夫よ?まったく……突然の電話だから嫌なことでもあったのかと思ったわぁ……」
彼女の言うことと声色を聞いて、絵里はひと安心した。
『あーごめんごめんっ!心配かけちゃった?』
「まぁね……そういうことじゃないなら良かったけれど……それで?何があったの?」
胸をなでおろしながら絵里はソファーに座り、希の話を聞くことにした。
『今日ねぇ、神社のお手伝いしてたんやけど……』
「今でも続けてるのね」
『たまーによ?たまーに』
「そうなのね……それで?」
『いつも通り掃き掃除してたらお賽銭箱の前にお財布が落ちててねぇ……』
「あー……それは一大事ねぇ……」
『落としちゃった人、まだそんな遠くに言ってないはずって思って探したんよ!辛うじてお財布を見つける前に参拝してた人の姿は分かってたからね』
その財布を落とした人物はおっちょこちょいなのだろうか。
それとも財布を落としたことにすら気づかないほどのことがあったのか。
『辺り見渡しても見つからなかったんだけど、ちょっと見回ったら絵馬の前に立ってるのを見つけて無事に渡すことが出来てね〜』
「すれ違っていたのかしら?まぁ…よかったわね」
『それでその子……多分高校生くらいの男の子だったんやけど、なんだか悩みでも抱えてるのかなぁって思ったら話してみ?って言って聞くことにしたんよ』
「流石の洞察力ね……というか平日なのに?」
『入試関係の休みとかだったんじゃないかな?』
「なるほど……たしかにこの時期は有り得るわね……」
きっかけがあったとはいえ、困ってそうな子の助けになりたいと言えるのは流石希だ……と絵里は感じていた。
『うんうんっ、ほいで話を聞いてみたらその子はスクールアイドルの関係者なんですーって言って、うちは今のスクールアイドルはよく分からないけど、サポーター?って立ち位置なんやて!』
「へぇ〜……!たしかに亜里沙が今はそういう人もいるって言ってたような……」
『うちらの時代から変わってるもんやなぁ』
「そうねぇ……」
『でねっ、その子がいるグループは東京大会でいいとこまで行ったらしいんだけど優勝出来なくて、アイドルの子達は精一杯やったけど優勝出来なかったのは自分の力不足なんじゃないかって、思い込んでるみたいでねぇ』
「結構抱え込む子なのね……」
話を聞きながら絵里はあの頃のことを思い出す。
自分もかつては周りが見えなくなって、他者のやり方を認めようとせず、目の前にある問題を乗り越えられずにいた。
その男の子もあの時の自分と似たような想いを抱えているのかもしれない。
……と、思っていたら。
『そそっ、誰かさんみたいにねっ!』
軽く挑発するような口調で言われてしまった。
「まぁ〜……気持ちは分からなくはないわよ……自分だとそういう時って抱え込んでるってつもりはないし」
『うんっ……そんな雰囲気を感じたから、うちは声をかけちゃったのかも』
「やっぱほっとけないのね?」
『まぁね〜……それで月並みなアドバイスだけど、ちゃんと話し合ったり、無理に変わろうとしなくてもいいんじゃない?って言ったんよ』
「話し合う……ねぇ……」
自分達がスクールアイドルとして活動していた頃から月日は経ったが、その時の怒ったり泣いたり笑ったりした忙しい日々はずっと忘れていない。
「それでその子は元気になったの?」
『憑き物が落ちた……って感じかな?それでここに来たのは同じ部の仲間の薦めで来たって言ってて、レジェンドスクールアイドルと縁がある場所だ〜って聞いたみたい』
「れ、レジェンド??」
『ちょっと烏滸がましいけど、もしかしたらって思って、御朱印代わりにうちのサイン描いて渡したら、名前くらいは知ってたみたいでね〜……』
「……それはすごいことしたわね……!」
『流石にもう現役世代からは離れた時期の存在になっちゃったけどこう……今を生きる若い世代にエールを送りたいって気持ちをこめてね……』
感慨深そうにしみじみとした口調で希が続ける。
『うちらがスクールアイドルとして活動してた頃は反響とか目に見えたりしたけど、こうして何年経っても誰かの影響を与える存在になれてたんだなって思って、こう……胸いっぱいになったんよ……だから、久しぶりに声が聞きたくなってね』
「そうねえ……にしても、レジェンドだなんて、気恥しいわぁ」
『それも少し言ったんよー?多分そのレジェンドさんちは色々と悩みながらも進んでたんじゃないかなって』
「そう思うと、希は正式にμ'sに入る前も穂乃果達のアシストしてたけど、それも一種のサポーターだったんじゃない?」
『そうやねぇ……そういった所にも、彼に共感しちゃったのかも?』
自分だけじゃなく、他のμ'sの仲間たちも支えられていた。
そんな風に誰かを支え続けた彼女の願いを叶えるために曲も作ったりした。
自分たちが刻んできた青春の思い出達がこうして誰かの希望になったりして、未来へと続いている。
「その彼や仲間たちの未来もきっと輝くはずよ、希がそこまでしてくれたんだもの」
『なにー?うち自身がパワースポットみたいな?』
「そこまでは言わないけど、実際私もみんなも支えられて助けてもらったのは本当よ?」
時折セクハラ紛いのことをしたこともあったけど。
「なんか、私も他のみんなの声も聞きたくなってきちゃったわぁ」
『みんな集まってごはん食べに行くとか出来たらええね!』
「私今抱えてる案件がもう少しで片付くから、落ち着いたらみんなに声掛けてみるわ」
『お?じゃあうちもサポートするで〜?』
「ええ!もちろん頼むわ!」
『あ、ごめんねっ、こんな時間まで!』
「大丈夫よ?それじゃあおやすみなさい」
『おやすみ〜!』
切電し、ふぅと一息つく。
今夜は、あの頃の思い出に浸ることにした。
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絵里との電話を終え、希は部屋から月を眺めていた。
あの最高と思えていた頃は今でも自分の中で輝いている。
それから年を重ねて、輝いていた頃に戻りたいと、弱音を吐くようなことがないと言ったら嘘になってしまう。
過ぎてしまった日々には戻ることは出来ない。
だから……あの頃の幸せだった自分が、ずっと笑えているように生きていく。
今を生きている自分が出来る数少ないことだ。
それが難しいのだけど。
今も悩んでいて、昔の自分に恥じないようには生きれてないかもしれない。
そんな中、今日あった出来事で再び昔の自分が背中を押してくれた……そう思えた。
仄かな光がひとつの大きな輝きになり、海を渡り、大きな虹がかかった空へ広がり、時を越えて様々な輝く光に大きな影響を与えている。
変わらなくてもいいと彼には言ったが、自分でも気負いすぎていたのかもしれない。
自分で自分を見つめ直す……その機会を神様が与えてくれたのかも。
そんなことを、アルバムを開きながらふと考えてしまった。
あの彼の名前も聞かなかったが、サインを描いたノートにはたしか"東"と書いてあったような。
「ひがし」なのか「あずま」なのか……今となってはもう分からない。
けれど、今この胸いっぱいに溢れてる感情は彼がくれたものだ。
彼に対して頑張れ、というのは余計に追い詰めてしまうような言葉になりかねない。
そしてこの声は届くことはないが、彼への、彼の仲間へのエールだ。
「幸せになってね……!」
おわり