八幡はある日、別世界のモンスターの力を宿していた。
これは、人知を超えた無双劇。

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八幡はモンスターの力を宿す

 八幡がある朝起きるとアゴが巨大化していた。

 そして二つに割れていた。

 顔面の半分はケツアゴだった。

 元々ウラガンキン系の顔付きだったが、もはや完全にウラガンキンだった。

 

 その日から八幡は変わった。

 それまで「ヒッキー」と馬鹿にされていたが、誰もが彼を「ウラガンキン」として呼ぶようになった。

 彼は怪物退治をしたがるハンター気取りの小学生に襲われるようにはなったが、悪い事ばかりではなかった。

 

 まずは消しゴムが要らなくなった事だ。

 シャーペンで書いた文字を八幡がケツアゴで擦ると、何と文字が消えたのだ。

 これは消しアゴと呼べるのかもしれない。

 

 しかもだ、テスト中ワケがわからなくなれば、ケツアゴで何度もテスト用紙を叩けば、その破壊力でテストそのものを無かった事に出来る。

 

 これはテスト無双だが、その後「うるせぇ」とクラスメイトに討伐されそうになる。

 

 次に、子供たちの人気者になれる。

 怪獣役として。

 

 更に更に、体育でも無双する。

 八幡のケツアゴは勝手に喋るのだ。

 ねっとりとしながら甲高い謎のオカマボイスで。

 それも爆音でだ。

 

 周囲は笑って動けなくなるので、その間に八幡は無双出来る。

 何故かドッジボールの時だけは周りは笑わず、何度もボールをアゴに向かってぶつけられるのは、そういう仕様である。

 但し、顔面セーフルールのために、何度アゴにぶつけられても八幡はアウトにならない。

 

 

 

 そして、八幡は女にはモテないが、野生のアゴにはモテる。

 正確には八幡のケツアゴが、だ。

 

 そのせいで、八幡の周囲には野生のアゴ達がブンブン飛び回っているが、教室に入った野生のアゴ達は、クラスメイトに殺虫剤をかけられて死ぬ。

 

 

 

 八幡は高校を卒業して、土木工事の仕事を選んだ。

 八幡は道具を買わなくても、自前のアゴがある。

 1日に1メートル程、岩を削れるのでトンネル工事などの仕事に呼ばれる。

 

 八幡がその人生の半分程を使ってケツアゴだけで掘り進めたトンネルは、八幡トンネルとして後世に遺された。

 

 八幡はたった一人、ウラガンキンのケツアゴを宿した存在だ。

 普通に考えれば、アゴ一つでトンネルを掘った人間がいるとは誰も信じない。

 それでも、八幡トンネルは存在しており、本当にアゴ一つでトンネルを掘り遂げた男がいた事は証明されている。

 

 有名な建築会社が、八幡のアゴだけクローンを作ろうとしたが失敗した。

 ウラガンキンのアゴは、八幡なくしては存在出来なかった。

 

 

 八幡は、道具すら使わない一人親方として、業界の伝説となった。

 これは、そんな八幡のケツアゴ無双である。

 

 

 

 

 

 八幡は、近くのスーパーに卵を買いに行くクエストを受領した。

 流石に実家住みだと、たまにはおつかいにもいかなければならない。

 おつかいに行くためには、危険な小学生や中学生に襲われないようにいかなければならない。

 万が一戦闘になったら、八幡にはケツアゴがあるが、ケツアゴは最後の手段だ。

 石を投げられる程の事がなければ使わない。

 

 野生化したネコ型ロボットのILL(アイルー)が襲って来た時には、躊躇なく八幡はその顎を振るった。

 

 

 

 その様子を見ていた葉山は、大人になってから、様々な武器でモンスターを討伐するゲームを開発した。

 大ヒットしたので、葉山はその金で雪乃とハネムーンに行った。

 

 

 そのゲームの中で大顎を持つ竜のモンスターを登場させたが、開発者の愛が詰まっており、それなりに強かった。

 ただ、幾つかのバグがあり、お供にする小動物の名前を「小学生」か「中学生」にすると、そのモンスターのアゴが勝手に爆発して倒れたところをお供の小動物がタコ殴りにするという謎現象が起きていた。

 

 

 一方の八幡だが、アフリカに旅行した際に、現地の野生のアゴ達と乱交していると、ある部族の神話に出て来た神そっくりだと評判になり、そこでハーレムを築いた。

 

 

 八幡は死後、現地の神と同一視されて信仰された結果、葉山が作ったゲームによく似た世界に転生した。

 

 

 ハンターと呼ばれる多くの冒険者達が武器を手にする中、八幡だけは武器は持たなかった。

 武器なんて持ったら重たいからだ。

 

 

 八幡は持ち前のアゴを振り回してモンスターと戦う事にした。

 その異端ぶりから、時折モンスターと間違えられてハンターに襲われたりしたが、それもよくあることなので慣れてきた。

 

 相手が草食動物くらいであれば、ケツアゴを押し付けて、ヒゲで一時間擦るだけで倒せてしまう。

 

 

 八幡の無双は終わらない。

 

 

 

 

 

 流石に飛竜には勝てないが、小さな虫程度なら、アゴを押し付けるだけで即潰せてしまう。

 これが便利で、対虫モンスター要員で八幡は色んなハンター達に呼ばれることとなった。

 これは無双としか呼べない。

 

 更に、八幡のケツアゴはガスを噴射して飛べるので、八幡をチームに入れると八幡に乗る事で高所に行けるようになった。

 これで秘境エリアにも行けるようになった上に、八幡はそのケツアゴでピッケルよりも早く発掘作業が出来るために喜ばれた。

 

 竜と戦う以外なら、たいていは何とかなる八幡は、まさに無双状態であり、ハンターレベルで言えばもはやアゴだ。

 

 

 卵を運ぶクエストも、近所のスーパーにおつかいにも行っていた経験が生きており、本能的に長寿タイプだった。

 

 

 その後も、八幡はこの世界でもトンネルを掘り続けて、八幡トンネルを幾つも残した。

 ケツァルコアトルに因んで、ケツアゴワロスと呼ばれた八幡は、何者にもなれない一般人としてではなく、ケツアゴ無双の偉人としてその生涯を終えた。




これは後世に残すべき逸作。

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