時系列や年代など全て取っ払って見てください。舞台はどちらも東京ですが、一応よう実の年代にしています。
ただただ、坂柳さんを救って殺したかっただけです。
「
「何?葛城くん」
「真面目に走れ。あの水泳のときに見た体でその遅さは言い訳できないぞ」
「······僕そんなに運動は得意じゃないんだけど······」
「あら、走るスピードを他の人たちに合わせて落としているような貴方が?」
「うん、坂柳さんも言ってあげて。僕は運動できないって」
「本気を出したら、ご褒美か何か差し上げましょうか?」
「大丈夫、そういうのいらないから。──葛城くんと坂柳さんは勝ちたいの?」
「「当たり前」です······木崎くんは勝とうとする気がないようですけど、なぜですか?」
「Aクラスの特典に興味ないからかな?······僕はそういうの興味ないし」
Aクラスのリーダー格2人に囲まれるのはキツい。
······本気を出してもいいが、変に目立ちたくないから嫌だなって思ってた。
しかし、Aクラスの中心人物に捕まってしまっているのなら今更手遅れかと思わずにはいられなかった。
Aクラスだ、クラスポイントだ、派閥争いだ、裏切りだ、
なんでこんなにも面倒くさい学校に来てしまったのだろうか。
──────
「JwgNjmgdWj」
「バーイ」
人型ではあるが、間違いなく魚?が混ざっているようなやつの首を剣でぶち飛ばし、レーダーを見る。どうやら今ので最後らしい。
「······くさ、やっぱ生臭い」
首を跳ね飛ばしたときに服に付いた血液が鬱陶しい臭いを発する。
腐った魚の臭いが付いたことにイライラしながらも、今日も生き残ったことに安堵した。
多分、僕ともう1人以外は生き残っていない。
スーツ着てなかったし、これで生きてたら運が良すぎる。
僕は1回しか言わないし、もう1人に関しては煽動するだけ。
そんな状態で生きているなんて思えない。
ジジッ
さて、今日でこんな街からおさらばだから、お別れの挨拶でもしておこう。
ジジッ
転送が完了し、見慣れた部屋に帰ってきた。
僕は1番最後だったらしい。
「今日も?」
「生きてる訳ないだろ」
「だよね」
まあ、レーダーに映ってなかったから知ってるけどやっぱりちょっと悲しくなる。
けど、こういう世界だと割り切らないといけない。
得点表示を見ながら目の前にいる、キツネ顔の中学生に話しかけた。
「西くんは次何年生だっけ?」
「中2になる──で、オマエはどうするんだ?」
「どうとは?」
「高校の話だ」
「あー僕は『高度育成高校』に行くよ」
そう言うと、西くんは目を開いた。
そんなにバカだと思ってたのかな?
「はッ?──あのクソ名門にか?······オマエ頭良かッたのかよ」
「名門っていう評価よりも、3年間学校内から出られないってところに惹かれたんだ······多分君よりかは賢くないよ」
「······街中で襲われるのが怖くなッたのか?臆病者だな」
「君に言われたくはないけど、まあそういうことだね」
あとは、原作に関わりたくないからだね。
僕、
車で家族と旅行中に事故り、僕だけこの部屋に飛ばされた。そのときまでは前世の記憶なんてものはなかったが、この黒い球を見たときに全てが蘇った。
その中でもクソみたいに人が死ぬ、
この「GANTZ」の世界が鮮明に蘇った。
メインやヒロインなんて関係なく誰でも死ぬ。あの玄野くんでも死ぬし、和泉くんも死んだ。
そんな難易度ルナティックの世界に僕は生まれたらしい。
転生させた神がいるならば、ふざけるなと言いたい。
僕が前世で何をしたというんだ。ただただ平凡な大学生活を謳歌していただけだというのに、何故これほどの仕打ちを喰らわないといけないのか······
齢15で家族を失い、星人と強制的に戦うなんておかしいだろ!と言いたくなった。
ただ、好きだった世界に来れたことは感謝したい。
玄野くんと加藤くんとの友情も見たいし、玄野くん周りの恋愛も見たいし、
なりより星人たちと戦える。
厨二病だと自分でも思うが、「GANTZ」の実写映画をテレビで見た当時の僕は「GANTZ」の世界にのめり込んだ。
映画を見た後に、マンガを読み漁り毎日想像にふけった。
天狗や犬神などの高得点星人や、ぬらりひょんや観音みたいなバケモノ。
そういう星人と戦うときはどうすればいいか、授業中ずっと考えていた。
それが現実で戦えるのには、本当に感謝したい。
死ぬのは嫌だが、一回僕は死んでるし悲しむ家族はもういない。
ただ1つ気になるのは、僕がいるとこによって起こる原作との乖離だ。
年代はおそらく異なっているため何とも言えないが、ここに西くんがいて彼が70点代の点数であるならばそろそろ来る。
玄野くんと加藤くんたちが。
僕のスタンスとしては傍観者が近いと思う。
やっぱり彼らが生きようともがいて必死になっている姿が好きだし、その姿を見ていたいなと感じる。
······だから千手観音やロボットに殺される主要人物を救うのかどうか迷いどころだ。
多分助けるけど。
僕がそう考えている最中に、何やら思案していた西くんが口を開いた。
「まあ、俺が100点を取るまでは死ななければなんでもいい」
「寂しいの?」
「オマエ異常なほど強いからな。そんなヤツに死なれたら困るだけだ」
「ツンデレだね」
この嫌そうな顔を街中で見かけなくなるのは少し寂しいかもしれないが、別にいい。
街にいるときくらいは安心したい。
その思いだけで、入試に本気で取り組んだんだ。
本当に入れてよかった。
そう思えたのは最初の1ヶ月だけだった。
髪色自由で白から赤に紫にと、色々いて美少女•イケメンのオンパレードときた。
ここも何かの作品の世界なのか?と考えてしまうほどイカれていた。
しかし、そんなことはどうでもいい。
なんだこの殺伐とした世界は?
A〜Dまでに別れていて、Aが1番優秀でDが不良品という分かりやすい指標がある。そのせいでクラス同士が敵になってしまって空気が悪い。
それに加えて、クラス内も派閥争いをしてるからどこも緩い空気が流れていない。
極め付けに、授業態度もクラス評価に繋がるため寝れないし、隣の悪魔が杖を足の小指についてくる。
前世で経験したような和気藹々とした高校生活なんて見る影もなく、ピリピリとした学生生活を送る羽目になった。
僕は普段の生活くらいはリラックスしたかったのに、そんなことは許さないとばかりに試験や特別試験、クラス間闘争が舞い込んでくる。
神は僕のことがどれだけ嫌いなのだろうかと、本気で考えた。
しかし、普通の生活はもう別にいい。クラス間闘争なるものに参加する気は一切ないし、この先3年間生きていられる気もしていないからAクラス特典なんて興味ない。
なのに、この杖をついている隣の悪魔が僕を駒として駆り立てようとしてくる。
さっきの測定の時間でどれだけ迫られたか······
······足の小指本来ならめっちゃ痛いんだろうなぁ······
「あら、何か?」
じとっとした目で見ていたのがバレたのか、はたまた悪魔と思ってたのがバレたのか分からないが、隣の席の少女が話しかけてきた。
「なんでもないよ······悪魔って思ったの分かった?」
「いえ。具体的には分かりませんでしたが、今分かりました」
「そっか。君が僕の生活を脅かしてるから悪魔だと思ってしまうんだよね」
「脅かしている?」
「うん。君と葛城くんが仲良くなれば、このクラスの居心地は良くなるからね。そういう考えなしに、戦いを挑み続けてる君ら2人が僕には悪魔に見える」
ガンツに言わせてみれば、坂柳さんは0点だろうし葛城くんもそのくらいだと思う。
しかし、そんな2人に翻弄されているんだからこの世界は強さ以外も必要だと感じる。
まあ、僕には必要ないけど。
「······今日もそれ着てますね」
坂柳さんが僕の首周りを見つめながらそう言った。
制服着てても、スーツちょっと出るんだよね······
「それ?······あーこれ?いいじゃん。ほっといてよ」
「初めに見たときは厨二病を患っている方かと思いましたけど、他にもそのような物や言動がないから判断しづらかったですよ?」
「別にそう思われててもいいよ、僕には関係ない」
「貴方のことなんですけどね······過去に何があったなど聞く気はありませんが。
顔や声などは可愛いんですからそういうのは似合いませんよ?」
「ありがと、でも大丈夫。他人の目は気にしてないから」
ガンツに出会うまではありがたかった容姿も、今は別にどうでもいいと思える。
どうせ、このスーツの出てる部分を見て厨二病だと思い去っていくだけだ。
まあ、めんどくさいのに絡まれないのが嬉しく感じる。
そう話してるときだった。
チクッ
「ッー!······今日か······」
「?何が今日なんですか?」
「いや、何でもないよ」
西くんの点数も80点代になったから、この招集で歯車が動き始める。
この世界とガンツがどう作用するのか、大分不安だが拒否権なんて持ち合わせていない。
「······坂柳さん、ちょっと質問いい?」
「なんでしょう?」
僕が出会ったなかで1番頭がよく、権力者の子どもである君に少し聞きたいことがあった。
「君は宇宙人とかそういうの信じる?」
「────そうですね。この広い宇宙の中で他の生命体がいても不思議ではない。くらいしか言えませんね」
「そっか、ありがと」
「······そういうタイプの厨二病ですか?」
「ううん、ただ気になっただけ」
あの反応的に知らなそうだ。なら、ガンツの存在は坂柳理事長は知らないのかな?
まあ、どうでもいいか。
どうせ、僕はいずれ死ぬんだし。
君も僕よりは遅くにだと思うけど多分死ぬ。
そう思ってたけど、神様は、ガンツは意地悪らしい。
3月の卒業式の日。
全校生徒が体育館に集められたときに、僕はいつも呼ばれるとき以上の悪寒を感じトイレへと駆け込んだ。
この悪寒は、多分すぐに呼ばれるやつだと悟った。
「待て待て、この時間の招集は──────────マジか、君らも集められたの?」
どうやら僕は最後だったらしい。
今までいっしょに戦ってきたみんなが僕の方を向いて、心配そうな顔をしていた。
原作でタエちゃんが標的になったときの玄野くんを見てるように。
「みんな何その顔······は······えッ?は?!──なんでッ??」
いつも標的の星人を表すところに、見知った名前と顔があった。
坂柳有栖
特徴
よわい
かしこい
いじわる
好きなもの
木崎零
綾小路清隆
甘いもの
嫌いなもの
綾小路清隆
苦いもの
口ぐせ
本気 天才
考えてもいなかった最悪が舞い込んできた。
「────待ッて!!坂柳は何もしてないし、何も知らないよ!?」
「分かッてる!だから落ち着け!」
「────ありがと、玄野くん。落ち着いた」
「······で、この坂柳有栖は誰なのッ?」
「レイカさんも落ち着いてね、坂柳は僕のクラスメイトだよ。ただただ頭が良くて、体が不自由なだけの人なんだ······
──多分、秘密を見られたとか知られたみたいな感じだと思う······それ以外で彼女が標的になるなんて考えられない······僕が悪い······」
「まだそうと決まッた訳じゃないんだ、ネガティブになるなよ」
「加藤くんありがと、そうだよね······で、玄野くんどうする?」
「······木崎がいいなら、殺して3番で復活させるしかない······」
自分の恋人が標的になっていないから、原作に比べてひどく冷静な玄野くんが口を開いた。
──でも、それしかないよね。ペナルティーを全員に喰らわすのは避けたいし。
「────僕もそう思うよ······和泉くん」
「なんだ?」
「暴れないでね······あと、僕100点に近いから僕が彼女を殺す」
「────さぁな」
「前助けてあげた恩忘れてたの?」
「あれは玄野がッ!チッ、なるほどな。あれはお前の差金かよッ······」
「そういうこと。だから今回は従ってね······みんなもそれでいいでしょ?······話してる時間もなさそうだし、行くよ······『高度育成高校』へ」
起こり得る未来。
「綾小路くんは星人じゃなかったんだね」
「は?······せいじん?」
「こっちの話······で、綾小路くん的には彼らはどういう存在だと思う?」
「お前の今の発言から、宇宙人か何かだと考えるが」
「やっぱりすごいね······やっぱり君も星人じゃないの?高得点だと思うけど」
「俺はせいじんじゃないぞ······なんでそう思ったんだ?」
「歩き方が完成されきってたから。でもレーダーとかには映ってないし、Xガンも反応なしなら人間なんだね」
「その銃を向けるのはやめてくれ、普通に怖い」
「ハッ、イかれた野郎だと思っていたが、なんだ?その格好は?その馬鹿力の源か?」
「さすが龍園くん。観察眼すごいね」
「テメェが毎日クソ暑い中でも着てた変な服が気になってはいたが、そういうことか」
「そういうこと。君も早くは避難しないと死ぬからね」
「ああ、代わりに今起こってること後で説明しやがれ」
「分かったよ、信じないかもだけど話すよ」
「木崎くんっ!!血付いてるけど大丈夫?!!」
「──一之瀬さんは本当に見ないで、君にこういう世界は向いてないよ、人が簡単に死ぬ世界に君みたいな善人はいない方がいい」
「······ぇ?」
「想像するだけでダメでしょ?······あと僕はいっぱい殺してるから君みたいな人は関わらない方がいいよ」
「──ッ!ひ、人殺しちゃダメだよ!!!!」
「アイツらは人であって、人じゃないからそこは安心して」
「死は簡単に訪れるんですね。最後に彼に会いた「悟るのは早いよ」!?···木崎くん?」
持病のため逃げ遅れ、星人に殺されかけてたお姫様を横抱きで抱え助けた。
この部分だけ見れば、君にとって僕はヒーローなんだと思う。
······すぐにそんな幻想は打ち砕かれるけど。
体勢を立て直し、Zガンで敵を粉砕した。
···あ、坂柳さんに目を瞑るよう言うの忘れて···
──星人がペシャンコになった姿を見ても何一つ顔色を変えない人初めて見た。
いつもとなんら変わらない顔をしていた。すごいを通り越して怖いよ。
「──木崎くん、助けていただきありがとうございます······そのスーツはそういうためのものなんですね」
自分が殺されかけていたというのに、ひどく冷静な
この人は、どこまでも冷静で状況が見えてるんだろう。
けど、君がターゲットになってる状況はさすがに分からないでしょ?
「あーそうそう。で、怪我はない?」
「はい。貴方が守ってくれましたから。かっこよかったですよ?本の中の王子様のようで」
「そっかありがと···でも、ごめんね」
「はい?」
君の呆然としたような、ポカンとした顔は初めて見る。
やっぱり可愛いね。けど、君を殺さないと全てが終わるんだ、ごめんね。
「僕じゃなきゃダメなんだ」
星人に殺されたら、君を復活させるのが遅くなるしね。
「──何が、ですか?」
君を殺した罪は僕が一生背負うよ。君が普通の生活を送れるまで、僕は君のサポートをする。
だから許してくれ。不注意だった僕を······
こんなにも手が震え、目に何かが溜まり、喉に言葉がつっかえるのは初めてだった。
けど、僕はやらないといけない。
「君を殺すのが」
この君の最後の顔は困惑だった。
坂柳さんごめんね。
『白兎とアリスちゃん』では幸せにしてるので許してください。