嘘吐きは勇者の始まり   作:柴猫侍

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第百五十八話:王都は訣別の始まり

 

 

 

 ルキフグスと巨神兵の襲撃から早一週間。

 

 

 

「おらおら! 飲みねえ食いねえ!」

「酒はこっちにあるぞ~!」

「がはは! 勝利の美酒は旨いなぁ!」

 

 一週間……経ってるんだけどなぁ。

 

「ははっ……どこもかしこも祝勝気分冷めやらないって感じですね」

「まったくだ。毎日毎日どんちゃん騒ぎがよく続くぜ……イテテ」

「二日酔いですか?」

「七日酔いだ」

「耐えきれなくなったらこれを飲んでください」

「毒薬?」

 

 アスから差し出される薬を見て、思わず俺はそう口走る。

 いやぁ、功労者だなんだと持て囃されて注がれた酒を拒めなかったのが良くなかったわ。迎え酒に次ぐ迎え酒のせいで、俺の体はボロボロのチョコレートボンボンみたいになっている。中に詰め込まれた酒で体に空きそうだ。

 

 ベルゴも今、後ろでグロッキーになって倒れている。騎士団長より酒に強いアヴァリー教国民……酒に強すぎるだろ。

 

 唯一うちの面子でこの状況を楽しめている者と言えばだ。

 

「他に挑戦者は!?」

「絶対王者……いや、王女アータンに我こそはという者は居ないのかぁー!?」

「おいおい!? このままじゃ賭け金全部持ってかれちまうぞ!」

 

 大盛り上がりの居酒屋にちょこんと鎮座する少女。

 あれでも立派な成人女性であるアータンが、相撲でしか見たことないような大盃を呷り、遂には空にしてみせる。

 

「──けぷっ」

「の、飲み干した……!?」

「おいしかった~♡」

「これで一樽全部だぞ!?」

「ふぅ……まだいけそう」

 

『ひぃ~~~!?』

 

 観客からは、最早歓声というより悲鳴のような声が上がる。

 

「さ、酒蔵が空にされちまう……!?」

「財布もだ! 賭け金全部持ってかれちまう!」

「この魔王殺しってお酒美味しいですね。おかわりください!」

「馬鹿な……うちで一番度数の高い酒だぞ!?」

「だってのにまだ素面……ありえん……!」

 

 あれだけ飲んでまだ素面なのかよ。罪度Ⅲになって毒耐性増したおかげか?

 

「今のアータンなら酒風呂に入っても酔わなさそうだな……うぷっ!」

「こんな苦しい思い、しないに越したことはないです……おえっ!」

 

 成人男性二人、連日連夜の酒盛りに口からリバースの図。幸いにも自主規制魔法があるおかげで、傍からすれば俺達が虹を吐いているように見えて安心だ。安心か?

 

「おえぇ……! ……生まれ変わったら貝になりたい」

「……ホタテ水着になりたい? 不潔です……」

幻聴(おまえ)だよ」

 

 アスからトンデモ発言が投下された。

 こうなってしまったら、もうお終いだ。自浄作用を失った生命のサイクルに待ち受けるのは破滅のみである。

 

「誰か……誰か俺達を救ってくれ……!」

「──大丈夫ですか?」

 

 そんな時だ。

 路地裏で地獄を見ていた俺達に、手を差し伸べる女神が現れた。

 

「おお……マイン!」

「辛そうですね。これでも嘗めてください」

「こいつは……?」

「肝です」

「薪に臥せて復讐を誓えと?」

 

 誰に復讐したもんだか……今のところ、こんなになるまで飲んでしまった自分の顔しか浮かんでこない。

 

 しかし、現状薪をベッドにしてでも横になりたいのは事実だ。

 幸いにも復興用資材の薪がその辺に落ちていたので、そいつを寝台に俺達は横になる。そして、マインから授かった肝をペロペロ嘗め始めた。

 

「にっっっげぇ……」

「肝って二日酔いに効くんですかね……?」

「同物同治。体の不調を治すには、調子の悪い箇所と同じものを食べた方がいいという考えがあります」

「へ~。初めて聞く治療法です」

「居酒屋に居た中年男性に聞きました」

 

 多分それ、あんまり本気にしちゃいけない知識だと思う。

 

「マインも随分町の人と打ち解けちゃって……お兄さんは嬉しいよ」

「そうでしょうか? 〈錬金魔法(アルケミア)〉で家を建て直す手伝いをしているだけなのですが……」

「それが一番大事♡」

 

 一体どこの世界にものの数分で家を建て直せる人間が居るんだよ。

 おかげでマインは連日連夜引っ張りだこ。不眠不休じゃないか? ってレベルで復興作業に取り掛かっている。

 

「マインちゃん、あんまり無理はいけませんよ?」

「無理はしておりません。この体はもうワタシだけのものではありませんから」

「はい、その通りです。妊婦さん以外で聞かない台詞にビックリしちゃいましたけど」

 

 そう言ってアスが俺の首根っこを掴んだ。

 やめろ。俺は『俺達は仲間なんだから自分を大事にね?』的な意味合いで教えただけだ。

 

「まあ、誤用とは言い切れませんが……もうちょっと使う場面は考えていきましょう」

「イエス・マム」

「それでは今から痛みを産んでみせましょう……せいっ!」

ママぁーーーーっ(生みの苦しみ)!?」

 

 すっかり俺が授けた語彙を使いこなすマイン。

 そして、彼女の誤用を正すそうとするアスに、俺は〈聖人の断頭台〉を極められた。

 

「これが48の聖人技の一つ……」

「近接戦で有用に働きます。このように」

「ぜぇ……ぜぇ……!?  過去の俺が、今の俺を追い詰める……!」

「これを自業自得と言います」

「成程。学習致しました」

「は、吐きそう──仲間の居場所を」

「目の前に居ますよ」

 

 満面の笑みで味方に〈聖人の断頭台〉を仕掛けてくる仲間に俺は絶望した。

 

「クソ……なんだって俺の仲間は気安くなるにつれて乱暴になってくるんだ……!?」

「自分の胸に聞いてみてください」

「そうか、聞いてみよう……うん、うんうん。『ライアー、お前が10割悪い』ってさ」

「理解してるようで安心しました」

「一分の隙もないと」

 

 そうだよ。

 俺が仕込んだボケもネタがどう返ってこようが、それは全部俺の責任よ。全部受け止めてやらぁ。

 

「……楽しいな」

 

 不意に、俺の口から零れる言葉だ。

 

「……ライアーさん?」

「やっぱ、気心知れた奴らと馬鹿騒ぎするってのは最高だ」

 

 この世界がシビアだってことを加味すればこそ、この時間は尚の事味わい深く思える。

 

「今回の戦いだって、一歩間違えてたら誰かが死んでかもしれねえ……戦った騎士や住民にも犠牲になった連中は居る」

 

 それでも生き残った人々は笑っている。

 大切な人を失った悲しみは当然あるだろう。

 

 しかし、それを乗り越えて悼み、明るく努めようとしているではないか。

 生きていて良かったと──逝ってしまった人々に届くぐらいの馬鹿騒ぎを続けることで、だ。

 

「──ありがとうな。生きててくれて」

「……な、なんですかライアーさん。そんな急に……水臭いですよ」

「お前は酒臭いな」

「せいっ!」

「ジーザスッ!?」

 

「──48の聖人技の一つ、〈聖書の魚〉ですね」

 

 具体的には鯖折りだ。

 泥酔した成人男性二人が絡み合い、片方が鯖折りにされるという地獄絵図が産まれる。

 

「はぁ……はぁ……!! ま、まあ……今回も全員生き残れて良かったね、って話だ」

「そうですね。まあ、わたし達は兎も角として……心配だったのはマインちゃんとアータンちゃんですよ!」

「ワタシですか?」

 

「呼んだ~?」

 

 自分を指差すマインに続き、ちょうど居酒屋から出てきたアータンが歩み寄ってくる。彼女が持つ大盃には山のような小銭が乗っかっていた。恐らく勝ち取った賭け金だろう。

 

 それはさておき。

 

「当たり前じゃないですか! あんな巨人を二人で相手して……わたし、気が気じゃなかったですもん!」

 

 確かに今回の戦いで一番の賭けは巨神兵(ネフィリム)だった気がする。

 たまたま巨人状態で駆け付けたからああいうマッチングになったものの、まさか巨神兵(ネフィリム)を駆り出してくるとは思わなんだ。

 

「まあまあ。過去の〈嫉妬の勇者〉が倒せた相手だぜ? 俺はアータンに全幅の信頼を寄せてたね」

「本音は?」

「超ぉ~~~~~~心配だった」

 

 気が気じゃなかったわ、正直。

 

「最悪ルキフグスぶっ倒した後で応援に向かおうとしてた」

「ラ、ライアー……でも、自分より硬くてデッカイ相手には勝てないんでしょ?」

「……プスッ!」

「大分刃渡り短い正論のナイフでしたね」

「果物ナイフサイズです」

 

 やかましい!

 俺はその気になれば巨神兵(ネフィリム)にだって勝てるんだぞ!? ただ、あまりにもあんまりな発動条件のせいで出しにくい切り札だから出し渋ってるだけで……本当にヤバい状況になったら迷わず使うけども。

 

「まあでも、アータンとマインを信じてたから任せられた。それは本心だ」

「ライアー……」

「今後も頼りにしてるよ」

 

 茶目っ気たっぷりにウインクしてみせれば、思いのほか感極まったご様子のアータンが鼻っ面を赤く染めていた。なんだいなんだい、そんなに嬉しかったか。

 

「うん! 私、頑張るよ!」

「ワタシも誠心誠意、頑張らせていただきます」

「ああ……──このだらしない野郎共を、どうか支えてくれぇ……」

「ライアー……」

 

 途端に情けなくなってしまった。

 だって事実だもん。見てみ? この酒に飲まれて死にかけの男性陣を。

 

 俺の名前を呼ぶアータンの声も一トーンぐらい下がっちゃってるもの。失望の色がはっきりと窺えてしまえるよ。

 

「──それでライアー。いつここを出立するのだ?」

「泥酔のベルゴ……?」

「やめろ。その異名は」

 

 いつの間にやらグロッキーから復活したベルゴが合流する。

 3/5が泥酔しているという終わった状況の中、始まるのは今後の旅程についてだった。

 

「聖都の復興もだいぶ進んだ。あまりオレ達も長居する必要はないだろう」

「マインちゃんの魔法で結構建物も直りましたからね~」

「そうだよ! マイン大活躍! 金鉱採掘依頼も、マインが巨人になって持ってきた黄金で募集しなくなったしね」

 

 そうそう。

 俺達が本来受注していた依頼──魔人化してしまった住人用免罪符の素材集めは、マインが持ち帰った金のおかげで必要数に達したという話だ。

 

「冒険者の方々には悪いことをしてしまった気がしますが」

「まあまあ。代わりに騎士団は復興依頼で冒険者を募ってるし、むしろ安全に金稼ぎできるだろ」

 

 命あっての物種だ。

 危険な魔物が犇めく〈迷宮〉で一発逆転を狙うより、地道かつ安全に金を稼ぐのが一番よ。

 

「俺達がやれることはやった。本来の旅路に戻ろうぜ。な、マイン?」

 

 ここで新たに加わった俺達の目的が一つ。

 

「モアちゃん……でしたっけ?」

「マインの妹だよね?」

「どうにもオレ達は家族探しに縁があるようだ」

 

 マインの妹──モア。

 本物勇者一行の〈強欲〉担当とでも呼ぶべきだろうか。本来史実(げんさく)では本物勇者一行に倒されてそのままだったマインだが、無事にこうして生き残った以上、唯一生きている家族に会いたいと思うのは当然の話だ。

 

「少し前にここを経ったらしいしな。足取り追えばいつかは会えるだろ」

「……はい」

「まあまあ、気楽に行こうぜ。ちょっと寄り道するぐらいが、土産話が増えて会った時に楽しめるもんさ」

「……はい!」

 

 マインの返事も心なしかやる気満々だ。

 

「いよいよオレ達も魔王と対峙した訳だしな」

「いやあ、ビックリしましたよ。急に雰囲気が変わるんですもん」

「でも、結構戦えてたよね。もしかして私達って結構強い?」

「相当イケてる☆」

 

 俺がピースしてみれば、ベルアスータン(ベルゴとアスとアータン)もピースを返してくれる。ノリがいいな、この仲良し共。

 

「……実際、魔王に殺された奴は居なかったみたいだしな」

「そうなの?」

「ああ」

 

 聞いた話によれば、精々重傷止まりだったらしい。

 死者という観点から見れば0スコア。そこらへんの雑魚悪魔の方がまだキルスコアは高いだろう。

 

 初手であれだけの魔法を放ったのに──。

 

「……」

「な~んだ。それなら次会った時は倒せるかも!」

『アータンが言うとシャレにならないんだよな……』

 

 ハモっちゃったよ。

 

 いや、でも実際本当の話だ。

 単騎で巨神兵殺しできたら、それはもうギルシンⅥのラスボスを殺せるようなもんなのよ。成長期って怖いわぁ……。

 

 そうして俺達が感慨深さと畏怖をアータンに覚える頃、マインは鼻息を荒く拳を振っていた。

 

「それなら今後の度の安泰ですね。では、早速出立しましょう」

「おいおいマイン。……ご覧?」

「すみませんでした」

 

 死に体のグロッキー野郎共を見せて、急くマインの足を食い止めることに成功する。

 せめて明日まで待ってくれ。

 

「あー!」

『ん?』

「金ぴかの姉ちゃんだー!」

 

 明日に向けて宿屋に帰ろうとしたその時、どこからともなく現れた子供がマインの下に駆け寄ってきた。

 

「知り合いか?」

「いえ。そう言う訳では」

「──こら、あんた! いきなり失礼でしょ!」

 

 少し遅れて母親らしき女性が現れて駆け寄ってきた子供を引っ叩く。スパァン! と鳴り響く音からするに、この母親……慣れてるな。音だけで余り痛くないのか、子供もケタケタと笑っている。

 

「すみません! うちの子が……!」

「いえ、ワタシは構いません」

「この子、『あの巨人の正体が知りたい!』だなんてあっちこっちに聞き回って……」

「姉ちゃんがあのダイダラボッチと戦ってたんでしょー!?」

 

 キラキラと光り瞳は、まるで憧れのヒーローを前にしたそれと同じだった。

 そして、口から放たれたのは──。

 

「あんがとー!」

「……!」

「遠くから見てたけど、すっごくカッコよかったー!」

 

 感謝。

 続けて子供は、手に持っていた大きなりんご飴を差し出した。

 

 呆けた顔で差し出されるがまま受け取ったマイン。

 すると、今度は母親が口を開く番だった。

 

「あたしにも礼を言わせてください。貴方のおかげでこの通り──お腹の子も無事でした」

 

 母親は膨らんだお腹を撫でる。

 自分のとは別に、自分以上に大切だと断言できる命を宿した彼女は深々と──それは深々と頭を下げた。

 

「大したお礼はできませんけれど、せめて感謝の言葉だけでもと」

「──いえ。ワタシは……アナタのお子さんが無事に生まれてきてくれることを、心より祈っております」

「ありがとうございます! ありがとうございます……!」

 

 一頻り頭を下げ、感謝の言葉を口にしてから親子は帰路につく。

 

「金ぴかのねえちゃん、ありがとー!」

 

 そして、最後まで子供は手を振っていた。

 

 見えなくなるまで、ずっと、ずっと──。

 

「……なんか良いな」

「……」

「あの家族を守れたのも、マインが命を懸けて戦ったおかげだぜ」

 

 掛け値なし、本心からの言葉を投げかける。

 しかし、一向にマインから言葉が返ってこなかった。

 

「……マイン? ……泣いてるの?」

 

 俯くマイン。

 唯一彼女の表情を読み取れたのは、下から覗き込めるアータンだけであった。

 

「何故でしょう」

「ど、どこか痛いの!? 大丈夫!?」

「あの方々を見ていたらお母さんのことを思い出しました」

「お母さんを……?」

「そうしたら急に……『お母さんにはもう会えないんだ』と思って……ッ」

 

 声と肩を震わせるマイン。

 そんな彼女が零した水が地面を濡らす。

 

 

 

「今になって寂しくて、悲しくて……堪らなくなりました……ッ」

 

 

 

 錬金術でもなんでもない。

 心から作られた大粒の涙を、マインは絶えず流し続ける。

 

「マイン……」

 

 それを見た俺達は、そっと彼女に寄り添った。

 傍に並んだり、手を繋いだり。あるいは肩や頭に手を乗せて、出来る限り彼女の傍に付いて離れずに居るように。

 

 

 

 彼女の涙が止まるまでずっと、ずっと──。

 

 

 

 ***

 

 

 

 かくして偽物の錬金術師の物語は終わった。

 偽物から始まった命。

 そして、偽物のまま終わるはずだった運命は、他ならぬ偽物達の尽力によって本物の命を宿すまでに至った。

 

 冒険は、疾うに折り返し地点を過ぎている。

 〈嫉妬〉、〈怠惰〉、〈色欲〉、〈強欲〉──着実に揃いつつある七つの〈大罪〉は、来たる魔王との決戦に備えた人類の力だ。

 

 しかし、世間を恐れ戦かせる魔王は健在だ。

 〈暴食の魔王〉、〈憤怒の魔王〉、そして〈傲慢の魔王〉……。

 

 プルガトリアの大地を脅かす魔の手を打ち払うには、彼らを打ち倒すしかない。

 

 だが──運命はすでに捻じ曲げられている。

 

 これは〈虚飾〉の物語。

 悲劇を嘘にする物語。

 嘘吐き(ライアー)の──全てを救う物語なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四章

強欲の錬金術師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 場所は王都ペトロ。

 酒場の名は『Butter-Fly』。

 

「ぷはぁ~! やっぱり飲むならここね!」

 

 ムサい男ばかりが集う、それが冒険者酒場というもの。

 だが、今日は一つ華やかなテーブルが存在していた。誰も彼もが若く、見目麗しい女性ばかり。一人だけ頑なに鉄仮面を外さない人物が居るが、それを差し引いても眼福な光景であることは確かだった。

 

「はしたないぞ、アイベル」

「いいじゃない、久しぶりの王都なんだから! パ~ッと飲んだって」

「ご当地の料理を食べるのも乙だけど、食べ慣れた味も恋しくなるもんね」

「それにしても美味しい店を見つけられたよね。今度から、ここを行きつけにしないかい?」

「モアも賛成」

 

 大皿に盛り付けられた数々の料理を仲良く取り分けながら、時折樽ジョッキの酒を呷る。

 風貌こそ美麗な彼女達であるが、中身がれっきとした冒険者であると分かる、見ていて気持ちのいい食べっぷりであった。

 

「にしても、次はどこを目指そうかしら?」

 

 とアイベル。

 

「行っていないのはイーラ教国とグーラ教国だ」

 

 エルが鉄仮面の口元の汚れを拭う。

 

「魔王の足取りを追うはいいものの中々収穫はないね……」

 

 ルキは、食べかすが零れたテーブルを布巾で拭きとる。

 

「いつものように情報収集かい?」

 

 ワインを口に含み、ヴァザリアが続けた。

 

「異論なし」

 

 モアは首肯する。

 

「そんじゃ決まりね。さてと、そんじゃあ早速……」

 

 

 

「──おい、聞いたか。あの噂」

「あれだよ? 王国騎士団が魔王の根城を見つけたっていう」

「第二王子もやり手だな。第一王子が死んだら、途端に張り切って……」

 

 

 

「ちょっと、そこな!」

 

 突然立ち上がるアイベルに、カウンター席に座っていた男達の肩が跳ねる。気付けば男達の周囲をアイベル達が取り囲み、満面の笑みで彼らに詰め寄っていた。

 

 

 

「詳しい話──聞かせてもらえる?」

 

 

 

 拒否権など、ありはしない。

 

 

 

 

 




Tips:ステータス(偽物勇者一行)
☆1:最低限
☆2:ほどほど
☆3:まあまあいい
☆4:中々優れてる
☆5:凄く優れている
☆5~:パネぇ

ライアー(通常)/Lv70
HP:☆☆☆
MP:☆☆☆
ATK:☆☆☆
DEF:☆☆☆
INT:☆☆☆
AGI:☆☆☆☆

アータン(通常)/Lv40
HP:☆
MP:☆☆☆☆☆~
ATK:☆
DEF:☆
INT:☆☆☆☆☆~
AGI:☆☆

ベルゴ(通常)/Lv60
HP:☆☆☆☆☆
MP:☆☆☆
ATK:☆☆☆☆☆
DEF:☆☆☆☆☆
INT:☆☆
AGI:☆☆☆

アス(通常)/Lv45
HP:☆☆☆☆
MP:☆☆☆
ATK:☆☆☆☆
DEF:☆☆☆
INT:☆☆☆☆
AGI:☆☆☆☆☆

マイン(通常)/Lv30
HP:☆☆☆☆☆
MP:☆☆
ATK:☆☆☆
DEF:☆☆☆☆☆
INT:☆☆☆
AGI:☆

*あとがき*

ここまで『嘘吐きは勇者の始まり』を読んでいただき、誠にありがとうございます。作者の柴猫侍です。
色々とリアルの都合が重なってしまい、間が空いた投稿となってしまいたが、これにて第四章完!です。長々とお待たせしてしまい、大変申し訳ございませんでした。
年末の挨拶や4月1日の投稿でも触れさせていただいた通り、嘘勇の書籍版は2巻(嫉妬の魔女編)で完結という形と相成りました。この度は貴重な経験をさせていただき、書籍化に携わっていただいた関係各位様、また応援してくださった読者の皆様に至るまで、本当にありがとうございました。

それはさておきWEB版は続いて参りますので、どうぞ今後とも嘘勇をよろしくお願いいたします。
それにつきまして投稿の形ですが、やはり『書き溜め』→『連投』のスタイルが自分に一番合っていると判明いたしましたので、五章もそのスタイルでということで……再び間が開いてしまいますが、ご理解・ご了承のほど……何卒。

さてさて、本文でも触れました通り本作も折り返し地点を過ぎました。
五章からはさらなる激戦、そして物語の真相に迫っていく形となります。今後の嘘勇をお楽しみに!

それでは、柴猫侍でした。
五章まで……しばしさらば!
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