ダクネスの兄セフィロス   作:影後

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妹の仲間達

 

「ハァ!」

 

「フンッ…まだまだ、だな」

 

「セフィロス、舐めんなよ!」

 

アクセルの街の正面平原で、

2人のソルジャーが模擬戦を行っていた。

ラ系、ガ系の魔法は無し。

ザックスはバスターソード、セフィロスは正宗、

ザックスのバスターソードはクラウドが

バスターソードをザックスの墓標にし、

フュージョン・ソードを所持しているためエリスが、

気を利かせてザックスへ完全なコピーを与えたのだ。

 

「流石だな、ザックス」

 

「セフィロスも相変わらずな!」

 

カエルが居ようがいまいが構わず、大地は抉れ、

斬撃が飛んでいく。

光波なんて出していない。本当に斬撃が飛んでいる。

ザックスは其れ等を時に回避し、

時に弾き飛ばし、セフィロスに迫る。

 

「フッ…」「なっ…」

 

ザックスの一撃で地面が沈む。

それほどの一撃なのに、やはりセフィロスには効果がない。

ザックスも伊達に1stじゃない。

アクセル付近のモンスター程度なら一太刀で終わらせる程の、

実力者であることに違いない。

しかし、それでもセフィロスの相手は苦しいものがある。

一度倒した相手でも、今のセフィロスではない。

今のセフィロスは過去を受け入れ、一人の男。

セフィロスとして、英雄として生きている。

家族を愛し、JENOVAを拒絶し戦う男なのだ。

 

「今日はこれまでだ」

 

「なんだよ…せっかく良いとこまで」

 

「これ以上は街が危ない、知っているか?

俺と、ジェネシス、アンジールで神羅ビルを

破壊しかけた事がある」

 

「アンジールから聞いたよ。

シミュレーターもブッ壊した奴だろ?」

 

「あぁ、だが今回はシミュレーターではない。

朝食を食べに行こう。仕事の開始だ」

 

「ソルジャーのな!」

 

「そうだな」

 

ザックスはセフィロスにハイタッチを行い、

セフィロスもそれに応える。

過去の蟠りは未だあるだろう、だがセフィロスもザックスも、

共に歩き出している。

 

「セフィロ……セフィーさん!にザックスさんも!」

 

「あ、ルナ…さんだっけ?どうしたの?」

 

「いえ、その街の周囲で戦闘音が響いていたと」

 

「それは俺達だ、朝の訓練だな。

そうか…騒音被害が出ていたか?」

 

「え……はい、街の冒険者の方達も慌てていて」

 

「済まないことをした。

こうして、共に打ち合える相手がザックスしか居なくてな。

つい……何か被害がある場合、補填しよう。

ギルドからも注意を受けた事を大々的に伝えて欲しい。

犯人はセフィーだと」

 

「いえ、原因が分かれば私達は大丈夫ですよ。

むしろ、セフィロス様の訓練に付き合える方が居たほうが」

 

「ルナさん、甘やかしちゃ駄目だぞ?

セフィロスってこう見えて抜けてるし、

世間知らずなとこもあるし」

 

「抜けていると世間知らずは余計だ」

 

それは誰にも見せたことのない笑顔、

家族に向けるものではなく真の友人に向ける笑顔。

セフィロスがセフィーとして活躍し、ルナがアクセルの

受付として働いて初めて見る英雄の素顔。

 

「そうだ、朝食食べようと」

 

「奥の席が空いていますよ、ザックスさん」

 

「ありがとうございます!行こうぜ、セフィロス!」

 

「セフィーだ」

 

セフィロスとザックスは優雅な朝食を食べ終えた後、

仕事を見る。

 

「緊急性の高い依頼は無いな」

 

「なら溝掃除でも」

 

「ザックス、その手の仕事を奪うことは駄目だ。

其れ等は戦えない者達の仕事だ。

生きるためには金がいる。

わざわざ俺達がその依頼を受けて、そのような者達から

仕事を奪う事をしてはならない」

 

「そう言うもんなの?」

 

「それに溝掃除等は子供の小遣い稼ぎにもなる。

実際、依頼と称してアルバイトの募集もあるからな」

 

「そうですね。

建設現場や林業の関係者からも依頼を受けて

それを掲載しますので……」

 

「へぇ……って、ルナさん?!いきなりどうして」

 

「その、緊急性の高い訳では無いのですが……

実は、ワイバーンの群が巣を作っていまして」

 

「え?それって一大事じゃないの?!」

 

ザックスが叫ぶ。

ワイバーンというモンスターは飛行能力は拙く、

滑空することで飛ぶ種類のモンスターだ。

だが、地上での動きは思いの外素早く、

壁を自身の爪を使い登る事や脚力を活かした跳躍も見せる。

更に雑食性であり、危険なモンスターに分類される。

 

「その、周囲にはジャイアントトードも多く、

餌は十分だから警戒線さえ引けば問題がないと……

その貴族の方から」

 

「アルダープか……」

 

「はい、その……」

 

「……セフィロスとしての権限であれば、

即決裁判により死刑もできるが」

 

「セフィロス、そんな権限持ってるのかよ」

 

「あるにはある、が……ここでそれを使ってしまえば

英雄セフィロスが個人的な理由で殺害したとなろう。

ダスティネス家に迷惑はかけられん」

 

「そう言えば、貴族だったよな」

 

「貴族だが、俺は名ばかりだ。

拾い子であるからな、全力で家の為に働いたら、

気付くと英雄だ。しかし……」

 

「お願いします。

脅威度が低くされていますが、

下手に初心者が受けてしまえば死者が出ます。

セフィー、いえ英雄セフィロス。

どうか、アクセルの街のためご協力ください」

 

「言われるまでもない」

 

セフィロスはそう言いながら微笑む。

ザックスがよく見た笑顔、憧れた英雄の顔だ。

 

「じゃあ行こうぜ、セフィロス!」

 

「あぁ、行くぞ。ザックス」

 

セフィロスとザックスはそのままワイバーンの巣のある

区画を確認する。

飛べないザックスと違い、セフィロスは飛べる。

空中を舞うワイバーンだろうと一太刀で肉片に変えられる。

 

「……ワイバーンの巣なんて何処にもないぞ」

 

「ザックス、気を抜くな。

この様な場合」

 

「もっと酷い事になる!だろっ!」

 

ザックスは己に迫る何者かに向けてバスターソードを

振るった。それは地中から現れた怪物だ。

ギチギチと顎を鳴らしながら、数多の複眼に自身の体が映る。

体躯は1.8m程の昆虫系モンスター。

数多の昆虫の良い所をキメラにした様な怪物だ。

 

「モンスターだよな、やっぱり!

しかも昆虫系の!!」

 

「此奴は何だ?蜘蛛じゃないな……蜻蛉でもない」

 

「そんな話ししてる暇ないでしょうが!」

 

ザックスがそう言うと昆虫系のモンスターに囲まれていた。

どうやら大量に生息しているらしい。

 

「魔法は使うな、サンプルとして最低でも5匹は回収するぞ」

 

「え!?」

 

赤羅様に30匹以上はいる昆虫モンスター。

いくら背中に英雄がいると言えど、この数は疲れる。

ザックスは無理言うなと内心思ってしまう。

 

「1stだ、これぐらい簡単だ」

 

「……そう言われたらやるしかないだろ」

 

ザックスは覚悟を決め、バスターソードを顔の前で持つ。

 

「夢を抱きしめろ

そしてどんな時でもソルジャーの誇りは手放すな。

…だよな、アンジール。

いらっしゃいませー!」

 

「ハァ!」

 

セフィロスは正宗を。ザックスはバスターソードを振るう。

昆虫モンスター達の甲殻は異様に硬いが、

その程度でクラス1stのソルジャーたる二人を

とめることはできない。

 

「力任せで行け、お前の武器はそういうものだ」

 

「なんで雑談する余裕があるのかなぁ…ったく」

 

ザックスも倒しているが、背中にいるセフィロス程ではない。

セフィロスは正宗で斬っているのだ。

バスターソードでも斬れない甲殻を一瞬で真っ二つにし、

内臓や体液を垂れ流す死骸を作る。

たいして、ザックスは潰すように倒している。

甲殻を砕き、中の臓器もグチャグチャになる。

それでも一部以外が比較的マシな上、

セフィロスの様に良すぎる斬れ味から死骸がとんできたりと

言った事は全然ない。

 

「ファイア!」「サンダー」

 

魔法を使う二人サンプルの確保を考えていた為、

最小限だが効率は更に上る。

 

「…使えるな」

 

「何考えてるか知らないけど!

なんかもっと増えてきた!!」

 

「サンプルは十分だ、焼き払うか?」

 

「俺、セフィロス程の魔法使えない!」

 

「わかった、俺がやる」

 

セフィロスの翼が広がるとザックスを掴み空に上がる。

それを虫たちは大群で追い掛ける。

だが、戦闘中とは思えない程に大群が押し寄せる。

 

「サンダガ」

 

ガ系魔法、最強魔法には劣るがそれでもセフィロスという

存在が放つのだから全てを飲み込む雷となる。

感電し、意識を完全に失い堕ちていく虫たち。

 

「……セフィロス、何で飛んだんだ」

 

「アレは群体だ。アリや蜂の様な生態だと思った。

予想以上に働き蜂が多いようだ」

 

「あぁ、セフィロス。念の為他にもサンプルを」

 

ザックスがそういった瞬間、森に爆炎が巻き起こった。

セフィロスとザックスまで巻き込まんとする攻撃に二人は

落下してしまうが、空中で体勢を立て直す。

 

「なんだよ…これ……」

 

「森が……灼けている」

 

セフィロスなら同じ事を出来るだろう。

だが、誰も居ないと予想できない場所でこの様な暴挙をする程、

今のセフィロスは狂っていない。

 

「あっ…セフィロス兄さん」

 

「なに?」

 

セフィロスが正宗を抜き、

爆心地の調査を始めようとした時背後から声がした。

 

「ひっ……セフィロスだ……セフィロスがいる?!」

 

「え…何で、絶対偽物でしょ!あり得ないわよ」

 

「え…英雄セフィロス…なんで……え?」

 

「ララ「おほん!」ダクネス、どうした。

ここは危険だ、何者かが巨大な爆発を起こした。

今すぐ調査する必要がある。

それに…そこにいる二人はかつて俺が見た未熟者だ。

アクセルに戻れ、お前でも足手まといを護りながら戦えまい」

 

「大丈夫だ、兄さん!カズマは冒険者だが、

アクアはアークプリースト!

そしてめぐみんは紅魔族でアークウィザード」

 

「…ダクネス、蘇生魔法も回復魔法も黒魔法も俺も

ザックスも使えるぞ」

 

「それは兄さん達がおかしい」

 

ザックスとララティーナ改めダクネスが話し始めた事で、

戸惑っていた三人が会話に混ざる。

 

「なぁ、俺達が未熟者って」

 

「カズマ!駄目です!

セフィロスは、セフィロスにだけは変な事をしちゃ駄目です!

セフィロスはこの国の英雄なんですよ!」

 

(は?え?エリス…は?)

 

「英雄って……」

(アクア、どうした)

 

カズマは小声で顔を青くしたりするアクアに話しかける。

 

(あのセフィロス、マジで本物のセフィロス。

魔王だけじゃなくて、この世界にジェノバがあって、

ついでに倒せる人を送ってあるって)

 

「セフィロス、早く行こう。調査もまだまだだろ?」

 

「あぁ、ザックス」

 

「ザックス・フェア?!」

 

「あれ?さっきセフィロスっても言ってたしもしかして

俺達のファン?じゃあ、握手しよう!握手!

ほら、セフィロスも!!」

 

「……ザックス」

 

セフィロスは額に手を当てて首を振る。

ザックスの人当たりの良さは知っているが、

こう仕事と私生活の態度は分けてほしいと思えてしまう。

 

(エリス曰く、死んだザックスを連れてきたって。

そしたら、ジェノバにセフィロスが反旗を翻して、

ザックスと共にジェノバと戦うセフィロスと、

ジェノバの子供としてのセフィロスがこの世界に?!)

 

(冗談じゃねぇ!魔法よりもヤバいじゃないか!)

 

星を巡るライフストリーム。

それを奪い取り、星を喰らうジェノバ。

カズマは天国に行った方がマシだと思えてきてしまう。

 

「それで……あの、お二人は何を」

 

「あぁ、ワイバーン狩りに来たんだけど昆虫系モンスターに」

 

「…ザックス、同じ職業といえど無闇矢鱈に情報を話すな。

ミッションには機密性の高い」

 

「セフィロス!これはソルジャーの任務じゃないって!

依頼だよ、依頼!肩の力抜いて大丈夫だって」

 

「はぁ…お前は抜き過ぎだ」

 

セフィロスとザックス、良き相棒と言える姿に驚くが

それよりも話す必要がある。

 

「えと、その爆発……俺達です」

 

「……なに?」

 

「その、めぐみんに何の魔法が使えるかと確認して爆裂魔法を」

 

「……わかった。

最悪処分がくだるが免責になる方で掛け合ってみよう」

 

「え?処分」

 

「当たり前だ。

環境破壊活動で生態系が変化することもあり得る。

特に、現在俺達が来たこの森には未確認のモンスターがいる。

しかもアリや蜂の様な社会性昆虫系モンスター。

しかも、かなり獰猛なものだ。

お前達の行動でそれがアクセルに向かってみろ」

 

「すみません」

 

「あぁ、だがお前は隠さなかった。

それは良いことだ。正直な人間ほど泥を被るというが、

俺はそんな事を認めない。正直な人間程よくあるべきだ。

今回は事故として処理しよう。ザックスもそれで良いな」

 

「りょーかい!」

 

「……それとだ、前回カエルに食われそうだったな」

 

「え…はい」

 

「初心者用の訓練施設がアクセルにはある。

そこで訓練なりを受けるのも良いだろう。

また、無闇矢鱈に戦うという選択肢も捨てるべきだ。

自分にあった武器や装備をてにするため、

溝掃除や土木建設の依頼を受けるのも良いだろう。

土木建設の依頼は肉体労働であり、身体能力の向上にもなる。

また、溝掃除は汚れ仕事だがその分報酬も高く、

常設依頼となっている。貯金を貯めるにも良い」

 

「え?あの、ありがとうございます」

 

「死ぬ事を恐れ、生きる事を優先しろ。

行くぞ、ザックス」

 

「語るねぇ、セフィロスも」

 

「ふっ…俺らしくないな」

 

セフィロスとザックスはそのまま森の奥へと向かう。

 

「やべぇ……セフィロスかっこいい」

 

「だろ!セフィロス兄さんは格好良いんだ!!」

 

「ん?てかセフィロス兄さんってなんだよ!」

 

「えと…その幼馴染だ!幼馴染!!」

 

和気藹々としながら、

ダクネスのパーティーもアクセルへ

帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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