亜空の王はここにあり   作:自堕落無力

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百二話

 

 グリトニア帝国領内にある『白の砂海』ことバニラ砂漠を縄張りとして訪れる者に対し、試練を与えてそれを乗り越えた者に加護を与える上位竜、グロントこと砂々波は途轍もなく驚愕していた。

 

 彼女は竜種として長寿であるのもそうだが、記憶を残したまま転生する術を有しているために千年期を越えた長い生を生きている。そんな彼女にとって今回、バニラ砂漠を訪れた真は規格外であり、超常の存在であった。

 

 自分が与える試練――砂や炎のトラップは勿論、割れる砂漠に砂の竜巻、方向を狂わせる蜃気楼、燃え盛る砂の河etc(エトセトラ)……その全てを真っ向から捻じ伏せては打ち砕くのだから。

 

 しかも進むスピード自体も異常であった。とはいえ、いくら規格外であろうとこれまでの挑戦者の事を思うと申し訳ないので最後に今までやった事が無いが、全力の術式で障害を用意した。

 

 大量の砂を巻き上げて狂暴な意思を持つ白炎を纏わせ、円錐を形作るように螺旋軌道で回転させた障壁であり、どんな防御力を誇る者だろうと一瞬で刻み、溶かし、塵にするものだ。

 

 そんな障壁を真はとんでもない質を有している力を放ったかと思えばそんな障壁など存在しないかのように透過してしまった。同行している者達も含めてだ。

 

 

 

「こんにちは、上位竜のグロント……僕は深澄真だ」

 

 真が祠の中にいるグロントへと自己紹介をしつつ、頭を深く下げる。

 

「やあ、砂々波、久しぶりだね。いつもお仕事ご苦労さん。僕は今、万の名を与えられていてそこの真君と支配契約を交わしているよ。従者としてね」

 

 

「俺は違うが真の仲間ではある。……名は御剣だ。久しぶりだな」

 

「そして儂は巴じゃ……ふふ、儂も万のように若様――真様と支配契約を交わしておる。儂が従者としてな」

 

 上位竜たちもそれぞれ、グロントに自己紹介した。

 

「……ルトにランサーに蜃……成程、そこの真とやらは本当にとんでもない規格外って事ね。そんな貴方が私の加護なんて必要ないと思うのだけれど、何の用件で来たのかしら?」

 

 グロントは上位竜が三体も真に仕えていたり、仲間である事に混乱したが直ぐに真が見せた実力の片鱗から納得する。

 

「僕達の仲間になってほしいんだよ。この世界を管理する女神から神の座を奪うためにな。そう、僕がこの世界の神になって新しく管理するんだ」

 

「ふふ、世迷言とは思えないのがなんとも思えないわね……まあ、実力的には仲間になっても良いけれど……私には竜としてのプライドがあるわ。貴方の力、精神、実際に見てみない事には頷くわけにはいかないわね」

 

「だろうな、それじゃあ踊ろうか」

 

 砂々波は闘志を発しながら言うとそれに真も闘志を放って対峙するのであった……。

 

 

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