籾岡里紗の弟です。   作:マルマイン

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第4話

「ふぅ、やっと落ち着いた……」

 

お風呂に浸かりながら、光は安堵の息を漏らします。

 

(お姉ちゃん、最近本当にスキンシップが激しいんだよな……)

 

昨日からの一連の出来事を思い出し、真は少し頬を赤らめながらお湯で顔を洗います。

 

ガラッ!

 

「光〜!背中流してあげようか〜?」

 

「うわっ!?入ってこないでってば!!」

 

脱衣所の扉が勢いよく開き、裸の里紗が顔を覗かせました。

 

「え〜、減るもんじゃないし、昔は一緒に入ってたじゃん!」

 

「今はダメ!ほら、閉めて!」

 

「もう入っちゃった~」

 

光が扉を閉めようとしますがそれよりも先に里紗が風呂の中に入ってきます。

 

「ちょっ」ぎゅ

 

抗議しようとする光を里紗は正面から抱きしめます。

抱き締められた光は里紗の胸に顔が埋もれもぞもぞと抵抗していますが離れられなくなっています。

 

「観念しなさい!」

 

捕食者の目となった里紗に真はなすすべがありませんでした。

 

ーーー

 

翌日

 

放課後の通学路、美柑と光が並んで帰宅していました。

 

「美柑ちゃん、すっかり良くなったみたいで安心したよ」

 

「うん、昨日は本当にありがとう。光のおかげでプリントも助かったし」

 

「ふふ、どういたしまして!」

 

美柑は少しだけ申し訳なさそうな顔をして、光を見つめます。

 

「……モモさんが変なことしてごめんね」

 

「あはは……モモさん、すごく積極的だったからびっくりしたけど」

 

「あらあら、噂をすればなんとやら、ですね」

 

「えっ?」

 

二人の前に、ピンク色のショートヘアの少女――モモがふんわりとした笑顔で立っていました。

 

「モモさん!どうしてここに?」

 

「美柑さんのお迎えと、昨日の可愛いお客様にもう一度会えないかと思いまして」

 

スッ……

 

モモは滑らかな動きで光の背後に回り込むと、昨日と同じように両手で光の頬を包み込みます。

 

「んんっ……モモさん!?」

 

「やっぱり何度触ってもモチモチですね。光君、私の弟になりませんか?」

 

「えぇ!?僕にはお姉ちゃんが……」

 

「ちょっと!!私の可愛い弟に何してるの!?」

 

その時、凄まじいオーラを放ちながら里紗が猛ダッシュでこちらへ向かってきました。

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

ガバッ!

 

里紗はモモから光を奪い返すように、背後から強く抱きしめてガードします。

 

「あら、噂のお姉さまですか?」

 

「どうも初めまして!私は光の姉の里紗!ウチの大事な弟に手を出さないでもらえるかな?」

 

里紗は満面の笑みですが、目は全く笑っていません。バチバチと火花が散るような視線がモモに突き刺さります。

 

「ふふ、初めまして里紗さん。私はモモと言います。光君があまりにも魅力的だったので、ついスキンシップを」

 

「つい、じゃないから!光のモチモチの頬を触っていいのも、その匂いを嗅いでいいのも私だけなの!」

 

「お姉ちゃん、恥ずかしいから大声で言わないでよ……」

 

「あら、姉弟愛が深くて素敵ですね」

 

モモは余裕の笑みを浮かべたまま、里紗を挑発するように小さく首を傾げます。

 

「……ララちぃの妹さんだっけ。なかなかの曲者ね」

 

「里紗さんこそ」

 

(……なんか、すごい空気になってる)

 

間に挟まれた光と美柑は、顔を見合わせて苦笑いするしかありませんでした。

 

その日の夜。

 

「ねぇ、光」

 

「ん?」

 

里紗の部屋。ベッドの上で、里紗は光を抱き枕のように抱え込んだまま離そうとしません。

 

「あのモモって子、絶対光のこと狙ってるから。これからは気を付けるんだよ?」

 

「狙うって……僕、まだ子供だよ?」

 

「子供でも光は特別可愛いんだから!あーもう、心配で心配で……そうだ!」

 

「え、何?」

 

里紗は何かを閃いたように、怪しく目を輝かせます。

 

「明日から、光私の香水着けてから学校に行くこと!」

 

「ええっ!?なんで!?」

 

「『この子にはお姉ちゃんっていう絶対的な持ち主がいますよ』っていうマーキング!他の虫がつかないようにね!」

 

「そんなことしなくても、僕はお姉ちゃんと一緒だよ?」

 

「いいの!光は一生私に愛でられる運命なんだから!えいっ!」

 

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ

 

「わぁっ!お姉ちゃん、キスばっかりしないでー!」

 

光はいつもの事とばかりにキスをしてくる里紗に笑顔を向けていました。

 

「ん?お姉ちゃん?」

 

つい先日も起きた、里紗の顔から笑みが消えました。

 

光はこの表情の変化を見てただそのまま思ったことを口にしました。

 

「我慢しなくてもいいんだよ?」

 

「…それ、意味わかっていってないでしょう?」

 

「なんとなくお姉ちゃん何かを抑えようとしてると思ったから」

 

「じゃあ、遠慮なく」

 

里紗はそういうと、光の口に自分の唇を押し付けました。

 

夜の部屋に、光と里紗で何かをする音が僅かにずっと響いていました。

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