伝説のスイーパーの弟子がリコリコの世界に行く話   作:Mr.不器用

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随分と遅くなりました。多分次回もこのくらい空いての投稿かと・・・・


二人の師匠

「で、これはいったいどういう状況」

 

 店に戻って来てみたらこれまたすごいことに。海坊主師匠はさも当然のごとくエプロン来てカウンターに立ってるし、師匠はたきなから凄い睨まれてるし。何がなんだかわけがわからない状況だ。

 

「優ちゃん助けてよーぼくちゃん何もしてないのにシティーハンター名乗ったら女子高生に睨まれてるんだけど」

 

「何したんですか師匠」

 

『師匠!?』

 

 リコリコメンバーから驚きの声が上がる。女子高生に睨まれたからと言って助けを求める情けない姿を見てるととても信じられないだろ。

 

 まぁたきなの睨み具合がすごいと言えばすごいのだが。まるで親の仇を見つけたかのようだった。

 

「えーここの店に入ってそこにいるお姉さんにナンパしただけなのに~」

 

「店に入り次第ナンパをするなー!」

 

 ここでお決まり100tハンマー。もちろん師匠はくらって床にのめりこむ。この光景を見ると実家に帰ってきた安心感がある。

 

「ごめんなさいね。こいつが迷惑かけたみたいで。あなた名前は?」

 

「井上たきなです。えっと、そのハンマーはどこから」

 

「え?これ?えーとポッケ?」

 

「その大きさのハンマーが入るとは思えないのですが」

 

「ま、まぁそこは気にしないで」

 

「それでたきなはどうして師匠をあんなに睨んでたんだ?」

 

「それは・・・・」

 

 師匠が店に入ってからの行動を一通り聞いた。本当にこの人はぶれないな。まさか別の世界に来てすぐにナンパをするとは。そこはさすが師匠といったところか。

 

「冴羽さんすみませんでした。まさか本当にシティーハンターで優さんの師匠だったなんて」

 

「たきなちゃん、気にしなくていいのよ。獠のいつもの姿見てたら誰もシティーハンターだなんて思わないから」

 

「そうだ。気にすることはない。こいつが全面的に悪いからな」

 

「まぁ師匠はその程度のことで怒る人じゃないから気にしなくていいよ。ですよね、師匠?」

 

「外野が辛辣すぎる気がする。まぁ過ぎたことだ気にしなくていい」

 

「ですが」

 

 相変わらず頑固なものでいまだに申し訳なさそうにしている。

 

「まだ気にしているようだな」

 

「尊敬する人の師匠に無礼を働いてしまった以上先ほどの自分の行動が気かに軽率だったか」

 

「そうだな。ではこうしよう。君は姉妹はいるか?」

 

「い、いえいませんが」

 

「そうか。では年上の知り合いは」

 

「あまり多くはないですが多少はいます」

 

「では、その子を紹介してくれないか?」

 

『は?』

 

「君は罪悪感をなくせて、僕ちゃんは女性と遊べてまさにWinWin。やっぱぼくちゃんって天才かも」

 

「己は少しは自重しろ―!」

 

「うぅ、い、痛いよ香ちゃん」

 

 これぞ、まさにいつもの光景だな。

 

「そう言えばすっかり忘れてたけど、どうしてファルコンはエプロンを着ているの?」

 

「わ、忘れてた・・・・」

 

 美樹さんから忘れられたのはかなり海坊主師匠にとっては辛いみたいだ。でもこの空間に既に溶け込んでしまっているのだから正直忘れられても無理はないと思う。

 

「そう言えば俺が来る前から来ていたみたいだが。海坊主は何があったんだ?」

 

「たまたま立ち寄った店だったのだが、なかなかコーヒーが美味い店で店主と少し話してたんだ」

 

「ファルコンらしいわね」

 

「ねぇねぇ皆さん!せっかくなんで自己紹介しましょうよ!私は錦木千束でーす!趣味は映画観賞です!じゃあ次たきな」

 

「井上たきなです」

 

「えーたきなそれだけーもっとないのー」

 

「優さんにはまだ及びませんが銃の扱いが得意です」

 

「クルミだ。最近の趣味はボードゲームだな」

 

「で、そっちがミズキで、あっちが店主の」

 

「ミカだ。よろしく頼む」

 

「なんか私の扱い雑じゃない!」

 

「あー気にしないで次行っていいですよ」

 

「では俺から行こう。シティーハンター冴羽獠だ。好きなのはもっこり美女。心当たりがいたら教えて欲しい。千束君顔が広そうな君ならだれか知らないか」

 

「うーん。楠さんとかー」

 

『え?』

 

 まさかここで楠さんが出てくるとは。

 

「千束本気ですか?」

 

「さ、さすがに冗談だよ」

 

「千束君、その楠さんとやらの写真はあるかね?」

 

「あ、一応ありますよ」

 

「うーむ、20、いや15ほど若ければ間違いなく美女だった」

 

「えー楠さんが美女だったなんて信じられなーい。あんなに堅そうなのに」

 

「いや、そうでもないぞ千束。若いころはリコリスの中でもかなり美女と言われていた」

 

「ま、まじかー」

 

「指令にもそんな時期があったなんて」

 

 大分失礼なことを言っているような気もするのだがいいのだろうか。それよりこの写真にもう一人写りこんでいるのに気が付いてしまった。師匠がその人物を見逃すはずもないのでこの後の展開は容易に想像できる。

 

「むむむ、この写真の後ろの方に移ってる子は?」

 

「これは指令の秘書ですね」

 

「たきな君、彼女はどこにいる。もっこり美女が俺を待っている。早く行かなくては」

 

「だからいい加減にせーい!」

 

「きょ、今日で早くも3回目・・・・」

 

「はぁ自己紹介の途中だったわね。私は槇村香よ。今はこいつのアシスタントをやってるわ」

 

「次は俺か海坊主だ。喫茶店キャッツアイを営んでいる」

 

「私は美樹。キャッツアイの従業員よ」

 

「それで冴羽さんたちは今日はどうしてきたんですか?」

 

「ああ、優に頼まれたからな。昨日地下鉄でテロ事件を片付けてきた」

 

「あの事件解決したの冴羽さんだったんですね!さすが優君の師匠!」

 

「正確には俺と獠だがな」

 

「それで連中はどうでした?」

 

「何大したことない連中だ」

 

「リーダー格の男を一人逃がしたくせによく言う」

 

「海坊主!それは内緒って言ったろ」

 

「ふん。忘れたなそんなこと」

 

「珍しいですね。師匠がしくじるなんて」

 

「正直侮っていた。地下鉄駅を丸ごと破壊するつもりとは思っていなかった。始末することはできたが少し連中の思惑を聞き出したかった」

 

 確かに地下鉄を爆破できるほどの爆薬を集めていたり元々は電車に乗っていた人たちを銃で無差別に殺そうとしていた連中だ。そんな連中がただの一階きりで終わるとはとても思えない。今回の件でテロリスト集団は大打撃を受けたはず。それに正体不明の2人の凄腕スイーパー、予定は遅らせると思われるがまた近いうちに何かしらのテロは行うはずだ。情報は握っておきたいところだ。

 

「どうした?みんなそんなに唖然として」

 

「い、いやーなんか急に冴羽さんがまじめになったから頭が追い付かなくなって」

 

「師匠は普段はあんなんだけど仕事の時は・・・・」

 

 ハードボイルドでかっこいいと言おうと思ったが思い返してみればかっこいいところは間違いなくあったのだが仕事の時でも普通にもっこりしてたなと。

 

「普段と変わらないな」

 

「か、変わらないんですね」

 

「それで師匠たちは今日どうするんですか?」

 

「特に決まってないな。香たちはどうする」

 

「んー私たちはーあ、そうだ!千束ちゃんちょっといいかしら」

 

 香さんは千束を隅っこの方まで連れて行った。

 

「千束ちゃんて優のこと好きなんでしょ?」

 

「え、えーとそのー」

 

「いいのよ。隠さなくてバレバレなんだから」

 

「え、そんなに分かりやすいですかね」

 

「ああ、安心して。女性にしかばれないと思うから」

 

「それでも女性にはバレてるのか―。てことはたきなにもバレてる・・・・かも」

 

「その様子だとまだ付き合っていないみたいね。ちなみにたきなちゃんも優のこと好きだったりするの?」

 

「うーん、多分たきなはまだ自覚してないけどそうなのかなーって。仕事してる時も悔しいですけど二人いい感じだし・・・・」

 

「じゃあ千束ちゃんここはガールズトークでもしましょ。優についていろいろ教えてあげるわ」

 

「よろしくお願いします。香先生!」

 

「よし、私に任せなさい!獠、私たちどっか喫茶店にでも行ってくるわ。美樹さんとたきなちゃんも来る?」

 

「そうね、面白そうだし私も行こうかしら」

 

「たきなちゃんはどうする?」

 

「私も行きます。優さんについて色々聞かせてください」

 

「ちょっとあんたたち仕事はどうするのよ」

 

「今日は臨時休業にしよう。だからミズキもクルミも行ってくるといい。私も海坊主さんといろいろ話してみたくなってな」

 

「奇遇だな。俺もぜひあなたと詳しく話したかったんだ」

 

「俺たちだけ残りましたね。師匠」

 

「なら、俺たちはあそこに行くか」

 

「あそこですね」

 

「久しぶりだな。お前と行くのは」

 

「そうですね。師匠も腕なまってないですよね」

 

「誰に物を言っている」

 

「じゃあ、行きますか」

 

♢♢♢♢

 

 時は少しさかのぼり前日の夜

 

 地下鉄の駅のホームで複数人の男が銃を構えて電車が来るのを待ち構えている。

 

 このテログループのリーダーである真島の笑い声と共にテロリストはやってきた電車に向かって銃を容赦なく乱射する。

 

 

 弾丸の雨は数十秒に及び当然の如く電車の装甲は傷だらけである。これだけ打ち込めば電車に乗っている乗客は全員死亡したとこの場にいる全員が確信した。

 

 そして電車の扉が開き中の惨状が明らかになる。

 

「なんだ?」

 

 真島は電車の中が血溜まりになっていると想像していたが電車の中は何もなかった。

 

「うへーおたくら随分と派手にやるねー」

 

「おい、獠こいつら手加減しなくていいんだよな」

 

「ああ、優からテロリストには容赦しなくていいとよ」

 

「なら遠慮なくやらせてもらう」

 

「なんだこいつら・・・・!?」

 

 たった今出てきた男二人組に気を取られていたら軍服の大男が機関銃を乱射し次々とテロリストを撃ち抜いていく。

 

 そして弾を全て使い切ったのか銃を投げ捨てた。これでひと段落したのかと思ったのも束の間次にロケットランチャーをぶっ放し始めたのだ。

 

「おい、海坊主!ここ地下鉄なんだぞ!俺まで生き埋めにする気が!それに優からもあんまり派手にやりすぎるなって言われただろ」

 

「種馬はここで生き埋めになった方が社会のためになるだろ」

 

「これ以上暴れたら優になんて言われるか分からないぞ」

 

「・・・・今日持ってきたのはこの一発だけだ」

 

「じゃあその手に持ってる弾はなんなんだよ」

 

「知らん!」

 

「海坊主、さっさと片付けるぞ」

 

 列車を降りた2人は次々とテロリストを始末していった。

 

「な、なんなんだこいつら」

 

 真島は判断を間違っていた。この2人組を見たのならすぐに逃げるべきだった。たった2人だから問題ないと侮らず逃げるべきだった。この2人を知らないにしてもあの弾丸の雨を受けても無傷でやり過ごした連中だ。その時点でただものでないと察することはできたはずだ。

 

 だがなんとか逃げるための手段を作るために隠し持っていた閃光弾を投げその隙に仕掛けた爆弾のスイッチを押すことを試みた。

 

「そんな子供騙しは俺には通じない」

 

 スイッチを持っている手を撃ち抜かれ加えて腕に1発足に3発も銃弾を受けた。

 

「お前には色々聞きたいことがある。喋ってもらうぞ」

 

「はっ、嫌だね」

 

 そう答えた瞬間再び足に弾丸を食らう。

 

「おとなしく喋ることだな。次は腕だ」

 

「化け物が」

 

 必死になって真島は頭を回転させる。現状真島以外のメンバーは全員死亡、仮に死亡していなくても動ける状態じゃない。逃走用の車は用意してあり緊急事態のために既に呼んだ。仮に車が来たとしてもすぐに撃ち抜かれるのは容易に想像できる。

 

 つまり、あの化け物2人から車が到着するまでの時間を稼ぎなおかつ到着してから乗り込むまでを最短にし、なおかつ車から目を背けさせなくてはいけない。

 

 真島は懐からUSBメモリーを取り出した。

 

「これが何だかわかるか?」

 

「時間稼ぎのつもりか。さっさとしゃべるんだな。俺の気はそこまで長くないぞ」

 

「そう焦るなよ。この中には千丁の銃の取引先のデータがある」

 

「なるほど、優が言ってたやつか」

 

「さっさとそれを渡して次の計画でもしゃべるんだな」

 

「分かったから、そんなに、焦るなよ!」

 

 USBメモリーを投げ飛ばすと同時に手榴弾も投げ飛ばす。

 

「海坊主!USBは任せた!」

 

 軍服の男はUSBをキャッチし、もう一人の男は銃で手榴弾を弾き飛ばし爆風がここまで届かないようにした。

 

 このわずかな数秒で真島はやってきた車に乗り込み満身創痍ながらもこの場からの逃走に成功した。

 

「逃げられたか」

 

「しくじったな獠」

 

「ああ、だが千に及ぶ銃の行方が分かったのは大きい。さて、明日は優にこれを届けに行くか。さ、帰ろうぜ海坊主」

 

「ああ」

 

♢♢♢♢

 

 そして久しぶりに再会した師匠と歌舞伎町で1日夜通し遊んだ後。

 

「いやー師匠今日もだいぶ盛り上がりましたね」

 

「いやーぼくちゃんもついつい飲みすぎちゃったよ」

 

 ここにいる人たちはもちろん異なるが、同じ日本の新宿であるため建物の大部分はほとんど変わりがない。感傷に浸りたい時などよく行ったりしていたあのビルの屋上に俺たちはやってきた。

 

「不思議なもんだ。ここにいる住民は全く知らないのになぜだか初対面の気がしない。どこの世界に行ってもこの町は変わらないということか」

 

「そうですね」

 

「俺たちはそろそろ元の世界に帰るが帰る前にこれを渡しておく」

 

 師匠から手渡されたのはUSBメモリーだ。

 

「例の銃の取引先が書いてあるらしい」

 

 これが本物かどうかは聞くまでもない。おそらく師匠が逃がしたやつがとっさに投げたのだろう。師匠たちが来ることなんて想定できない。たまたま持っていて、なおかつ相手の気を引き付けられるものがこれしかなかったのだろう。

 

「ありがとうございます師匠」

 

「礼なんていらないさ。その代わりもっこり美女がいたらすぐに教えてくれ。すぐに飛んで行く」

 

「さすが師匠こんな時でもブレないですね」

 

「それがぼくちゃんのいいところだから。優、連中はなかなか厄介な連中だ。気をつけろよ。万が一のことがあればすぐに俺を呼べ」

 

「分かってますよ。では師匠またしばらく」

 

「ああ、またな」

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