大富豪になったけど周囲から狙われてます   作:見た目は大人、中身も大人

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第六話「高校生だって立派な子供」

 俺は高校生探偵、工藤新一。

 幼馴染で同級生の毛利蘭と遊園地に遊びに行って黒ずくめの男の怪しげな取引現場を目撃した。

 取引を見るのに夢中になっていた俺は、背後から近づいてくるもう一人の仲間に気づかなかった。

 俺はその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら……

 

 

 体が縮んでしまっていた。

 工藤新一が生きていると奴らにバレたらまた命が狙われ、周りの人間にも危害が及ぶ。

 阿笠博士の助言で正体を隠すことにした俺は、蘭に名前を聞かれて咄嗟に江戸川コナンと名乗り、奴らの情報を掴むために父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。

 

 

 所がこのおっちゃん、とんだヘボ探偵で見かねた俺は博士が作ってくれたメカを使っておっちゃんに成り代わり持ち前の推理力で次々と難事件を解決してきた。おかげでおっちゃんは今や世間に名を知られる名探偵になり、俺は二回目の小学生生活を過ごすこととなった。

 そしてクラスメイトの吉田歩美、小嶋元太、円谷光彦達によって少年探偵団を結成される始末。

 

 

 ……依然として黒の組織の事は分からない。だけど、俺をこんな風にした奴らをただではすまさない。必ず真相を突き止めてやる!

 

 小さくなっても頭脳は同じ! 迷宮なしの名探偵! 真実はいつも一つ!

 

 

 

 

「何してるのコナン君?」

「いや、なんかこれやらないといけない気がして……」

 

 そんな俺は現在通学中だ。周りにはいつもの少年探偵団の面々が歩いている。その中の一人である歩美ちゃんが俺の行動を見て心配に尋ねてきた。でも俺もなんでこんなことをしたのかわからねぇんだよなぁ。まぁ、気にしない方がいいのか? というかだんだん気にならなくって来たな。

 

「それより! この前の事件は見事解決しましたね!」

「コナン君すごかったよ!」

「まぁな」

 

 この前遭遇した中田文雄さん殺人事件。容疑者候補全員が動機も有り、アリバイもないという普段とは違う状況だったが何とか証拠を集める事で事件を解決する事が出来た。まぁ、咄嗟の行動だったみたいだしこれまでの事件に比べれば簡単ではあったな。

 

「この調子で僕たち少年探偵団の名声を広めていきましょう!」

「そうすればうな重もたくさん食べられるよな!」

「もう! 元太君はいつもそればっかり!」

 

 そう、今日もいつもと同じ時間が流れていく。俺はこの時までそう考えていたんだ。

 だけど、それが違うという事。日常はすぐにでも壊れてしまうという事に俺は気づかなかった。いや、気づかないふりをしていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「すまないね。相手はどうしても許せないと言ってきている」

「本当に申し訳ございません」

「ご、ごめんなさい……」

 

 3時間目が終わった時、俺と探偵団の3人は校長室に呼び出された。そして、そこにはいつの間に来ていたのかおっちゃんと元太たちの親が揃っていた。全員、緊張した面持ちで俺は何かをやらかしたことを一瞬で悟ってしまった。

 

「知っての通り苦情を言ってきた小澤亮さんは型月グループの会長だ。あちらは特に何かを求めてきているわけではないが、こう仰っておられた」

 

-小学1年のガキが殺人現場をウロチョロし、ましてや第一発見者だからと言って俺を犯人扱いしてきやがった。確かに怪しいとは思えるが証拠もなく人を犯人扱いし、一方的に糾弾するとはそちらの学校そしてご両親はそれはそれは()()()()()()()をされているのでしょうね。

 

「私は返す言葉が見つからなかったよ。親御さんの方々には二度と、こういう事がないようにしっかりと教育を行っていただきたい。私も、学校教育の改定を行うつもりです」

「……」

 

 どうやら第一発見者の小澤亮さんを元太が犯人だ! と決めつけた事に対する苦情が来たらしいな。確かにあれはやりすぎだったがまさかここまでしてくる、いやむしろこのくらいで済んでよかったのか? 相手は名のある大企業の会長。同級生にいた鈴木財閥の令嬢と同じ、いやこれまでの実績を考えればそれ以上の権力を持っているんだ。そんな相手を一方的に糾弾すれば怒り狂い、どんな手を使ってきてもおかしくはなかった。

 それなのに、相手はこの程度の注意で済ませてしまっている。多分だが光彦達は今回の事にもめげずに少年探偵団を続けるだろう。流石にいきなり犯人だと決めつけることは無くなるだろうけど。

 

「……そういうわけですので話は以上になります。帰っていただいて構いませんよ」

「この度は大変申し訳ございませんでした」

 

 代表して、おっちゃんが頭を下げる。……こういう所を見るとあのヘボ探偵もまともな大人なんだと思うがそれを少しでも日常に見せてくれれば。

 そんな風に思っていたせいか? 俺は校長室を出て直ぐにおっちゃんから拳骨を喰らい、説教を長々と受ける事になった。本当に、今日は様々な事が起こる一日だぜ全く……。

 

 

 

 

 

 

 ぶっちゃけた話をすれば俺はコナン君をどうこうするつもりはない。敵対も協力もしない。何故か? コナン君と敵対する程悪ではないし、協力する程善でもないからだ。そもそも、俺は名探偵コナンという作品をそこまで見ていなかった。興味がなかったからだ。それはこの世界に来てからも変わらない。恐らく好意を持ち、永続的な協力関係になる事は一生来ないと断言できる。

 まぁ、名探偵コナンの世界の時点でコナン君とかかわらずに生きる事は難しいだろう。それこそアフリカにでも行かない限りな。それも開拓もしないような辺境の地にな。そうすれば関わらずに済むがそんなことは物理的に無理だしする気もない。

 なので今後も死なないようにこれまでの恨みを受け流しながら、名探偵コナンという物語をほぼ外野の位置から眺めさせてもらおう。学校への苦情もその一環だ。本気を出せばあいつらを物理的に消すことも社会的に抹殺することも可能だ。何ならあいつらが好きらしい仮面ヤイバーという作品を打ち切りにさせて泣かすという嫌がらせも出来る。

 だが、そこまでしては物語が大きく変わる恐れがあるからな。それで黒の組織が暴走してうちにまで飛び火するというのは嫌だからな。

 

「会長。会長が持ってきた新規の案件の進捗状況ですが8割がた完成したそうです」

「早いな。まだ1週間程しか経ってないぞ」

「コツさえ掴めばかなり楽だったそうです。それに創立当初の頃のようにやる気がみなぎってきたとも言ってましたよ」

「ははは。それは良かったな」

 

 ああ、スキルでバフをつけた影響が諸に出たわけか。忙しい中新たな注文、それも絶対にミスが許されないものだったから申し訳なくてスキルを使ったんだがどうやら良かったようだ。最初の頃はスキルを使いすぎて48時間労働なんてこともやらかしてしまったからなるべく使わないようにはしていたんだが、たまになら使ってやった方が良いかもしれないな。

 

「分かった。それなら先方に良い報告が出来そうだ」

「会長を通じての依頼と聞いていますが同級生やご友人経由での依頼だったのですか?」

「……まぁ、似た感じだな」

「……どうやら余計な質問だったようですな。お忘れください」

 

 中村は優秀が故にたまに鋭い質問をしてくる事がある。中村も分を弁えているからどこかの高校生探偵のように一定のライン以上を踏み込んでくることはない。だからこそ信頼して秘書を任せられるし、()()()()()()()()()()()()()。中村には今後もただの優秀な秘書であってほしいものだ。また、新しい奴を雇い、ここまで育て上げるのは手間だからな。

 

「中村。お前程に優秀で空気を読める奴はそうはいない。これからも頼むぞ」

「勿論です。会長のサポートはお任せください」

 

 ほんと、中村の一割でもいいからあの高校生探偵には踏み込んではいけない領域を知覚し、弁えてほしいものだな。まぁ、それをしたら主人公ではなくなるのかもしれないけどな。

 

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