燃料不足で降り立った島には不思議な洞窟が。
特別な「力」を授かって王女さんは再び飛び立つことに。
いよいよ『大樹の森』が近づいて、その前には謎の社交クラブがあって。
王女さんはどうなってしまうのか? ……そんなお話。
本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGスチームパンク』の二次創作です。
ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した二次創作です。
第21話は「1日目」「2日目」「3日目」「4・5日目」の4回に分けて公開します。
『のびのびTRPGスチームパンク』のプレイヤーキャラクターの「名前」を「キャラクターの名前」にしているので、
PC「王女」→「王女さん」
PC「飛行士」→「飛行士さん」
等々となっています。
先に記しとく設定、
作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
と言うことで。
使った(引いた)カード
キャラクター:皇女(ストーリーの都合上、作中では「王女」とする)
イントロダクション:空から女の子が!
シーン1:無人島で生き抜ける?
カード1:光:発光してる
シーン2:希望への船出
カード2:闇:秘薬
シーン3:謎の社交クラブ
カード3:光:相棒
シーン4:巨人の森
カード4:光:パトロン(NPC)
シーン5:死を告げるサイン
カード5:闇:盗賊団
クライマックス:革命の夜
クレジット
ゲーム名:のびのびTRPGスチームパンク
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.
2日目。
まぶしい朝日で目が覚めました。
女の子はもう起きていました。
私は何となく計器盤に目をやりました。
燃料計が視界に入ります。
特に気にはせずに見ていたのですが、燃料計で視線が止まりました。
燃料計が満タンを示しています。驚きました。
キャノピーを開けて飛行機械から降ります。女の子は私に続きました。
うーん、と伸びをしました。
少し体を動かした後、エネルギー伝導ケーブルの片付けに取り掛かります。
まず洞窟のいちばん奥に行きます。
ケーブルの先端、昨日は磁石のようにしっかりと岩に着いていたのが、岩から外れて地面に転がっていました。
そこからケーブルの回収を始めます。
ケーブルを継ぎ足したところを切り離して、継ぎ足した分をまず洞窟の外に運び出します。
きちんと巻き取って機体に片付けてパネルを閉めます。
次は機体から延びるケーブル。
洞窟の中、途中から機体まで回収します。
こちらもきちんと巻き取って機体に片付けます。
機体のパネルを閉めて、ケーブルの片付けが終わりました。
最後にいちばん大切なこと。
これにも女の子は気づいてくれました。
洞窟のいちばん奥、特別な力の空間に行き、神々とこの世界に感謝をこめて一礼しました。
例の秘薬はせっかくなので持って行くことにしました。
「人間には過ぎた効果」らしいので私には使えません。
ですが、女の子には使えるでしょう。他にも……、何かに使えるかもしれません。
「さて、まいりましょう!」
「はいっ!」
私と女の子は飛行機械に乗り込みます。
飛行機械のジェネレーターを始動。安定するのを待ちます。
その間に機体のチェック。
昨日、無茶な着陸をしたので機体の下側に故障の表示がいくつかありました。
ですが、大きな問題はありませんでした。
ジェネレーターの安定を示すランプが光りました。
離陸します。
まず飛行機械を少し浮かせました。
機体が安定しているか確かめます。
まったく揺れずに浮いています。これなら大丈夫です。
飛行機械の高度をそのまま上げていきます。
「どちらに飛べばよろしいのですか?」
女の子に尋ねます。
「えっと……、あっちです」
女の子が指した方へ機首を向けて加速を始めます。
かなりの距離を飛び続けました。
もう十分に昼をすぎて夕方の方が近いでしょう。
女の子に聞きます。
「まだですの?」
「もう少しのはずです」
女の子が言いました。
飛んでいく正面に陸が見えてきました。
陸には広大な森があります。
「あれが『大樹の森』なのですか?」
「そうです。人は入ることができない精霊の森です」
なるほど、特別な森なのですね。
飛行機械の速度を落とします。
広大な森のすぐ際に街が見えました。
それほど大きな街ではありませんが飛行機械の発着場くらいはあるでしょう。
街の上空を旋回しながら着陸許可を求めます。
返答がありません。代わりに誘導ビーコンが返ってきました。
小さい発着場にある「自分の判断で離着陸」のようです。
ビーコンに従って高度を下げます。
離着陸床が見えました。
少しずつ高度を下げて、ゆっくりと着陸します。
着陸した後、3機分しかない駐機スペースに飛行機械を移動させました。
リュックを持って飛行機械から降ります。女の子も降りました。
夕方が近づいてくる時間。どうするべきか……。
女の子に尋ねます。
「今から森へ行っても大丈夫ですか?」
「……やめた方が良いと思います。
夜の森は私たちでも迷ってしまいます」
そう言い切られるとやめるべきですね。
「では、まず拠点を作りましょう」
「拠点、ですか?」
私は女の子を連れて街を歩きます。
少し寂れた感じの宿を探して……。
ありました。
その宿に入ります。
カウンターでチェックインします。
宿帳に書く名前はもちろん偽名。
5日分くらいの宿代を現金で渡しました。
鍵を渡された部屋に入ります。
ベッドがふたつと小さい机とイスがひとつだけの狭い部屋。
ひと息つくことができました。
自分の服装に気がつきます。飛行服です。
リュックからカジュアルな服を取り出して、それに着替えました。
さて、ここまで来たらもう進むしかありません。
女の子、森の妖精に「どこかの金持ちに買われた」経緯を話してもらいました。
この街には妖精や幻獣の売買をする『あやしげな社交クラブ』があるそうです。
女の子は森の中、「精霊の領域」から「人間の領域」に出てしまったところを捕まえられてしまった。
そんなことをするなんて……。
嫌悪感が湧き上がります。
でも……。潜入してみる価値はありそうです。
インフォメーション端末をネネットにつなぎます。
「あやしげな社交クラブ」について調べますが、もちろん見つかりません。
では、ネネットの「裏ネットワーク」につないで改めて調べます。
すぐに見つかりました。
毎夜8時に会が始まるそうです。
会場はこの街でいちばんのホテル。会場に入るにはエンブレムが必要とのことです。
そこから調べていくと、社交クラブのエンブレムも手に入りました。
夜、7時すぎに夕食を摂りました。
8時すぎ、ふたりで「あやしげな社交クラブ」が開かれているホテルに入りました。
会が開かれている広間を目指します。
広間の入り口にはいかにも怪しげな男、黒スーツに黒ネクタイ、がふたり立っていました。
私は男のひとりに裏ネットワークで手に入れたエンブレムを見せます。
何も聞かれずに、何の問題もなく会場に入ることができました。
会場には特に怪しい感じはありません。
ただ、時々「妖精が……」や、「古代の力が……」との言葉が聞こえます。
私と女の子で会場の中を歩き回ります。
男がひとり、私たちを呼び止めました。
「初めて見る顔だね君、
このクラブについて語る言葉があるのだろうね」
嘘は言うだけむだでしょう。正直に言います。
「私は森の真奥を目指しています。
そのためにここに来たのですわ」
私の言葉にまわりから小さい嘲笑。
「ははっ、面白いね。
私がパトロンになろう」
まわりにいた男のひとりが面白半分でしょう、そう宣言しました。
私と女の子に会場にいる人々の目が向けられます。
明らかに疑われています。
出入り口に目をやると、ドアが閉められ男がふたり立っています。
逃げるのは無理なようです。
さて、どうしたものか……。
女の子が私にだけ聞こえる小さい声で言いました。
「目を閉じてください」
私は従いました。
ピンッ、と言う感覚が体を通り抜けました。
続いて、どさっ、どさっ、と人が倒れる音でしょうか。
「もう大丈夫です」
目を開くと会場にいた人が全員、床に倒れていました。
もちろんドアを守っていたふたりも。
「これはいったい……?」
「『眠りと記憶の魔法』です。
一日くらいは眠ったままで、
目を覚ましても眠る前の記憶はほとんど消えているはずです」
妖精の力に驚きました。
「ありがとう、助けていただきましたわ。
すぐに逃げましょう」
女の子と一緒に急いで宿に戻りました。
今夜はこのまま宿にいた方が良さそうです。
「ふふっ」
小さな笑いが声になりました。
「?
どうかしましたか?」
「いえ、なんでもないわ。
ただ……、あなたと相棒になれたら面白そうだって思いましたの。
でも、そんなことは言えないわね。
あなたはあなたの帰るべきところに帰らないと」
少しの間をおいて女の子の言葉。
「……ありがとう」
「いいのよ、私が勝手に考えたことですから。
さて、寝ましょう。明日は森ですわね」
私は何の引っかかりもなく眠りに落ちました。
続
『冒険すること、果たすこと』、「2日目」はこれにて閉幕です。
やはり王女さんは王女さんらしく、歪んだことは許せない、です。
この先、王女さんは何に出会ってどうなるのか?
次回、「3日目」はいよいよ「大樹の森」に向かいます。
次回もご一読いただけると幸いです。