彼女の楽しみは、仕事から帰った後、家でゆっくりと毎日違う弁当を買って食べる事。
スーパーやコンビニのお弁当は、彼女の空腹を満たしていきます。
カツカツカツ......とハイヒールの足音が鳴り響く夜道。
ある小さなマンションの一室に入ると、足音は止まる。
はあ。今日も仕事、大変だったなあ。
今日も今日とて、ようやく仕事が終わって無事家にたどり着いた......という安堵と共にため息をつく。
そんな彼女の名前は岸本 楓(きしもと かえで)。OLだ。
新卒で今の会社に入ってから既に三年が経っていた。就職した当初は仕事を覚える事に必死だったりと毎日が大変で、家に帰ればすぐに寝てしまうような憂鬱な生活だったのだが、月日が経つにつれ一人でも仕事をこなせるようになり、後輩もできたこの頃は、ようやく自分の時間が持てるようになった。
そんな彼女の楽しみ。それは_____
「ふふっ、今日はコンビニのカルビ弁当と、新商品のカラメルプリン!!早速食べちゃおうっと!」
楓はニヤニヤしながら、袋から出したその二つをテーブルへと置いた。
これが彼女の日課。
仕事を終え、今日も頑張った自分を労る為、コンビニやスーパーで買った弁当や惣菜、スイーツを食べる事。
今日は帰り道でコンビニへ寄り、以上の二点を買ったのだった。
弁当を電子レンジへ放り込み、その間にサッと簡単に化粧を落とし部屋着に着替えると、丁度レンジが鳴った。
楓は弁当を取り出すとラップを剥がし、蓋を取る。
すると肉の香りと湯気がぶわっと広がり、より一層食欲をそそった。
「うわあ......!美味しそう!!いただきまーす。」
パキンっと割り箸を割ると肉ごとご飯を掴み口へ運ぶ。
甘辛いタレの染み込んだ牛肉と白米が最高にマッチしていて、噛むとじゅわ~っと旨味が口の中に広がった。
すっごく美味しい......!しあわせ~~
もう仕事なんてどうでもいいわ~~~
楓はそう言いたかったのだが、食事中なため言葉には出来なかった。
とにかくだが、大きな幸福が彼女を満たしていた。
そのまま、あっという間に弁当を平らげた。
だがまだ、楽しみは終わっていない。
そう。次はカラメルたっぷりのプリンが待っている。
早速プリンの蓋を開け、小さいプラスチックのデザートスプーンで口に運んだ。
カスタードの甘さと、カラメルソースの苦味。甘みと苦味が、ここまでマッチするなんて。
疲れた時やストレスを感じた時はこうして甘い物を食べるに限る。まあ、いつ食べても美味しい事には変わりないのだが。
こうして今日の楓の夕飯...ディナータイムは終わった。
終わったと言っても寂しい感じは全く無く、彼女を満たすのは満足感と幸福感の二つ。
「ごちそうさまでした!」
彼女は満面の笑みを浮かべる。
どんなに大変な事があっても、美味しい食事が彼女を満たしてくれる。弁当ばかりではなく自炊もするべきなのだろうが、一人暮らしで働いているとなると、なかなかそれは難しい。
だが現代のスーパーコンビニ弁当は、侮れない。
和風、洋風、中華、エスニックなど種類が豊富で飽きずに楽しめるのだ。
楓は風呂に入りながらも、明日は何を食べようかな~と考えているのだった。
食べる事ばかりを考えていると、またお腹が空いてきた気がした。
「お弁当とプリンじゃ足りなかったかな~...お惣菜も買えば良かった...」
食べた直後は満腹になっても、少し経つと空腹になる事もある。
さて、明日は何を食べるのだろうか。