私、
自覚を持ったのは中学二年目の秋頃だったと思う。周りの友人達が二次成長期をおおよそ終えて身長が伸び、より女性的な身体へと成長して……。
私はそれまで好きだった幼馴染に魅力を感じなくなってしまった。
勿論、全く好きではなくなったという訳ではなかったし、今だってすごく大切な友達だって思ってるよ?でもかつて持っていた"好き"とは違って、今のそれはあくまで友人としての好意だってこと。
その事実に、私は絶望した。
だって考えてもみてほしい「私〜女の子の方が好きなんだよね〜」ならまだ全然ありでしょ?何だったらワンチャン彼女とかもできる可能性あるじゃん?
でも「私〜小学生くらいの見た目の女の子が好きなんだよね〜、身長は最低でも145cm以下で胸はAに届かないぐらいが理想〜」は無理じゃん、ワンチャンどころかノーチャンだし、何だったら友達0人RTA始まっちゃうやつだよ。
だから私は隠すことを誓ったの。
自分が生粋のロリコンだという事実は誰にも打ち明けないと。もし打ち明けるとしたら好みドストライクの合法ロリの私と同じ女の子が恋愛対象な娘と出会った時だけ。
まぁ、そんな都合の良い娘なんていないだろうけれど。
─────
わたし、
彼女の名前は笹塚 百恵、わたしと同じ高校二年生の女の子だ。
そう、女の子……。
まず誤解のないように言っておくとわたしは同性愛者では無い。いや無かったといったほうが正しいのかもしれないが、いや今でも百恵以外の女の子にそういう魅力を感じたりしないし、男の子を格好良いなと思ったりもするから正確には違うかも……。
だから、はっきり言えるのはわたしが百恵に性別など関係なく恋をしているという事だけ。
「おっはよー!みっちゃん!今日もかわいいね!」
「うわっ!」
そんな考え事をしながら通学路を歩いていると、勢いよく後ろから抱き締められ、そして豊満な胸が頭に押し付けられる。
「……いつも言ってるけど、びっくりするからやめて」
「えへへ、ゴメンね〜」
「はぁ……」
この微塵も申し訳ないとは思っていない事が分かるアホ面で謝罪の言葉を口にしている彼女が百恵、わたしの片思いの相手だ。
改めて、何故わたしはこんな娘に恋をしてしまったのか……。こんな何も考えていなさそうな笑顔さえ、とても魅力的に見えてしまうことが少し悔しい。
「ねぇねぇ、今日の数学の宿題なんだけどちょっとわかんないとこがあってさ」
「教室についたらね」
「さっすが、みっちゃん!ありがとうございます!」
百恵はいつもこんな調子だ、明るくて元気一杯で……。根暗で無愛想なわたしとは正反対。
彼女は初めて会ったときからそうだった。
入学式当日に体調を崩して四日間も学校を休み、高校生活のスタートを完全に失敗し落ち込んでいたわたしに初めに声を掛けてくれたのが百恵だ。
あの時、百恵が声を掛けてくれていなければ、もし百恵と別のクラスだったならば、今の楽しい高校生活はなかった。
中学時代と同じく独りきりの寂しく虚しい学生生活を送っていたと断言できる。
「花ちゃん!舞ちゃん!おはよう!」
「おはよ、今日も二人で登校?相変らず仲いいね」
「おはよ〜海月、モモ。モモは宿題やってきた〜?ワタシはやってない」
「二人共おはよう。今から百恵に宿題教えるけど、舞も一緒にやるよ」
教室に入って友人たちとの他愛のない会話を楽しむ、なんてことの無い時間、こんな今があるのは百恵が居たからだ。
何時から好きになったかとか、好きになった切っ掛けとかは分からない。でも、人を好きになるというのはそういうものではないだろうか?
気が付いたらいつも彼女を目で追うようになっていて、触れ合うだけで、声を聞くだけでもドキドキする様になって、ふとした時にはその人のことを考えていて、一緒にいるだけで幸せな気持ちが溢れてくる……。
そして自分が恋をしている事に気づくのだ。
でも、どういうところを好きになったのかだったら沢山答えられる。
「宿題ありがとう!やっぱりみっちゃんは教えるのが上手いね、すごくわかりやすかった!」
「たすかる〜」
「そんなことないよ、百恵も舞も地頭は良いし、理解力もあるから……。というか舞は面倒くさくてやって来てないだけでしょ」
こうやって真っ直ぐ人を褒められるところ。百恵の言葉には本当に裏表がなくて、本心からの気持ちだとわかるところ。
「ごめん!笹塚さん、体操服って借りれたりする?今日うちのクラス体育あるのに忘れちゃって」
「いいよいいよ!持ってきな!」
「本当にありがと!今度なんか奢るね!」
社交的で誰にでも優しくて好かれるところ。他のクラスの人や近くの商店街の人達とも仲が良くて……わたしには出来そうもないことを当たり前みたいに出来るところに憧れる。
「そうだ、これ!この間ガチャでダブっちゃったキーホルダーなんだけど、れんちゃんが好きなキャラだったよね?」
「……うん、よく覚えてるね」
「まぁね、同じ作品のファンですから!良かったら渡してあげて!」
「ありがとう、でも直接渡してあげたほうが蓮も喜ぶと思う。明後日は
「そっか、うん!そうする!」
大人びた外見とは違って可愛いものが好きなところ。妹の蓮と同じ魔法少女アニメにハマっていて毎回録画をして見ていたり、グッズも沢山集めているらしい。
それと面倒見が良くて子どもによく好かれるところも好きだ。初めてうちに遊びに来た時から直ぐに蓮と仲良くなっていたし、近所の小学校や保育園のボランティアに参加しているのを目にした事もある。
それを知った百恵はわたしがバイトで家を空ける日に蓮と遊んでくれるようになった。初めは申し訳なく思っていたが、彼女自身も楽しく蓮と遊んでくれていることがわかったし、何よりも百恵が来てくれるようになってから蓮は目に見えて明るく、よく笑うようになってくれた。
本当に何故、未だに誰とも付き合っていないのか不思議なくらい魅力的な女の子なのだ。
いっその事、素敵な彼氏でも作ってくれたならこの想いにも諦めがつくかもしれないのに……。
でも。
「みっちゃん好き〜、大好きだよ〜!」
「はいはい、ありがと」
こうやって気軽に好き好き言ってくるのはやめて欲しい。
友達になった時からずっとこんな調子で、百恵は気軽に「好き」だとか「可愛い」だとか、今まで家族くらいにしか言われなかった言葉をわたしに言ってるく。
加えて言うならスキンシップが激しいところも少し苦手だ。急に抱きしめてきたり、わたしを膝に乗せようとしてきたり……。
本当に「もしかしたら」なんで考えてしまいそうになるから。
わたしの「好き」と百恵の「好き」が同じはずはないのに。
舞や花と百恵が少女漫画や話題の恋愛ドラマの話で盛り上がっているのを何度も見てきた。
あの俳優が格好良かったとか、あの漫画のヒロインが羨ましいだとか。
百恵は普通の女の子だ。
だからわたしがこの気持ちを打ち明けることはないだろう。
今の幸せを壊してしまいたくないから。今のままで、充分に満足できるくらい幸せなのだから。
だから、今のままで良いんだ。
わたしと百恵は友達で良い。
─────
「あぁ~!好き!大好き!」
部屋に響く声も気にせず愛を叫ぶ。
「はぁぁ……かわいい、今日もかわいいよ、みっちゃん……」
どうも、スマホの画面に写る少し不機嫌そうな顔をしたみっちゃんを眺めながらベッドに寝転がり気持ち悪いことを言っている女こと笹塚百恵です。
一目惚れだった。
教室に一人入ってきた彼女を見た時から私は恋をしている。もうドストライクだったよね、小さな身体、肩に届く位の長さの綺麗な黒髪、少し眠たげなタレ目と小さな鼻と口、鈴の音のような儚げな声!もう全部が可愛かった。
もちろん見た目だけじゃくてその性格も一緒に過ごすほどに好きになった。
口数は少ないし表情も乏しいけど、本当はいろいろ考えているとことか、すごく頑張り屋さんなところとか、なのにその頑張りを誇らないとことか。
困ってる人がいたら見過ごせないとこ、妹のれんちゃんのためにバイトを頑張ってるとこ、家事もすごくて料理も上手なところ。
みっちゃんはとっても優しい子なんだ。
「ずっと一緒にいたいよ」
だからこそ、この気持ちは隠し通すのだ。いや少し漏れちゃってるかもしれないけど……。
だって私はみっちゃんと離れたくないから、嫌われたくないから。
今の幸せを、手離したくないから……。
だから今のままでいいの。
私はみっちゃんと友達で良いんだ。
【笹塚百恵/百恵・モモ】
生粋のロリコン。小さくて可愛い子が大好きだし、可愛い物も全般的に好き。
海月にこれ以上ないほど惚れている。
【小鳥遊海月/海月・みっちゃん】
百恵が好き。
それ以外の趣味嗜好はいたって普通だった。百恵に真っ直ぐな好意を当てられ続けて落とされちゃった子。
身長は142cm、完璧なロリ体型。
友情エンド。