束さんがISを作らずガンプラ作ってる世界。平和。デザイナーベイビーがいない世界。平和。ガンダムシリーズだと00に続く地球外生命体の話もあるけど平和。平和だっつってんだろ(半ギレ)。

「ところで一夏。何故バナージという男は、お前と同じ声をしていたのだ?」
「……他人の空似だろ」

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 没ネタ供養と連載してるやつが思いつかないので投稿。本当はガンダム00とのクロスオーバーものよりもこっちが先に思い付いていました……。
 優しい世界的なのを書いてみたかった。束さんがマトモなら八割方そうなるの酷くないあの世界?IS専用機要素はガンプラ化。IS学園特有の対抗戦的なのは……あるの?これ。BFT?



遊びだからこそ本気になれる

 海上に、一機の天使が浮かんでいる。双翼から白銀の羽が舞い散っている。それは十数mの巨躯を有する……ガンダムだった。

 

 その名は—————『ウイングガンダムゴスペルゼロ』。白と銀で彩られる神々しいモビルスーツ。終わらない円舞曲(Endless Waltz)を奏でる天使。

 

 夕暮れの空の中、悠然と佇むウイングガンダムゼロの改造機。静寂の渚に羽音のみが聞こえる。だが、突然、福音の天使の顔が持ち上がる。

 

「……『アルテミックアリオス』、先制攻撃を仕掛ける!」

 

 水平線の彼方より飛翔する橙色の機影。夕日を浴びて輝く装甲が光の軌跡を残してウイングガンダムゴスペルゼロへと肉薄する。

 超音速飛行で海を割るオレンジの戦闘機は、尾翼や側面、背面に備えたコンテナを一斉に開放する。発射口から緑の粒子を伴い放たれるのは、幾十ものミサイル。

 ウイングガンダムゴスペルゼロはすぐさま羽を広げ、接敵してきたその機体とドッグファイトを開始した。

 

「『アリオスガンダムコスモス』、単分離(パージ)!パイルバンカー形態!」

 

 ミサイルの雨を避けながら天へと昇る福音のガンダムに決定打を与えるために、オレンジの飛行戦闘機、アルテミックアリオスと呼ばれたそれは二機のモビルスーツに分かたれた。

 機首部分が左右に開き、巨大なクローアームとなったアリオスガンダムコスモス。その機体の上で膝立ちになるのは、ブースター部となっていた、ガンダム支援を目的としたGNアーチャーの改修機、『GNアルテミーカスタムⅡ』。

 

「はぁぁぁぁッッ!」

 

 アルテミーカスタムⅡはガンダムフェイスの眼を輝かせ、GNクローシールドとなったアリオスガンダムコスモスを左腕に装着、そのままの勢いでウイングガンダムゴスペルゼロへと叩きつけんとする。

 

「っ!」

 

 パイルバンカーニードルが突き出た渾身の一撃をひらりと攻撃を躱して一回転。ウイングガンダムゴスペルゼロは、上昇しつつ白い羽根状のエネルギー爆弾を、浮遊する海域全体に振りまいた。ガンダニュウム合金に起爆性のエネルギーが備わったそれは、GNアルテミーの周囲を爆発と黒煙で覆い尽くす。

 

「っ、物理攻撃扱いなのが地味にいやらしいよね、これ……!」

 

 ぼやきつつも巧みな操縦技能でGNアルテミーカスタムⅡとアリオスガンダムコスモスに降りかかる火の粉を振り払うパイロット。だが、周囲一帯に舞う白い羽根は次々と機体に、吸い寄せられるように近づいてくる。

 一か八か、トップスピードに移行して一時的な離脱を図ろうか……アルテミーのパイロットが考えた時だった。

 

「この必殺技って……!」

「————アクティブ・イナーシャル・キャンセラー」

 

 白い綿毛が、空間そのものに縫い留められていた。

 

「……無事か?」

「あ、ありがとう、ラウラ!」

 

 アルテミーのパイロットは背後に佇む重厚な機体に礼を告げた。

 

 黒い装甲が黄昏時の光を受けて鈍く輝く。とある世界の荷電粒子砲(ダインスレイヴ)を参考にした『GNレールカノン』や、ワイヤーブレードである『エグナーウィップ』を基本装備とする重装備の機体。ガンダムTR-1[ヘイズル]を元にした数多くの武器が各部の牽引パーツに搭載された漆黒の要塞。

 それは黒兎が繰る熾天使のガンダム……『セラフィムガンダムシュヴァルツインレ』。

 

「防御と牽制はこちらが請け負う。間も無く、我らがフォースの『白い流星』と『赤い彗星』がこの宙域に合流する。それまでにできる限り削っておくのが最善手だ……む?」

 

 宙を舞っていたウイングガンダムゴスペルゼロの瞳が、怪しく瞬いた。両腕に備えた二丁の銃がゆっくりと持ち上がる。

 

「「‼」」

 

 襲い来る、極大の光線。呑み込まれる、二機のモビルスーツ。

 

「「……—————ッッ!」」

 

 だが、龍の顔を模した両肩のGNシールドが稼働し、橙色の光が三機を庇う。ツインバスターライフルの一撃は、三機(・・)の機体が展開したGNフィールドで無効化された。

 

「……戦線を()たせるのも良いけどね、別にあたしたちがアレ落としちゃっても良くない?」

 

 MS二機の前で傲岸不遜にも腕組みをしてビームを弾き飛ばした機体から、通信が入った。天真爛漫なれども自信に充ち溢れた声の主は、オレンジと黒のガンダム達に速攻での攻略を提案する。

 二体のガンダムに背を向けて立つ機体は宛ら鉄甲の如き逆鱗の龍。黒鋼色と赤紫色に染め上げられたGNZ系列の近接戦闘モビルスーツ……『甲龍(シェンロン)ガラッゾ』。

 

「……お前の『ガンダムファイターの能力』を有する機体ならば、その可能性はあるな」

「確かに、超火力をぶつければ例えあのゴスペルゼロでも無傷ってわけにはいかないよね」

「んじゃまー、それで行きましょっか……おっと、逃がさないってぇの!」

 

 左手で腰にマウントされていたバトルアックス『蒼天牙月』を掴み、右の手刀にオレンジのビームサーベルを形成して近接戦闘を仕掛ける。

 

「それじゃあ本邦初公開!」

 

 ウイングガンダムゴスペルゼロのビームサーベルと鍔迫り合いを繰り広げながら、甲龍ガラッゾのパイロットは口上を高らかに謳い上げる。

 

「天に竹林!地に少林寺!目にもの見せるは!最終秘伝!」

 

 背部から赤い粒子が溢れ出し、GNフェザー(蝶の翅)を形作る。

 

「真・流星胡蝶けッッ—————、!?」

「「あッ」」

 

 その技が完成しようとした時だった。『見えない壁のようなもの』に甲龍ガラッゾの機体がぶつかり、体勢を崩した。

 

「やッッば……!『フィールド範囲』見てなかっ……!」

「「馬鹿ぁぁぁ‼」」

 

 オレンジと黒の二機が、攻撃を加えようとする福音のガンダムへすっ飛んでいく。

 

(間に合うかなこれ!?)

(分からん!最悪奥の手をここで切るしかないか!?)

(僕の今の粒子残量じゃワンセコンドしか使えないけど!?)

 

 この逡巡、時間にしてたった0.015秒。なお、通信さえ取り合っていない。脳量子波使ったのか、ニュータイプか。それほどの以心伝心さであった。

 

「うっがぁぁぁッ!すっごいガバやったぁッ!ごめーんッ!」

 

 うわーん!と緊張感のない叫びを上げて、ウイングガンダムのビームサーベル攻撃をバトルアックスで受け止める甲龍ガラッゾのパイロット。何とか持ちこたえてはいるものの、踏ん張りがきかないのか徐々に押されていってしまっている。

 

「……謝罪は後にしてくださいまし」

 

 —————凛とした品の良い声と共に、天から桃色のビームが降り注いだ。

 

成層圏より、狙い撃ち(ロックオン・ストラトス)……ですわ」

「な、ナイスセシリア!」

 

 緑の光の粒子を撒き散らしながら、空から堕ち来たる影があった。その機体の周囲を、ライフル銃を思わせる武装が自由自在に浮遊している。

 自立型の兵装『ビット』を伴って戦線に参上したのは、蒼穹の色を身に宿す智天使のガンダム—————『ケルディムガンダムブルーティアーズ』。

 

「……もう少し落ち着いてくださいまし、リンさん。流派・東方不敗の名が泣きますわよ?」

「……今使ったのは違うからノーカンにしてくれない?駄目?」

 

 狙撃型ガンダムの乗り手に、しょんぼりと気落ちした声で文句を言うガラッゾのパイロットだった。

 

「援護感謝する、セシリア。相変わらず良い腕だ」

「ところで狙撃ポイントからあの二人が来るの、見えてたりする?」

「ええ。上空で見ておりましたがもう間もなく……おや、噂をすれば、ですわ」

 

 —————地平の彼方より、赤い彗星(ほうきぼし)がやってくる。

 

「堕ちた福音に魅せてやろう!我が『ガンダム・フレーム』の磨き上げた奥義を!」

 

 飛来するのは甲冑を思わせる大型のモビルスーツ。ナノラミネートアーマーを有する黒いアヘッド・サキガケ、その鎧装の内より紅色の光が漏れ出ている。

 

「—————『絢爛舞踏(ケンランブトウ)斗乱醒牟(トランザム)』!」

 

 『阿経怒(アヘッド)打影(ウチカゲ)』のGNドライヴ[T]が、内部フレームのエイハブ・リアクターから供給される電力で激しく稼働する。

 機体の性能が三倍以上にも跳ね上がり、更にその間は稼働エネルギーさえも倍加し回復されていく究極奥儀の赤光が、黄昏の空を染め上げる。

 

「いざ尋常に————むッ!?」

 

 ウイングガンダムゴスペルゼロが、両手に持った銃を側面で合体させて構えた。そして、この戦闘で最も強烈な一撃が鉄血のアヘッドへと弓引かれる。

 

「ぐぅッ、流石は改造が施されたツインバスターライフル……!GN粒子が浸透したナノラミネートアーマーでさえも押し戻されるか!だが……!」

 

 左腕のシールドを眼前に掲げて、背部のGNバーニアを最大出力にし、ビームの濁流の中をすっ飛んでいくアヘッド・ウチカゲ。

 

「それが、どぉしたァァ—————ッッ‼」

「うわー、ホウキってば猪武者ぁ…。そこは止まりなさいよ」

「……そのさ、あの機体って脳量子波同調型の阿頼耶識システム入ってるんでしょ?それで避けたりしないの?」

「ロマンビルド、と言うヤツですか……。ああいうのを日本ではカミカゼ、と言うのでしょうか?」

「ふむ、東洋の神秘だな」

 

 シェンロンガラッゾ、GNアルテミーカスタムⅡ、ケルディムガンダムブルーティアーズ、セラヴィーガンダムシュヴァルツインレのパイロットたちは呆れながらもそれを眺める。相も変わらず無茶苦茶する女の子だなぁ……と。

 

「斬り捨て、御メェェェェンンンンンッッ‼」

 

 モビルスーツの日本刀が閃いた。夕暮れの海へ、左腕と片翼が落ちる。

 

「イチカァ!来ぉぉぉい!」

「ああ!」

 

 —————浅葱色のGN粒子を靡かせて、『白』が流星となって降ってくる。剣を振り、ビームの弾丸を弾き斬り結ぶ。

 雪のように白い、穢れ無き天使と見紛うその機体。水色の太陽炉が激しく光り、コーン型スラスターからは青白い翼の如き光が絶え間なく吹き湧く。紛争根絶のために遣わされたガンダム……ガンダムエクシアが新たな姿となりて、今再び飛翔する。

 福音の白翼を翻し、ウイングガンダムはゼロシステムの演算によってこの海域より離脱を図ろうとした。

 だが、そうは問屋が卸さない。桃色のビームが、バトルアックスを連結させたブーメランの攻撃が、はためく翼から白い羽根を散らす。

 

「わたくしを無視されては困ります!」

「畳みかけるわよ!」

 

 その場にいた面々は、アヘッド・ウチカゲが生んだ隙を逃しはしない。

 

「ラウラ!頼む!」

「任された!」

 

 白いエクシアリペアⅡのパイロットを援護するため、総員が一丸となって死力を尽くす。GNシールドとなったアリオスガンダムコスモスを使い、身を隠す術のない面々の壁になるGNアルテミーカスタムⅡが叫ぶ。

 

「イチカ急いで!戦線が崩れる!」

 

 『ガンダムホワイトナイトエクシア』が構えたGNソード弐型が、ウイングガンダムゴスペルゼロを捉えた。自分たちこそがガンダムだと誇示するように、天高くその剣を高く掲げる。

 

「今度は、逃がさねぇ—————ッッッ‼」

 

 

 

 

【MISSION CLEAR!】

 

 

 

 


 

 

 

 ()()()()()()()

 

 アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する人型機動兵器、モビルスーツのプラモデル。略して『ガンプラ』。

 そのガンプラに反応する特殊導電膜『プラネット』を操作してバトルを行うのがガンプラバトルシミュレーションゲーム、『GPD』である。十数年前に技術形態が開発・確立され、ガンプラバトルの世界大会が何度も行われるなど、この世界における一大ムーヴメントになっていた。

 これにより、世間の風潮としてプラモデラーのサブカル的立場は向上傾向になり、少なくともGPD全盛期の十年前は、ガンプラバトラーは少なくとも全世界で一千万人。潜在的な人数は計り知れないものだった。

 特に、GPD世界大会二連覇を成し遂げた日本人女性……通称『ブリュンヒルデ』は、その圧倒的な強さから、今なおビルダーたちの間で伝説として語り継がれている。

 

 やがて、実物のガンプラを動かして戦うGPDから、実際の大きさのモビルスーツに乗り仮想現実世界にて戦うGBNへと時代が移り変わる。数多くの戦いがあった。数多くの大好きと自由があった。それらを引き継いで、世界は新たなステージへと変わっていく……。

 

 

 


 

 

 

 —————日本国、藍越市。模型店『ホビーショップモザイカ』。

 

「いやぁ。ほんとびっくりだよねー、この世界……」

 

 私こと、『インフィニット・ストラトス』の黒幕ポジションの登場人物————『篠ノ之束(シノノノ・タバネ)』は要望されていたものを持って模型店の前までやって来ていた。え、篠ノ之束は一人称で私なんて言わない?……ま、本物ならそうかもね。

 

 篠ノ之束。ライトノベル『インフィニット・ストラトス』という作品にて、朴念仁系主人公に『狡猾な羊』とまで言われた社会性、道徳心、倫理観絶無の天災科学者。女性にしか動かせない機動兵器『IS』を作り出し、世界を歪ませた神様気取りのクソバカ元凶(リボンズみたいな女)。挙句には世界最強の人造人間と互角の戦闘能力持ちとかいう、手の付けられないバグ枠のナチュラル。厄介要素がトリプル役満、褒めるべきところが外見と声くらいしかないという。……自分で言ってて悲しくなるわ。

 何番煎じか、っていうくらい創作上ではありふれているものだけど、どういうわけか私はその篠ノ之束へと転生したらしい。それも、……本来のISとは別の世界に。

 

「右を見て、左を見ても、プラモデル……特にガンプラ、ホ●ージャパン……」

 

 街の広告テレヴィジョンには、GBNのアルファベット三文字がでかでかと映っている。

 ……そう、ガンプラバトル・ネクサスオンラインである。ガンダムシリーズの世界である。宇宙世紀とかC.E.とかアド・ステラとかでもなく、西暦世界。あ、西暦世界と言っても00じゃないよ。リアルの西暦世界だよ。

 

「……、ほんと良かったぁ……。00の西暦だったらELS来るもん。ガンダムビルド系はマジでお遊びのホビーアニメだもん。IS本編やらに比べて頭痛のタネもない!起きるトラブルも大したことない!すっごい楽しー!」

 

 ばんざーい!

 

「……店の前で何をしているんだ、束?ゴキゲンだな」

「あ、ちーちゃん。今日店番のアルバイト?」

 

 がらり、とスライドドアが開いて出て来たのは、『HOBBYSHOP MOSAICA』という文字がプリントされたエプロンを着た釣り目の美人さん。IS世界でも篠ノ之束と犬猿の仲(?)、腐れ縁の間柄である世界最強系女子の『織斑千冬(オリムラ・チフユ)』。愛称はちーちゃん。あ、原作だと出自が遺伝子単位で設計された親無き子(デザイナーベイビー)だけれども、この世界だと違うんだよね。

 

「ああ。()()()が買い出しに出てしまってな……。全く、世間はGBNに移行したとはいえ、未だ世界大会での知名度が根強いというのに……」

「いつも通りサインでも強請(ねだ)られた?」

「……既に二ケタは書いた」

「大変だねぇ」

「とか言っているが束、お前もだぞ」

 

 ん?後ろ指差してどしたのちーちゃん……うぇっ?

 

「あ、あのっ!GPD世界大会二連勝チーム『インフィニット・ストライク・フォース』のガンプラ製作者、『レニユリオン』さんですよね!サインいただいても、いいでしょうかっ!」

 

 ビルダーと思しき老若男女の何人かが目をキラッキラさせて色紙を持って並んでいた。

 

 

 

 

 

 

「良かったね、ユッキー!」

「うん、家宝にするよ!」

 

 ふぃー……、結構書いたなぁ……。

 

「あ、即席サイン会のスペース貸してくれてあんがとねちーちゃん」

「で、何しに来たんだ」

 

 ちーちゃんが持ってきてくれたペットボトルのお茶のキャップを捻る。こういうところちーちゃんだよねぇ、家事出来ない系美人さん。いっくんは急須でお茶淹れてくれるけど。いや、いっくんがちょっとおかしいだけかな?

 

十秋(トア)さんに頼まれて作ったジオラマを届けに来たんだけど」

「母さんが?」

「そう。クルジスの戦場で0ガンダム見上げてる幼少期刹那のジオラマを棚の一番上に飾りたいんだって」

 

 よいしょっと……。はいこれ。いやぁしかし……幼少期のせっさん、玄関子ちゃん、ネフェル・ナギーブ……、声そっくりな知り合い(オーちゃん)GBN内にいるよなぁ。アフレコしてもらえばよかったかな?こう、ジオラマから劇中の台詞が流れるスピーカー付けて……。

 

「相変わらずクオリティ高いな……」

「えへへ。まぁねー。私こっち方向の(クリエイティブな)才能が一番っぽいあるし。ついでに壊れたアンフとかモビルワーカーとかも作っちゃった。あとこっちは途中なんだけど、UCの名シーンのジオラマ再現のためのガンプラだよん」

 

 ででーん。まぁ色々デカすぎるからジオラマの方は分割して作るしかないんだけど。

 

「……ネオ・ジオングの一部か。サイコシェードのユニコーンを作ってたのはそういう…」

「じゃあ場所借りるね~。こっちのビルドスペースで続きの製作を……およ?」

 

 なーんか賑やかだね?

 

「ああ。一夏たちが来ているんだ。G()B()N()デビューのガンプラを選んでいてな……見ていくか?」

「んじゃーお言葉に甘えよっかな。ちょっと上がらせてもらうよ」

 

 さてさて。未だ中学生ズの主人公(いっくん)たちはどんな様子かな、っと。

 

「もすもす終日?みんなー、元気ー?」

「————あ、姉さん。徹夜して作っていたジオラマ持ってきたんですね」

 

 皆、中学校から下校してそのまま模型店に来たっぽい。セーラー服のまま鉄血のオルフェンズのガンプラを物色しているのは私の可愛い妹、『篠ノ之箒(シノノノ・ホウキ)』。箒ちゃんはポニテを揺らして顔を上げた。最近はテイワズ・フレームを片っ端から組んでるよね。

 

「いやー箒ちゃん。気が付いたら夜なべ仕事になっちゃったねー」

 

 そんなわけで目にクマができてます。原作束さん通りと言えばそうなんだけど。逆を言えばここだけしか共通点無いねー。本日の私の格好は『CUNNING SHEEP(狡猾な羊)』とプリントされた黒Tシャツに、灰色のパーカージャケットを羽織って、下はジーンズという適当ファッションです。うさ耳?無いよ。

 

「いるのは……いっくんに、弾くんに、鈴ちゃんか。ほとんどいつものメンツだねぇ」

「————あ。束さん、丁度良かった」

 

 箒ちゃんのお隣で棚に並んだ箱と睨めっこしてた美少年、『織斑一夏(オリムラ・イチカ)』が私に歩み寄ってくる。……うん、ちーちゃんといいいっくんといい、この外見でコーディネートされてないの凄いよね。この世界の織斑家のご両親も良い年の取り方した美形だしさぁ。

 

「おやおや?どーしたのかないっくん。何か私に相談事かい?」

「はい。これをベースにして改造しようと思ってて……少しアドバイスを貰えたらなぁって」

 

 ほほう!良いね良いね!こうやって頼られると私は調子乗っちゃうぞ。いっくんは初GBNで何の機体をどう使おうと思っているのかな?

 ほむ?おー成る程、これは……。

 

「……『ガンダムアメイジングエクシア』か。それに、『トランジェントガンダム』?」

「確かに両方ともカッコイイ機体だよねー。改造次第では化けるだろうし、いっくん手先器用だからそこは問題ないか。特にエクシアは近接タイプだし、いっくん好み?トランジェントの二重関節部分とか流用できそうだしねぇ」

 

 ビルドファイターズのラスボス機たちをチョイスするとは、中々のセンスだね。てっきりお気に入りだったユニコーンガンダムを選ぶかと思ったんだけど。中の人的にもそうかなー、とか思ってたんだけど。

 

「千冬姉がGBNでメインで使ってるガンダムアストレアの後継機ってのもあるけど。やっぱり一番初めに触れたガンダムの系列で作りたいと思ってさ」

 

 うーむ、このシスコン。私が言えたことじゃないけども。あ、ちーちゃんそっぽ向いた。照れてるねコレ。

 

「だな。私も最近一緒になってダブルオーを見返した甲斐があったというもの」

「口調がグラハムになってるぞ、箒。……そっちはもうGBNやってるんだったっけ?」

「ああ。今使っているのはこれだ。グラハム専用フラッグカスタムの改造ガンプラ……『レッドフラッグ』」

 

 箒ちゃんが手に持ったジュラルミンケースをパカッと開いた。私の目から見ても箒ちゃん過去一の出来のガンプラだった。防御目的のディフェンスロッドをオミットした代わりに、GNフラッグと同じで四肢にスタビライザー付けたんだっけ。おまけに足裏にもジェット推進組み込んでスピードアップに成功、前のGBNのバトルじゃトランザムしたガンダムに追い付けてたよね。

 ……、ただし被弾したら一発OUTというピーキー機体だけど。いやぁ、我が妹ながらこれ使いこなせるの凄いよ。一度も撃墜されてないの何なの?VR空間だとNTだったりするの……?原作からして箒ちゃんそうだっけ、ワールド・パージとか。

 

「サザビーとかシナンジュとかアストレイとか、相変わらず赤いの好きだよなぁ……シャアならぬ箒専用」

「ふっ、三倍くらい強い気がするからな」

 

 なお、箒ちゃんの部屋の棚には私と一緒に作った真武者頑駄無戦国の陣が飾ってあるよ。塗装をIS紅椿の蒔絵っぽい感じにしたくて金粉使ったりとか、姉妹で一緒になって滅茶苦茶本気出しちゃった。

 

「あっちはいつも通りね。弾は何にしたのよ?」

「全員ダブルオー系にするっぽいし、セルゲイ専用ティエレンタオツー。これをギャンカラーに塗り直すんだ」

「あんたのギャンへの並々ならない拘りなんなのよ……」

 

 一方でショッピングを楽しんでいるのは元気印のツインテール娘の『凰鈴音(ファン・リンイン)』ちゃんと、バンダナが特徴の『五反田弾(ゴタンダ・ダン)』くん。弾くんはあれかな、ウラガンの記憶でもあるのかな?ククルス・ドアンの島……あれは良いものだ。

 

「あたしは……あ、千冬さんこれください!」

「ふむ……、ガラッゾか。ブリング機で良いのか?」

「はい!色合い的にあたしっぽいのこっちなんで。これを、格闘技向けにラファエルガンダムの足に変えてー……ドラゴンガンダム、いやシェンロンガンダムとミキシングしてもよさそうねー」

 

 わー、皆楽しそうで良いねぇ。よきかなよきかな。ガンダムビルドファイターズのラルさんが言ってたなぁ……。

 

—————ガンプラ作りもガンプラバトルも、趣味の領域。機動戦士ガンダムの作中のように、戦争状態でもなければ、命の駆け引きをする必要もない。所詮は遊び……その通りだ。

 

—————しかし……いや、だからこそ、人はガンプラにもバトルにも夢中になれる!好きだからこそ、本気になれる!

 

 ……。この世界で、私が本気になれるのはこれだった。だったら、私は女性優遇兵器(IS)なんてものではなく、誰もが楽しめるガンプラを作ると決めた。世界(ものがたり)などどうでも良い……。己の意思で!

 

「それじゃあいっくんたちにはこれをプレゼント~」

「お?……なんですコレ?ノート?」

「うん、第二回GPDで私が使ってたアイデア帳だよー。没ネタやら使わなかったギミックだらけだけど皆の自由な創造の助けになるかもだし、あげちゃう」

 

 少しでも参考になったらいいなぁ。

 

「「「「……え、エラい物ぽいっと渡すなぁこの人……!?」」」」

 

 ん?そう?せいぜい世界大会見てたビルダーに希少価値が少々、程度のもんでしょ?

 

(それがどれだけこのガンプラ至上主義世界で価値あるものなのか分かってるのか束……)

(そういうところあるからなぁ、姉さん……)

 

 そんなこんなで模型店での時間は過ぎていった。いっくんの相談に乗りつつガンプラ組んだり、色を塗ったり。フルスクラッチのガンプラの設計図を書いたり、今日は充実した一日でした!

 

「ところでちーちゃん。『あばたーふみな』ってガンプラにカテゴライズされるのかな?」

「……それGBNで使うつもりか?」

「うん。美プラでやってみたいことあるし」

「……4,180円になります」

 

 よーし。現実でIS作らない代わりに、ちょっと思いついたことGBNで実験してみよう。……何より、ビルドダイバーズ世界の今後の為にもなりそうだし。

 

「お前のことだ、またとんでもないことになりそうだな」

「へへー。褒められてる?」

「呆れてるんだよ」

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鏡の水面に空を湛えるその世界。ウユニ塩湖を思わせるその海原が波打つ白浜。ひと夏の白い太陽が燦々と照りつけ、涼やかな風が吹き抜ける。

 

「————。————♪~~~♪」

 

 綺麗な唄が浜辺に流れる。揺れる髪。輝き、眩く瞬く白。ドレスの裾が風に撫でられて、膨らんでは舞う。彼女は倒れた流木に腰掛ける。歪な形の椅子は時の経過で樹皮が剥がれ落ち、真っ白になっていた。

 

「ねえ…………私を呼ぶあなたは、誰?」

 

 その少女は心待ちにする。誰を求めているのか分からずとも、その名が運命を知っている。白き『最初に生み出された天使』は、無限の成層圏へと手を伸ばして……。




 この世界線ではビルドファイターズトライの関連商品として『あばたーふみな』が出た設定。メタバースは色々考えたらあかん奴。

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