斉木楠雄は告らせない   作:のぞむ

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お久しぶりです!

今回は原作かぐや様より早めに過去編をお送りします!


Ψ初の出会い!氷のかぐや姫

僕の名前は斉木楠雄。超能力者だ。

 

え?自己紹介はこれで三回目だと?何を言ってるんだ。僕はこの小説の読者と初めて会うんだぞ。三回目の訳がない。

 

話が逸れてしまったが、今年から僕は高校一年生になった。入学したのは私立秀知院学園。多くの金持ちの子供が通う学園だ。小学校から秀知院に通っている者は『純院』。僕の様に外部から入学した者は『混院』と呼ばれて区別されているらしい。中高一貫という事もあってか、既にグループは出来上がっている。勿論その中に僕は入っていない。

 

だがそれでいい。だからこそ僕はこの学園を選んだんだからな。

僕は他人と関わらず、目立たず平穏に過ごす事をモットーにしている。そんな僕にとってこんなに素晴らしい学園はそうそうないものだ。まぁ入学して一週間で何故かケツ顎のバカと中二病に絡まれてしまっているがな…

 

僕の話はこれくらいにして、さっき購買で買ったコーヒーゼリーを食べるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君かな?特待生の斉木楠雄君というのは」

 

そんな時、僕の目の前に帽子を被った胡散臭そうな男が現れた。っていうかさっき話した中二病の奴と声が似ている気がする…

 

「僕はこの学園の生徒会長だ。入学式で見ている筈だよ」

 

ふむ、確かに入学式の時の祝辞を読んでいたのはこの男だった気がするな。あまり興味がなかったから忘れていた。

 

「その顔…興味がなかったから忘れていたって顔だね。君は中々面白い人間みたいだ。それはそうと、生徒会室に来てくれないかな?君に話があるんだ」

 

そうか。遠慮しておこう。

 

「そうかい…手ぶらじゃ申し訳ないと思ってコーヒーゼリーを用意していたんだけど、無駄になってしまったようだ」

 

何をしている。早く案内しろ。

 

「清々しいくらい態度が変わったね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕を生徒会に?

 

「生徒会の役員は会長が指名する事になっているんだよ。それで是非君に入ってもらいたいんだ」

 

冗談じゃない。生徒会なんて常に注目されている存在じゃないか。そんな物に入ってしまったら目立ってしまう危険性がある。

 

そもそも、何で混院の僕を誘うんだ?

 

「混院だからこそだよ。我々は秀知院という箱庭で生きてきた者ばかりだ。外の世界を見てきた人材が一人は必要だと思ってね。是非君の見識を活用させてほしい訳さ」

 

そういう事なら僕のクラスにいるケツ顎でも良いんじゃないか?確かあいつも僕と同じ混院の筈だぞ。

 

「同じく特待生の燃堂力君の事かな?それは難しいかな…彼がどうして合格できたか知ってるかい?」

 

それは知らないな…燃堂は何も考えていないバカだという事は一週間でわかったが、何故入学出来たのかは僕も不思議に思っていた。

 

「どうも鉛筆コロコロで出た答えを書いて、それが合ってたから合格できたらしいよ」

 

ホント、何で入学出来たんだろうな…

 

「それに、君を生徒会に誘う理由はもう一つあるんだ。君は試験で平均点を取って合格している。けれど僕は思うんだ。もしかしたら君は本気を出していないんじゃないかってね…まぁあくまでも僕の勘だけどね」

 

この生徒会長、どうやら勘が鋭いらしいな。常時テレパシーが発動している僕からしたら試験もテストもお茶の子さいさいだ。だが主席入学なんてしてしまったら目立ってしまいすぐさま学園の注目の的だ。確かに僕はある意味で手を抜いているのだ。

 

「まぁ、今日は生徒会の活動を見学するだけで構わないからさ」

 

やれやれ…このまま帰してくれそうにないな。今回だけだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、今日の活動はこの沼の清掃だ」

 

生徒会長に連れられてやって来たのはやたら汚れている沼だ。名前も『血溜沼』と如何にもミステリーモノやホラーモノに出てきそうな名前だ。

 

そうして僕も沼の清掃をする事になったが、思っていた以上に汚れている様だ。超能力を使えば一瞬で沼を綺麗に出来るんだが、何人かの生徒もボランティアで清掃に参加しているので超能力は使えない。

やれやれ、地道にやるしかないな

 

「キモッ!コウモリの死骸が浮いてる!」

 

「ちょっ!」

 

そんな時だった。女生徒が驚いた拍子で側にいたもう一人の女生徒が沼に落ちてしまった。女生徒は藻掻いており、いつ溺れてもおかしくない状況だ。

 

「えっ…入った方が良い?」

 

「でもこの沼入って平気なの?病気とかになったら…」

 

こいつらは何を言ってるんだ…人間が溺れかけてるんだぞ?

だがこれも一つの反応なのだろう。人間というのはとことん自分が大切なのだ。

 

やれやれ…仕方ない。

 

「おい!誰か飛び込んだぞ!?」

 

「あれって、確か外部生の…」

 

僕は沼の中に飛び込んで女生徒を連れて沼の中から脱出する。やれやれ…案の定泥まみれになってしまったな。

 

「君達!大丈夫かい!?」

 

生徒会長が血相を変えてこちらに駆け寄ってくる。

 

すまないが、一応彼女を病院に連れて行ってくれないか?

 

「ああ…斉木君、君も来たまえ」

 

僕はいい。それに僕があれくらいの泥で病気になる事はありえないからな。

 

「いや、僕には秀知院の生徒会長として、君を病院に連れて行く義務がある。従ってもらうよ」

 

チッ、やはりダメか…しかしこの会長は本心で僕を心配しているようだ。

大丈夫ではあるんだが、僕が病気になっていない事を証明するために行くしかない様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…何故?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、病気にかかっていない事がわかり、いつも通り学校へ行く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校門を潜ろうとした瞬間、僕は校門前で待ち構えていた人物に声をかけられた。やれやれ、面倒な奴に目を付けられたな…

 

それで、僕に何の用だ?四宮かぐや。

 

「…あなた、何故彼女を助けたの?」

 

彼女というのは昨日僕が助けた女生徒の事だな。昨日血溜沼から去る時に『何故?』というテレパシーが聞こえていたが、おそらくそのテレパシーは四宮さんのものだろうな。

 

「質問に答えなさい。私は何故彼女を助けたのかと聞いているの」

 

彼女を助けた理由…他にあの場にいた奴らが助けようとしなかったから、仕方なく僕が助けただけだ。それに彼女が溺死してしまったら僕にとって後味が悪くなるからな。

 

「誤魔化さないでちょうだい。あなたが彼女を助ける理由は一つしかない。彼女は大手新聞社局長の娘。恩を売るのは特になるかもしれない…そう思って助けたのでしょう?」

 

…そんなつもりで助けた訳じゃない。さっき言った事が全てだ。

 

「は?」

 

確かにテレパシーであの女生徒を新聞社局長の娘だと聞こえてきたが、僕にとってどうでもいい情報だ。仮に溺れていたのが彼女ではなくとも、周りの奴が何もしようとしなければ僕が助けていただろう。

 

用が済んだのなら僕は行くぞ。

 

「待ちなさい」

 

何だ?まだ何かあるのか?

 

「…あなた、名前は何と言うの?」

 

…斉木楠雄だ。

 

四宮さんに名前を伝えた僕はそのまま自分の教室へ向かっていった。

 

 

 

 

「…早坂」

 

「はい」

 

「あの男…斉木楠雄の事を調べなさい」

 

「畏まりました、かぐや様」

 

 

 

 

--------------

 

 

 

 

斉木とかぐやが邂逅した翌日の夜、かぐやは早坂から斉木の事を聞かされていた。

 

「斉木楠雄。母久留美と父國春の間に生まれた次男。長男の空助は現在イギリスのケンブリッジ大学に留学中の様です。斉木家は至って平凡な一般家庭であり、斉木楠雄自身も特に目立った人物ではないようです」

 

「…確かに初めて彼を目にした時、私も地味な男だとは思ってはいたけど…それ以外に情報はないの?」

 

「申し訳ありません。それ以上の情報がなかったので…」

 

「そう…」

 

「…珍しいですね。かぐや様が他人に興味を持つのは」

 

「そういう訳じゃないわ。少し気になるだけよ。本当に彼は見返りを求めずに人助けをする人間なのか」

 

「(それは他人に興味を持つと言うんですよ…)それで、何かわかったのですか?」

 

「いえ…彼に近づこうとするとすぐに避けられてどこかに消えてしまうの。不思議な事に、私が近づいている事に気づいているかの様に…」

 

「かぐや様の接近に気づくとは…もしかしたら斉木君は超能力者なのかもしれませんね」

 

「馬鹿言わないでちょうだい。そんな非科学的なものがあるわけないじゃない」

 

「わかっています…かぐや様、斉木君に避けられずに近づく方法が一つだけあります」

 

「何?」

 

「生徒会です」

 

「生徒会?」

 

「斉木君は生徒会長から生徒会の勧誘をされたようですが、どうやら断ってしまったようです」

 

「あの生徒会長が誘う程の男…なるほど、あなたの考えはわかったわ」

 

それからかぐやは早坂の考えを口にする。

 

「私も以前会長に生徒会の勧誘をされたのだけど断っていたわ。あの会長にとって私も生徒会に必要な人材だと思っている…だから会長と交渉すればいいのよ。私が生徒会に入る代わりに、次の生徒会長に斉木楠雄を推薦するようにと」

 

「その通りです。生徒会長直々の推薦となれば支持率も大きく上がり、会長選挙でも勝てる可能性が上がります」

 

「えぇ…彼が生徒会長なら彼の人間性も知ることが出来る…さっそく明日にでも会長と話に行こうかしら」

 

 

 

 

--------------

 

 

 

 

秀知院学園に入学してから半年ほどが経った。バカと中二病に絡まれつつも僕は求めていた平凡な日々を送れていた。

 

さて、今日は観たいアニメがある事だし、早く家に帰ろう。

 

「おい斉木!あの話は本当なのかよ!?」

 

やれやれ、あの話って何の事だ?海藤。

 

「何の事って、生徒会長から次の会長に推薦されたんだろ!」

 

は?

 

「え?もしかして聞かされてないのか?」

 

「お?相棒、オメー次の生徒会長になんのか?」

 

一体どういう事だ…?僕が次の生徒会長だと…!?

 

廊下の掲示板に行って僕が目にしたのは、次の会長選挙の立候補者の中にある僕の名前だった。どういう事だ、僕は何も聞かされてないぞ!?

 

とにかく生徒会室に行ってあの会長から話を聞くしかないな。

 

 

 

 

 

「あら斉木さん、会長なら今いませんよ」

 

生徒会には四宮さんの姿があった。

 

…なるほど、そういう事か。

 

「私は今、生徒会の副会長よ。つまり、あなたを生徒会長に推薦するように促したのは私よ」

 

そう言って四宮さんは僕に近づいてくる。

 

 

 

 

 

 

「あなたが生徒会長になったら見極めさせてもらうわ。あなたが本当に見返りを求めない人間なのか…」

 

 

 

 

 

 

こうして僕は生徒会長に抜擢されてしまい、どういう訳か四宮さんは僕に惚れてしまった。やれやれ…

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