エリートオペレーター・リディキュラスは偏屈な男である。
実力は確かである。しかし言動は難がある――その爆弾は最悪のタイミングで爆発した。
「待って欲しい。だが……テレジア氏は客観的には悪人では……?」
何故かテレジアに対するアンチ・ヘイトをするだけのうんこ投げるマンが感動の場面を台なしにして怒られる話。

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14-22戦闘後イベント後を推奨。
アンチ・ヘイトタグがつくタイプの二次創作です。
アークナイツ14章終盤のネタバレが前提ですが、深刻に原作の読後感を害される・台なしにされる恐れがあります。
たぶんシュールギャグ。













テレジアにうんこ投げるマン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回までのあらすじ:あれは、なんかしれっとオリ主が増えてるのに特に話の流れは変わってないヴィクトリア編が進んでいた頃……(存在しない記憶)

 

 

 

 

 

 

 

 まず最初に断っておこう。

 ヴィクトリアで起きた一連の戦争、それに対するロドスの介入はしばしば、ヴィクトリアの体制に対して協力的だったが――それは決して、ヴィクトリア貴族の利害に配慮してのことではない。

 ロドスという組織の原型がサルカズ穏健派バベルにあったことを思えば、むしろ極めて中立的であるとすら言える。

 そして多方面で事業を展開している関係上、ロドスのエリートオペレーターは本艦に常駐しているわけではない。

 

 レユニオン事変以後、テラ各国とパイプを持つに至ったロドスはその影響力を拡大してきたが――その急速な組織の規模拡大によって、かつてとは様相の異なる人手不足に見舞われていた。

 経営的にも戦力的にもかつてなく上向きだからこそ、かえって人手不足になるという状態なのだ。

 レユニオン事変後、ロドスに入職したオペレーターは数多いが、その多くはテラ各国に広く展開しており、出身国で活動するものも珍しくない。

 戦時下のヴィクトリアへの直接介入に連れて行ける人員は、そう多くなかった。

 

 まずアーミヤは術士である。王庭のバンシーであるロゴスも術士――本人の技量が他と隔絶しているので忘れがちだが――である。

 ケルシーの使役するMon3trはその攻撃力、防御力、機動力どれを取っても凄まじい存在だが、ケルシー本体と独立している関係上、一度に二人を守ることはできない。

 つまりどういうことかというと、多少なりとも腕の立つ前衛を連れていこうという判断は間違っていない。

 その前衛が貴重な()()()()()()()()()であるならば、なおさらのことである。

 

 エリートオペレーター・リディキュラスはそうして、ドクターの護衛として途中から合流してきた前衛である。

 もちろんサルカズの軍事委員会、王庭の戦力は強大である。長命であるサルカズの中でも、才能に優れ、その武芸やアーツを磨き、実戦経験を重ねてきた彼らは強大無比だ。

 古参のエリートオペレーターであるアスカロンやロゴスがいても打開できなかった状況が、リーベリの剣士一人が加わって劇的に変わるわけもない。

 されどロドス三大幹部が一堂に会して行動している、という状況を思えば――エリートオペレーターが一人増えたことによる余裕は無視できなかった。

 

 

――そういうわけで、ことの経緯は省略する。

 

 

 レヴァナントが駆動させていた飛行船を無力化する間、リディキュラスは寡黙(かもく)な人だった。

 それ以前の道中、アスカロンやロゴスとの打ち合わせでは短く意見交換をしていたが、戦場ということもあり決して無駄口は叩かなかった。

 そういうわけで外様のW――サルカズの女傭兵――が、このリーベリのことを「腕は立つが多弁ではないタイプ」と認識していたのも無理からぬことである。

 

 

――なんやかんやで一行はオリジニウムの内部に取り込まれた。

 

 

 道中、彼らは恐るべきものを見た。

 ありとあらゆる現実を、物質を、情報を取り込んでいく源石は、その内部に巨大な空間/時間を秘めていた。

 そこにはあらゆる空想があった。超現実的な悲惨があった。

 

 ドクターの願望を反映して作られた仮想現実のロドス、死後も解放されることなく殺し合う有史以来続くサルカズの魂、天へと伸ばされた巨大な塔。

 そしてドクターの意識によって構築され得たロドス号が、巨大な情報の海を掻き分けて、塔へと突進したこと。

 彼らを押しとどめようと襲い来るサルカズの魔王たちを食い止めるため、エリートオペレーター・ロゴスは一行を先に行かせた。

 

 すべての因縁に決着をつけるために。

 エリートオペレーター・リディキュラスは年若い同僚の献身に感謝して、「承った」とこれに応えた――まあ、ここまでなら面白みのない真面目な仕事人という感じである。

 事実、Wの認識もそういうものだった。

 あとはそう、多くを語る意味はない。

 

「テレジアさん、私は決して諦めたりしません――」

 

 

――少女は自らの意思を示し、魔王テレジアに対してその前進を証明した。

 

 

「本当に……あったかい炎ね、アーミヤ……」

 

 

 白亜の塔を覆うようにピンク色の糸が絡みつき、奇跡の綾織りを織りなしている。炎が咲き誇る花畑の中に、テレジアは座っていた。頭上の広がる黄金の海を見上げながら、アーミヤとテレジアは言葉を交わした。

 それはまるで子と母の会話のようだった。

 そしてあふれ出る感情を抑えきれず、Wがテレジアに抱きついた。

 それはまるで慈母がそうするような、慈しみに満ちた時間だった。大切な人たちとふれ合う、消えゆく魂の救いにも似た景色の中――おそらく唯一、この場でそれと一切関係ないリーベリの男が、無感動なまなざしをそれに向けている。

 

 

――待て、リディキュラス。

 

 

 そのときである。何かに気づいたかのように、ドクターが口を開いた。自らの傍らに立つエリートオペレーター・リディキュラスが、どういう思考をしているのか、ドクターは一瞬で察したのである。

 まず前提として、今この瞬間に至るまで――リーベリの男の脳裏には如何なる悪感情も存在し得なかった。

 だからこそ人の心を読めるアーミヤもテレジアも不意を突かれた、と言えよう。

 

 

 

「すまない(申し訳程度の謝罪)……私はヴィクトリア人ではないので個人的にサルカズに恨みはないし、古参でもないのでテレジア氏とは面識がないのだが……一つ、確認事項を口にしておきたい。テレジア氏はこの戦争と虐殺を()()()()()()()()()()()()。その所業が、()()()()()()()容認されることがあってはならない(当然のことを言ったという顔)」

 

 

 

 正論である。

 そして最悪だった。

 和やかな場の空気が死んだ、と思っていただきたい。

 アーミヤはその感情を読む能力によって、リディキュラスの言葉に如何なる悪意もないことを知っていた。

 であるからこそ一瞬、そのあまりにあんまりな発言――悪意なく、自分の発言がどのように受け取られるか理解した上で、それでもなお確信犯的に暴言を放つ――にどう対応するか迷った。

 少女の戸惑いを察知して、ドクターが口を開いた。

 

 

――リディキュラス、君の発言はあまりに配慮を欠いている。

 

 

 リディキュラスの発言は正しい。だが、あまりに無慈悲である。

 この場には、テレジアと縁が深い人間しかいない。巨塔の根元で時間稼ぎをしているロゴスもまた、内戦時代のバベルからテレジアと関わっていた古参である。

 かつてのテレジアの暗殺に関わっていたドクター自身、覚えがないとはいえ同様であった。

 誰もが、無意識のうちにテレジアという存在に対して負い目があったのだ。

 しかしリーベリの男は、そういう因縁と完全に無関係であり、ついでを言うなら徹頭徹尾、理想に対して純度が高い異常者だった。

 

 

 

「すまない(申し訳ないと思ってなさそうな顔)……テレジア氏がケルシー女史、W氏、そしてアーミヤ代表にとって大切な人であることは理解している。ドクターとの間に浅からぬ因縁があったことも。しかし倫理的に、()()()()()()()()彼女の選択は決して容認されてはならない……では、話を続けてくれ……(当然のような顔でドクターからそっと離れる)」

 

 

 

 もし全力投球でテレジアにうんこを投げる人間がいたなら、きっとそいつは頭のネジが飛んでる元傭兵のリーベリの顔をしている。

 この場に褒めるべきところがあるとすれば――サルカズの女傭兵が、一度は暴力行使を堪えたことだろう。

 Wはドスの利いた低い声で、威圧した。

 

「あたしが我慢できてるうちに、その口を閉じなさいリーベリ」

 

 殺気。

 リディキュラスは首を横に振った。

 さりげなくドクターにもケルシーにもアーミヤにも射線が通らない位置に移動済みだ。

 固い信念でうんこを投げる人間がいるとしたら、それはたぶんリディキュラスのことだった。

 

 

「もちろん私の見解は、圧倒的に差別や迫害を受けている人々にとって不利な圧力を固定化しかねない。しかし英雄の導きに従った人々が、自らの良心や理性に目を背け、容易く蛮行を働いてしまう作用は無視できない。このヴィクトリアで起きているすべての惨劇が、そのような求心力によって集団化された暴力の産物であることは明白だと思うが?」

 

 

――意訳:それでも俺はテレジアにうんこを投げる

 

 

 当然、爆発が起きた。

 目にも止まらぬ早撃ちで擲弾発射機(グレネードランチャー)がリディキュラスにぶち込まれる。

 そして近接信管が作動するよりも早く、リーベリの剣閃が爆発物を両断/弾き飛ばす。それを見越して撃ち込まれる次弾――凡庸な出力のアーツが、その弾道を呼んで起動する――不発。

 さらにそれすら織り込んでアンダースローで投げ込まれる手榴弾――閃く斬撃――無駄に高度な技量の応酬――そして意味不明な内ゲバ。

 目にも止まらぬ戦技の数々は、気が滅入るぐらい建設的ではない。

 アーミヤが悲惨すぎる状況に対して声を上げた。

 

「Wさん、やめてください!」

 

 ケルシーはどこが死因かわからないめった刺しの惨殺死体みたいなシチュエーションに対して鋭い静止を発する。

 

「リディキュラス、君の発言は我々を混乱させている。慎め」

 

 面倒な状況だった。

 ドクターの目から見てどう映ったかと言えば、おおよそ、この偏屈なリーベリの言っていることは正しい。

 ヴィクトリアで起こした戦乱を利用して儀式を遂行し、源石(オリジニウム)の制御権を掌握する――それは途方もない難易度の奇跡であり、運命に対して抗う強い意思がなくして実行しえない。

 そう、明らかにわかりきっていることを、あえて繰り返すなら――あの恐ろしいブラッドブルードの大君の虐殺もまた、テレシスとテレジアの目論見のための布石に過ぎなかったのだ。

 無残である。

 

 被害に遭った人々の目から見れば、どう抗弁しようと邪悪の所業である。

 しかし正しさだけで、人は決して動かない。むしろ時と場合を考えないと、要らぬ反発を生むことも多々ある。

 テレジアの熱烈な信望者であるサルカズ傭兵の前で、このような諫言(かんげん)めいた発言をするところに、リディキュラスの偏屈さが詰まっていた。

 若く、鮮烈な感情を持つWがキレるのは当然だった。

 しかしアーミヤの静止を聞いて、Wは理性を取り戻した。深紅の瞳の奥で烈火のような怒りが燃えたぎっている。

 

「殿下の前でそれ以上、舐めた真似するならここで殺すわ」

 

「すまない、貴殿の感情に配慮していない物言いだった。では話を続けてくれ……(スッと存在感を消す)」

 

 「えっ、そこで謝るんだ……」と誰もが困惑した。

 あるいはWがあと半年若かったなら、これを挑発と判断してリディキュラスに対する攻撃を行っていただろう。彼女が無礼なクソ野郎にもう一度手を出さなかったのは、この善悪のはっきりしないヴィクトリアでの戦争を経た情動の変化、そして敬愛するテレジアの前であるという意地であった。

 なるほど、このリディキュラスとかいうオペレーターはクソ野郎である。カスである。

 人の情というものを解さない。どうしてこんなやつを連れてきたのかケルシーのババアの良識を疑う。

 だが、同じ土俵に落ちては、それこそ無様極まりないではないか――そのような判断が、この一瞬でWの中には存在していた。

 もし事実上の保護者であるヘドリーとイネスがこの光景を見ていたなら、彼女の心身の成熟に対して深く頷いていたかもしれない。

 

 

「…………もういいかしら?」

 

 

 痛々しすぎるこの場の空気に対して、何故か場を支配しているはずのテレジアが配慮するという奇怪なシチュエーションが出現していた――たぶんサルカズの伝説的英雄すら「えっ、何この空気……」という気持ちは同じだ。

 彼女が超然とした英雄であることと、意味不明なプロトコルで動いている変人奇人に困惑する気持ちは両立する。

 人間はどれだけ力を得ようと、精神性まで人間を逸脱することはできない。

 誰だって自分に真顔でうんこを投げてくる様子のおかしい人を見たら、まず現実か疑うものだ。

 

 

――全力で源石(オリジニウム)の秘密と向き合い、サルカズをその呪縛から解き放つ。

 

 

 そういう超自然的とすら言える偉業を成し遂げた彼女に残された時間は、あまり長くない。既知の観測可能な領域から、間もなく彼女の情報は離脱する。

 であればこそ生前、親しかった少女たちと向き合う時間は黄金に等しい価値を持っていたのだが――そこに、漬物石ぐらい大きなうんこが投げ込まれた。

 それは、このヴィクトリア戦争で犠牲になった人々という彼女の罪への弾劾だった。

 

 にもかかわらず個人的悪意がない――テレジアへの嫌悪感すらない言葉なのだ――から、断罪と呼ぶには情熱がなさ過ぎた。

 あるいはもっと時間さえあれば、テレジアもこの奇妙な闖入者(ちんにゅうしゃ)と対話を試みただろう。

 これまでそうしてきたように。

 完全にこの内的宇宙を支配している魔王は、しかしながら、もう目が見えないほどに消耗していた。

 そういうわけなので、テレジアは結局、中断された会話をアーミヤとW(ウィシャデルと名付けてあげた)との間で再会した。

 

 その後、書くべきことは多くない。

 人間には最早、観測不可能となるいずこかへ去りゆくテレジアと、彼女と縁があった人々の別れがあったのみである。

 

 

 

 

 

 

 

「テレジアさんが……消えていきます……」

 

「消える? 子ウサギ、あんた何を言って――」

 

「名残惜しむ必要はないわ――これから私は完全にこの大地から離れて、あなたたちの目が届く如何なる場所にも二度と存在しなくなる」

 

 

 

 

 

 

 〇←テレジア

〇〇〇←ケルシー、アーミヤ、ウィシャデル

 

 

 

 

 

 

●(←このへんに神妙な顔で美少女四人の団らんの邪魔にならないように立ってる面倒くさい人)

 

 

 

 

 

 

 

「ドクター、手を貸して――あなたの言うとおりよ。私は幸運にも、最も()()のあなたに会うことができた。その人は、賢くて、優しい人なの。重い使命を背負って、堅牢な枷を身にまとおうと、一度も希望を諦めたことがない人よ」

 

 

――自分は……一体どんな人なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

〇〇←手を握り合うテレジアとドクター

 

 

 

 

 

 

 

      ●(←このへんに「ドクターの心の整理のためには必要なことなのだろう……二人の間に何があったのかはわからないが……」と黙ってる面倒くさい人)

 

 

 

 

 

 

 

 そして時間切れになった。

 テレジアは旅立っていった。最初の源石〈アナンナ〉の場所を、ドクターは認識した。去りゆくテレジアとロゴス――アエファニルの間で会話が交わされた。

 そう、テレジアの悲願は達成されたのだ。

 一万年に及ぶサルカズの運命、その意思に作用していた呪縛は消え去った。

 

 

――それは偉大すぎる行いであり、罪深すぎる犠牲の山を残していった。

 

 

 エリートオペレーター・リディキュラスは以上のような状況を、ただ無言で見届けた。

 実のところ、完全に見ず知らずの他人である彼に対しても、去り際にテレジアは思念によって言葉を投げかけていたのだが――結局、会話は成立しなかった。

 おおむね彼の存在は、現状に対して大きく影響はしなかった。

 ただひたすら、「それはそうなんだけど、今このタイミングで言う!?」という感じの見苦しい幕間が合間に挿入されただけだった。

 あるいはリディキュラスのような人間のことを、かつて存在した文明ではこう呼んだことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――荒らし、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『基礎情報』

【コードネーム】リディキュラス

【性別】男

【戦闘経験】不明

【出身地】サルゴン

【誕生日】不明

【種族】リーベリ

【身長】185cm

【鉱石病感染状況】

メディカルチェックの結果、非感染者に認定。

 

『能力測定』

【物理強度】優秀

【戦場機動】優秀

【生理的耐性】標準

【戦術立案】優秀

【戦闘技術】卓越

【アーツ適性】標準

 

『個人履歴』

ロドスの前線オペレーター。レユニオン事変後、新規採用されたオペレーターの一人。

前職はサルゴンの傭兵だったとされる。

極めて短期間でエリートオペレーターにまで昇進した人物だが、癖の強い言動から、ロドスにおいてはトラブルメーカーの一人である。

 

『第一資料』

「冷や水をぶっかけることに関して、ロドスで彼の右に出るものはいない」――この一言ほどリディキュラスの人柄を表している言葉はない。

ロドスの理念に胸を打たれ入職を希望したという自己言及と裏腹に、彼は組織に対して常時、疑いの目を向けている節がある。

その疑念はアーミヤやケルシー、ドクターにも向けられており、そういった思考や心情を隠そうともしない姿勢から、一部のオペレーターとは喧嘩になっている。

あるオペレーターに言わせれば「偏執的なまでの英雄否定に取り付かれた変人」であり、あるオペレーターに言わせれば「とても礼儀正しい律儀な人」である。

この二つの評価が、人物像として矛盾しないことにリディキュラスの複雑な人間性――あるいは面倒くささが詰まっている。

※資料では個人の所感は控えてください!

 

『第二資料』

前職が傭兵だったという自己申告通り、リディキュラスの戦闘能力は高い。小隊指揮などの能力において目を見張るものはないが、一人の戦士としては高水準でまとまった能力をしている。

戦闘員として勤務する彼は当然、戦闘地域での被災者救護にも当たっている。

普段の少々――いや、人によっては度を超えている――偏屈な言動からは想像できないが、意外なほど救助された人々からの彼の評判はいい。

その理由をまとめるなら、極めて献身的で弱者に対して親身である、という点に集約される。

悲惨な戦災や天災の被害に直面し、消耗した部下に対するケアも欠かさない。

彼がドクターによってエリートオペレーターに推薦され、他のエリートオペレーターたちから承認されたのは、決して手違いではないのである。

こうした美徳が、彼の普段の言動をフォローしきれないところに、リディキュラスの問題点もあるのだが。

 

『第三資料』

リディキュラスの出身ははっきりしていないが、彼が複数の国家にまたがる複雑なルーツを持っていることに疑問の余地はない。

サルゴンに伝わる荒々しい剣術、リターニアに由来すると思われる独特なアーツ――この大地で幾度も起きてきた政変や紛争を思えば、彼のように出自の不確かなオペレーターがいることは不思議ではない。

リディキュラスが自らの過去について語ることは少ないが、その脅迫観念的な英雄否定からは、何らかの経験に根ざした価値観がうかがえる。

一つ断言できるのは、彼がロドスの理念と活動に対して示す賛意、忠誠心は決して揺るぎないという事実である。

「リディキュラスさんは悪い人じゃないよー、困ってる人を見かけたらすぐ駆けつけるし、現場でその判断が間違ってたことはないし。あたしも人当たり最悪なところはどうかと思うけどー、嫌がらせで言ってるわけじゃないと思うよ、たぶん」

――リディキュラスのロドス入職に関わったオペレーターの証言。

 

『第四資料』

リディキュラスがロドスに入職する前、確認されている事件が一つある。

サルゴンで起きたその事件では、現地住民のコミュニティを支配する武装勢力とロドス現地スタッフの間で、武力衝突が発生した。

事後に脅威リスクを調査したロドススタッフの見解では、リターニアの都市ウォルモンドで起きた暴動と同じような惨事へ発展する可能性を秘めていた。

幸いにもこの一件は、大きな事件になることなく終結した。ロドスとの武力衝突の原因は迅速に取り除かれ、奇跡的に死者が出ることもなく、数日も経てば現地住民も忘れてしまうような小事となったのである。

この事件解決に当たって、ロドス本艦から派遣されていたオペレーターと協力したのが、傭兵リディキュラスである。

リディキュラスの事件当時の行いは次のように評価される――「極めて迅速に、嵐のように事件に関係する人物を尋問し、事実を繋ぎ合わせ、陰謀の結節点を破壊し尽くしていった」。

実際のところドクターが彼を採用したのは、この一件のレポートがあったからだというのが、調査部での通説である。

 

『ボイス』

秘書任命「ドクター、貴殿は果たして……いや、失礼した。このリディキュラス、非才の身ながら謹んで承ろう」

 

会話1「見ての通り、私は非才の身。それゆえ的外れなことを言ってしまうかもしれないが……皮肉? いや……」

 

会話2「ロドスは素晴らしい組織だ。この大地において、ここまで分け隔てなく――国境や種族を超えて、純粋に利他性を尊ぶ理想を掲げる組織は珍しい。ゆえに少々、心配になる……アーミヤ代表やケルシー女史、そしてドクター、貴殿に依存した運営体制になってはいないだろうか。そのような個人の素質に依存した体制は、些細なきっかけで壊れてしまうものだ」

 

会話3「誤解を恐れずに言わせてもらうなら――もちろん誤解の余地がないよう言葉にしよう――ドクター、貴殿の人心掌握術は極めて効果的で危険だ。ロドスには若者も多い。彼らにとって貴殿の存在は夜空の星に見えるだろう。だが、それゆえに危ういと言わざるを得ない」

 

昇進1「昇進……? 私に? ロドスの理念に対する私の功績が評価された、ということだろうか。失礼、謹んで業務に戻らせてもらう」

 

昇進2「世に英雄は不要だ。人は英雄に酔うとき自らの良心と理性を麻痺させる。そして教条的に英雄を否定するだけでは、やはり道徳なき暴力が生まれてしまう。ドクター、貴殿はこの大地で理性と良心を枯渇させることなくロドスの理想を成就させられるだろうか。もちろん私も助力するが……」

 

昇進後会話1「しかしロドスの制服……こういった衣服が士気に及ぼす影響は看過できない。これは理解できる。だが、少々、ロドスの制服が秘めているフェティシズムは行きすぎているようにも思える。考えすぎ? ドクター、よもやそれは貴殿の趣味では?」

 

昇進後会話2「私が正論を笠に着ている? ドクター、その指摘は正しい。その上であえて貴殿の好意に甘えさせてもらうならば――情に流され、周囲に同調し、誰も止めるものがいなくなったとき、人間集団は怪物に変貌する。果たして適切な配慮、適切な距離感なるものが、本当にこの大地に存在しているのだろうか?」

 

信頼上昇後会話1「如何なる大義、如何なる正義、如何なる理想があろうと――決して殺戮は容認されない。果たして幾千幾万の英雄が、甘言で人々を死へ駆り立てたことか……もちろんドクター、貴殿ならば言うまでもなくわかっていると思うが……」

 

信頼上昇後会話2「私の言動がトラブルを招いている、と? その点について、我々の間には嘘偽りのない同意があると見ていい。ロドスの第一線で働く人々は皆、すべからく尊敬に値する職業意識を持った人々だ。私の物言いは言いがかりに等しい……そういう話ではない? 失礼した」

 

信頼上昇後会話3「人々が団結し戦うためには道しるべが必要だ。我々はそれを英雄と呼ぶ。しかしドクター、私はこう思うのだ……あるいはそのように、誰かを盲信しなければ立ち上がれないことが、最も悲劇的なのではないかと。よき父、よき母、よき子であったはずの人々が、容易く殺戮に酔う危うさを秘めている。人間というものの一番救えない側面こそ、本来、私たちが戦うべき相手なのではないか? ……失礼した。貴殿はその程度のこと、百も承知だろう」

 

経験値上昇「戦闘記録を見させてもらった。非戦闘員に対する配慮、前線オペレーターの犠牲を最小限として状況をコントロールする手腕……確かに貴殿の人望もうなずける」

 

編成「命令とあらば、従おう」

 

隊長任命「承った。それが貴殿の信頼の証ならば応えよう」

 

作戦準備「何度でも確認して損はない。無駄骨などないのだから」

 

戦闘開始「恐れる必要はない。あるべき未来は我々が築くのだ」

 

選択時1「承知した」

 

選択時2「なるほど」

 

配置1「この戦いを終わらせよう」

 

配置2「参る」

 

作戦中1「踏みとどまれ!」

 

作戦中2「斬る」

 

作戦中3「問題ない」

 

作戦中4「私が受け持つ!」

 

高難度作戦クリア「この勝利に英雄は無用だった――そう、皆の勝利だ」

 

★3で戦闘終了「ドクター、貴殿の指揮には無駄がない」

 

★2以下戦闘終了「これ以上は我々にも被害が出る。潮時だろうな」

 

作戦失敗「殿(しんがり)は私に任せてもらおう。犠牲者を出してからでは遅い」

 

放置「……やはり……お昼は炎国料理か? だが……ウルサス料理も……」

 

入職会話「まず最初にはっきりさせておきたいのは、私はロドスの理念に対して深く感銘を受けている。その結果として入職を希望した。もちろんそれは、組織運営に対する絶対の信頼ではないが――採用? では、リディキュラスと名乗らせてもらおう。以後よろしく」

 

タッチ「……何か用だろうか?」

 

信頼タッチ「貴殿の悪癖の一つは、そのボディタッチが気安いところだろう。間違っても、うら若き乙女にすべきではない……ドクター、何故、目を逸らした?」

 

タイトルコール「アークナイツッ!」

 

挨拶「では、失礼する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 














ケルシー:「ちょっと話が長くなってねちっこいときのケルシーがあんな感じ」と言われて傷ついたらしい。


アーミヤ:「リディキュラスさんの言うことは、間違っていないんですが……」と悲しげに言葉を詰まらせた。


ドクター:たぶん男の趣味が悪い。





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総合評価:6652/評価:8.63/連載:19話/更新日時:2026年03月13日(金) 01:44 小説情報


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