ラプチャーのコアとアインストのコアって似てるよな? という妄想を具現化したら出来上がりました
好きなニケはレッド■■■■
届いていたぞ、■■■■!
お前の一撃がッ!
……俺は創らなければならない……世界を……
……静寂でなくてはならない……
……創造は破壊……破壊と創造……
……創造と破壊……破壊の創造……
……静寂なる世界……創造するために……
……造り直すために……
「だが、始まりの地は俺を受け入れなかった───」
「存在を否定したはずの過去に敗れるとは───」
「過去に有り、未来には無かったもの───」
「俺が、棄て去ったものは───」
/
「一匹狼のピルグリム?」
前哨基地がコマンドセンターで各部隊のニケからの要望事項を取りまとめた資料を確認していた指揮官は勝手に冷蔵庫から炭酸水を取り出して飲んでいるアニスに聞き返した。ぷはーと見ているこちらとしてもいい飲みっぷり。
「そ。地上から生還したニケたちが皆して噂してるわ。めちゃくちゃ強くてかっこいいニケが助けてくれたって」
「スノーホワイトじゃないのか?」
「むぐ。私ではない」
ぎょっとして扉を見やるとスノーホワイトがパーフェクトを頬張りながら現れた。黄色と赤色の入り混じったそのパーフェクトは新発売のオムライス味。マスタングCEOから試供品として数十箱単位でいただいたものである。アニスはジト目で非難する。
「あんた……人のものを勝手に……」
「ん。許可は得た」
「私が許可しました。指揮官」
失礼します、と続けて現れたのはラピ。部屋に入ると敬礼をされたのでこちらもぎこちないながら答礼をする。二人は指揮官の前に立つ。どことなくやつれた様子のスノーホワイト。
「すまない。ここ4週間水しか飲んでいなかったんだ。助かった」
「いや。こちらも消費に困っていたところだ」
つい最近のこと。メイド・フォー・ユーのココアが「わたしが作るオムライスの方がおいしい」と対抗意識を燃やし、朝昼晩オムライス生活をしていたところだった。それ以来、指揮官はオムライス味のパーフェクトを封印していた。
「お土産で持って帰ったらどうだ?」
「なにっ!? それはありがたい!」
スノーホワイトは興奮した様子で礼を言った。
こほん。ラピがわざとらしく咳をしてスノーホワイトに本題を促す。
「おっと。先ほどの話だがそのピルグリムは私ではない」
「じゃあ二人のうち誰か? 別行動をしてるんでしょ?」
「違う。一週間前が集会だったんだが二人とも違うと言っていた」
「それじゃあ楽園の───」
「それも違う。インヘルト部隊とは目撃情報と合致しない」
「目撃情報?」
指揮官は聞き返した。
「ああ。やつはタイラント級並にでかい」
……………………………………………………。
『はあ?』
スノーホワイト以外の全員の声が重なった。
タイラント級。ラプチリオンが公開していた分類表の一番上に位置する存在。その全長は数十から数百メートルはあったはずだ。
そんな大きさのニケがいるはずはない。
「正しくはやつの武装が、だがな」
「武装が? AZXやアドマイヤー号みたいにでかいってこと?」
「ああ。巨大ロボットだ」
!
がたん。指揮官は勢いよく立ち上がって椅子を倒してしまった。その目は見開いている。
「し、指揮官様……?」
「詳しく説明してくれ」
「あ、ああ。青いロボットが一撃でタイラント級を倒したんだ」
「一撃?! 私たちが一生懸命やって倒したタイラント級を一撃で倒したっていうの?!」
「私も自分の目で見るまでは信じなかったさ。右手の巨大な杭打ち機でズドン。内部からはじけ飛んでいたよ」
「えっ。会ったの?」
「たまたま目撃しただけだ。やつが現れなければ私が戦っていた」
「それで、その後は?」
「タイラント級の残骸を持って飛んでいってしまった」
「残骸を……?」
「何に使うのかしら」
「分からない。それっきりやつに会えていない」
巨大な青いロボット。巨大な杭打ち機。
浪漫溢れる話だ。指揮官の少年心がくすぐられる。
「他にも左手のマシンガン、両肩の兵装コンテナとゴテゴテとしたロボットだった」
「まさに圧倒的火力をもっての一点突破って感じね」
「火力!!」
アニスの発言によりどこからともなく現れたネオン。彼女も頬が赤く興奮している様子だ。手をブンブンと振り回している。
「うわでた」
「師匠! 私、そのロボットに会ってみたいです!」
「ネオン。そう簡単に会えるわけないでしょう。第一、そんな理由じゃアンダーソン副司令が許可しないわ」
「だめか……」
「指揮官?」
自分も会ってみたいと言い出せず指揮官はため息を吐いた。
その様子を見てラピは怪訝な顔をしていたが───
「もしもやつに会いたいのならタイラント級を探すといい。理由は分からないが目撃情報が一番多い。それと支援物資助かった。ありがとう」
それでは失礼する、とスノーホワイトは退室していった。
巨大ロボット……もとい、一匹狼のピルグリム。どうしよう。好奇心を抑えきれそうにない。どうにかいい口実はないものか……。
pipipipipi
小気味よい着信音。指揮官の通信端末(オペレーティングデバイス)が鳴り響いた。相手は───副司令?。
「はい」
《私だ。今、時間は大丈夫かね?》
「大丈夫です」
《そうか。では手短にいこう。件のピルグリムの噂は知っているかね?》
「先ほど知りました」
《なるほど。説明を省略できて助かる。───特殊別働隊に任務を付与する》
『!』
副司令直々の命令。カウンターズ全員に緊張が走る。
《件のピルグリムを君の部隊に勧誘せよ》
勧誘? カウンターズに?
どうして、と思考するよりも先にアンダーソン副司令は話を続けた。
《中央政府に動きがあった。タイラント級を倒す武装が余程気になるとみえる。シュエンもT.A.V:H(タヴ)のプロジェクトの発展に使えると躍起になっている。君にはどの勢力よりも早く彼女を勧誘……もとい、保護をしてほしい》
「ですが───」
指揮官は言い淀んだ。
ヘレティック・モダニア……マリアン。彼女を守りきる力がないためパイオニア部隊に預けることになった。必ず迎えに行くと約束をして。
今の自分に誰かを守りきる力があるとは思えない。マリアンの時のようにアークの全てが敵となってしまっては同じことの繰り返しになるだろう。
《……君の懸念は理解できる。しかし安心してくれ。彼女は君の想像よりも強かだ》
「強か、ですか?」
《ああ。強い悪運の持ち主なんだ》
アンダーソン副司令は不敵な笑みを浮かべた。
/
───そんな話があったのが三日前のこと。
カウンターズ一行は地上へやって来ていた。スノーホワイトの助言通り、タイラント級ラプチャーの出現が確認された地点を虱潰しにひとつひとつ……。
「ここもハズレか」
5件目の研究所跡地には誰もいなかった。既にタイラント級ラプチャーは倒され、戦闘の痕跡だけが残っていた。指揮官は紙媒体のマップにバツ印を記入した。電子媒体のマップを使うと中央政府に曝露するおそれがあるからだ。
「小型ラプチャーすら見かけないし、周辺のはみんな狩り尽くされちゃったんじゃない? まあ戦わなくてラッキーだけど」
「熱源反応もなし。現在時刻1830。指揮官、だいぶ日も沈んできました。そろそろ帰投しましょう」
「……分かった。最後に1件だけ確認して終わろう」
何の手掛かりもないまま帰ることはできない。指揮官はマップを懐中電灯で照らしながら次の目的地を確認する。そう遠くない距離にある廃墟だ。
「了解しました。あまり無理をなさらずに」
「……さっきから妙に大人しいけど、ネオンは何してるの?」
「シッ。話しかけないでください。火力センサーに意識を集中させています」
「またそんなこと言って……」
こめかみに指を当て瞑想するネオンに対し、アニスは呆れ顔で呟く。しかし、ネオンの火力センサー(勘)は幾度となくカウンターズを助けてきたのも事実だ。
「ここはひとつ、ネオンに任せてみよう」
「え。指揮官様、本気で言ってるの?」
「ネオンの直感を信じよう」
「うーん。指揮官様が言うなら……」
───うんうんと唸るネオンを見守ること10分が経過した。
完全に日が沈み、景色は闇に包まれた。
「指揮官様。もう諦めて帰りましょう? もう真っ暗になっちゃったわよ?」
「私からも進言します。これ以上の捜索は危険です」
「そう、だな。今日はもう───」
「特・大・火・力!!」
『!?』
特大火力。大火力。火力。力。反響するほどの声量に思わず耳を塞いでしまった。アニスは尻もちをついて倒れ、ラピは銃をネオンへと指向した。当の本人はというと眼鏡を輝かせながらにやけている。
「痛たた……。いきなり大きな声出さないでよ。びっくりしたじゃない!」
「迂闊よ。そんなに大きな声を出したら───」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!
暗闇の向こうから赤い光の波が近づいてくる。いや、あれはコアの発光。
ラプチャーの大群が津波となって押し寄せてきた。一方向からしか確認できないのが幸いだ。
「ネーオーンー! あとで炭酸水おごりだからね!」
「火力! 火力!」
「アニス。ネオンのことは放っておいて、目の前の敵に集中して!」
「各員、戦闘配備!」
『エンカウンター!』「火力!」
……………………………………………………。
ネオンは直るのだろうか?
/
「ラプチャーの殲滅を確認。警戒レベルを下げます」
「あーーーーー疲れたーーーーー。はやく帰ってシャワー浴びたーい」
「お疲れ様。怪我はないか?」
「異状ありません」
「こっちも異常なーし」
「……ネオンは」
「火力、火力、火力、火力……」
おそるおそるネオンを見る。ショットガンは下ろしているようだが興奮治まらずといった具合だ。
どうしよう。危険だ。
「無力化させますか?」
「あ。私も手伝うわ」
ラピはアサルトライフルを後ろで背負って締め技の構えを、アニスはロケットランチャーをバットのように構えスイングしてみせた。このままではネオンが危険だ。
「───こんなところで何をしている」
『!』
凛とした声。その方向は研究所跡地からだ。
三人は銃を構え警戒態勢を取った。カツンカツンと足音が近づく。懐中電灯を向けているのか姿かたちはぼやけていてはっきりと見えない。
「……遭難者か?」
見たことのないニケだ。茶髪のウルフカットに前髪だけ金髪のメッシュが入っている。真っ赤なジャケットに黒のインナー、赤いボトムスの服装。右手に懐中電灯を左手にマシンガンを持っている。
「違う。人探しをしているんだ」
「人探しだと? ……今日はもう遅い。来い」
無愛想にそう言うと彼女は背を向けて歩き出した。彼女が一匹狼のピルグリムなのだろうか?
「……どうしますか?」
「……ついていこう」
「……あいつが一匹狼なのかしら?」
「……それはまだ分からないが、何か知ってそうだ」
「間違いありません。彼女が一匹狼です!」
いつの間にかネオンが復活していた。顎に指を当てドヤ顔を決めている。さらに話を続けた。
「私の火力センサーが地下に何かあると囁いています。きっと巨大ロボットに違いありません!」
「地下? シェルターのことか?」
「そんなに大きいシェルターなんてあるの?」
「指揮官。お話は後で、置いていかれます」
ラピの諫言もあり、彼女の後を追うことにした。
/
「ここだ」
案内されたのは研究所跡地の地下施設だった。非常用発電機が稼働しているのか室内は電気が点いている。内部には作業机と工具類、古いパソコンだけと物寂しかった。
「人数分の寝具を用意する。楽に休むといい」
そう言うとまた部屋から出ていってしまった。
「まさか隠し通路があったなんて」
「マップに存在しないということは、関係者以外に知られてはいけないものを取り扱っていたようね」
「それが巨大ロボットなんでしょうか?」
「それはまだ分からない。戻ってきたら話を聞こう」
……しばらく待っていると彼女が戻ってきた。
「簡易ベッドと雑毛布だ。少しカビ臭いかもしれないが我慢してくれ」
「ありがとう。助かる」
「困った時はお互い様だ。ところで、どうして地上に?」
「巨大ロボットを見せてもらいにきました!」
「なっ」
「こら、ネオン!」
ラピが絶句し、アニスが諌める。
辛抱たまらないネオンはつい口走ってしまった。火力のことになると周りが見えなくなるのはネオンの悪い癖だ。
「Mark-III(マークスリー)を? 物好きなやつだ」
「……あるのか?」
あっさりと認めたことで呆気にとられる。黙秘されるか否認されるだろうと思っていたから尚更だった。
「来い」
ぶっきらぼうに言うとまた部屋を出ていってしまう。思わずラピたちと顔を見合わせる。
「いこう!」
───いよいよ巨大ロボットが見れると思うと、心做しかワクワクしている自分がいる。
/
アークと地上を結ぶエレベーター。そのうちの一基だったのだろう。完全に改造、拡張されていてもはや格納庫と化していた。
そこにあったのは青い巨人。
全高は20メートル程度。ガッシリとした手足、過剰な数のブースター、必殺の杭打機、極めつけは頭の一本角だ。
その巨人ロボットの足下で指揮官たちは見学していた。スノーホワイトの話は本当だったのだ!
指揮官の心はすっかり童心に戻っていた。アニメや漫画で憧れていた存在が目の前にいるのだから。
その目は見開かれ、輝いている。
それはラピたちが話しかけるのを躊躇するほどだった。
「───ゲシュペンストMark-III。近接仕様の人型機動兵器(パーソナルトルーパー)だ」
指揮官の隣で彼女が解説をはじめた。
「あの杭打機の名前は!?」
「リボルビング・ブレイカー。杭を目標に突き刺した後、リボルバーの炸薬を撃発することで内部に衝撃を与えることができる」
「ではあの両肩のコンテナは!?」
「レイヤード・クレイモア。内蔵されたチタン製のベアリング弾を発射する近接武装だ」
「左手の武装は!?」
「5連チェーンガン。固定火器のマシンガンだ。射撃は不得手でな。牽制用にしか使用していない」
「まさかあの角も!?」
「ダレイズ・ホーン。頭突きの要領で叩き切る補助的な兵装だ。伊達や酔狂でこんな頭をしているわけではない」
あれは何、これは何。いつの間にかネオンも混ざり質疑応答が繰り広げられた。テンションが高い指揮官の様子が珍しいのかラピもネオンも若干引いている。
……………………………………………………!
「───指揮官。話の腰を折るようですみませんが、そろそろ本題に入りましょう」
少し怒っている声色でラピが言った。その後ろではよく言ってくれたと言わんばかりにサムズアップをしているアニスの姿が見える。
たいへん申し訳ない。
指揮官は正気に戻った。
「コホン。私は特殊別働隊カウンターズの指揮官だ。本当の目的は君をスカウトにきたんだ」
「スカウトだと?」
「実は中央政府やミシリスが君のロボットを狙っている。カウンターズは他の命令を拒否できる独立性を持っているから手出しはされないはずだ」
「それはどうだろうな。Mark-IIIの技術は喉から手が出るほどほしいはずだ。力付くで奪おうとするだろう」
「……………………………………………………」
否定はできない。マリアンの件があったばかりだから尚更だった。中央政府は強硬手段を以て襲ってくるに違いない。いくらアンダーソン副司令が説得してくれても一時的なものだろう。
どうしたものかと悩んでいると彼女はフッと笑った。
「お前は正直者だな。意地悪を言って悪かった。Mark-IIIに関しては問題ない。いくらアークと言えどあれを解析できるはずがない……いや、解析されても問題ない」
「いいのか?」
「OSや武装は模倣できても劣化コピーがいいところだろう。Mark-III自体が分解されなければ別に構わん」
EOTは使われてないからな、と。
「では……」
「その勧誘を受諾する」
そう言って彼女は手を差し出した。快く受け入れてくれた事実に指揮官は思わず両手で握手をした。
「! ありがとう。君の入隊を歓迎する。えっと……そういえば、名前は?」
「む。そういえば自己紹介がまだだったな」
彼女は指揮官に対し敬礼を行った。
指揮官もそれに答えるように敬礼をする。
「ベーオウルフだ。よろしく頼む」
───その瞳は赤く輝いていた。
(続きはアインスト空間にあります)