トランスフォーマー/ONEの本編開始前の話です。映画観てから色々考えていた中で一つ形にしてみました。ビーストウォーズとのクロスになりますがそんなガッツリクロスはしていません。
苦手な方はご注意を。
「不死身ってどう思います?」
"何言ってんだこいつ"と顔が歪む。
「私達は有機体ではありませんが、生命体ではあります。無論死ぬ」
「・・・・・・あのな、俺はお前についてきてほしいと頼まれたから来ただけだ。そんなつまらん問答しかしないなら戻るぞ」
「ああ、待ってください。見せたいものがあるんです。そこにつくまでの暇つぶしみたいなものですよ、スタースクリームさん」
「そうかあ?」
「はい」
「・・・・・・そうかよ。まあいい。で?不死身がなんだって?」
「はい。我々にとって、死とは機能停止のようなものです。故障ともいえる。魂たるスパークが無くなれば、それは死んだことと変わらないし、体が真っ二つになってエネルギーが回らなくなることも同じこと」
「まあ、そうだな」
「そこで、スタースクリームさんは、どうすれば我々を不死身と呼べるようになると思いますか?」
「どうって・・・・・・あー、そうだな・・・・・・例えば、ボディのいたるところにジェットと受信機を付けて、ブレインにコントローラを取り付ければ、ボディがバラバラになっても動けるんじゃないか?」
「確かにそう考える事もできます。ですが、それもブレインやスパークが無事な場合に限ります」
「そりゃそうだが、それ以外にあるか?」
「はい。我々はスパークが命。これが無ければただの金属の塊。では、
「・・・・・・」
その言葉を聞いた瞬間、嫌な予感がした。
具体的にどう、というものではない。ただ、自分では踏み込むことのできない深淵に踏み込んだ者から手が伸ばされたような、崖の上で身動きが取れず、その下から崖を崩されようとしているような、不気味さと例えようのない恐怖が全身を包みこんだ。
「・・・・・・馬鹿なこと言うなよ。スパークの無いやつが、生きていられるわけがない」
「そうですね。
「お前、何してんだよ」
「クインテッサ星人は我々と違い、有機生命体です。スパークは使われていない」
「待て。お前、まさか・・・・・・」
「クインテッサ星人の内臓を用いれば、
「・・・・・・自分が何言ってんのか、わかってんのか?」
「ははは・・・・・・いやと言うほどに。もう着きますよ。このドアの先に」
鬱陶しいほど長い廊下を抜けると、そこは正しく研究室といった様相をしていた。
一つ異様に感じるものがあるとすれば、それは、ドアから真っ直ぐ先にある、緑色に光るポッド。
「見てください。これが、私の研究です」
「・・・・・・」
度し難い。
そうとしか言えない。
これを作ったこいつも、このポッドの中にいるやつも。
確かにその姿はサイバトロニアンのロボットモード。しかしその姿は赤黒く、滑らかな曲線の無い歪な装甲が全身を覆い、ボディからケーブルにも見える、クインテッサ星人の触手にも見えるものが無力に伸びている。
その顔は既存のサイバトロニアンとは違い、目は見知った形をしているが、口は横に開くとしか思えない構造だった。
「これは私達の仲間のスペアパーツからボディを作り上げ、内部にクインテッサ星人の内臓を移植。両手足の一部にクインテッサ星人の筋肉を使用しています」
「・・・・・・」
「見ててください」
そう言うとポッドの横にあるパネルを操作する。
「!」
電気が流れたようで、ポッドの中にいるやつは体を震わせた。
「どうです?こうやって電流によって動かすことができる段階まできたんですよ!」
嬉しそうにパネルを操作し、ポッドの中で悶えているのか動いているのかもわからんものに目を輝かせている。
「・・・・・・正気とは思えねえ」
「なにか言いました?」
「なにも」
「とにかく、これはまだ生命体とは言えません。有機生命体特有の治癒能力は持っていますが、それもちょっとした傷を治す程度のもの。そこで、隊長に協力してほしいのです」
「あー・・・・・・そういうことか」
隊長。そう呼ばれて大体察した。
親衛隊はプライムと関わりが深い。自分では無理だと考え、俺がプライムに協力を仰ぐ一助になると踏んだのだろう。
「プライムの中でも、アマルガモスプライムやアルケミストプライム、クインタスプライムに協力を」
「ハァ・・・・・・」
「え?」
思わずため息が出た。
不死身を作るためにプライムと協力?馬鹿げてる。
第一プライムがそんな事に協力するわけがない。プライム達は自分達以外のサイバトロニアンを同胞と呼び、慈愛の目を向ける者だっているんだ。そんな方々にこんなものを見せてみろ。怒り狂うに決まってる。
「あの、そのため息は・・・・・・?」
「あのな、プライムがこんなことに手を貸すわけないだろ。お前がやってるのは生命体への冒涜だ。慎めよジアクサス」
「・・・・・・」
ジアクサス。サイバトロン星でも指折りの天才だが、倫理観の欠如したマッドサイエンティスト。
こいつの性格を鑑みれば、こんなものを作るのも頷ける。
「・・・・・・私は勝利のために」
「
「・・・・・・」
俺を睨みつけて黙りこむ。どうやら図星を突いたようだ。
「そうだな、わざわざプライムに報告するのも面倒だ。親衛隊隊長スタースクリームとして命令する。研究は中止。これも破壊しておけ」
「・・・・・・い」
「あん?」
「ありえない!」
「・・・・・・本性出したな」
「私がしていることは!サイバトロニアンの可能性を開くことだ!それが、それが何故分からない!この、この凡夫が!」
激情して襲いかかってくるが、そこは百戦錬磨の俺に分があった。
「ぐ、うううううっ!」
「ちっ!諦めろ!お前と俺じゃ、場数が違う!」
「ああっ!」
押し返され、体勢を崩したジアクサスは尻もちをつき、ポッドにヒビを入れた。
「ぐ、ううう・・・・・・」
「あーあ。ご自慢の発明品にヒビ入れて。ま、壊す手間が省けたな」
「こんな、こんなはずじゃ・・・・・・」
「諦めろっての」
「あああああ・・・・・・!」
「あん?おい、どうしたジアクサス」
「あああああああああああああああああああああああああ!」
「これは、電流・・・・・・」
どうやらジアクサスが自分でポッドの中に流していた電流が内部の液体と共に流れ、ジアクサスに感電しているらしい。
「ああああああああああああああああああギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギチチチチチチチョチョチョチョチョジャジャジャジャジャジャダダダダダダダダダナナナナナダナダナダナザザザザザザマザマザマブブブブブブブ・・・・・・」
「お、おい大丈夫か?」
明らかに異常な様子のジアクサスが流石に心配になってきた。
「チョチョチョチョチョチョチョチョキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキ・・・・・・ジャ・・・・・・」
「と・・・・・・止まっ、た?」
声も止まり、動かなくなったジアクサスを少し蹴ってみるが、反応は無い。
「なんだよ・・・・・・はあ・・・・・・どうすっかな・・・・・・これ・・・・・・」
研究室やジアクサスの亡骸の処分に頭を悩ませる。
「■■■・・・・・・」
「!?」
頭を抱えていると、ポッドから割れた音と、うめき声。
「な、ななな・・・・・・」
「アァ・・・・・・■■■・・・・・・ナァ・・・・・・」
「なんで、なんで動いてんだよっ!?」
思わず距離を取る。そこには、先程までポッドの中にいたはずのやつが、ジアクサスの亡骸の上に立っている。
「アア・・・・・・」
「こ、この野郎!」
思わず発砲してしまった。
「ガアアアアアッ!バァッ!グアハアッ!」
「これで、やったか・・・・・・?」
「アァ・・・・・・うぅ・・・・・・さぁ・・・・・・」
「あ、ああ?」
「うる・・・・・・さぁ・・・・・・!」
「な、なんだよ・・・・・・」
「ゆる・・・・・・さん・・・・・・!」
「おいおいマジかよ・・・・・・!」
「許、さん、けえのお!!!」
ポッドから出てきたやつは雄叫びを上げ、憎悪の目で俺を睨む。
「お、前・・・・・・許さん・・・・・・八つ、裂きじゃぁ・・・・・・!」
「この!この!この!」
連続で光線を放つが、やつは一切怯まず近づいてくる。
「うぅ・・・・・・ブチしばくうぅ!」
「ウオオオオオオオ!」
走り出したやつに向かい、さらに連射速度を上げる。
「うぅ・・・・・・うおおおおおおおおおお・・・・・・」
向かってきたやつはついに倒れ、ボディから液体を流し関節が離れ、動かなくなった。
「はあ・・・・・・助かった・・・・・・」
それからどうしたかと言えば、まあどうもしてないってのが正しい。研究室が地表に近かったのが幸いして、クインテッサ星人との戦いに乗じて爆破した。
跡を見に行ってみたが、ジアクサスの亡骸も無い。ポッドの中にいたやつもいない。どうにかできたと胸を撫で下ろしたさ。
だが、確かにジアクサスの発明は目を見張る物だった。不死身を目指し有機体をボディに組み込む発想はジアクサスにしか思いつけない発想だろう。
丁度アイアコンにはデータを保管する場所がある。俺はそこにこの事を記録して保管しておこうと思う。こんな記録が役に立つかは分からないが、いずれこの星に平穏が戻り、惜しみなく技術が発展していった時、なにかの一助になれば良い。そんな思いでデータを作り上げた。全てを事細かに記録した訳では無いが、脚色も不自然な隠蔽もしていない。
ああ、そうだ。もう一つデータに入れておくべきことがあった。いつまでもポッドの中のやつじゃ分かりづらい。そうだな。名前の無い、初期状態の、不完全で未完成な存在。
"プロトフォームX"
俺は、やつにそう名付けた。
ジアクサスはマッドサイエンティストのキャラクターとして選びました。