ロモスの王子になったので錬金しまくる 作:ダンパラムーチョ(芸人)
「残念ですがそれはお受けできません」
魔弾銃を作ってくれという問いに対しての返答はまさかの拒否であった。
それを受けてカマエルは動揺する。同じ正義側である勇者に戦力増強の申し出を断れるとは夢にも思っていなかった様子だ。
「な、なぜです?」
「私の発明品は危険な側面もありますので………」
アバンは言葉を濁す。ここで真正面から「お前は危険だから無理」と言ったら相手は怒るだろうという判断からだ。
そしてその意図をカマエルは察した。
「なるほど、つまり我がロモスが魔弾銃を悪用することを懸念しているのですね」
「………そうなりますね。申し訳ありません」
苦々しい表情でアバンはペコリと一礼をする。
だがカマエルも護国の為に必死だ。何としてでも食い下がろうとする。
「ならば、一度きりでいいです」
「一度きり?」
「私としては一回その魔法が使えればいいのです。つまり使い捨ての魔弾銃を作ってくれませんか」
「そうですね………」
アバンは思案をする。一度きりの使用ならば悪用しにくい。ぶっちゃけ高級品である聖石を使い捨てにする兵器なんて
「分かりました。一度切りの魔法代行装置、
「それで詰めて欲しい魔法なのですが………」
そうしてカマエルは魔法の指定を行う。「ロモス国防計画Ⅴ:魔弾銃を作ってもらおう」の主目的は魔弾銃ではない、特定の魔法の方なのだ。
「その魔法ですか………かなり危ない魔法ですね。何の為に使うので?」
「危険な魔物が出て来た時の為です」
「危険な魔物………王都の防壁、確かカマエルの壁とか言いましたか。それがあれば大概の魔物は防げますよ」
「あれではダメなのです。私が想定しているのは一撃で防壁を粉砕するような魔物。この魔法も気休めにすぎません。魔王なき今でも強豪魔族が出る可能性は否定できないでしょう?」
現にアバンは魔王ハドラーを倒した後にベルクスなる強豪魔族の集団と渡り合った過去がある。故にこのセリフは彼にとって会心の一撃であった。
「なるほど、分かりました。では
「本当ですか!ありがとうございます!」
カマエルはアバンの手を取って感謝を露わにする。
これさえあれば単騎でクロコダインとも互角に渡り合える、それほどの魔法を手に入れた瞬間でもあった。
「では前金代わりに私の『錬金』を見せましょう」
「いいのですか!?」
アバンは思わず驚く。傍から見ればロモスの金満財政の秘密である『錬金』の仕組みを教えてしまうのだからこの反応は当然だ。
だがカマエルとしては誰にも真似できない転生特典だと思っているので見せびらかす。というかアバンの知見を聞いてみたいとすら思っていた。
そして
「これが『錬金』です」
「信じ難い異能ですね………まるで神の涙による権能のようだ」
アバンはカマエルの力をそう例える。
神の涙、それは所有者の願いを叶える願望機のことだ。
「アバン殿を以てしても詳しい仕組みは分かりませんか」
「ええ、まさしく神の御業かと」
「そうですか」
カマエルは残念そうに言い放つ。
だが神の涙のような力だというアバンの所感は、後に彼の権能を強化するきっかけになるのだがそれはまた別の話だ。
そして彼らは世間話や事務的な話をして時間を溶かしていく。
こうして「ロモス国防計画Ⅴ:魔弾銃を作ってもらおう」は形を変えながらも目的を達成したのであった。
・・・
・・
・(sideカマエル)
アバン殿と会談をして魔弾銃ならぬ魔弾丸を作ってもらう確約をしてもらった翌日、とある女性と共に私は潮風に揉まれていた。
「優雅な船旅ね」
「そうですねレオナ姫。流石はパプニカが誇る聖なる船。見事な乗り心地です」
「ちょっとぉ!同じ王族同士なんだから畏まった言葉遣いはナシにしましょ」
「わかったよ」
彼女の名前はレオナ姫、そうダイの嫁だ。
そして私は彼女の洗礼の儀式についていっている。建前としてはデルムリン島を実効支配されないよう監視するのとパプニカ王家と親交を深めること。本音はキラーマシンと「ある物」の回収だ。
「それではレオナ姫、チーズはいかがかな?」
「へぇっ!ロモスのチーズねぇ、初めて食べるわ」
そう言って彼女は私が提供したチーズを食べる。すると「ん~♡」言いながら味を堪能していた。
気に入ってくれたようで何よりだ。
「おいしいわねぇ~、どこのチーズなのかしら?」
「私が作ったチーズです。『錬金』して生み出したんだ」
「流石は錬金王子ねぇ、なんでもありじゃない」
ドラクエ8にはチーズの錬金レシピがある。これはトーポという不思議ネズミに食べさせて色々な効果を発揮させるアイテムなのだが、この世界にはトーポはいない。故に美味しい以外に特に意味はない。
一応、同じマスコット枠ということでゴメちゃんがトーポの代わりになれたりしないかな?彼は神の涙だし理論上はやれそうだ。まあ願いの力を消耗させてしまうからやらせたくはないが。
そうして私達は会話に花を咲かせる。
「それにしても本当に凄いのそのダイって子は」
「ああ、そりゃもう凄いぞ。なにせ父上が国宝である覇者の冠をあげたほどの男だ」
「覇者の冠ぃ!?それってオリハルコンで出来た至宝でしょ!そんなのをあげるなんて気前が良すぎないかしら?」
それはそう。
父上はいくらなんでもノリが良すぎる。普通に考えて城を襲ったテロリストに宝をあげるのは狂人の所業だ。まあそういう気前の良さこそが王たる資格なのかもしれないが。
「レオナ姫、カマエル王子!もうそろそろデルムリン島につきますよ」
「おっともうそんな時間か。では行こうか」
「ええ」
パプニカ兵にそう言われたので私達は聖なる船から小舟に乗り換えてデルムリン島へと上陸する。
するとそこにはブラス老とダイくんがいた。
「あっ!カマエルさんだ!」
「ああ、久しぶりだねダイくん」
「ふむぅ………ロモスの第一王子様がなにようですかな?」
「いや私は付き添いだブラス老」
話の主導権をパプニカ側に渡す。するとパプニカの司教テムジンと賢者バロンが前に出てくる。そうして彼らは簡単な自己紹介をする。コイツらはレオナ姫を暗殺しようとする謀反者だ。
ちなみに私が船旅についてくると聞いた時に目に見えてアタフタしててとても面白かったんだが、今では冷静な様子だ。もしかして私ごと消すのかもな。まあそう簡単に消されるつもりはないが。
「パプニカの姫であるレオナ様と共に故あってこの島を訪れました。なにとぞ姫にお力添えをお願いしたいと思いまして」
「姫ですと?」
ブラスの疑問の言葉に応じるかのように、小舟から最後の一人…レオナ姫が姿を見せる。彼女の美しい茶髪と白磁のように白い肌が太陽に照らされる。まさにオリハルコン級の美貌だ。
「わあっ……」
これにはダイくんも見惚れたようで思わず歓喜の声を上げる。まあ魔物に育てられた野生児には刺激が強いな。
やがてレオナはダイの前で立ち止まると、慈愛に満ちた眼差しで彼を見る。
「あなたが……勇者ダイ?」
その言葉にダイはブイサインで返した。
憧れの姫様を前にテンションが上がっているのだろう。だがそれもレオナの次の言葉を聞くまでだった。
「やっだぁ~! こぉ~んなチビなのぉ!? カッコ悪~いっ!」
それまでのお姫様然とした姿はどこへやら、カラカラと遠慮なしに笑うその姿に、ダイの心は一気に突き落とされた。気持ちは分かるぞ。男にとってチビ煽りはキツイよな。
それはともかくとしてテムジンは事情を説明する。レオナ姫は儀式の為に
「この島は長年怪物島として恐れられていたため、誰もその場所を知りません。王家の者の洗礼は実に五十年ぶりなのです。そんな折、ロモス国の王からダイ君たちの活躍を伺いましてのォ。デルムリン島の怪物たちは、彼らの言うことならば何でも聞く………と」
さてと、どうしたものか。テムジン&バロンはこの機会にレオナを亡き者にしようと企んでいる。それに介入するべきか介入しないべきか。悩ましい。
「なるほどダイに道案内をさせたいわけですな。いやっはっはっ!こんな奴でお役に立てるなら喜んで………」
「キミィ………本当に大丈夫?途中で迷子になったりしたらおいてくわよ」
「この島は俺の庭だ!目隠ししたって一周くらいできらい!」
ダイはレオナに煽られて道案内を了承する。
ま、ここまでは問題なさそうだ。
「それでカマエルさんはなんできたの?」
「ああ、前にロモス城を襲撃した時にキングスライムがいただろう」
「うん、スライムが合体したんだ」
「そいつの王冠が欲しいなって」
そう私の目標の1つはキングスライムの持ち物「スライムのかんむり」だ。あれは優秀な錬金素材。具体的には金の斧と『錬金』することでキングアックスになる。これがわざわざ鉄の斧を弱体化させてまで金の斧を作った意味だ。
キングアックス、王の斧。獣王を倒す王族の武器としてはピッタリだろう。それに純粋な攻撃力も普通に高い*1、クロコダインの強靭な皮膚だろうが切り裂けるだろう。
「まあそれは後にしよう。今はレオナ姫の儀式が優先だ」
そうしてダイとレオナは島の奥地へと向かっている。私はお留守番だ。介入したら暗殺が発生しないかもしれないからな。
すると数十分後、ゴメちゃんがこちらにやってきた。
「ピピッー!ピピッピー!」
「なんじゃとぉ!魔のサソリの毒に姫が!テムジン殿、カマエル王子、急いで救出に行きましょう」
「そうはさせんぞブラス老!」
テムジン配下の兵は私らに向けて武器をつきつける。つまり動くなということだ。
さあ謀反開始だな。私がいたことで謀反が中止とかにならなくて良かった。
「フハハハハハ!レオナ姫さえ死んでしまえば後継者を失ったパプニカの実権はワシのモノ…だからこそこの儀式を強行したのだ。レオナ姫はデルムリン島の凶悪な怪物に殺されたということにすれば誰も異論は挟むまいよ」
「お前たちは最初からそのつもりだったのか!」
「いや船内にいる者は知らん。ワシ直属の7人の部下とバロン以外はな」
「許せんわい!ゴメよ全員集合じゃ!」
「ピピ―!」
ゴメちゃんは空高く飛び上がり光り出す。きっと全員集合の合図なのだろう。
すると大量のモンスターが私達の下へと集まり始めた。もちろん目当てのキングスライムもいる。モンスター達によってあっという間に兵士たちは倒される。
だがこれだけじゃ終わらないだろう。さあ本命が来るぞ
「『デルパ』!」
物陰にいた賢者バロンは魔法筒からキラーマシンを出す。そして彼はソレに搭乗する。さてと、後はどのようにしてなるべく壊さずに無力化するかだな。というか勝てるかな?ロカの『豪破一刀』で倒したらしいが………今の私は装備が
「今のお前は地上最強だ!カマエル王子ごと殺せバロン!」
あっ、私も殺害対象に入れられた。まあ口封じの為にそうなるだろうな。
というわけでキラーマシンとの戦いが始まる。キングスライムとゴーレムが突撃するが逆にキラーマシンからカウンターを喰らい吹き飛ばされ、大王イカが拘束しようとするも剣で触手を切られる、ブラス老が『メラミ』を直撃させるが大したダメージは通ってない。
………うん、強いな。だけどクロコダインには遠く及ばない。この程度の相手に手こずってられない。
さあやるぞ!
「『土竜昇破拳』!」
私は両腕をキラーマシンの装甲に叩きつける。この技の本来の運用法は地面に叩きつけた衝撃波を操り敵の足元を爆破させる技だ。今回の場合は衝撃波がキラーマシンの内部を巡りオペレーターであるバロンの体に炸裂する。
「グアッ!」
よし効いた。これならばキラーマシンを無傷で鹵獲出来るぞ。
「おのれ小癪なぁ!」
流石に賢者だけはある。そこらの雑魚とは違う。素の耐久も高いな。
反撃に奴は剣で切りかかって来た。もちろん私はそれを躱す。
「これは外交問題ですぞバロン殿!」
「黙れ!黙れ!貴様を今ここで殺せば関係ないわ!」
「その割には近づいてこないなぁ!寂しくなっちまうぜ!」
バロンは『土竜昇破拳』を警戒してか中々近づいてこない。近づいても逃げてクロスボウを引き撃ちするだけだ。攻め手にかけるね。
私は獣王痛恨撃のような遠距離高火力技を持ってないから地味に有効だ。これは、これからの課題だな。
まあいいか、ダイが来るまでのらりくらりと時間を潰そう。彼が来れば十分に逆転できる。そうして数分後、遂にヒーローが来た。
「待てーッ!」
「ま、まさか!?あの小僧かっ!死ねぇい!」
「ダイ!逃げろっ!そいつはキラーマシン!勇者を殺すために生まれた殺人機械じゃ。殺されるぞっ!」
「レオナの毒はもう全身に回っているんだ!はやく爺ちゃんの『キアリー』をかけないと死んじゃうよ!」
「な、なんと…!」
「バロンよ!まずあのジジィを殺せ!そうすればもう姫を助けられる者はいなくなる!」
そう言うとバロンはクロスボウをブラス老に向ける。
その瞬間であった、強大な魔力が爆ぜた。
「うおお!!!『バギクロス』!」
強大な風の本流はキラーマシンを吹き飛ばし転倒させる。
さてと、この瞬間を見逃すほど私は甘くない。全力疾走して近づいて………
「武神流『土竜昇破拳』!」
全力の一撃をお見舞いした。衝撃波がキラーマシンのボディを開始てバロンの体に炸裂する。さて、流石に2回も喰らえば気絶するだろう。
「やったのか?」
キラーマシンは動かない。その隙にコックピットに乗り込んで気絶したバロンを引きずりだして捕縛する。
よし、我らの勝利だ!
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