聖刃コネクト!   作:BREAKERZ

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今回、ちょっとした番外編です。『3階の小さな同居人』をモデルに、あの聖剣を出します。
アンチとかもありますからご了承を。


幕間 ギルドハウスに潜む謎の妖精と聖剣?

ーーーーソレはまだ、ユウキとコッコロが〈ランドソル〉に来て間もなく、まだ『聖剣』も『炎の聖剣 火炎剣烈火』、『水の聖剣 水棲剣流水』だけで、『ライドブック』の数も少なかった頃の話である。

 

 

 

 

ーユウキsideー

 

〈アストライア大陸〉の首都〈ランドソル王国〉で、宿暮らしをしながら、ユイに食事を振る舞ってもらっていたユウキとコッコロ。

このままでは生活もままならないし、〈ランドソル〉では『ギルド』に所属しなければならない法律があり、ユウキとコッコロ、そしてペコリーヌとキャルの4人で【美食殿】と言う『ギルド』を立ち上げた。

活動目的は、『美味しいものを食べ歩く楽しいギルド』と言うのである。

しかも、『ギルド』単位でしか入れないレストランもあるので、ソコも利用している。しかし、『ギルド』を統括する『ギルド管理協会』からは、『ただ飯ぐらいの穀潰しギルド』と思われている節もある。

コレは『ギルド管理協会』の職員であるクソメガ、否、『カリン』から紹介された、【美食殿】の拠点となる『ギルドハウス』にて、ユウキ達が出会う『奇妙な同居人達』の話である。

ある日、ユウキ達は『ギルドハウス』の三階を調べている時、黒い霧みたいなものが広がり、ペコリーヌはユウキとコッコロを魔物だと言い出し食べようと斬りかかり、キャルは「死ね死ね」と連呼しながら攻撃魔法を撃ち出して、錯乱しているようであった。

ユウキとコッコロは正気を保ち、暴れるペコリーヌとキャルから避難しようとした。

 

“ーーーーなんか変な事になっちゃったね?”

 

「しかし、わたくしと主様は、この怪しげな霧の、影響を受けていませんね。何故でしょう? 主様は、『特別な存在』ですから、まだ理解できますけれど・・・・わたくしは、どうして? 『アメス様』のご加護でしょうか、わたくしの信仰心の賜物・・・・?」

 

ーーーー『アメス』ねぇ、今の『アイツ』はそう名乗ってるの?

 

と、コッコロが悩んでいると、ユウキの肩から女の子の声が響いた。

 

「ひぇっ、主様? 主様の肩の上に、何だか小さくて愛らしい感じの方がおられますよ?」

 

“え?”

 

ユウキが肩に目をやるとソコにいたのは・・・・物語に出てくるような『妖精』であった。

長く青い髪を左右に大きく三つ編みにし、花の髪飾りを頭に乗せ、神秘的な赤い瞳が特徴で可愛らしく、ユウキの肩に乗る位の小柄で華奢な体型をしており、背中には妖精特有の透き通った小さな羽が生えており、衣装は幻想的なドレスであった。

 

「『愛らしい』? 褒めてくれるの? きゃはは、第1印象って大事ね! 何だかとっても良い子ちゃんって感じ〜。『フィオ』が可愛がるのも理解できるかも♪」

 

「ふぃ、ふぃお?」

 

突然現れた妖精のような少女に、コッコロは困惑した様な顔になる。

 

「ん~、アイツ今は『アメス』って名乗ってるんでしょ・・・・私達『ガイド妖精』の『プロトタイプ』よ名前だわ、出来損ないで廃棄されただた聞いてるけどね!」

 

“(『アメス』・・・・)”

 

その名前は、コッコロが崇拝している神様のような存在の事であった。すると『妖精』は、察したように口を開いた。

 

「! アイツはその『データ』を拾って融合して、自分を強化する材料にしたのね! そう言う事? 昔っからアイツは、そう言う小器用な真似が得意だったからね!」

 

「えぇっと・・・・?」

 

「あっ、ごめん! 自分ばっかり喋っちゃうのが、私の悪い癖ね? いつでも一方通行ね、きゃはは! でも自己中心だからって、私を嫌いならないでね? 愛されないと、妖精は消えちゃうから!」

 

と、ソコで『妖精』は自己紹介を始める。

 

「私は『ガイド妖精』の『ネビア』よ、アンタ達は何処の誰?」

 

「ネビア・・・・様と、仰るのですか? おっと、呑気にお喋りしている場合ではございません! ペコリーヌ様とキャル様が・・・・あ、あれっ?」

 

コッコロが暴れているペコリーヌとキャルを見ると2人は、外套に身を包んだ人物から当身を受けて気絶していた。

 

「・・・・あの、この方は?」

 

「ああソイツ? 少し前から、この家の3階に召喚されて来たのよ。何者かは知らないけど、害もないし、取り敢えず同居させてやったの。ーーーー『ユーリ』! アンタも挨拶しなさいよ!」

 

「・・・・・・・・」

 

『ユーリ』と呼ばれた外套の人物が頭を覆っていた外套を脱ぐと、ソコには精悍な顔つきをした二十代後半の男性がいた。

 

「俺の名はユーリ。この家の3階に居候させてもらっているーーーーん?」

 

自己紹介をしたユーリはユウキを見ると近づき、剣の方をジッと見てから、ユウキに向けて口を開く。

 

「・・・・成る程。お前が『使い手』か」

 

“えっ?”

 

「しかし、『炎』と『水』しか持っていないのか。他のはまだのようだな?」

 

「あの、ユーリ、様でよろしいでしょうか? 主様のお知り合い、なのですか?」

 

「いや。今日初めて会った。しかし、まさか『使い手』がこんなヒョロそうな子供とはなぁ。ま、彼処で暢気に寝てる『半端者』と『マヌケな猫』よりはマシだが」

 

ユーリは呑気に寝ているペコリーヌとキャルを呆れた眼で見ていた。すると、ネビアも宙を飛びながらユウキに近づく。

 

「ソレよりも・・・・ねぇ、ユウキだっけ? 私の事を覚えてる? 色んな事を教えてよ。私はずっと籠の鳥で、話し相手はユーリだけだったから、何が何だか分からないの!」

 

ソレはコチラのセリフでもあるが、ペコリーヌとキャルがおかしくなったのは、3階にいたネビアと共に『幻影湖の霧』と言うのも封印されており、溜まっていたソレに触れて、一時的おかしくなったとネビアが説明した。霧はネビアが回収し、目を覚ましたら2人も正気に戻っているとの事だ。

 

「ソレよりさ、今この世界がどうなってるのか教えてくれる? 『フィオ』のヤツは何処にいっちゃったの? 私、もう好奇心が抑えきれなくて爆発しちゃいそう!」

 

「ーーーーみ、皆さ〜ん? だ、大丈夫ですか?」

 

と、ソコで緑色の長髪にメイドのような格好し、知的な眼鏡が印象的な女性、【ギルド管理協会】の職員で、【美食殿】の担当である『カリン』がやって来た。

 

「カリン様! コチラは危険でございますよ、下の階で待機しておいて下さいまし!」

 

「いやでも、皆さんの悲鳴が聞こえたので・・・・ど、どう言う状況なのでしょう?」

 

カリンは寝ているペコリーヌとキャル、ユーリとユーリの肩に乗ったネビアは見た。

 

「ひゃっ・・・・な、何かちっちゃい生き物と、見知らぬ方がいますね?」

 

「ネビアよ! こっちはユーリ! ふんふん・・・・アンタか。この建物の管理人さんって感じ? ゴメンね、ずっと家賃も払わずに居座ってて。でも私のせいじゃないのよ、ちょっと悪さをして閉じ込めらちゃってさ?」

 

ネビア曰く、この建物は『ガイド妖精』の『収監施設』であり、『バグ』が発生した時に一時的に隔離され、修復してまた使う為のようだ。ネビアは長い事放置されていたらしく、退屈で死にそうな時にユーリが屋根をすり抜けてこの部屋に落ちてきたとの事だ。

 

「すり抜けてって、ユーリ様は一体・・・・」

 

「俺か? 俺はーーーー『聖剣』だ」

 

“「「は??」」”

 

ユーリの発した『自分は聖剣』だと言う意味が分からず首を傾げると、ユーリの身体が光り輝き、その身体が人間の形から刀身全体がキラキラとした緑と黄色のラメで覆われた、細身で縦長な形状の剣となった。

 

“「「!?」」”

 

『ーーーーコレが俺の本来の姿、『光の聖剣 光剛剣最光‹コウゴウケンサイコウ›』だ』

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

「ーーーーで、この妖精と人間に変身する『聖剣』が、このギルドハウスに住んでいたって訳?」

 

ギルドハウスのリビングに移動した一同は、漸く正気に戻ったペコリーヌとキャルを交えて、改めてネビアとユーリの事を話し合っていた。

 

「えーっと、ユーリ、さん・・・・アナタが『聖剣』なのは分かりましたが、コレからどうしますか? ユウキくんは『聖剣』を回収するのが目的なので、彼に回収されますか?」

 

「・・・・・・・・」

 

ペコリーヌの言葉を聞いて、ユーリはユウキの事をジッと見据えると、ふぅ~っ、と小さく溜め息を吐いてから口を開く。

 

「『炎』と『水』は手に入れているし、“認められてはいるが”、まだまだ俺を振るうまでのレベルには到達していないな」

 

“・・・・・・・・”

 

ユウキは少しガッカリしたような顔となり、そんな主を見て黙っていられない従者がコッコロである。

 

「ふむ・・・・あの、主様がまだユーリ様を振るう程の実力が無いと言う事は、主様が強くなれば、いずれユーリ様を振るう事ができる、と言う事でしょうか?」

 

「・・・・まぁそうだな」

 

「では主様。コレから強くなっていけば、ユーリ様を『聖剣』として振るう事ができるかも知れませんね」

 

“うん。頑張る”

 

ユウキとコッコロが話し合っていると、ペコリーヌとキャルがユーリをジッと見据えていた。

 

「(ーーーー『聖剣』を手に入れる事ができれば、『あの男』に対抗できるかも知れません・・・・!)」

 

「(ーーーー『光の聖剣』。陛下の持つ『闇の聖剣』と対となるもの。手に入れれば、陛下も喜ぶかも・・・・!)」

 

「あの!」「あのさ!」

 

“?”

 

「ペロリーヌ様? キャル様?」

 

「・・・・・・・・」

 

ほぼ同時に話し掛けたペロリーヌとキャルを、ユウキとコッコロは訝しげに眉根を寄せるが、ユーリは何処か冷めた目線を向けていた。

 

「ゆ、ユーリさん! ユウキ君がアナタの使い手に相応しくなるまで、私が使い手になりますよ?」

 

「ちょっ、このアホリーヌ! アンタもう自前の装備があるでしょうが! あ、アタシが所有者になっても良いわよ!」

 

「ええぇっ!? 魔導士のキャルちゃんが『聖剣』を持つんですか?」

 

「い、いいでしょ別に!」

 

ペロリーヌとキャルがユーリを取り合うように言い合うが、当のユーリは心底興味が無いと言わんばかりの態度であった。

 

「・・・・あの〜、白熱している所すみませんが、ユーリさん本人のご意思はどうなんですか? ペロリーヌさんとキャルさん、どちらと一時的に使い手になってもらいますか?」

 

カリンが改めて聞くと、ユーリは先ずペロリーヌに冷めた視線を向ける。

 

「ーーーー自分の身の程を弁えず、自分の力を自分の実力だと思い込んでいる『未熟者』に、『聖剣』は力を貸さない」

 

「え??」

 

目を点にするペロリーヌを無視してキャルの方に冷めた視線を目を向ける。

 

「ーーーーどっちつかずの宙ぶらりんで中途半端な『迷子の子猫』に使われる程、『聖剣』は安っぽくはない」

 

「なっ、なんですってぇっ!?」

 

ユーリの容赦無い言葉にキャルは頭にきたのか立ち上がって怒鳴る。

 

「『聖剣』は世界の平和を守る為に振るわれるものだ。『個人的な事情』や『取り入る為の道具』として扱うものではない。何より、『半端な力』と『半端な心』しかない半端者達が『聖剣』を振るうなど、幼い子供に刃物を持たせるよりも危険だ」

 

「っっ!!」

 

『個人的な感情』や『取り入る為の道具』、この言葉にペロリーヌとキャルはドキッとした。

が、キャルはユーリから回りくどく馬鹿にされたと感じて引き下がる性格でもない。ガタッと立ち上がるとユーリに向けてビシッと指差した。

 

「偉そうに言ってくれるじゃない! そんなに言うんなら私達の実力、見せてやろうじゃないの!!」

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

ギルドハウスの外に出た一同(ネビアは外に出られず、窓から観戦)は、ペロリーヌとキャルとコッコロが前線に立ち、ユウキは剣を構えて『強化』の姿勢を取る。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ユーリは気怠そうに後頭部を掻きながらユウキ達と対峙し、カリンはギルドハウスの前でにこやかに微笑みながら、審判役をしていた。

 

「ハン! 降参するなら今のうちよ!」

 

「・・・・弱っちい犬ほどよく吠える。あぁ、お前は弱っちい犬ではなく弱っちい猫か」

 

「カッチーン! やってやろうじゃない!!」

 

「き、キャルちゃん。何もそんなに怒らなくても・・・・」

 

「うっさいわ! アンタだって『弱っちい』扱いされて悔しくないわけ!?」

 

「そ、ソレはまぁ・・・・ちょっとムッとしちゃいますが・・・・」

 

「コロ助! アンタも大事な主様を『未熟者』扱いされて納得できないでしょう!?」

 

「フム・・・・確かに。ユーリ様に主様の実力を見てもらいたいとは思いますが・・・・」

 

コッコロも乗せられる形ではあるが参戦するようだ。

ーーーーソレを見てからユーリは木剣を片手に持つ。

 

「ーーーーさて、お話し合いは終わったか? そろそろ始めるぞ」

 

「ハン! せいぜい土下座して謝罪する準備をしておく事ね。行きなさいペコリーヌ!」

 

「はい! 行きまーす!」

 

ペコリーヌが『王家の装備』を発動させ、キャルは魔法陣を展開し攻撃魔法の準備を始め、コッコロはユウキの護衛をし、ユウキは全員を強化する。

そして、ペコリーヌの振るう剣がユーリの脳天を捉え、ユーリも木剣で受け止めーーーー。

 

ーーーードォォォォォォォォン!!

 

凄まじい土煙が上がった。

 

「ふん! ザマァないわね!」

 

「あっ、ちょっとやり過ぎちゃいましたかも知れません」

 

「ーーーー何がだ?」

 

『えっ!?』

 

ユーリが今の1撃で倒せたと思った【美食殿】一同の耳に聞こえた方に目を向けると、土煙が晴れたソコには・・・・ペコリーヌの剣を木剣で受け流して地面に落とし、悠然と佇むユーリの姿があった。

 

「嘘ッ!? ペコリーヌの馬鹿力の1撃を受け流したの!?」

 

「確かにパワー“だけ”なら大したものだ。だが・・・・ソレだけだ」

 

「ムッ。次は当てます! えぇーい!」

 

ユーリの物言いに流石にムッとなったペコリーヌが剣を振るい連撃を繰り出すが、ユーリはその攻撃を全ていなし、受け流し、まるで風に舞う木の葉のように回避していく。

 

「・・・・護身用の剣術に実戦経験を混ぜ、『王家の装備』とユウキの強化か。並の相手や魔物では相手にならないーーーーが!」

 

「うわっ!?」

 

またもや受け流され、その拍子にバランスを崩したペコリーヌが前のめりに倒れそうになるが、何とか踏ん張って片膝を付いた体勢となる。

が・・・・。

 

「ーーーーコレで、お前はやられた」

 

「!」

 

ホッとしたペコリーヌの背後から顔の横を木剣の刀身が通り過ぎ、ユーリの声が冷酷に響いた。

 

「大振りで力任せの強引な戦い方。雑魚や同格ならソレで対処できるかも知れんが。こんな『猪戦法』じゃ、お前の『敵』は歯牙にも掛けないだろうな」

 

「!!」

 

「ペコリーヌ! 離れなさい!!」

 

ユーリの言葉に肩を震わせるペコリーヌだが、キャルからの声がけですぐに左に転がり、キャルはユーリに向かって『攻撃魔法』を放つ。

 

「喰らいなさい! 『グリムバースト』!!」

 

キャルの得意とする必殺の魔法を放たれた。しかしユーリは気怠げにオーラを纏わせた木剣を持ち上げ、上段に振り下ろす。

 

ーーーーバシュゥゥゥゥンン!!

 

そして、強化された『攻撃魔法』を打ち破った。

 

「はぁっ!? 何よソレっ!?」

 

「ーーーー魔法使いとしては『天才』だろうが、心に『曇り』がある者の放つ魔法には、僅かに綻びがある。その弱所を突けば簡単に破れる」

 

「!!」

 

ーーーーゴキンッ!!

 

「ふぎゃっ!!?!?」

 

驚くキャルの背後にいつの間にかユーリは回り込んでおり、キャルにしか聞こえないように呟くと、キャルの脳天に木剣を振り下ろした。鈍く盛大な音を響くと、大きなタンコブを作ったキャルは目を回して気絶した。

 

「キャルちゃん!!ーーーーもう許しませんからね! 全力全開! 『プリンセスストライク』!!」

 

ペコリーヌは『王家の装備』の力を全開にして特大の斬撃を放った。

 

「・・・・すぐに感情に囚われ、後先を考えないで無駄に力を消費するーーーー」

 

「!?」

 

が、ユーリは一瞬でペコリーヌの背後に回り、

 

ーーーーゴキンッ!!

 

「あいたぁ!?」

 

ペコリーヌの脳天にも木剣を振り下ろすが、あまりダメージを受けていないようである。

 

「その装備やユウキの強化のお陰で防御力は上がっているようだが・・・・」

 

ーーーーゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキゴキンンンッッ!!!

 

「あ、あうぅぅぅぅ・・・・!!」

 

が、瞬時にユーリはペコリーヌの脳天に何度も何度も木剣を叩き続け、頭をタンコブだらけにしたペコリーヌはそのまま目を回して倒れた。

 

「どんなに強力な攻撃も魔法も、当たらなければまるで意味が無い。逆に小さな攻撃も同じ箇所に積み重ねるように与えればーーーーこの通り、だ」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

ユーリがそう言うが、ペコリーヌとキャルはとっくに気絶していた。

 

「ペコリーヌ様! キャル様!」

 

「・・・・・・・・」

 

「ひっ!?」

 

コッコロがペコリーヌ達に駆け寄ろうとするが、瞬時にユーリが眼前に現れ、木剣の切っ先をコッコロの目の前に突き立て、コッコロは立ち止まると僅かに腰が引けた。

 

「ーーーー君の場合は、主様や周りに気が回りすぎてて集中力が散漫になりやすいのが弱点だ。目の前の相手に集中できない者に、戦いを切り抜ける事はできないぞ」

 

「ーーーーあぅ」

 

そう言って、ユーリはコッコロの額を木剣で、チョンっと押すと、コッコロはチョコンっと地面に尻もちをついた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

“・・・・・・・・・・・・烈火”

 

[火炎剣烈火!]

 

ペロリーヌ達3人を倒したユーリがユウキに目を向けると、ユウキは『強化』の構えを解いて、『ユウキの剣』から『炎の聖剣 火炎剣烈火』に変えて、『ブレイブドラゴンワンダーライドブック』を開いた。

 

[ブレイブドラゴン! かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた・・・・]

 

ワンダーライドブックを閉じて腰に巻いたソードライバーに装填すると、ユウキの背後に巨大な『ブレイブドラゴンワンダーライドブック』が現れ、ユウキは抜刀する。

 

[烈火抜刀!]

 

ーーーーギャォォォォォォォンッ!!

 

スロットに装填したワンダーライドブックが開き、それに連動して背後の巨大なワンダーライドブックも開き、『ブレイブドラゴン』が飛び出し雄叫びを上げる。

 

“変身ッ!”

 

[ブレイブドラゴン!]

 

✕の字の斬撃を目の前に放ち、ブレイブドラゴンはユウキの身体を包み込むように回転し火柱が上がると、ユウキの全身にフルアーマーが装着され、火柱が収まると斬撃がユウキの仮面へ装着される。

 

[烈火一冊! 勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!]

 

「・・・・ではコチラも」

 

[聖剣サイコウドライバー!]

 

ユーリが腰に聖剣が付いたドライバーが召喚され、『KINNOBUKI GINNOBUKI』と記され、透明で金色のパーツが組み合わさった長方形型となった『金の武器銀の武器ワンダーライドブック』を開いた。

 

[金の武器 銀の武器! GOLDorSILVER!]

 

ドライバーに装備された聖剣の刀身を開くと、閉じたライドブックをベルトにセットした。

 

「!」

 

そしてユーリは聖剣をドライバーから右手に持って抜くと、ライドブックが開く。

 

[最高発光!]

 

「ーーーー変身」

 

抜いた聖剣を顔の横に持ってきて呟き、右に手を伸ばすと、光の粒子がユーリの身体を包み込み・・・・否、ユーリの身体が光の粒子となって聖剣に吸い込まれていく。

 

[Who is the shining sword? 最光一章! 金銀の力を得た輝く剣! 最光!]

 

そして、ユーリが『光の聖剣 光剛剣最光』となり、宙を浮いていた。

 

「コレが、ユーリ様の戦闘形態、人が剣になるとは・・・・!」

 

「いえ、ユーリさんは元々聖剣と言っていたので、聖剣に戻った。と言った方ではないかと」

 

「なぁ〜んか、面白くなってきたわねぇ〜」

 

コッコロとカリンは驚き、ネビアはニヤニヤ笑うが、セイバーは火炎剣烈火を構える。

 

“ーーーーソレが、アナタの本当の姿、何だね?”

 

『そうーーーー俺が聖剣で、剣こそが俺だ!』

 

ユーリ、『金剛剣最光』は回転しながらセイバーに斬りかかる。

 

“くっ! ふっ! うわっ!!?”

 

人間や魔物相手とは勝手が違うのか、宙を浮いて斬り込んでくる最光に、セイバーは苦戦する。

 

“!!”

 

セイバーはホンダナーから『朱色のライドブック』を取り出し開いた。

 

[ストームイーグル! この大鷲が現れし時、猛烈な竜巻が起こると言い伝えられている・・・・]

 

“フッ!”

 

ライドブックを閉じて、烈火を『聖剣ソードライバー』に納刀してから、真ん中のスロットにライドブックを入れて抜刀した。

 

[烈火抜刀! 竜巻ドラゴンイーグル! 烈火二冊! 荒ぶる空の翼龍が獄炎を纏い、あらゆるものを焼き尽くす!]

 

セイバーの後ろに巨大な2冊のライドブックが現れ開かれると、周囲をブレイブドラゴンと燃える鷲『ストームイーグル』が飛び交いセイバーに合わさりマスクの左前額部が伸び、アーマーの中央にはストームイーグルが装備され、背部には赤い翼があり、赤い竜に赤い翼が装備された翼龍、『仮面ライダー ドラゴンイーグル』となった。

 

「ーーーーはっ!」

 

そしてセイバ、背中の翼『バーミリオンウィング』を広げて飛翔した。

 

「! あ、主様が飛びました!?」

 

コッコロが目を見開いて驚く。『飛行魔法』ならば存在している(キャルも使える)が、鎧の背中にある翼を広げて飛ぶなどなかったからだ。

 

『ふむ、空中戦か。ーーーー受けて立つ!』

 

最光はセイバーを追って空を飛ぶ。

そして、セイバーと最光の空中戦が繰り広げられる。

 

“ーーーーハァァァァ!!”

 

『ーーーームゥゥゥゥン!!』

 

ぶつかり合っては離れてまたぶつかると言うヒット&アウェイ戦法繰り広げる2人(?)。

 

『ユウキ。確かにお前は『聖剣』に認められているし、『ライドブック』の扱い方も上手い。しかし、お前の戦いは『聖剣』や『ライドブック』頼みだ。ソレではペコリーヌと大差無い』

 

“!”

 

戦いながら、最光はセイバーの戦い方を指摘する。

 

『『聖剣』を本気で使いこなせるようになりたいなら、お前自身が『聖剣』と真摯に向き合い、『聖剣』を振るって強くなれ! そうしなればお前は、『真の意味』で『剣士』になった訳ではない!』

 

“ーーーーはい!”

 

セイバーと最光は最後に一太刀ぶつけると、その反動で後ろに後退し、セイバーは烈火をドライバーに納刀すると、トリガーを1回引いてから抜刀する。

 

“ーーーー『火炎竜巻斬』!!”

 

[必殺読破! 烈火抜刀! ドラゴン! イーグル! 二冊斬り! ファ・ファ・ファイヤー!]

 

“ハァッ!!”

 

烈火から竜巻を放ちの中に突っ込み、火災旋風を発生させて最光に向かう。

 

『光あれ』

 

[最光発光! Good Luck!]

 

独りでに最光のボタンが押されて発動すると、最光の刀身に光を纏い、高速回転しながら突撃する。

炎の竜巻と光の回転刃がぶつかり合い、そしてーーーー。

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

“ーーーーはっ!”

 

「おはようございます、主様」

 

「あっ騎士くん、おはよう!」

 

『夢の世界』でアメス様とネビアの会話を終えたユウキが目を覚ますと、ペコリーヌとキャルが偶然遊びに来たユイから『回復魔法』を受けてタンコブを引っ込ませた。

 

「ーーーーはい。ソレではユーリさんにはこの『ギルドハウス』の『副管理人』として、【ギルド管理協会】の特別職員をしてもらいますね」

 

「ああ。承知した」

 

“ユーリさん?”

 

「何でも、わたくし達が依頼とかで不在の間、このギルドハウスの管理を任せたいとの事です」

 

「はい。本来の管理者は我々【ギルド管理協会】なのですが、人手不足ですし、私も他に担当しているギルドがあるので手が回らないんです。ソレに、幾らギルドメンバーとは言え、年頃の男女だけで住まわせるのは良くないですしね。ユーリさんはこのギルドハウスの3階でネビアさんと同室となるようなので、折角ですからこのギルドハウスの副管理人をしてもらおうと思いまして。実力は先程も見ましたし、ある程度の給金もでますしね」

 

「と言うわけだ。お前達が安心して遠征に行けるように、俺とネビアでこの家を守ってやろう」

 

「感謝してよね」

 

ユーリとネビアがふんぞり返り、ユウキとコッコロは何とも言えない顔となった。

ペコリーヌとキャルが目を覚まし、キャルがユーリやカリンに向かって、『暴力聖剣!』『クソ眼鏡!』とギャーギャー喚くが皆で宥め、カリンは一旦手続きの為に【ギルド管理協会】に戻り、ペコリーヌもお腹が空いたからユーリとネビアの歓迎会を開こうと言い、料理の材料を集めにユイも連れて外に出る【美食殿】。

 

「・・・・・・・・」

 

そして窓から、【美食殿】の後ろ姿を見据えるユーリ。

 

「ソレで、どう思ったのよ?」

 

「・・・・ユウキはいずれ、他の『聖剣』に出会うだろう。ソイツらも使いこなせるようになれる可能性は十分にある。本人の資質と素質も十分あるしな。コッコロは少々過保護過ぎる所があるな。キャルはこのまま今の『板挟み状態』が続けば、いずれ壊れてしまうかも知れんな」

 

「へぇ~・・・・ペコリーヌは?」

 

「論外だな。資質も素質も備わっているが、ソレをまるで生かしきれていない」

 

「ふ~ん」

 

「・・・・・・・・」

 

ユーリの話を聞き流すネビア。ユーリはペコリーヌに、否、正確にはペコリーヌが装備している『王家の装備』に対して憐れみの視線を向ける。

 

「・・・・気の毒だな。『自分の力を満足に使ってくれない』上に、ソレにまるで気付いていない使い手を持って」

 

そう言ってユーリはネビアを肩に乗せたまま3階に登った。

そして、ユーリは日がな1日を読書(本はユウキが図書館から借りて持ってこさせた)やサボテンのお世話をし、ネビアはイタズラ(主な被害者はキャル)をしながら、【美食殿】のギルドハウスの管理をしているのであった。




はい。『光の聖剣 光剛剣最光』こと、ユーリはネビアと同じくギルドハウスでお留守番役です。
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