意味深な事ばっかり言ってたら1000年後の未来に跳ぶ100人の英傑に選ばれた男   作:まだ早い

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 視点切り替えが複数回ありますが、後で読みにくいと判断したら変えるかもしれません。


31話:規模がデカすぎんだろ…

 

「……そもそも、この玉にはどんな効力があるのだ!?」

 

 帰り道。

 未練を果たした筈の亡霊がそんな事を聞いて来たので、アリスが僕たちを代表して。

 

「さあ?」

 

「お前たちは一体何をしに遺跡に来たのだ!? これを求めて来たのではないのか!?」

 

 存在そのものが冗談みたいな怨霊に正論で突っ込みを入れられるのなんか面白いな。

 すると、我らが弱そうな白髪が。

 

「そこに宝を祀った遺跡があるというならば、攻略したくなるだろう?」

 

「ヌッ! ……それはそうであるな」

 

 そこは納得するんだね。

 流石に初代覇王なだけはある。

 さっきの話からしても、政宗公もまたアルベルと同様に冒険大好き英雄なわけだし。

 

 そんなやり取りを見た紗羅が。

 

「天帝ルナとやらは、これを剣に取り付けて戦闘に利用していたようですが……ご先祖様、可能ですか?」

 

「うむ、暫し待て。……こうか?」

 

「……はい。力が流れて来ました。わたくしの体内に取り込むのは難しそうですが……使い道は多くありそうです」

 

 いくらなんでも話が早すぎない? 

 普通こういうのって、神玉を使いこなすための修行パートを経て、それでもなかなか上手くいかなくて、強敵との戦いで覚醒して初めて成功して──みたいな話が来る物だと思うんだけど。

 

 ボス悪魔戦でのアリスもだけど『こうか?』とか『こうかしら?』とかであっさりやっていい事じゃないぞ。

 

 でも考えてみると、修行パートってあんまり人気がないから良いのかも知れない。

 あの世界最高の詩『勇者の挑戦』でも修行の話なんて全く出てこなかったし。

 

 とはいえ全員がこれだとなあ……まあその辺はカルロス君に頑張って貰うしかないか。

 彼は長耳族のハーレムを作りながら日夜修行に励み、だいぶ強くなったらしいし。

 ルナやグラン翁の言う通り、随分と主人公っぽい事してて嬉しい。僕の意味深な慧眼というやつだね。

 

 そんなカルロス君を出来れば近くで見たいわけだけど、僕の身体は1つしかないからね……

 王女を仲間にして天使を倒したり、紗羅を仲間にして遺跡を攻略したりしたわけだし、そろそろ合流の時期かな? 

 実はダークネスから水晶越しに、向こうに集まった別の英傑も数人いるから名前を教えてと言われ、教えたりもしているし。

 

 なんて、ちょっと逸れた話を考えていると。

 

「戦闘で使うために、まず腕輪辺りで固定しなければなりませんね。ダルシムの街の職人に造らせたいところですが、質が全く期待できないですし、待つのは時間が惜しいです」

 

「なら、ティル・ナ・ノーグに戻る? そろそろ頃合いと考えていたし」

 

 流石は旧世界で僕と長らく一緒にいたアリスだ。

 狙い澄ましたかのようなタイミングで凄く良い感じに僕の望み通りの事を言ってくれるね。

 

 前にも言ったけどやっぱり相性という観点では数ある英傑の中でもアリスが1番な気がする。

 紗羅は1000年前から結構な頻度で凡人お断りをしてきたし、今でもそれは変わらずだからね。それさえなければ今もかなり良い感じの話題の振り方してくれたくらいだから、同率1位と言ってもいいんだけど。

 アリスも凡人お断りなのは割とそうなんだけど、紗羅ほど酷くはなかったし。

 

 念の為に言っておくと、別に紗羅のムーブは嫌なわけではないというか、むしろこういう天才ムーブは好みですらあるんだけどね。

 

「ふむ、そうだな。俺もあの鍛冶屋でこの斧に神玉を取り付ける話をしてみるか。期待は薄いが……ダルシムの町よりはマシだろう」

 

「わたくしもそこまでの贅沢は言えませんからね。結局、どうあろうとルナと比較してこちら側がその辺り不利なのはわかりきった話ですし」

 

 その辺りっていうのは、武器とか魔法とか地理とかの辺りかな? 

 うん。今回は僕でもわかったぞ(喜)。

 

 

 というわけで、僕たちは遺跡の入り口まで戻ってきた。

 そこには当然、紗羅に真っ二つにされた神獣の死体があって。

 

「そういえば。この神獣の死体はどうするの? 一応氷漬けにはしてあるから、暫くは保つでしょうけど……持ち運ぶなんて私は御免よ」

 

 アリスが言うように、実は遺跡に入る直前にこの銀の悪魔が神獣の死体を凍らせたのである。

 後で何かに使えるのでは? ってなったからね。

 

「後ほどダルシムの街の誰かに回収させ、ティル・ナ・ノーグとやらに運ばせましょうか。多少の遅れはあるでしょうけれど」

 

「そうだな、それが良いだろう。俺が手で運ぶのも容易ではあるが……それは覇王のやる事ではないからな」

 

 なんか弱そうな白髪が謎に覇王の美学(?)を語り出したんだけど。

 その美学はともかく、言ってる事は中々に暴君極まれりって感じでいいね。

 

 すると、神玉から漏れ出ている亡霊が。

 

「ふうむ……見事な魔獣であるな! これほどの物はあの大蛇め以来に思えるが……お前たちからすれば単なる雑兵か!!」

 

「大蛇?」

 

「フハハハハ! 気にするな! 所詮は古き遺物よ! それよりも……」

 

 なんかこいつも意味深な事言い出したぞ。許さん。

 とか思っていると、政宗公は。

 

「紗羅よ! せっかくなのだから、この場にて霊刀『政宗』を試すが良い!!」

 

 なんて言い放った。

 

 ……それは。中々良い提案だね、政宗公。

 僕からのポイントが高まったよ。

 この人はほんとに予想外の掘り出し物だ。来て良かった。

 

 しかし。

 

「……試す、ですか」

 

 またもや何かを考え込む紗羅。

 それを横目に、銀髪の蛮族が楽しそうな顔をして。

 

「ふうん? ここで模擬戦をしろって? 悪くない提案ね」

 

「ふむ、そうだな。俺とアリスは戦闘タイプが違うという理由で模擬戦をしていなかったが……紗羅は俺と同じ近接戦闘タイプだからな」

 

 腕を回す我らが白髪理系。

 随分楽しそうだ。アルベルは今回遺跡じゃ一切戦ってないしね。

 

 そんな戦闘狂の白髪を見て、同じく戦闘狂の銀髪は。

 

「……なら、また私は見ているだけ? 仕方ない事ではあるけれど……はあ」

 

 なんて残念そうに言った。

 うん。隙を作ったね。

 

「フッ……ならば、君も戦えば良いだけの話だろう」

 

「……どういう事?」

 

「君と紗羅。2人がかりでアルベルに挑めば良い。それだけの話だ」

 

 うん。我ながら良いタイミングだ。

 なにせ。

 

「……へえ? それ、もう隠さなくて良いの?」

 

「どういう事だ?」

 

 僕の思惑通りのリアクションをしてくれるアリスに対して疑問の声を上げるアルベル。

 

「あなたの順位よ。私は序列3位なのに、フェルナンドは私よりあなたの方を明確に格上扱いしている。それはつまり……」

 

「アルベルは1位か2位という事ですね。まあ、わかっていた話ではありますが」

 

 うん。そろそろそれを教える頃合いだと思ってたんだよね。

 少なくともルナは知っていて、だから中央との決戦の前がタイムリミット。

 そしてアリスの今までの態度からしてもうとっくに勘付いてるんだろうなって思ってたから。

 

 そのため。

 

「フッ……2人の言う通り。アルベルこそが……」

 

 僕は溜めを作って。

 

「100英傑序列1位。人類最強の男。歴史上最高の英雄たる伝説の勇者にして『神殺し』だ」

 

 なんて、宣告した。

 

 

 ──き、気持ちいい……(絶頂)。

 

 何が良いかって、既にアリスも紗羅も気付いてたわけだし、別に黙っていたところでアルベルの強さ自体に何の影響もない。

 

 つまり、僕がここで言おうが言うまいが何も変わらない点だ。

 僕が純粋に気持ちよくなるためだけに今まで貯めていたネタを、理想的な形で放出できたという点だ。

 

 このレベルの快感は初日にロリの村であの必殺技を決めた時以来の気がする。

 

 僕が感動に打ち震えていると。

 

「そうであろうな! 白髪の男は、我が見たありとあらゆる存在を遥か超越した……まさしく神仏と呼ぶに相応しき男であるが故に!!」

 

「ふっ……そうか。良かろう。ならばアリスも紗羅も、俺が2人を相手する方向で構わないか?」

 

 偉大なる伝説の勇者の言葉を聞いて、アリスと紗羅は。

 

「ええ。構わないわ。……世界最強に挑む。悪くないわね」

 

「はい。わたくしとしても望むところです。しかし……」

 

 そう言って紗羅は一瞬目を閉じてから。

 

「今更ながら、わたくしだけが強大な力を持つ武器を得る……ですか」

 

 言いながらも、彼女は改めて我らが伝説の『神殺し』を見て。

 

「正直な話、感情としては受け入れ難い面もありますが……仕方ありません。今のわたくしでは、どうやら勝てない相手は1人や2人ではないようですし……何より、目の前に頂点へ挑む道が開かれているわけですから」

 

 そう言って、楽しそうな表情に変わった。

 紗羅もほんと良いね。

 僕の望み通りのムーブをしてくれる。

 

 さて、ではこれから3人の伝説の英傑による模擬戦が……

 

 と、その前に。

 僕は露骨に周囲を見渡しながら。

 

「君たちは、ある程度以上の力を出す訓練の際は空中で行っていた。周囲への被害を鑑みての話だ」

 

 これは事実ではあるんだけど、今言った理由は当然、周囲の環境の事なんかを気にしたからではなく。

 そうしてくれないと余波で僕が死ぬからである。

 とはいえ、それを正直に言うわけにはいかないからね。

 

「空中、ですか。……こんな感じでしょうか?」

 

 言われてすぐに浮き始めた紗羅。

 うん。最早何も言うまい。

 

「ふむ。確かにフェルナンドの言う通り、地上では力は中々出せんだろうからな」

 

 アルベルも同様に浮きながらそんな事を言っている。

 今更だけど、アルベルも普通に魔法は使える。

 魔法が使えないなんてわかりやすすぎる欠陥を抱えてる人に世界は救えないからね。

 

「でもこれ、全力は出しきれないんじゃないかしら? 少なくとも、空中に浮かぶ分の力は戦闘に回せなくなるわけだし。まあ、仕方ないのでしょうけれど」

 

 浮かびながらそんな事を言う銀髪の蛮族。

 気にする点がいつも通りで何よりである。

 やっぱり3人の中でも1番蛮族だよね、この銀髪は。

 

 というわけで。

 

「フッ……3人共、流石だな。だが、まだ言うべき話がある。……アリス、紗羅。君たちは周囲への影響を踏まえた上でならばある程度本気を出して良い。だが……」

 

 僕はいつものように不敵な笑みを浮かべながら。

 

「アルベル。君は自分から攻撃はしないように。そして……斧は私が預かろう」

 

 と言い放った。

 

「へえ? 随分と言うじゃない……まあ、良いわ」

 

「……わたくしも、それで構いません」

 

「ふっ……2人が良いと言うならば、俺も構わん。……受け取れ」

 

 アルベルが僕に魔斧ボレアスを手渡す。

 そうして、3人は上空に飛んでいき──

 

 

 

 


 

 

 

 

「……ここまで来たら、大丈夫でしょう」

 

 紗羅は下を見て、2人にそんな事を言う。

 

「そうね。下に向かって魔法を撃たないようにすれば問題ないと思うわ」

 

 そう答える1人目は、自分より格上の強者たるアリスリーゼ。

 当人が理知的なだけで、その気になれば容易に世界を滅ぼせるのだろうと思われる程の怪物。

 彼女を見ていると、世界とはただの個人の気まぐれで滅んでいないだけであり、恐ろしい程の薄氷の上に成り立っているに過ぎないのだと思わされる。

 だからこそ人類は滅びたのかもしれないが……まあ、今それはいい。

 

 あの意味深な事ばかり言ってくる頭のおかしな男が言うには、紗羅はどうやら100英傑の中で10番以内に入る強者で、更にアリスリーゼはその中でも序列3位らしい。

 

 紗羅は遺跡で彼に言われた事を考える。

 ──あの男、紗羅の好物などを知っているという事はつまり、余程親しい間柄……

 それこそ親友とか家族とか恋人とかでないとそんな事は……

 しかしそうだとしたら。

 次なる疑問として、あの男とアリスの関係は一体何だ? 

 

 ……思考が逸れてしまった。全部あの男が悪い。

 

 ──紗羅にも自分が強者だという自覚はあったから、自らが10番以内だったり、そんな紗羅以上の力を感じさせるアリスが3位だったりする事は良い。

 だが、問題は。

 

(……神、とはこのような感じなのでしょうか)

 

 これからそのアリスリーゼと2人がかりで挑む、どれくらいの高みに座しているのかよくわからない程の存在。

 怪物などという生優しい言葉では決して表現出来ない強者たるアルベルを見ながら紗羅はそんな事を考える。 

 

 こちらは紗羅だけが優れた武器を持った状況で、尚且つ2人がかり。

 それにも関わらず。

 アルベルは武器すら持たず、そして攻撃してはならないなどという……あり得ないような凄まじいハンデを与えられた状況。

 

 ただ、あの常軌を逸していると思わされる程に賢い男が言う以上、恐らくそれは適正なのだろうから。

 

「そうだな。では、始めるか?」

 

「はい。……2人共、よろしくお願いします」

 

 紗羅が会釈してから、戦いが始まった。

 

 

 ──まずは、紗羅がアルベルの元へ最速で迫る。

 その速度は当然、音速など優に超えており。

 そして彼女はそのまま右腕で霊刀『政宗』を振り下ろす。

 普通の人間なら斬られた事すらわからないレベルの至高の一振り。

 

 ……しかし『神殺し』は、それを片手で掴んで止める。

 ティル・ナ・ノーグでのカルロスたちと行った模擬戦とは違い、指ではなく手の全体を使わせたのは間違いなく偉業ではあるのだが、それでも攻撃が一切通用しなかったのは事実。

 

 しかし、紗羅は防がれる事があらかじめわかっていたかのように、次は『何も握っていないはず』の左手を使って横薙ぎの姿勢を取る。

 

「? ……!」

 

 一瞬疑問の表情を浮かべた『神殺し』だが、すぐに紗羅の意図を察する。

 何故なら紗羅は右手で政宗を握りしめながらも、左手でもう一振りを生成し、アルベルに向かって振るう姿が見えたから。

 

 それは政宗が霊刀に至り、真の使用者たる紗羅の手に収まったからこそ可能になった神技。

 紗羅はその気になれば全身の何処からでも政宗を生成する事が出来る。

 

 加えて。

 

「喰らいなさい!」

 

 紗羅の二振り目に合わせて、アリスから魔法の光線──凄まじい速度と威力を有する攻撃が打ち出されていた。

 

 ──アルベルから見ると、片手で既に攻撃を受け止めている状況下にて、追加で成される2つの強大な攻撃。

 

 故に。

 

「ははは! 2人共、流石だな! まさか俺が回避行動を取らされるとは!!」

 

 後方に飛んで避けた彼は、今までにないほど非常に楽しそうな声を上げていた。

 

 

 

 


 

 

 

 

 うん。3人が何をしているのか全く見えないな。

 

 まず距離が離れすぎてるし。

 なんか近付いたり離れたり光ったり大きな音が鳴ったりしてるのはわかるけど。

 とか思ってると。

 

「フハハハハ! いきなりあそこまで使いこなすか!! 流石………………うむ。あやつら、強すぎないか?」

 

 なんか見えてるらしい政宗公は嬉しそうな声を上げたけど、直後に冷静になったな。

 とりあえず、意味深な男として。

 

「フッ……貴方から見てもそう映るか?」

 

「……まさしく怪物であるな。いやはや! これこそ世界の頂点たる者共よ!!」

 

 テンションの上がり下がりが激しすぎない? 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ──そうして、幾らかのやり取りを経て。

 

 様々な技を披露したものの。

 未だ2人はアルベルにまともな痛手を与える事ができていない。

 

 3人全員にとってこの模擬戦は非常に楽しい時間ではあるが、とはいえそろそろ長くなってきた。

 そのため、紗羅はアリスリーゼに向かって。

 

「作戦があります。構いませんか?」

 

「……へえ? 良いわよ」

 

「ははは! 良いぞ!! 何をしてくれるのか、楽しみだな!」

 

 話が終わるや否や。

 まずアリスリーゼが両手を出して、魔力の球体を作り出す。

 それを見てアルベルは。

 

「ほう? かなりの威力を持っていそうだが……そんな重そうな代物、俺に当てられるのか?」

 

「……そうね。まあ、見ていなさい」

 

 凄まじいまでの魔力が込められた球体を見てなお余裕の表情をする『神殺し』。

 露骨に侮られてはいるが、実際に勇者アルベルはアリスより遥か格上であるが故に飲み込む。

 事実を事実として認められない者に先はない。100英傑序列3位の大英雄からすればそんな物は当たり前過ぎる話だから。

 

 ──そうして、魔力球が放たれる。

 かなりの速度を持つそれは、一直線に『神殺し』の元へ向かっていくが。

 

「悪くはないが、俺に当てられる速度では……」

 

 なんて言った瞬間に。

 

「はっ!」

 

 烈声を上げて紗羅が霊刀を投擲する。

 刀は魔力球に突き刺さり、その勢いで球体がアルベルに迫る速度を跳ね上げた。

 実体を持たず、紗羅が斬りたい物だけを斬る事が出来る霊刀に加え、そんな事をされても未だ魔法の形を維持するアリスの圧倒的制御能力があるからこそ可能な離れ業。

 これならば、今までのように掴んだりは出来ない。

 

 そのため。

 

「うおっ!?」

 

 驚きの声を上げ、アルベルは刀が突き刺さった魔力球を蹴り上げ……

 

 

 ゴオオオオオオオオオオオオ!!!! 

 

 

 蹴り上げられた先で、凄まじい音を立てて魔力球は大爆発を起こす。

 

 ……戦略級破壊魔法。

 

 アリスリーゼが放ったのは、1発で大都市を……数十、数百万の人間を消し飛ばせる規模の爆発だった。

 これを地面に向かって打てば、エデンは壊滅的な被害を受けるだろう大魔法。

 空中で起きた爆発の為に被害はないとはいえ、雲を吹き飛ばすそれにより未曾有の衝撃と音が鳴り響き、エデンの民は恐怖に包まれる。

 ……それは新世界の歴史上で起きたあらゆる攻撃を遥かに上回る物だったから。

 

「ヌオオッ!? あやつら、やりすぎだぞ!!」

 

 下で大和政宗公が爆発のあまりの規模に驚きの声を上げているが、空中の3人には距離的にそんな声など聞こえるはずもない。

 

 ──そして、アリスリーゼにこれを引き起こさせた下手人であり、霊刀を投擲した紗羅は。

 

 爆発が起きた瞬間に、それに合わせて全速力でアルベルの元に飛んでいた。

 

 最初から、狙いは別だった。

 

 ──目眩し。

 今の攻撃の意図は、ただそれだけ。

 

 当たり前の話だ。

 単なる加速させた戦略級破壊魔法などで、この神を彷彿させる力を持つ男をどうこう出来るわけがないのだから。

 

 しかし幾らアルベルといえど、流石にこの規模の爆発に気を取られない訳がない。

 実際にアルベルは近づく紗羅よりも上空で成される爆発に目を向ける様子が見られる。

 

 見事作戦を成功させた彼女が放つのは、アリスにわざと上空で弾けるように撃ち方や弾かれ方などを調整してもらった戦略級破壊魔法をブラフにした最後の一撃。

 

 刀を両手で握りしめ、今自分にできる全霊を込める。

 紗羅の力に呼応して霊刀は巨大化し、光を放つ。

 彼女は音速どころか神速と呼ぶべき速度で、巨大な刀を横薙ぎに……

 

「ふっ……2人共。楽しかったが……今回はここまでだな」

 

 全霊の1撃は、『神殺し』の両手のひらで挟まれ止められて。

 ──戦いの終わりを宣言された。

 

 紗羅は一瞬、目を閉じてから息を吐いて。

 

「……そうですね。手合わせありがとうございました」

 

 ぺこりと頭を下げる。

 圧倒的強者への謝意を示してから。

 

「……いつか、わたくしはあなたを超えてみせます」

 

「ふっ……楽しみにしているぞ。いつでも来い」

 

 


 

 

 

 ──うん。

 

 確かにアリスと紗羅にはある程度本気でやっても良いとは言ったけど。

 とりあえず、感想としては。

 

 ……なんで模擬戦で世界滅亡大決戦みたいな事してんの? 

 

 

 

 

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