俺の青春が田舎へ流された。   作:龍造寺

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つかの間の日常編3話です。


つかの間の日常編ー51ー3話ー中間テスト。

 

2011・05・07・⛈️・15:30・稲羽市・八十神高校・2ー2組。

 

やっと放課後になったが、外は土砂降りの雨に雷まで鳴っている。こういう日はさっさと帰るに限るが、制理が里中たちと話しているので待っている状態だ。まあ、その後バイトが入っているんだけどな。花村の奴が、ニヤニヤしながら里中に話しかけた。

 

「里中〜、例の『成龍伝説』、新しいの買ってきたぜ。名作価格でキュッパーだよ。これなら肉おごんないで即日返せばよかった」

 

⚡️⚡️

 

かなり大きい雷が鳴った。今、かなり近くに落ちた感じだ。

 

「明らかに近づいてきてるっしょ、これ……!」

 

「そうね。さっきより光と音の間隔が短くなってるし……早く帰った方がいいかも」

 

「あれ? お前たち、意外と雷怖いタイプ?」

 

「うるさいな! 当たったら一撃死じゃん!」

 

「雷は昔から怖いの!」

 

そういえば、制理は雷が苦手だって言ってたな。何でも得意そうに見えて、そういうところが苦手なのはやっぱり女の子らしいな。

 

⚡️⚡️

 

「っひゃあっ!」

 

「早く通り過ぎて……!」

 

制理と里中は二人とも耳を塞いで縮こまっている。

 

「ハハハ、ビビりすぎだろ。こういう日は逆にカンフーの特訓とかしたら盛り上がるんじゃね? 雷ビカーンってなって新しい必殺技とかできちゃうぜ。DVDにもそんなシーンあったろ」

 

「むかつく! 人の気持ちも知らないで!」

 

「人の苦手なもので笑ったら、後で自分が笑われる運命になるのよっ!」

 

「制理、どうせ落ちるならこいつに落ちろって思う!」

 

「そうね」!!

 

⚡️⚡️⚡️

 

!!この雷、まさか近くに落ちたんじゃ……? かなり大きな地響きがしたぞ。おまけに学校の電気がショートしたらしく、真っ暗になった。

 

「あれ? 停電?」

 

「さっきの雷、どっかに落ちたと思うぞ……」

 

「あの地響きからしたらそうだな」

 

「……ったく、里中が落ちろとか言うからだぞ? 荒野、さっさと退散してバイトだな。お前もバイトだろ、八幡?」

 

「だな……雨の日は客の滞在時間が長くなるから、色々大変になるぜ」

 

「俺、今日の食料品の売れ行き次第じゃ、今週のバイト代に色がつくかもしんねーんだ」

 

「そういやそんなこと言ってたな。まあ、俺には関係ないけど」

 

「この天気じゃ八幡の言う通り客足少ないかもだけど、バイク貯金のために頑張らねーとな!」

 

そんな話をしていたら、花村の携帯が鳴った。

 

「チーフからだ」

 

花村はすぐに電話に出た。

 

「もしもし、お疲れっすー」

 

「……陽介くん? あのさ、実は雷でお店の一部が停電になってさ。今日早く来れないかな? 冷蔵棚が全部止まっちゃって……こりゃ食料品フロアは早じまいだわ。え、ちょ! そんじゃ俺の給料……とにかくさ、片付け手伝って欲しいんだ。頼んだよ!」

 

電話越しに聞こえてきた内容から、さっきの雷で食料品フロアがかなりやられたらしい。俺は雑誌売り場担当だから大丈夫そうだが、手伝いを頼まれる可能性は高いな。花村は電話を切った後、なぜか里中と制理を見て嘆いた。

 

「なんでこっち見んのよ!」

 

「そうよ、私たちには関係ないことでしょ?」

 

「あーもう、なんでこうなるんだーッ!」

 

「雷は不可抗力なんだからどうにもならんだろうが……」

「ねえ、雪子、制理、もう帰ろう?」

 

「久しぶりに三人で帰ろう。八幡はバイトだからね」

 

「……千枝、制理、こんな話知ってる? ある女の子が宿題を忘れて、夜中の学校に忍び込んだんだけど、トイレに行きたくなってね」

 

天城? いきなり何の話だよ……。

 

「明かりの消えた女子トイレに無理して入ったの。そしたら誰もいないはずなのに、手洗い場の鏡に——」

 

「待った! 何の話!?」

 

「雪子、何の話をしてるの? 帰るんじゃなかったの?」

 

「え? 怪談。2人って好きじゃなかった?」

 

「なぜに今ッ!?」

 

「嫌いじゃないんだけど、今ここでする話なの!?」

 

「それじゃ、俺が知ってる怪談話を……」

 

「……鳴上、お前な……怪談話は夏にしろよ……」

 

「はぁ〜、いっそもうリーダー様に家まで送ってもらえよ、里中」

 

「馬鹿にしてる!?」

 

「仕方ねえだろ、そのテンパリ具合じゃ……」

 

「里中、俺は構わないぞ」

 

そんな会話を繰り返しているうちに、ようやく電気が復旧した。

 

「あ、点いた。ほら、帰ろよ! 2人とも」

 

制理、里中、天城の三人は挨拶をして、仲良く帰っていった。いつも俺と帰っていたから、たまには3人で帰るのもいいだろう。

 

俺は花村と一緒にジュネスに向かわなければならないしな。

 

俺と花村は鳴上に挨拶を済ませ、雨の中をジュネスへ急いだ。

 

 

2011・05・09・☁・07:25・稲羽市・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。

 

今日は珍しく叔母さんが朝ごはんを作ってくれた。テスト期間の時は、こうして作ってくれるらしい。テーブルの上には目玉焼きとトーストが並んでいる。

 

「中間テスト、無理せず頑張りなさいよ」

 

「コツコツ勉強してきたからな。なんとかなるだろ」

 

「八幡、油断は大敵よ。慢心が油断を生むんだからね」

 

「わかってるよ」

 

俺は慢心はしない。あの苦い経験で学んだからな。

 

とにかく今は、中間テストのことだけを考えよう。

 

 

2011・05・12・☁・12:30・稲羽市・八十神高校・2ー2組。

 

中間テスト、四日間の戦いが無事に終わった。制理や天城、鳴上のおかげでわからないところはしっかり対策できた。今回はかなり良い点が取れそうだ。クラスメートたちは早速答え合わせを始めていた。

 

俺たちもそれに参加した。

 

「やーっと終わったなー」

 

「そうだな」

 

「随分余裕そうじゃねえか、花村」

 

「やっと終わったんだぜ、うあー、この開放感! これだけは全国共通だな」

 

「全国共通って……まあ、そうかもな」

 

中学校の頃から、テストが終わった後のこの開放感は本当に良いものだ。そこは花村に一理ある。

 

「ちょっと、うるさい!」

 

里中に怒られてしまった。里中は制理と天城と3人で答え合わせをしているが、どう見ても里中が一番分が悪い……まあ、教えてもらう分には誰よりも有利なんだが。

 

俺たちは制理たちと答え合わせをした。俺も結構正解している。制理や天城と勉強した甲斐があったな。

 

その時、クラスの誰かが言った。

 

「聞いた? テレビ局が来たってよ?」

 

俺たちは思わず耳を立てた。

 

「どーせ、例の『遺体がぶら下がってた』事件のことだろ?」

 

「や、違くてさ。幹線道路走ってる暴走族の取材だってよ。オレのダチが族に顔出してるやついてさ、そいつから聞いたんだよね」

 

「おま、友達に族いるとか作んなよ? んなことよりさ、明日の合コン、外待ち合わせで平気かな? あさってから本格的に雨なんだろ。明日もヤバそうじゃね?」

 

明日から雨……つまり、マヨナカテレビにまた誰かが映る可能性があるな。天城が小さく呟いた。

 

「暴走族?」

 

「あー、たまにうるさいんだよね。雪子んちまではさすがに聞こえないか」

 

「……私や八幡の家があるあたりにも……稲羽商店街の方にまで走ってくるようになったからね」

 

「うちなんか道路沿いだからすげえよ」

 

「堂島家までは聞こえてこないな」

 

生徒会の報告会でも、暴走族の中にこの学校の生徒がいるんじゃないか、という話が出ていたな。ジュネスのおばちゃんたちからも聞いたことがある。まさか本当に関係あるとは思いたくないが……。

 

そんな話をしながら、テスト最終日の放課後は過ぎていった。

 

 

ー綾奈Side

 

2011・05・12・・17:00・稲羽市・八十神高校・職員室。

 

私は受け持っているクラスの中間テストの採点をしていた。1年生から3年生まで、それぞれ数クラスずつ担当しているので大変だけど、生徒たちの点数が上がっているのを見ると本当に嬉しい。そんな中、職員室の片隅で諸岡先生がかなり大きな声を出していた。鳴上君や比企谷君の担任である諸岡先生だ。

 

「うちの生徒にそんな腐ったクズが紛れ込んどるとか……ふざけんじゃねえ! 腹立たしくてしょうがねえわ! 分かり次第、即刻退学処分だ! 絶対に許さんからな!」

 

どうやらテレビ局が暴走族の特集を組むらしく、この学校にも所属している生徒がいるとかで、諸岡先生は相当ご立腹のようだった。他の先生たちもヒソヒソと話をしている。特に1年生を担当している先生たちの間でざわつきが大きかった。

 

「暴走族って……まさかと思うが、あの1年の巽完二のことか?」

 

「多分そうじゃないのか。入学して早々学校にあまり来ていないらしいからな。全く、不良のすることはわからん」

 

巽完二……?

 

その生徒が暴走族に関わっているという話なのだろうか。あいにく私はその子のクラスを受け持っていないので、直接関わったことはない。

 

もし自分のクラスだったら、もっと調べやすいのに……と思うと、少しもどかしい。

 

一通り採点を終えて帰ろうとしたところ、教頭先生に声をかけられた。

 

「雪柳先生、ちょっとよろしいでしょうか?」

 

「はい、教頭先生。何かありましたか?」

 

「色々と事件のことで忙しいとは思うが、生徒会の方で、生徒たちに暴走族や野次馬などに関わらないよう、しっかり促して欲しいんだよ」

 

「暴走族や野次馬……ですか?」

 

「そうだね。ただでさえ事件のせいで学校の評判が悪くなっているのに、そこに暴走族の件まで絡むと、うちの学校に傷がつくというか……雪柳先生もわかるでしょう?」

 

要するに、学校の名誉を守りたいということだ。私もこの学校で教鞭を執る身として、無視できる話ではない。

 

「わかりました。生徒会の方で、しっかり伝えておきます」

 

「雪柳先生、頼んだよ」

 

教頭先生はそれだけ言うと、さっさと帰っていった。私はため息を一つ吐き、職員室を後にした。

 

(暴走族……本当にうちの生徒が関わっているのなら、早めに手を打たないと……)

 

事件の影がまだ色濃く残る中、新たな火種が増えようとしている気がして、私は少し重い足取りで学校の駐車場の方に向かった。

 

もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?

  • 1ー里中千枝
  • 2ー天城雪子
  • 3ー久慈川りせ
  • 4ー白鐘直斗
  • 5ー小沢結実
  • 6ー松永綾音
  • 7ー海老原あい
  • 8ー雪柳綾奈
  • 9ー麦野静江
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