2011・05・07・⛈️・15:30・稲羽市・八十神高校・2ー2組。
やっと放課後になったが、外は土砂降りの雨に雷まで鳴っている。こういう日はさっさと帰るに限るが、制理が里中たちと話しているので待っている状態だ。まあ、その後バイトが入っているんだけどな。花村の奴が、ニヤニヤしながら里中に話しかけた。
「里中〜、例の『成龍伝説』、新しいの買ってきたぜ。名作価格でキュッパーだよ。これなら肉おごんないで即日返せばよかった」
⚡️⚡️
かなり大きい雷が鳴った。今、かなり近くに落ちた感じだ。
「明らかに近づいてきてるっしょ、これ……!」
「そうね。さっきより光と音の間隔が短くなってるし……早く帰った方がいいかも」
「あれ? お前たち、意外と雷怖いタイプ?」
「うるさいな! 当たったら一撃死じゃん!」
「雷は昔から怖いの!」
そういえば、制理は雷が苦手だって言ってたな。何でも得意そうに見えて、そういうところが苦手なのはやっぱり女の子らしいな。
⚡️⚡️
「っひゃあっ!」
「早く通り過ぎて……!」
制理と里中は二人とも耳を塞いで縮こまっている。
「ハハハ、ビビりすぎだろ。こういう日は逆にカンフーの特訓とかしたら盛り上がるんじゃね? 雷ビカーンってなって新しい必殺技とかできちゃうぜ。DVDにもそんなシーンあったろ」
「むかつく! 人の気持ちも知らないで!」
「人の苦手なもので笑ったら、後で自分が笑われる運命になるのよっ!」
「制理、どうせ落ちるならこいつに落ちろって思う!」
「そうね」!!
⚡️⚡️⚡️
!!この雷、まさか近くに落ちたんじゃ……? かなり大きな地響きがしたぞ。おまけに学校の電気がショートしたらしく、真っ暗になった。
「あれ? 停電?」
「さっきの雷、どっかに落ちたと思うぞ……」
「あの地響きからしたらそうだな」
「……ったく、里中が落ちろとか言うからだぞ? 荒野、さっさと退散してバイトだな。お前もバイトだろ、八幡?」
「だな……雨の日は客の滞在時間が長くなるから、色々大変になるぜ」
「俺、今日の食料品の売れ行き次第じゃ、今週のバイト代に色がつくかもしんねーんだ」
「そういやそんなこと言ってたな。まあ、俺には関係ないけど」
「この天気じゃ八幡の言う通り客足少ないかもだけど、バイク貯金のために頑張らねーとな!」
そんな話をしていたら、花村の携帯が鳴った。
「チーフからだ」
花村はすぐに電話に出た。
「もしもし、お疲れっすー」
「……陽介くん? あのさ、実は雷でお店の一部が停電になってさ。今日早く来れないかな? 冷蔵棚が全部止まっちゃって……こりゃ食料品フロアは早じまいだわ。え、ちょ! そんじゃ俺の給料……とにかくさ、片付け手伝って欲しいんだ。頼んだよ!」
電話越しに聞こえてきた内容から、さっきの雷で食料品フロアがかなりやられたらしい。俺は雑誌売り場担当だから大丈夫そうだが、手伝いを頼まれる可能性は高いな。花村は電話を切った後、なぜか里中と制理を見て嘆いた。
「なんでこっち見んのよ!」
「そうよ、私たちには関係ないことでしょ?」
「あーもう、なんでこうなるんだーッ!」
「雷は不可抗力なんだからどうにもならんだろうが……」
「ねえ、雪子、制理、もう帰ろう?」
「久しぶりに三人で帰ろう。八幡はバイトだからね」
「……千枝、制理、こんな話知ってる? ある女の子が宿題を忘れて、夜中の学校に忍び込んだんだけど、トイレに行きたくなってね」
天城? いきなり何の話だよ……。
「明かりの消えた女子トイレに無理して入ったの。そしたら誰もいないはずなのに、手洗い場の鏡に——」
「待った! 何の話!?」
「雪子、何の話をしてるの? 帰るんじゃなかったの?」
「え? 怪談。2人って好きじゃなかった?」
「なぜに今ッ!?」
「嫌いじゃないんだけど、今ここでする話なの!?」
「それじゃ、俺が知ってる怪談話を……」
「……鳴上、お前な……怪談話は夏にしろよ……」
「はぁ〜、いっそもうリーダー様に家まで送ってもらえよ、里中」
「馬鹿にしてる!?」
「仕方ねえだろ、そのテンパリ具合じゃ……」
「里中、俺は構わないぞ」
そんな会話を繰り返しているうちに、ようやく電気が復旧した。
「あ、点いた。ほら、帰ろよ! 2人とも」
制理、里中、天城の三人は挨拶をして、仲良く帰っていった。いつも俺と帰っていたから、たまには3人で帰るのもいいだろう。
俺は花村と一緒にジュネスに向かわなければならないしな。
俺と花村は鳴上に挨拶を済ませ、雨の中をジュネスへ急いだ。
2011・05・09・☁・07:25・稲羽市・八十神アパート・2ー1・静江の部屋・リビング。
今日は珍しく叔母さんが朝ごはんを作ってくれた。テスト期間の時は、こうして作ってくれるらしい。テーブルの上には目玉焼きとトーストが並んでいる。
「中間テスト、無理せず頑張りなさいよ」
「コツコツ勉強してきたからな。なんとかなるだろ」
「八幡、油断は大敵よ。慢心が油断を生むんだからね」
「わかってるよ」
俺は慢心はしない。あの苦い経験で学んだからな。
とにかく今は、中間テストのことだけを考えよう。
2011・05・12・☁・12:30・稲羽市・八十神高校・2ー2組。
中間テスト、四日間の戦いが無事に終わった。制理や天城、鳴上のおかげでわからないところはしっかり対策できた。今回はかなり良い点が取れそうだ。クラスメートたちは早速答え合わせを始めていた。
俺たちもそれに参加した。
「やーっと終わったなー」
「そうだな」
「随分余裕そうじゃねえか、花村」
「やっと終わったんだぜ、うあー、この開放感! これだけは全国共通だな」
「全国共通って……まあ、そうかもな」
中学校の頃から、テストが終わった後のこの開放感は本当に良いものだ。そこは花村に一理ある。
「ちょっと、うるさい!」
里中に怒られてしまった。里中は制理と天城と3人で答え合わせをしているが、どう見ても里中が一番分が悪い……まあ、教えてもらう分には誰よりも有利なんだが。
俺たちは制理たちと答え合わせをした。俺も結構正解している。制理や天城と勉強した甲斐があったな。
その時、クラスの誰かが言った。
「聞いた? テレビ局が来たってよ?」
俺たちは思わず耳を立てた。
「どーせ、例の『遺体がぶら下がってた』事件のことだろ?」
「や、違くてさ。幹線道路走ってる暴走族の取材だってよ。オレのダチが族に顔出してるやついてさ、そいつから聞いたんだよね」
「おま、友達に族いるとか作んなよ? んなことよりさ、明日の合コン、外待ち合わせで平気かな? あさってから本格的に雨なんだろ。明日もヤバそうじゃね?」
明日から雨……つまり、マヨナカテレビにまた誰かが映る可能性があるな。天城が小さく呟いた。
「暴走族?」
「あー、たまにうるさいんだよね。雪子んちまではさすがに聞こえないか」
「……私や八幡の家があるあたりにも……稲羽商店街の方にまで走ってくるようになったからね」
「うちなんか道路沿いだからすげえよ」
「堂島家までは聞こえてこないな」
生徒会の報告会でも、暴走族の中にこの学校の生徒がいるんじゃないか、という話が出ていたな。ジュネスのおばちゃんたちからも聞いたことがある。まさか本当に関係あるとは思いたくないが……。
そんな話をしながら、テスト最終日の放課後は過ぎていった。
ー綾奈Side
2011・05・12・・17:00・稲羽市・八十神高校・職員室。
私は受け持っているクラスの中間テストの採点をしていた。1年生から3年生まで、それぞれ数クラスずつ担当しているので大変だけど、生徒たちの点数が上がっているのを見ると本当に嬉しい。そんな中、職員室の片隅で諸岡先生がかなり大きな声を出していた。鳴上君や比企谷君の担任である諸岡先生だ。
「うちの生徒にそんな腐ったクズが紛れ込んどるとか……ふざけんじゃねえ! 腹立たしくてしょうがねえわ! 分かり次第、即刻退学処分だ! 絶対に許さんからな!」
どうやらテレビ局が暴走族の特集を組むらしく、この学校にも所属している生徒がいるとかで、諸岡先生は相当ご立腹のようだった。他の先生たちもヒソヒソと話をしている。特に1年生を担当している先生たちの間でざわつきが大きかった。
「暴走族って……まさかと思うが、あの1年の巽完二のことか?」
「多分そうじゃないのか。入学して早々学校にあまり来ていないらしいからな。全く、不良のすることはわからん」
巽完二……?
その生徒が暴走族に関わっているという話なのだろうか。あいにく私はその子のクラスを受け持っていないので、直接関わったことはない。
もし自分のクラスだったら、もっと調べやすいのに……と思うと、少しもどかしい。
一通り採点を終えて帰ろうとしたところ、教頭先生に声をかけられた。
「雪柳先生、ちょっとよろしいでしょうか?」
「はい、教頭先生。何かありましたか?」
「色々と事件のことで忙しいとは思うが、生徒会の方で、生徒たちに暴走族や野次馬などに関わらないよう、しっかり促して欲しいんだよ」
「暴走族や野次馬……ですか?」
「そうだね。ただでさえ事件のせいで学校の評判が悪くなっているのに、そこに暴走族の件まで絡むと、うちの学校に傷がつくというか……雪柳先生もわかるでしょう?」
要するに、学校の名誉を守りたいということだ。私もこの学校で教鞭を執る身として、無視できる話ではない。
「わかりました。生徒会の方で、しっかり伝えておきます」
「雪柳先生、頼んだよ」
教頭先生はそれだけ言うと、さっさと帰っていった。私はため息を一つ吐き、職員室を後にした。
(暴走族……本当にうちの生徒が関わっているのなら、早めに手を打たないと……)
事件の影がまだ色濃く残る中、新たな火種が増えようとしている気がして、私は少し重い足取りで学校の駐車場の方に向かった。
もう一度、アンケートを取ります。鳴上悠のヒロインは誰がよろしいですか?
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1ー里中千枝
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2ー天城雪子
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3ー久慈川りせ
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4ー白鐘直斗
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5ー小沢結実
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6ー松永綾音
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7ー海老原あい
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8ー雪柳綾奈
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9ー麦野静江