「はぁ……なんで私が、こんな辺境の初心者の街の調査をしなければならないのかしら」
魔王からアクセルの街の調査を命じられた時、私は内心で深くため息をついた。
元々、この街の調査はバニルが行っていたはずだった。
ベルディアの行方がわからなくなったからと派遣された彼だったけど、「ヤツとある冒険者パーティーに討伐されたようだ。では我が輩はもう帰る」と簡単な報告だけをして、その後の詳細な調査は命じられていないからと一切手を引いてしまったのだ。
あの悪魔、本当に魔王軍の幹部なのかしら。
そのせいで私の貴重な休暇を返上することになったのだから、腹立たしいことこの上ない。
……まあ、その調査のときに昔の友人というか、可愛い弟子というか、彼女たちと偶然再会して湯治にいくことになったのは嬉しかったわ。
まさかその彼女たちが調査対象のパーティーだったなんて思わなかったけれど、結果的に自然にターゲットに接近できたし、何ならすっかり内輪に溶け込めた。
当初予定していたコソコソと探りを入れる調査に比べたら、何倍も実りがあったと言えるわ。
……逆に、彼らが強いのか弱いのか、そのちぐはぐさに疑問も増えてしまったけれど。
そんなその調査の過程で、なぜか成り行きでめぐみんとウィズと協力して、ハンスを討伐してしまった。
どうして魔王軍の幹部同士で同士討ちすることになっちゃったのかしら。
理由は明白なのだけれど。
私が魔王軍の幹部だということを隠して調査していたのに、ハンスが空気も読まずに私の正体を明かそうとしたから、彼が悪いのよ。
うん、そう思うことにした。
でも、彼らがハンスを討伐したのを見て、巻き込まれたような形だとはいえ、やっぱり彼らは魔王軍に害をなす者だとハッキリわかった。
だから、仕方なく魔王に報告すると、「第一優先は仲間に引き込め。できなければ無力化するか、あるいは……」なんて無茶ぶりをしてきたのだ。
流石に、あんなに一緒にいて楽しく過ごした子たちにそんなことできるわけないし、殺せなんて言われなかったのはよかったけど、仲間にしろなんて……。
カズマくんもめぐみんも、魔王軍に入るのさすがに拒否するでしょうし、どうにかして無力化するしかない。
そう思って、私はアクセルの街へ再び足を運び、カズマくんに接近した。
強い罪悪感はあるけれど、これも彼らと敵対しないようにするため。
誰も傷つかないための最善の策。
そう自分に言い聞かせ、私はカズマくんに女神としての力、「怠惰」の権能を使った。
私は怠惰と暴虐を司る女神ウォルバク。
この力を使えば、どんな人間でもたちまちやる気がなくなるし、逆に怠惰の気を発散させれば活力を得ることもできる。
今回は私の怠惰の力でカズマくんのやる気を完全に奪ったのだけれど……
……本当に効いてるのかどうなのか、よくわからなくなってきたわ。
ウォルバクさんが告白してきてから数日後。
俺はリビングのこたつの中に引きこもっていた。
……あっ、いつもこうなわけじゃないぞ?
絨毯の上で芋虫のごとく転がってるときもあるし、部屋のベッドの上で完全にシーツと毛布にくるまり、サナギのような形態へと進化を遂げるときもある。
今日はたまたまこたつむりになっているだけだ。
だが、形態が違えど同じことはある。
手の届く範囲には飲みかけのジュースとスナック菓子の袋。
尿意を催せば、ベッドの脇に転がっている空の瓶に。
俺は現在、至高の怠惰生活を満喫していた。
「あ、あの……めぐみん? 最近のカズマくん、最近ずっとあんな調子だけど……気にはならないの? というか、流石に異常だとは思わないの? 私が言うのもなんだけど、ある種の病気かもしれないとか、もう少し気にしてあげてもいいと思うのだけど……。医者とか、高位のプリーストに見せた方が……」
「流石にトイレでトイレをしないのはどうかと思いますが、カズマはだらけると決めたら大体こうです。強いて言えば、いつもよりわずかにだらけている気もしますが、誤差の範囲ですね」
「そ、そうなの? ねえ、本当にこれが平常運転であってるのかしら? カズマくんに怠け癖あるのはわかるけど、これでちょっとなの?」
「そうね、最近ちょっとサボり癖がひどいわ。けど、まあ、めぐみんの言うとおりお金ある時のカズマはいつもあんな感じよ。放っておけばそのうち腹空かせて起きてくるわ」
失礼な、俺はやるときはやる男だ……が、やらなくてもいいことならやらないをモットーにしてるだけだ。
アクアはパリッと大きな音を立ててせんべいをかじりながら、テレビでも見るような気楽さで一蹴し、めぐみんも淡々と返す。
そんな中、ウォルバクさんは驚愕したように俺のことを見つめた。
「う、嘘よね? 魔王軍幹部を何度も退け、勇者候補とも言えるパーティーなのに!? というかこれがいつも通りなら、私の権能は……」
「権能?」
「な、何でもないわ……! いや、確かに権能は使えてたはずよ。力加減も間違えなかったはず。……でもここまでだらけるのは予想外というか……」
ウォルバクさんが何やらブツブツ言ってるが、どうやら俺の様子に違和感を覚えてるらしい。
なんか権能とか言ってたし、この前のアレのことだろうが、俺としては何も変わらず平常運転させてもらってる。
「ね、ねえカズマくん?」
「……はい、カズマです」
「その、いつもよりだるいだけで、体調がおかしいとかはないのよね? みんな、あなたがいつもこうだって言ってるけど。そうだわ、冒険には行――」
「行かないです。いつもよりちょっと眠いんで、これからお昼寝しようかなと。ウォルバクもどうです?」
「い、いえ、遠慮しておくわ……効いてはいるみたいね……ここまで食い気味で即答されるとは思ってなかったけど」
……聞こえてるんだが。
もしかしなくてもこのちょっと眠くなるの、ウォルバクさんのせいなのか?
俺としては特に困らないし、むしろ家でのんびりゆっくりするのには、気持ちよくお昼寝するのにぴったりだ。
しかもちょっと長く寝過ぎても夜もしっかり熟睡できるし、むしろ健康になりそう。
こんないい魔法(?)を俺にかけてくれたウォルバクさんいは感謝しないとな……と、そう思っていたときだった。
「おいカズマ! いつまで寝ている気だ、いい加減にしろ!」
「も、もうお昼過ぎてるわよカズマさん! いくらなんでも流石に不健康すぎるわ。外はあんなにいい天気なのに……!」
そんな平和な昼下がりの空気を切り裂くように、バンッと勢いよく玄関の扉が開かれた。
ずかずかと上がり込んできたのはダクネスと、なぜかピクニック用のバスケットを抱えたゆんゆんだった。
俺はこたつに潜った状態のまま、顔だけを出して抗議した。
「うるさいぞお前ら。俺はこたつと結婚したんだ。俺たち夫婦の愛の時間を邪魔するな。というか外の光を俺に当てるな、体が溶けるから早く閉めろよ」
「ええい、ふざけるな! ここ数日まともに外にも出ていないではないか! 少しは外の空気を吸わせようと思って、ゆんゆんに弁当まで作ってもらったというのに!」
「俺はお昼寝するの。わかったらあっち行ってろ、シッシ」
「お昼寝ですか? な、ならぴったりね! 実は私、こんなこともあろうかとリュックの中に安眠作用がある枕カバーを入れるようにしてたんですよ! お、お外でピクニックして、それからひなたぼっこでもしながらお昼寝しましょう!」
「えぇ……歩くのだるいし、そもそもこたつから出たくな――」
「そうとなれば決まりね! さあ、今日はピクニックして、お昼寝して、それからみんなで――」
「爆裂魔法をぶっ放しましょう!」
「そうそう、爆裂魔法をぶっぱ……なさないわよ!? 勝手なこといわないでよめぐみん!」
俺の必死の抵抗も虚しく、どんどん決まっていく話。
クルセイダーであるダクネスの膂力と、無駄にステータスの高いぼっちの馬鹿力によって、俺はあっさりとこたつから引きずり下ろされた。
そのまま両腕と両足を掴まれ、まるで出荷される子牛のごとく、ドナドナと引きずられていく。
抵抗することすらだるく感じるし、このままずっと引きずってもらった方が俺としては楽なんだが、もう少し丁重に扱ってほしいもんだ。
「ちょ、ちょっとあなたたち……!? いくらなんでも扱いが乱暴すぎないかしら!? というかカズマくんももう少し抵抗とかしないの!? 流石にこんな状態になるまで権能を使った覚えはないのだけれど!?」
「カズマさんの扱いなんてこんなもんでいいんですよ。それよりウォルバクさんも行きましょうよ!」
「ピクニックがてら、クエストを受けるのもいいですね。ええ、何もないところに爆裂魔法を撃ち込むよりもその方がいいでしょう! であれば、まずはギルドに行ってクエストを受けなければ! お姉さん、早く行きましょう! 爆裂魔法が私たちを待っています!」
めぐみんがノリノリで参戦し、もはやピクニックではなくクエストを受けることになってしまった。
俺はダクネスに掴まれ、地面を引きずられながらもギルドに向かった。
「お姉さん、俺にシュワシュワ一杯」
「私もよ!」
「これからクエストに行くという話をしているのに何を言ってるのだ!? すまない、シュワシュワはなしで人数分水を頼む」
「……もしかしたら酒でも飲ませて気分を良くさせれば、うっかりクエストを受けるかもしれないじゃないか」
「そうね、私もそう思うわ! というわけで私にシュワシュワを――」
「この二人ときたら! 酒に酔ったらクエストに行けなくなるだろうに!」
冒険者ギルドに到着すると、早速アルコールが入ったらクエストに行かなくてもすんだかもしれないという目論見を潰されてしまった。
俺は椅子に寄りかかりながら、目の前に置かれたコップを見つめ、口を潤した。
しばらくするとコップの中身はなくなり、暇つぶしに俺は周囲を見渡した。
昼間のギルドは冒険者たちで賑わっているが、どうもクエスト掲示板の前に人が少ない。
それもそのはずだ。
先日、紅魔族の里から遊びに来ていたこめっこを利用して、ギルドに溜まっていた「面倒で報酬が安い塩漬けクエスト」を片っ端から一掃してしまったばかりなのだ。
手頃なジャイアントトードの討伐やゴブリンの退治といった軽いクエストはあるにはあるがその数は少ないし、金のある冒険者は掲示板には群がらない。
手応えのない依頼ばかりで、それを眺めていためぐみんはため息をついた。
「仕方ないですね……。ルナさんに何かいい依頼がないか聞いてきましょう」
「別にいいだろ、ジャイアントトードでも」
「あ、あれは、アクアとゆんゆんにとってはトラウマでしょう!? わ、私は克服しましたが、ええ、克服しましたが却下しておきましょう」
そそくさと逃げるように受付へと向かうめぐみん。
しばらくして、ギルドの受付嬢であるルナを連れて戻ってきた……のだが、ルナの表情はいつもの朗らかな営業スマイルではなく、ひどく深刻な、どこか切羽詰まった顔つきだった。
「あの……カズマさん。お休み中のところ本当に申し訳ないのですが、実は、あなたたちにお願いしたいことがあるんです」
「お休み中のところなので却下します」
「多くの大物賞金首や強敵を討伐してきたカズマさんたちにしか頼めない依頼なんです」
「いや、嫌だって言って――」
ルナは俺のことを無視して、一枚の分厚い羊皮紙をテーブルの上に広げた。
そこには、いくつもの首を持つ恐ろしいドラゴンのような生物が描かれていた。
「なんだこのヤマタノオロチみたいなやつ……」
「これはクーロンズヒュドラです。実は……アクセルの街の近くの湖に封印されている亜竜、『クーロンズヒュドラ』が、そろそろ目覚める時期なんです」
「クーロンズヒュドラ?」
俺が状況を理解していない中、ダクネスとゆんゆんが同時に息を呑んだ。
ルナが重々しい口調で説明を続ける。
「はい。多頭の首を持ち、膨大な魔力によって瞬時に傷を再生させる凶悪なモンスターです。数十年に一度の周期で封印が解けるため、本来なら王都から大規模な騎士団と魔道士部隊を要請して、総がかりで再封印を施すほどの国家規模の厄災なのですが、以前より早い周期での封印が解けそうとのことでして……」
「ふむ、確かにこの書物に湿されている周期には近いが……わずかに早いな。原因はわかっているのか」
「いいえ、はっきりとは。ですが調査をしてくれた者によると、何か大きな衝撃が加わったせいじゃないかという話でした」
「そうか。……王都の部隊はもう編成されたのか」
「如何せん予想されていなかったことですので、今組んでいる最中とのことです。到着までまだ時間がかかるとのことで……」
ダクネスとルナさんが絶望的に面倒くさそうな話をしている中、一人だけ全く違う反応を示している者がいた。
そう、空気を読まないことで定評のある中二病、めぐみんだ。
確かにドラゴンと聞けば盛り上がるのは中二病の性。
紅い瞳に火がついためぐみんは興奮した口ぶりで立ち上がった。
「つまりは封印から解き放たれし多頭の亜竜の討伐……ということですか」
「討伐というよりは、時間稼ぎといいますか。まだ封印は解けていないのでもし封印が解けたらお願いしたいというお話で――」
「古の封印、多頭の竜、国家規模の厄災! なんという紅魔族の琴線に響くことでしょう! 受けましょう! 私の爆裂魔法の錆にしてくれます!」
いや、受けないが?
危険だし、まだ封印解けてないなら、封印が解けるまでに王都の部隊なんてすぐ編成されるだろ。
というか、話聞いてないだろこいつ。
そう思っていると、魔力を迸らせるめぐみんのことをゆんゆんが押さえた。
やっぱりゆんゆんは俺たちのパーティーの常識人担当、わかっている。
「めぐみん! それは流石にずるいわよ! 私だって大物を倒したいんだけど!」
……わかってなかった。
そういえばこいつも紅魔族だったな……。
「何を言ってるのですか? あなたはデストロイヤーを討伐したでしょうに。これ以上の成果を上げて何をしようというのですか」
「嫌味!? た、確かに経験値で言ったらそうかもしれないけど、結局めぐみんの爆裂魔法でデストロイヤーを全部消し飛ばして、全部横取りされた気分なのよ!」
「……まあ、そう言うのであれば、久しぶりに勝負といきましょうかゆんゆん。勝敗は至極単純、クーロンズヒュドラにとどめを刺した方が勝ちです!」
「いいわね! その自信たっぷりな顔……驚愕に染めさせてみせるわ!」
「どうして参加する流れになっちゃってるのかしら私たち!? 嫌よ、絶対に嫌! 私たちが行っても絶対に食べられちゃうわ! ジャイアントトードみたいに! ジャイアントトードみたいに! あの戦闘狂たちをなんとかしてよ!」
「……確かに いくら私でもヒュドラの猛毒と牙を同時に受けるのは……くっ、全身を多頭に貪られ、毒でドロドロに溶かされる屈辱……いや、しかしこれはアクセルの街を守るために必要なことで……!」
どうやらアクアと俺しか反対派はいないらしい。
だがどうしてか、普段の俺だったら意地でも受けないと駄々をこねていたはずなのに、今日はそれさえも面倒くさく感じる。
「よし、受けてもいいぞ」
「「「「え、えええええええ!?」」」」
俺のうろ返事に、アクア以外の全員が驚愕の声を上げた。
めぐみんやゆんゆん、ダクネスだけじゃない、ウォルバクさんやルナさんまでもが叫んでいた。
耳が痛い。
「どっどど、どうしたのですかカズマ!? らしくなくて気持ち悪いですよ!? もしや体調が悪いのですか!?」
「そ、そうだ、熱でもあるんじゃないか!? 最近寝てばかりだと思ったら……いや、熱はないな。どういうことだ……?」
「も、もしかしたら、クエストを受ける代わりにとんでもない要求をする気じゃ……!?」
「なぁっ!? そ、そのとんでもないことについて詳しく! カズマ、一体私たちに何をさせるつもりだ! 私はともかく、めぐみんとゆんゆんには手を出させるわけにはいかない! 三人分の欲望を私に吐き出してみろ!」
何もしないし、何もさせなません。
というか別にクエストを受けてもいいって言っただけだ。
「失礼な。別に俺はクエストに行かないで、行きたい奴らだけでクエストに行けないいだけだ。俺はここで寝てるから、お前らだけで行ってこいよ」
「な、何を言ってるんですかカズマさん! リーダーがいなきゃパーティーとして機能しないですよ!」
「でも、ようはゆんゆんが雑魚を蹴散らして、ダクネスが足止めして、アクアが回復と支援して、めぐみんが爆裂魔法で爆破するだけだろ? ゆんゆんならできる。ファイト!」
「む、無理ですよ!」
「どうして私ではなくゆんゆんがリーダーの代わりに抜擢されてるのか」と不満げな表情をするダクネスとめぐみん。
しかし、そんな二人に対して、アクアだけは別の意味で不満げだ。
「カズマ? どうして私のことをさらっとクエストの編成メンバーに加えちゃってるの? 私、ここでシュワシュワ飲んでたいんですけど」
「そうだな、お前は一番トラブルメーカーだし、クエストに行かないでここにいてもいいぞ」
「……嬉しいのに嬉しくないんですけど」
アクアが微妙な顔をする中、ダクネスとゆんゆんが俺のことをクエストに同行させようと説得を試みてくる。
やれ、カズマがいなきゃ駄目だの、カズマが必要だの……
正直よいしょしてくれて悪い気はしない。
だが、都合のいいときだけ口車に乗せられるカズマさんじゃあない!
二人の心の籠もっていない説得の最中そう思っていると、めぐみんが大胆にも俺のことを引き寄せた。
「……ふっ。めぐみん、今日はずいぶん積極的じゃあないか。だが、今の俺は何にもなびかない。諦め――」
「せぇぇええいやぁっ!!」
「――へぶっ!?」
一本背負いをかましてきた。
「い、いきなり何すんだ!? 暴力反対!!」
「チッ、気絶しませんでしたか。失神したらそのままクエストの場所まで運べばよかったのですが……まあいいでしょう」
「今気絶させようとしてたっつったか!? 俺たち仲間だよな!?」
「仲間だからこそです。パーティーリーダー直々にクエストに行っていいと許可が出たということは、そのリーダーにはクエスト完遂義務がありますよねぇ?」
「…………俺は、お前らがきっとやってくれるって信じてる。だから、俺をおいて――」
「ダクネス、カズマのことを引きずって行きますよ。ゆんゆんも、アクアのことを捕まえておいてください」
「いや、俺は行かないって……ぎゃあああああ! 首が! 首が締まるぅぅぅ!」
抵抗も空しく、めぐみんとダクネスに両脇を掴まれたまま、俺はギルドの床を再びズルズルと引きずられていく。
アクアもゆんゆんに捕まってしまい、逃げようにも逃げられない。
「ピクニック、ピクニック♪ アクアさん、今日はお昼何食べますか? いろいろ用意してみたんですよ!」
「ねえゆんゆん、私たちって仲間よね! 仲間なら嫌がることはしないと思うんですけど! ねえ、聞いてる!? このままじゃピクニックどころあ、私たちがクーロンズヒュドラのお昼になっちゃうんですけど!」
「やめろぉ! 死にたくない! 放せっ! ヒュドラなんて絶対死ぬ! ウォルバクさん助けてください!!」
「えっ!? あ、えっと……」
「気にしないでください。もしよければお姉さんも一緒にクエストに来ますか? まあ、現時点では視察みたいなものですが」
「えっと、じゃあそうしようかしら?」
完全に蚊帳の外になっていたウォルバクさんに助けを求めたが、慈悲はなかった。
抵抗する気力すらないほどの絶望に打ち拉がれ、俺はがっくりとうなだれた。
「というわけですので、クエストの依頼、このめぐみんが引き受けましょう」
「あ、ありがとうございます……? もし封印が解けたらよろしくお願いしますね、めぐみんさん。きっとめぐみんさんたちならなら時間を稼げるはずですから」
「ええ。時間を稼ぐのはいいですよ。……ですが――別に、アレを倒してしまっても構わないのでしょう?」
こうして、俺の意思など完全に無視されたまま、アクセルの街を揺るがす厄災の眠る湖へと、無理やり連行されていくのだった。
めぐみんの高らかな宣言と、アクアの悲鳴が響き渡っていた。
現在、時期は原作小説第5巻あたりなのに対して、展開は原作小説第7巻あたり。
どうしてクーロンズヒュドラの封印が解けかけているのか……(もちろん原因はあります)
最近忙しいので投稿頻度が減りそうです。原作小説1巻分を1章として、どこまで書こうかという…
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第6章(現在の章)
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第7章
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第8章
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リメイクしてテンポよく進める