俺の名は大十字九郎。この世に俺を縛る鎖など存在せぬ。幼き日に春姫と交わした結婚の約束は、俺の魂に刻まれた不滅の誓いだ。

 ある日、俺のもとに届いた報せ――我が妃たる春姫が、イシュタル・ファミリアなる下賤な輩に攫われたという。凡人なら絶望するかもしれぬが、俺は違う。俺は王だ。神の恩恵も特別な力も不要。俺の意志と刀一本で、全てを打ち砕く。



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一話:春姫の夫

 

 その日、俺、大十字九郎のもとに届いた報せは、俺の心を烈火の如く燃え上がらせた。

 

 春姫――俺が幼き日に結婚を誓った気高き妃が、イシュタル・ファミリアなる下賤な輩に攫われたというのだ。耳を疑うなどという愚かな選択肢は俺にはない。事実が俺の前に突きつけられた瞬間、俺の血は煮え立ち、魂は咆哮を上げた。

 

「我が妃に手を触れるとは、万死に値する罪だ」

 

 村の者たちが怯えた目で俺を見つめる中、俺は立ち上がった。刀一本を腰に差すのみ。神の恩恵などという下々の玩具も、魔法やスキルなどという小賢しい力も、俺には不要だ。お前たち凡人には理解できぬかもしれぬが、俺の意志こそがこの世の理を凌駕する。王たる俺に、道具立てなど無用の長物である。

 

「九郎殿、無茶だ! イシュタル・ファミリアは神の眷属だぞ!」

 

 村の老人が震える声で止めに入る。俺は一瞥をくれて冷たく言い放った。

 

「黙れ、老いぼれ。お前たちの臆病な忠告は、俺の耳に届く価値すらない。春姫は俺の妃だ。奪い返すのは俺の務めであり、運命だ」

 

 俺の言葉に、彼らはただ沈黙するしかなかった。凡人の群れに俺の決意を理解しろなど、土台無理な話である。

 

 オラリオへ向かう道すがら、風が俺の髪を揺らし、夕陽が俺の影を長く伸ばす。俺は歩みを止めず、心の中で春姫の笑顔を思い描く。あの柔らかな声、あの清らかな瞳――それが穢されるなど、俺が許さぬ。

 

 イシュタルなる神が何者であろうと、俺の妃を奪った罪は必ず償わせる。

 

 「待っていろ、春姫。俺が必ずお前を救い出す」

 

 俺は静かに、だが断固たる口調で呟いた。

 やがて、歓楽街の灯りが遠くに見えてきた。イシュタル・ファミリアの宮殿が、俗臭を放ちながら俺を嘲笑うかのように聳え立つ。

 

 俺は刀の柄に手をかけ、唇に薄い笑みを浮かべる。

 

「下賤な神よ、お前がどれほどの力を持とうと、俺の前では無意味だ。春姫を返せ。その一言で済む話ならよかったものを、お前たちは自ら滅びを選んだ」

 

 

 門前に立つ俺の姿は、まるで嵐の前の静けさそのもの。

 見よ、この大十字九郎がただの人間ではないことを。俺は王だ。意志だけで全てを踏破する、唯一無二の存在だ。門を蹴破るその瞬間、俺の戦いが始まる。お前たち凡人には想像もつかぬ、俺の怒りと愛の結末を刮目して見るがいい。

 

 宮殿の門を蹴破った瞬間、俺、大十字九郎に襲い来るはイシュタル・ファミリアの眷属どもだ。アマゾネスの戦士、魔法を操る者、剣を手に哄笑する者――下賤な輩が群れを成して俺を阻もうと吠え立てる。だが、知れ。お前たちの命運は既に尽きた。俺の妃、春姫を奪った罪は、この血でしか贖えぬのだ。

 

「お前のような人間ごときが我々に挑むとは!」

 

 一人のアマゾネスが槍を振り上げて突進してきた。俺は冷ややかに笑い、刀を抜き放つ。

 

「愚か者め。お前たちの力など、俺の前では塵に等しい」

 

 一喝し、一閃。

 彼女の槍が宙を舞い、血が噴き出す。俺の刃は容赦なく、襲い来る眷属どもを次々と切り裂いていく。魔法が炸裂し、炎が俺を包もうとも、俺は動じぬ。

 

「この程度の熱で俺を焼けるとでも? 笑止だ」

 

 炎の中から悠然と歩み出る。

 返り血が俺の顔を濡らし、衣服を赤く染める。だが、俺は一顧だにせず前へ進む。背後には眷属たちの亡骸が折り重なり、血溜まりが広がる。見よ、この大十字九郎の力を。神の恩恵などなくとも、俺の意志と刀一本で全てを支配する。お前たち凡人が驚愕し、畏怖に震えるのも当然だ。

 

「何!? こいつ、ファルナを持たぬ人間のはずなのに!」

 

 生き残った眷属が叫び声を上げる。俺は血に濡れた刀を肩に担ぎ、悠然と応じる。

 

「お前たちの小賢しい力に頼る姿こそ哀れだ。俺は王だ。意志だけで理不尽を踏み砕く。それが理解できぬお前たちは、死してなお愚かだ」

 

 俺の言葉に、彼らはただ震え、武器を握る手さえも緩める。宮殿の廊下を進む俺の足音が、静寂の中に響き渡る。返り血をまとった俺の姿は、まるで戦場の王そのもの。

 

 壁に凭れた娼婦たちが目を丸くし、戦士たちが後ずさりする。

 

 「化け物だ……」「人間じゃない」と囁き合う声が聞こえるが、俺は意に介さぬ。

 

「化け物だと? 違うな。俺はお前たちを裁く王だ。春姫を奪った罪を、この血で償え」

 

 そう冷たく言い放つ。

 一歩進むごとに、俺の周囲に漂う死の気配が濃くなる。誰も俺を止められぬ。誰も俺に抗えぬ。血と屍を踏み越え、俺は春姫の待つ場所へ向かう。

 

「待っていろ、春姫。俺が必ずお前を救う」と、心の中で誓う。俺の進軍に終わりはない。お前たち凡人がどれだけ群がろうと、俺の前ではただの供物に過ぎぬのだ。

 

 神の恩恵などという下賤な力も、魔法やスキルなどという小賢しい術も、俺には不要だ。俺が武器とするのは、この不屈の意志と鍛え上げられた肉体、そして刀一本のみ。理解できぬかもしれぬが、王たる俺に複雑な策など無用である。俺の戦いは、純粋にして絶対だ。

 

 正面突破の剛直さ。

 俺の戦闘は常に正面からだ。敵が何人いようと、魔法を放とうと、俺は一歩も退かぬ。イシュタル・ファミリアの眷属どもが群がってきたところで、俺は悠然と立ち、「かかってこい」と一喝する。槍が飛ぼうが、炎が襲おうが、俺はそれを真正面から受け止め、打ち砕く。「お前たちの攻撃など、俺の意志を揺らすには足りぬ」と笑ってやる。回避などという姑息な真似は、王たる俺に相応しくない。

 

 圧倒的な膂力と執念

 俺の力は、この肉体に宿る純粋な筋力と、春姫を奪い返すという執念から生まれる。アマゾネスの戦士が振り下ろす剣を、俺は素手で受け止め、ねじ伏せる。「お前ごときの力で俺を傷つけられるとでも?」と嘲笑し、そのまま拳で殴り倒す。血が噴き、骨が砕ける音が響こうとも、俺は止まらぬ。痛みは俺を燃え上がらせる燃料に過ぎぬのだ。

 

 刀を振るう王の威厳

 刀は、俺の手にある限り単なる鉄の塊ではない。それは俺の意志を具現化した刃だ。技などという小細工は使わぬ。俺の斬撃は、ただ力強く、ただ迅速に、敵を両断するのみ。一振りで複数の眷属を薙ぎ払い、血飛沫を浴びながら俺は言う。「この刀は俺の正義だ。お前たちに裁きを下すための道具に過ぎぬ」と。華麗さより威圧感、技巧より破壊力を俺は選ぶ。

 

 

 精神の不屈さ

敵が魔法で俺を焼き、毒で俺を蝕もうと試みても無駄だ。俺の精神は鋼よりも硬く、春姫への愛と怒りに支えられている。

 「この程度で俺が倒れると思うのか? 春姫を救うまで、俺は死なぬ」と叫び、立ち上がる。返り血に塗れ、傷だらけになろうとも、俺の眼光は曇らぬ。凡人どもが畏怖に震えるのは、俺のこの不屈さにこそある。

 

 敵を圧する王の気迫

 俺の戦闘スタイルの真髄は、気迫だ。俺が一歩踏み出すだけで、敵は怯み、後ずさる。俺が刀を構えれば、雑魚どもは武器を落とし、膝をつく。「お前たちに俺を止める資格はない」と冷たく言い放つだけで、戦意を喪失させる。俺の存在そのものが戦場を支配する。王たる俺に逆らうなど、愚か者の極みだ。

 

 眷属との戦闘

 例えば、アマゾネスが槍を手に俺に突進してきたとする。俺は避けず、槍の穂先を左手で掴み、「その程度か」と一瞥。力を込めて槍をへし折り、右手に握った刀で一閃する。敵が倒れる間もなく、次の眷属に拳を叩き込み、「次はお前だ」と悠然と歩み寄る。魔法使いが呪文を詠唱すれば、俺はそれを待たず突進し、「黙れ」と殴り倒す。全てが単純にして無駄がない。それが俺の戦いだ。

 

 俺、大十字九郎は血と屍を踏み越え、ついにイシュタル・ファミリアの中枢へと辿り着いた。そこに鎮座するのは、神イシュタル。妖艶な微笑を浮かべ、俺を見下ろすその姿は、確かに神の威厳を纏っている。だが、俺の前では無意味だ。お前が何者であろうと、俺の妃を奪った罪は消えぬ。

 

「おや、人間ごときがここまで来るとはね。魅了してやろう。私の虜となり、跪くがいい」

 

 イシュタルがその能力を放つ。空気が甘く歪み、凡人なら即座に心を奪われる神の力だ。しかし、俺は鼻で笑った。

 

「お前ごときの小細工が、俺に通じると思うのか?」

 

 春姫への愛と、俺自身の不屈の意志が、魅了などという下賤な力を寄せ付けぬ。俺は一歩踏み出し、イシュタルの前に立つ。

 

 「何!? 効かぬだと?」

 

 と驚愕するイシュタルに、俺は冷たく言い放つ。

 

「お前の力は俺の前では塵だ。神とやらも、この大十字九郎には敵わぬ」

 

 先祖伝来の刀を振り上げ、一閃。イシュタルの首が宙を舞い、血が噴き出すと同時に、彼女の魂が光となって俺の掌に吸い込まれる。俺はそれを喰らった。神の魂を、俺の意志で咀嚼し、飲み込む。その瞬間、俺の内にイシュタルの権能が流れ込み、全身が熱く脈動する。

 

「お前たちの神は死んだ。俺が新たな王だ」

 

 俺は宮殿に響き渡る声で宣言する。イシュタルの眷属どもが、畏怖と混乱に震えながら俺を見上げる。アマゾネスも魔法使いも、俺の気迫に抗えず、次々と膝をつく。俺はイシュタルの権能を手中に収め、彼らを支配下に置いた。

 

「俺に逆らう者は死あるのみ。頭を垂れろ」

 

 そう命じれば、誰もが頭を垂れる。凡人どもの運命など、俺が決める。

 

 そして、春姫が囚われていた部屋へ進む。扉を開けた先に、彼女がいた。憔悴しつつも、その瞳は俺を見つけた瞬間、涙に濡れて輝く。

 

「本当に、来てくれたのですね……九郎様」

 

 春姫が震える声で呟く。俺は血に塗れた姿のまま、悠然と彼女に近づき、応じる。

 

「言ったはずだ。お前は俺の妃になると。俺が法だ、黙して従え」

 

 春姫は小さく頷き、俺の腕に身を寄せる。その温もりが、俺の戦いの報酬だ。

 見よ、この大十字九郎の偉業を。神を殺し、その力を奪い、妃を奪い返した。王たる俺に不可能はない。お前たち凡人が驚愕し、畏怖するのも当然だ。春姫を連れ、俺は宮殿を後にする。背後に残るのは、新たな支配者たる俺に従う眷属どもと、イシュタルの亡魂だけだ。

 

 


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