ユニバース戦士補ジュウ計画   作:壱肆陸

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本日はくれなゐがゐさんの作品です。
(X:@GAI_2daime)

「ユニバース外伝!自慢の拳」
https://syosetu.org/novel/374798/19.html
の続編で、ゲストとして他寄稿作の指輪戦士達も登場します。


犬飼大慈の休日

前回のあらすじ

ボクシング選手の犬飼大慈は、デンジマンリングを手に入れ指輪の戦士となり、ボクシングナンバーワンの願いを叶えるため指輪争奪戦へと参加する。だがしかし、リングハンターガリュードの襲撃にあい、デンジマンリングを失ってしまうのであった。

 

僕は目を覚まし、布団からモゾリと這い出る。時計を見ると時刻は午前7時43分を刻んでいる。

眠い目をこすりながら、グラスに波々と水道水を注ぎ入れ、一気に飲み干す。

その後は洗面所へと移動し、顔を洗い、歯を磨いた。これで寝ぼけた脳みそがようやく目を覚ます。

 

そしてリビングへと移動し、古ぼけたレコードプレーヤーにレコードをセットし、スイッチを付ける。

『ハニー ハニー 愛しのハニー』

“銀河ハニー”それがこの曲の名前。このレコードは父さんからもらった物だ。

僕はそれを聴きながら、コーヒーを飲み、好物のあんぱんを類張る。

今日は休みだ、しかも試合終わりの。

 

朝食を終え食器を片付ける。そして服を着替えて、寝癖でドカンと爆発した髪を整える。整える…整え…くそっ、この暴れん坊の髪め!

でもこの暴れん坊とも今日でおサラバ、今日は美容室へ行く。本来試合前に行くべきなのだが、直近で予約が今日しか無かったのだ。

 

暴れん坊を20分ほど格闘した末になんとか整え終え、まだ時間があるから僕はテレビを付ける。

 

『昨日公開されたスーパーアイドル百夜陸王主演の映画「純愛ヒーロー」が早くも超大ヒット上映中です!』

 

朝のワイドショーで映画特集をやっていた。百夜陸王、最近ドラマでもCMでも引っ張りだこで、見かけない日は無いほど人気がある。僕もいつかボクシングナンバーワンになって、色々なテレビに出る日が来たら…。なんてことを考えながらテレビを見ていたら、そろそろ時間だ。

 

家を出る。天気がいい、眩しい朝だ。家から歩いて30分ほど、美容院に着いた。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

美容室『Cut Club_HUM』に入店するや否や元気な声が響く。

 

「おはようございます犬飼さん!待ってましたよ!」

 

彼は忍宮貴利矢、この美容室の美容師で、カリスマ美容師ナンバーワンを目指し日々努力をしている。モノは違えどナンバーワンを目指している者、勝手に親近感を覚えている。

 

「今日はどうします?」

「バッサリといってください、寝癖が酷いもんで、今朝も苦戦したんです。それに最近暑くなってきたから、さっぱりしたいですよね」

「なるほど、畏まりました!」

 

最初は洗髪から始まる、忍宮さんの手はすごく心地が良く、自然の力が抜けてしまいそうになる。

 

「あぁ〜〜〜……」

 

ついリングでは絶対に出さないような腑抜けた声が出る、それほどいいものなのだ。

 

「そういえば犬飼さん最近調子いいみたいですね」

「まぁなんと言いますか、ちょっと色々あって自信が付きましてね、まさに絶好調って感じです」

 

洗髪を終えてカットを初めると同時に、雑談が始まる。

 

「それで言えば忍宮さんも、この間テレビの取材を受けてましたよね、僕観ましたよ!」

「おっ、ありがとうございます!」

 

そんな会話をしながらも彼は手を止めずカットを続ける。そして1時間ほど時間が経ち…。

 

「こんな感じでどうです?」

 

鏡には鬱陶しかった長い髪が短くスッキリしていた。それだけでは無い、髪型もオシャレに整えられていた。

 

「おお〜…!さすがカリスマ美容師!最高ですよ!」

 

僕がそう言うと忍宮さんはどこか得意げな顔を浮かべ言う。

 

「犬飼さんの顔に似合う様な感じにセットしてみました」

 

忍宮さんは本当に腕がいい、僕が知る限りでは、彼の右にでる美容師は存在しない。

 

「今日は本当にありがとうございます!では!」

 

お代を払い、僕はcut_club HUMを後にした。

 

さて、リサイクルショップにでも行ってレコードでも漁ろうかと思いながら歩みを進めると、路地裏から何やら弱々しい声が微かに聞こえた。

気になって覗き込むと、そこには気弱そうなサラリーマンがガラの悪い男にカツアゲをされている現場があった。僕は迷わず、路地裏へと足を踏み入れた。

 

「そのお金、君のじゃあないよね」

 

ガラの悪い男に向かって声をかける。

 

「あァん?なんだてめェ?」

 

男はギロリと僕を睨みつけた。

 

「そ、そのお金は私のです…!」

 

サラリーマンが震えた声で弱々しく言った。

 

「早く返してあげて」

「うるせぇ!この金はオレんモンだよ!」

 

男は僕めがけ殴りかかる。が、遅い。僕にはその拳は牛の歩みに思えた。こんなモノ簡単に避けられる。

 

「てめェ……!」

 

頭に血が上ったのか、次の拳を打ち込んできた。でもこれも簡単に避ける。

 

「なに避けてンだ!」

 

そう言ったあと、男は次々と拳を振り上げる。僕はもちろん全部避ける。僕はパンチのプロ。当然だ。

 

何十発も拳を打ち込んだ男はすっかり息を切らしていた。

 

「ハァ…ハァ…クソッ!」

 

僕はその隙に男の鼻先目掛け勢いよく拳を突き出す。そして、あと数センチで届く所でピタッと止め、腕を下ろす。

 

「て、てめェ…ナメてんじゃねェ……!」

 

激昂した男は再び拳を突き出すが、隙だらけだ。僕は男の腹に軽いジャブを打ち込んだ。

 

「グヘ…ッ!?」

 

男はたまらず腹を抑え込む。

 

「お金、返してあげて」

 

僕は男を真っ直ぐ見つめて言った。

 

「…チ…チクショウ……」

 

男はサラリーマンに奪い取ったお金を返し、よろけながら歩き、どこかへと消えていった。

 

「あ……ありがとうございます…これお礼に…」

 

サラリーマンは僕に一万円札を手渡そうとする。

 

「あっ、いえいえ大丈夫ですよ…!お礼なんて気持ちだけで十分ですよ!」

「そ、そうですか…?分かりました…」

「ところで怪我はないですか?」

「いえ…私は特に…脅されただけですから…」

 

サラリーマンは俯きながら言った。

 

「無事なんですね、良かったです。この街たまにああいう奴がいますからね、気をつけて」

 

僕はそう言い残して路地裏を去った。

 

「らっしゃ〜せ〜…」

 

所変わってリサイクルショップ。僕はレコードコーナーにて頭を悩ませていた。

 

「うわ〜『1+2+サン拍子』が3万5千円か〜、それに『レッツゴー海賊!』が2万8千円で『地球の五つ子』は3万円…悩むな〜」

 

懐事情的に今日買えるのは一枚、真剣に選ばなければいけない。

 

「んん〜……よし、これにしよう!」

 

僕は『レッツゴー海賊!』をレジに持っていく。

 

「あざ〜す…」

 

レジには目付きが悪く、首からチェーンネックレスを下げた狼のような雰囲気の店員が対応していた。

 

「2万8千円になりま〜す…」

 

僕は財布からお金を取り出し、支払いを済ませた。

 

「あざっした〜…」

 

態度の悪い店員だった、そんな事を考えながら買ったレコードをカバンにしまう。にしてもあの店員、僕の"指輪"を何故か睨みつけていたな。彼も指輪の戦士なのだろうか?

 

一年ほど前、僕の目の前に現れた指輪。僕はその指輪の力を使って人々を襲う鐘頭のバケモノと戦い、黒い戦士によって奪われた。

そしてその指輪が数ヶ月前に突如として戻ってきたのだ。黄金の巨人『テガソード』曰く、争奪戦勝者がやり直しを望んだらしい。勝者はよほど戦いが好きだったのだろうか?

……そんな事を振り返っていたら腹の虫が鳴いた。どこかにランチにでも行こうか。

 

「そうだ、"あそこ"に行こう」

 

僕は喫茶店『未来』へと赴いた。

 

「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

 

扉を開けて入店すると、高校生くらいの少女が声をかける。

 

「一人です」

 

僕は右手の人差し指をピンと立てて一人で来たことを示す。

 

「カウンター席にどうぞ」

 

案内されたカウンター席に腰掛けメニューを見る。どれも美味しそうだ。少し悩んで、僕はナポリタンとアイスコーヒーのランチセットに決めた。

 

「すみませ〜ん」

 

声を上げるて、カウンター先にいるさっきの少女を呼びかける。

 

「ご注文お決まりですか?」

「セットのナポリタンとアイスコーヒーください」

「かしこまりました」

 

「お待たせしました、ランチセットのナポリタンとアイスコーヒーでございます」

 

注文から十分後、注文していたものが届いた。

まずコーヒーを一口ストローで吸う。美味い。スッキリとした爽やかな苦味が下に広がる。

お次にナポリタンをフォークでクルクルと巻き上げ、口に運ぶ。こっちも美味い。キンと冷えたアイスコーヒーと出来たてアツアツのナポリタンはまさに絶品だ。

というか、この店の物はどれも美味い。しかし僕がこの店に足を運ぶにはもう一つ理由がある。

 

「瀧磐くん、明日提出の宿題終わった?」

「げ、忘れてた」

「閉店後、教えてあげる。ご褒美はいつものね」

「へいへい」

 

さっきの少女と、アルバイトの少年、その若い二人の店員のやり取りがとても微笑ましいのだ。スラング的に言えば"尊い"と言うやつだ。やはり付き合っているのだろうか?なんて下世話か。ずっと見ていたい気持ちがあるが、食器はすっかり空になっている。会計を済ませよう。

 

僕は会計を済ませ、店を出た。さてと、腹も心も満たされたし、家に帰ってのんびり音楽を聴きながら本でも読もうか。

家への道を歩く途中、必死にこちら側へ向かって何人かの人が走ってきた。

 

「うおっ!?…っ!?な…なんだ…あれ…」

 

道の奥からは多種多様な人型の化け物達が歩いてきた。

銀色のバケツを被ったような者、青い身体にムンクの『叫び』のようなお面を着けた者、顔がスクラップで構成された者…特徴をあげていけばキリがない。

何者なのか見当もつかないが、一つわかる事がある。奴らは紛れもない悪である事だ。肌に突き刺さるツララのような冷たい殺気がそう物語る。

僕の起こす行動は一つ。奴らを倒す。

 

「エンゲージ!」

 

指輪を外し右手にある手型の剣、テガソード外した指輪をセットする。

 

『センタイリング!デンジマン!』

 

僕は再びデンジレッドへと姿を変えた。

 

「食後の運動だ、来い!」

 

僕は奴らを睨みつけ戦う為の構えを取った。

 




ゲスト出演作品

忍宮貴利矢(ハリケンレッド)
https://syosetu.org/novel/374798/2.html

瀧磐八人(タイムファイヤー)、深月三龍(タイムレッド)
https://syosetu.org/novel/374798/16.html
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