(X:@GAI_2daime)
「ユニバース外伝!自慢の拳」
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の続編で、ゲストとして他寄稿作の指輪戦士達も登場します。
前回のあらすじ
ボクシング選手の犬飼大慈は、デンジマンリングを手に入れ指輪の戦士となり、ボクシングナンバーワンの願いを叶えるため指輪争奪戦へと参加する。だがしかし、リングハンターガリュードの襲撃にあい、デンジマンリングを失ってしまうのであった。
僕は目を覚まし、布団からモゾリと這い出る。時計を見ると時刻は午前7時43分を刻んでいる。
眠い目をこすりながら、グラスに波々と水道水を注ぎ入れ、一気に飲み干す。
その後は洗面所へと移動し、顔を洗い、歯を磨いた。これで寝ぼけた脳みそがようやく目を覚ます。
そしてリビングへと移動し、古ぼけたレコードプレーヤーにレコードをセットし、スイッチを付ける。
『ハニー ハニー 愛しのハニー』
“銀河ハニー”それがこの曲の名前。このレコードは父さんからもらった物だ。
僕はそれを聴きながら、コーヒーを飲み、好物のあんぱんを類張る。
今日は休みだ、しかも試合終わりの。
朝食を終え食器を片付ける。そして服を着替えて、寝癖でドカンと爆発した髪を整える。整える…整え…くそっ、この暴れん坊の髪め!
でもこの暴れん坊とも今日でおサラバ、今日は美容室へ行く。本来試合前に行くべきなのだが、直近で予約が今日しか無かったのだ。
暴れん坊を20分ほど格闘した末になんとか整え終え、まだ時間があるから僕はテレビを付ける。
『昨日公開されたスーパーアイドル百夜陸王主演の映画「純愛ヒーロー」が早くも超大ヒット上映中です!』
朝のワイドショーで映画特集をやっていた。百夜陸王、最近ドラマでもCMでも引っ張りだこで、見かけない日は無いほど人気がある。僕もいつかボクシングナンバーワンになって、色々なテレビに出る日が来たら…。なんてことを考えながらテレビを見ていたら、そろそろ時間だ。
家を出る。天気がいい、眩しい朝だ。家から歩いて30分ほど、美容院に着いた。
「いらっしゃいませ〜」
美容室『Cut Club_HUM』に入店するや否や元気な声が響く。
「おはようございます犬飼さん!待ってましたよ!」
彼は忍宮貴利矢、この美容室の美容師で、カリスマ美容師ナンバーワンを目指し日々努力をしている。モノは違えどナンバーワンを目指している者、勝手に親近感を覚えている。
「今日はどうします?」
「バッサリといってください、寝癖が酷いもんで、今朝も苦戦したんです。それに最近暑くなってきたから、さっぱりしたいですよね」
「なるほど、畏まりました!」
最初は洗髪から始まる、忍宮さんの手はすごく心地が良く、自然の力が抜けてしまいそうになる。
「あぁ〜〜〜……」
ついリングでは絶対に出さないような腑抜けた声が出る、それほどいいものなのだ。
「そういえば犬飼さん最近調子いいみたいですね」
「まぁなんと言いますか、ちょっと色々あって自信が付きましてね、まさに絶好調って感じです」
洗髪を終えてカットを初めると同時に、雑談が始まる。
「それで言えば忍宮さんも、この間テレビの取材を受けてましたよね、僕観ましたよ!」
「おっ、ありがとうございます!」
そんな会話をしながらも彼は手を止めずカットを続ける。そして1時間ほど時間が経ち…。
「こんな感じでどうです?」
鏡には鬱陶しかった長い髪が短くスッキリしていた。それだけでは無い、髪型もオシャレに整えられていた。
「おお〜…!さすがカリスマ美容師!最高ですよ!」
僕がそう言うと忍宮さんはどこか得意げな顔を浮かべ言う。
「犬飼さんの顔に似合う様な感じにセットしてみました」
忍宮さんは本当に腕がいい、僕が知る限りでは、彼の右にでる美容師は存在しない。
「今日は本当にありがとうございます!では!」
お代を払い、僕はcut_club HUMを後にした。
さて、リサイクルショップにでも行ってレコードでも漁ろうかと思いながら歩みを進めると、路地裏から何やら弱々しい声が微かに聞こえた。
気になって覗き込むと、そこには気弱そうなサラリーマンがガラの悪い男にカツアゲをされている現場があった。僕は迷わず、路地裏へと足を踏み入れた。
「そのお金、君のじゃあないよね」
ガラの悪い男に向かって声をかける。
「あァん?なんだてめェ?」
男はギロリと僕を睨みつけた。
「そ、そのお金は私のです…!」
サラリーマンが震えた声で弱々しく言った。
「早く返してあげて」
「うるせぇ!この金はオレんモンだよ!」
男は僕めがけ殴りかかる。が、遅い。僕にはその拳は牛の歩みに思えた。こんなモノ簡単に避けられる。
「てめェ……!」
頭に血が上ったのか、次の拳を打ち込んできた。でもこれも簡単に避ける。
「なに避けてンだ!」
そう言ったあと、男は次々と拳を振り上げる。僕はもちろん全部避ける。僕はパンチのプロ。当然だ。
何十発も拳を打ち込んだ男はすっかり息を切らしていた。
「ハァ…ハァ…クソッ!」
僕はその隙に男の鼻先目掛け勢いよく拳を突き出す。そして、あと数センチで届く所でピタッと止め、腕を下ろす。
「て、てめェ…ナメてんじゃねェ……!」
激昂した男は再び拳を突き出すが、隙だらけだ。僕は男の腹に軽いジャブを打ち込んだ。
「グヘ…ッ!?」
男はたまらず腹を抑え込む。
「お金、返してあげて」
僕は男を真っ直ぐ見つめて言った。
「…チ…チクショウ……」
男はサラリーマンに奪い取ったお金を返し、よろけながら歩き、どこかへと消えていった。
「あ……ありがとうございます…これお礼に…」
サラリーマンは僕に一万円札を手渡そうとする。
「あっ、いえいえ大丈夫ですよ…!お礼なんて気持ちだけで十分ですよ!」
「そ、そうですか…?分かりました…」
「ところで怪我はないですか?」
「いえ…私は特に…脅されただけですから…」
サラリーマンは俯きながら言った。
「無事なんですね、良かったです。この街たまにああいう奴がいますからね、気をつけて」
僕はそう言い残して路地裏を去った。
「らっしゃ〜せ〜…」
所変わってリサイクルショップ。僕はレコードコーナーにて頭を悩ませていた。
「うわ〜『1+2+サン拍子』が3万5千円か〜、それに『レッツゴー海賊!』が2万8千円で『地球の五つ子』は3万円…悩むな〜」
懐事情的に今日買えるのは一枚、真剣に選ばなければいけない。
「んん〜……よし、これにしよう!」
僕は『レッツゴー海賊!』をレジに持っていく。
「あざ〜す…」
レジには目付きが悪く、首からチェーンネックレスを下げた狼のような雰囲気の店員が対応していた。
「2万8千円になりま〜す…」
僕は財布からお金を取り出し、支払いを済ませた。
「あざっした〜…」
態度の悪い店員だった、そんな事を考えながら買ったレコードをカバンにしまう。にしてもあの店員、僕の"指輪"を何故か睨みつけていたな。彼も指輪の戦士なのだろうか?
一年ほど前、僕の目の前に現れた指輪。僕はその指輪の力を使って人々を襲う鐘頭のバケモノと戦い、黒い戦士によって奪われた。
そしてその指輪が数ヶ月前に突如として戻ってきたのだ。黄金の巨人『テガソード』曰く、争奪戦勝者がやり直しを望んだらしい。勝者はよほど戦いが好きだったのだろうか?
……そんな事を振り返っていたら腹の虫が鳴いた。どこかにランチにでも行こうか。
「そうだ、"あそこ"に行こう」
僕は喫茶店『未来』へと赴いた。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
扉を開けて入店すると、高校生くらいの少女が声をかける。
「一人です」
僕は右手の人差し指をピンと立てて一人で来たことを示す。
「カウンター席にどうぞ」
案内されたカウンター席に腰掛けメニューを見る。どれも美味しそうだ。少し悩んで、僕はナポリタンとアイスコーヒーのランチセットに決めた。
「すみませ〜ん」
声を上げるて、カウンター先にいるさっきの少女を呼びかける。
「ご注文お決まりですか?」
「セットのナポリタンとアイスコーヒーください」
「かしこまりました」
「お待たせしました、ランチセットのナポリタンとアイスコーヒーでございます」
注文から十分後、注文していたものが届いた。
まずコーヒーを一口ストローで吸う。美味い。スッキリとした爽やかな苦味が下に広がる。
お次にナポリタンをフォークでクルクルと巻き上げ、口に運ぶ。こっちも美味い。キンと冷えたアイスコーヒーと出来たてアツアツのナポリタンはまさに絶品だ。
というか、この店の物はどれも美味い。しかし僕がこの店に足を運ぶにはもう一つ理由がある。
「瀧磐くん、明日提出の宿題終わった?」
「げ、忘れてた」
「閉店後、教えてあげる。ご褒美はいつものね」
「へいへい」
さっきの少女と、アルバイトの少年、その若い二人の店員のやり取りがとても微笑ましいのだ。スラング的に言えば"尊い"と言うやつだ。やはり付き合っているのだろうか?なんて下世話か。ずっと見ていたい気持ちがあるが、食器はすっかり空になっている。会計を済ませよう。
僕は会計を済ませ、店を出た。さてと、腹も心も満たされたし、家に帰ってのんびり音楽を聴きながら本でも読もうか。
家への道を歩く途中、必死にこちら側へ向かって何人かの人が走ってきた。
「うおっ!?…っ!?な…なんだ…あれ…」
道の奥からは多種多様な人型の化け物達が歩いてきた。
銀色のバケツを被ったような者、青い身体にムンクの『叫び』のようなお面を着けた者、顔がスクラップで構成された者…特徴をあげていけばキリがない。
何者なのか見当もつかないが、一つわかる事がある。奴らは紛れもない悪である事だ。肌に突き刺さるツララのような冷たい殺気がそう物語る。
僕の起こす行動は一つ。奴らを倒す。
「エンゲージ!」
指輪を外し右手にある手型の剣、テガソード外した指輪をセットする。
『センタイリング!デンジマン!』
僕は再びデンジレッドへと姿を変えた。
「食後の運動だ、来い!」
僕は奴らを睨みつけ戦う為の構えを取った。
ゲスト出演作品
忍宮貴利矢(ハリケンレッド)
https://syosetu.org/novel/374798/2.html
瀧磐八人(タイムファイヤー)、深月三龍(タイムレッド)
https://syosetu.org/novel/374798/16.html