守鶴転生   作:砂隠れの下忍

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国が出来たら、次は戦争だ。

 

俺様は侵略する気などさらさらないのだが、この戦乱の世でこれだけの豊かさを維持しておいて戦火を逃れるのは不可能に近い。

 

勿論、戦うのは俺様の仕事だ。といっても砂で感知して影分身を送り込むだけの簡単な仕事なのだが、ここで意外な事実が判明した。

 

――俺様、体術クソザコだった。

 

今まで術にばかり拘っていた弊害なのか、俺様の体術は赤子の頃から全く進化していなかったのだ!

 

流石にこれは拙い、これはダメだ。

 

体術は全ての基礎だ。相手がまだ一般忍者だから良いものの、これで相手が柱間だったら勝てる戦いも勝てなくなってしまう。

 

飛雷神で無邪気に喜んでいる場合じゃない、早急に体術を鍛えなければ俺様は封印されてしまう!

 

幸いにも練習相手はじゃんじゃん送り込まれてくるのだ、全員体術メインで迎え撃たせてもらおう。

 

人型に変化した姿と、本来の姿、二つ分の体術を磨く必要があるが問題はない、影分身修行は全てを解決する……筈だ。

 

◇ ◆ ◇

 

領土の獲得が見込めない防衛戦でも得る資源はある、捕虜と死体だ。

 

これだけで勘の良い者は察するかもしれない。

 

そう、俺様はついに穢土転生を手に入れてしまった。

 

倫理に目を瞑ればどう使っても美味しい術だが、俺様は情報収集と労働力の確保に使う事にした。

 

情報収集とは勿論、術や戦術の事だ。他国の術は発想が根底から違っていたりして実に勉強になる、開発班も良い刺激を受けているようだ。

 

情報を抜き終われば工場で働いてもらう、開発には紙を始めとした道具が必要なのだが、俺様の国にはそういった道具を作る工場が一軒もないのだ。

 

今までは貴重な頭脳担当に単純作業をやらせるのが勿体なく感じて、輸入するなり、俺様が働くなりしていたのだが、穢土転生体なら工場にぴったりだろう。

 

穢土転生体は飲食も睡眠も不要だし、酸素も光も不要だから工場を地下に埋めて飛雷神で材料と製品の搬入をやれば土地も不要になる。

 

これで術の開発がより一層捗る筈だ。

 

◇ ◆ ◇

 

ずっと戦争をやっていると時たま、敵国でクーデターが起きて俺様にすり寄ってくる事がある。

 

まぁ無理もない、飢えや渇きに苦しみながら勝てない戦いを続けるより、指導者を倒して豊かな国に養ってもらおうと考えるのは自然な事だ。

 

俺様としても文句はない、諸々の問題は出てくるだろうが、俺様は術の開発さえしてくれるなら後はどうでも良いのだ。

 

ただ、俺様でも看過できない問題が浮上してきた、食料不足だ。

 

俺様はある程度余裕を持って食料を作っているが、それでも規模が三倍以上違う別の国を丸ごと養う程には作っていなかったのだ。

 

俺様は早速畑を拡張したが、収穫までにはどう見積もっても半年は掛かるのだ、その間を持たせるだけの食料をどうにかしなければならない。

 

一番手っ取り早いのは漁業だろう、水遁を使えば魚など幾らでも手に入る。生ものな上に冷蔵庫がないから農業より遥かに忙しいがそこは影分身と飛雷神でどうにかするしかあるまい。

 

だが、それだけでは足りない、そもそも魚だけで半年過ごすのはこう……キツイだろ、常識的に考えて。

 

そこで俺様が目を付けたのが木遁だ。柱間の樹海降誕が一番分かりやすいだろう、一瞬で樹海を作り出す木遁があれば半年掛かる農業を秒まで短縮する事が可能な筈だ。

 

だが、俺様に木遁を扱うのは不可能だろう、水遁と土遁はどうとでもなるが、どうあがいても陽遁チャクラが手に入らないのだ。

 

「守鶴がどうしてもというからやるけど……あんまりこういうのは良くないと思うよ?」

 

まぁ、無いならあるところから持ってくれば良いだけだ。

 

三尾の磯撫は陽と水の性質変化を持つ尾獣だ、俺様は彼に頼み込んで畑に陽遁チャクラを流し込んで貰う事にした。

 

お陰で昨日撒いた種はもう発芽し、苗と呼べる大きさにまで成長を遂げた。

 

「流石は磯撫だ、助かったぜ……このまま収穫まで頼めるか?」

 

「僕のチャクラにこんな力があったなんて、考えもしなかったよ……」

 

このまま定住してくれれば助かるが……まぁ無理か、砂漠と磯撫じゃ相性が悪過ぎるしな……。

 

◇ ◆ ◇

 

合併吸収によって俺様の国は大きくなった、つまり術の開発力が上がったという事だ。

 

前々から細々とやっていたが、そろそろ本格的に血継限界に挑戦しても良い頃合いだろう。

 

原作で俺様の磁遁を三代目風影がコピーしたように、血継限界は完全に血筋に依存している訳ではない、ある程度は後天的に習得可能なのだ。

 

俺様が思うに、それが可能な血継限界とは混合属性遁の事だろう、例えば俺様の磁遁は土と雷のチャクラを同時発動で混ぜ合わせれば、理論上誰でも発動可能な筈だ。

 

問題は同時発動が途轍もなく困難な事だ。その困難な事を子供でも簡単にやってのける一族がいるからこそ、混合属性遁は血継限界扱いされているのだ。

 

なぜそんな事になっているのかは大体予想が付くが、俺様に大筒木の真似事は無理だろう。

 

そこで俺様は影分身に着目した。

 

今更言うまでもないが影分身は独立して動いている、傀儡と違い自分でものを考え、自分で判断して行動する事が可能なのだ。

 

しかし影分身は脳の活動を完璧にコピーしている訳ではない、そんな事をするなら少なくとも水・雷・土の性質変化が必要な筈だ。

 

ではなぜ自律活動が可能なのか、答えはチャクラそのものに自律性があるのだ。

 

にわかには信じがたいが、ナルトの中に封印されていたミナトやクシナのチャクラ体は身体も魂も持っていなかった、にも関わらず自律した判断力や記憶を維持していたのだ、この理論は正しいのだろう。

 

じゃあ脳は飾りなのかというと、それは勿論違う……筈だ。

 

正直、この辺は俺様もよく分かっていないのだ。

 

身体にも、魂にも、チャクラにも自律性がある、これは動かしようがない事実なのだが、人間が人格を三つ持たないのもまた事実なのだ。

 

まぁ、予備システムみたいなものなのかもしれない、身体と切り離された時に初めて自律性が生まれるのだろう……たぶん。

 

話を戻そう、磁遁を始めとした混合属性を作る為には二つのチャクラを同時に練る必要があり、その同時精製が非常に難しいという話だった。

 

ならば話は簡単だ、身体やチャクラの一部を自動制御にしてしまえば良い。

 

影分身が独立稼働出来ている以上、不可能ではない筈だ。

 

完全オートでも良いが、流石に少し怖いから縛った穢土転生体のようなセミオートがちょうど良い。

 

上手く行けば幻術対策にもなるし、応用すれば塵遁のような三属性混合にも手が届くだろう。

 

楽しみだ。

 

◇ ◆ ◇

 

「塵遁・原界剥離の術!」

 

一瞬で跡形もなく消滅したゴミの山を前にして、俺様は満足気に頷いた。

 

あれから半世紀、数多の血継限界を経てついに俺様は塵遁を手に入れる事に成功した。

 

これなら柱間やマダラとも対等に戦う事が可能な筈だ……たぶん。

 

まぁ、正直これだけだと厳しいだろう、元祖塵遁使いの二代目土影がマダラ相手にどうにもならなかったのだから、それより強い柱間や大筒木が相手では厳しいものがある筈だ。

 

俺様が思うに、塵遁の弱点は発動の遅さだ。三属性混合という性質上、チャクラを練りあげてから発動するまでがどうしても長くなるのだ。

 

そこで俺様は考えた、発動が遅いなら飛雷神を組み合わせれば良いのだ。

 

俺様が操る砂に飛雷神のマーキングを刻む事で、裏で影分身が発動させた塵遁を相手に飛ばす事が可能なのだ。

 

更に相手が吸い込んだ粉塵を起点にするなら、相手の体内に直接塵遁を転送する事も可能だ。

 

予め影分身を相手の感知外に設置しておけば予測も出来なくなるし、これなら流石の柱間でもかなりキツイ筈だ。

 

ちなみにこれでも倒せなさそうな敵は山ほど居る、穢土転生はまさにその筆頭だしな……。

 

今はまだ俺様以外にこの術を使う者は居ないが、いずれカブトや大蛇丸のような者が現れるだろうし、そうでなくとも再発明が起きる可能性は排除し切れない。

 

俺様も一応封印術は持っているが……効かなかった時の為に穢土転生でも死ねる方法を用意しておくべきだろう。

 

うーむ……実現は難しそうだな……。

 

◇ ◆ ◇

 

うちはと千手、その両方と敵対してしまった。

 

今更説明する必要もないだろうが、どちらも戦国最強と謳われる一族で、六道仙人の末裔だ。

 

正直なところ、俺様としてはあまり関わりたくない。

 

ジジイの子孫だから殺すのは気が引けるし、アシュラ・インドラ転生体は純粋に怖い……。

 

今のところは両方とも殺さずに撃退しているけれど、確実にいるであろう影クラスの実力者が出てくればもう手加減は出来なくなる。

 

そこでもしうっかり殺してしまえば一族単位で憎しみを抱かれ、柱間級の強さを持った転生体が何度も何度も、何世紀も掛けて襲ってくるのだ……。

 

嫌すぎる、そんなに何度も何度も戦えば流石に一度ぐらいは負けるだろうし、一回負けたらもう終わりだ。

 

俺様は封印され、便利なチャクラ兵器として扱き使われるのだ。

 

この国も崩壊し、万単位の飢えた難民が世界を滅茶苦茶にするだろう。

 

なんとか丁重にお帰りいただくしかあるまい。

 

……しかし、どうやって?

 

◇ ◆ ◇

 

「水遁・水千本の術」

 

悩み抜いた末、俺様が出した結論は幻術だった。

 

新しく開発したこの術は一見すると針状の水を広範囲に飛ばすだけの単純な術だ。

 

速射性に優れ、広範囲をカバーするこの術を避けるのは至難の業だが、被弾したところでちょっと痛い程度のダメージしかない。

 

これが楽な戦場ならともかく、高等忍術が飛び交う危険領域では、この程度の被弾は無視される傾向にある。

 

だが、それこそが俺様の仕掛けた罠だ。

 

この術は傷口から体内に入り込み、脳に到達するのだ。

 

前にチャクラそのものに自律性を持たせる研究をしていたが、これはまさにその応用だ。

 

脳に到達した俺様のチャクラは、自律判断して脳神経に直接幻術を掛ける。

 

宿主のチャクラを吸収する仕様になっているから入り込んだチャクラが枯れる心配はない。

 

一度被弾したら最後、永久に神経の奥深くに居座り続けるのだ。

 

お陰で術を解除される心配もない、例え最強幻術の別天神であっても上書きという形で対処出来る。

 

感知される心配もない、撃ち出す水遁に微弱なチャクラが含まれているのは当たり前だし、体内に侵入した後は宿主のチャクラを隠れ蓑にすれば十分誤魔化せる。

 

流石に幻術を掛けられた者に現れるチャクラの乱れは誤魔化せないが、脳に常駐している以上、一族や人生に関わる重要な決断を下すその一瞬だけ幻術に落とせば済むからバレにくい。

 

更にその特性上、脳に保存された情報を秘かに抜き取る事も可能だし、飛雷神のマーキングや呪印を脳に直接刻む事も可能だ。

 

更に更に、この術は親子感染する。生殖細胞に含まれる僅かな水分を媒体に受け継がれ、遥か末裔まで残り続けるのだ。

 

感染者の飛沫や汗などを媒介に水平感染させる事も可能だ、行動を操って生活用水を汚染させても良い。

 

これでうちはと千手は永久に俺様の味方だ、関わりたくないから利用する気はないが、もう二度と敵対する事もないだろう。

 

次々と送信されてくるうちはと千手の術は巻物に纏めて開発班に渡してしまおう、きっと上手く役立ててくれる筈だ。

 

◇ ◆ ◇

 

柱間を過度に恐れる必要がなくなった俺様は、次の敵に取り掛かる事にした。

 

つまり、大筒木だ。

 

まず初めに俺様は大筒木には勝てないだろう、奴らは十尾の専門家だ、まともにやれば劣化十尾の俺様が勝てる道理はない。

 

だからと言って放置も出来ない、敵性エイリアンの彼等を好きにさせれば地球は必ず滅ぶ、もちろん俺様も星と共に滅びてしまうだろう。

 

……どうしろと?

 

真っ先に考えられる抜け道はアシュラ・インドラ転生体の利用だ。

 

原作を考えると数百年単位で猶予があるし、柱間級の転生体が生まれるのを待ってから丹念に育成すれば、弱めの大筒木ぐらいなら手が届く……筈だ。

 

……正直、これは最終手段だ。そんな事をすれば何かの拍子に洗脳が解けそうだし、俺様は金輪際奴らに関わりたくないのだ。

 

まぁどの道、今の転生体はハズレだ、インドラ側は早々に病死してるし、アシュラ側も足を怪我して病床の身だ。

 

ここから柱間越えを目指すのは幾らなんでも無理があるだろう、次の転生体が現れるまでは準備期間だ。

 

幸い時間はたっぷり残されている、原作で相手の能力も暴かれているし、ガチガチに対策を練れば裏を取れない相手ではない……筈だ。

 

◇ ◆ ◇

 

モモシキ曰く、大筒木の強さを担保しているのは努力でも才能でもなく、神樹より受け継いだ遺伝情報らしい。

 

例えばうちは一族は写輪眼の遺伝子を持っているから写輪眼を開眼出来る、逆に持っていなければ開眼は出来ない……当たり前だな。

 

遺伝子は産まれで決まる、受精した時点で固定され、後天的に変わる事は決してない……チャクラの実の摂取という例外を除けば。

 

これは例え話だが、うちは一族の惑星があったとして、そこに神樹を植えてチャクラの実を作ったとする、そしてそれを食べると写輪眼の遺伝子を獲得する事が出来るのだ。

 

更にモモシキの話では努力で獲得した技術も獲得する事が出来るらしい、例えばうちはイタチがいる星に神樹を植えると、写輪眼だけではなく、イタチの戦闘技術が詰め込まれた実が出来るという事だ。

 

これは遺伝子だけでは説明が付かない、おそらくチャクラには経験値や体験を転写する力があるのだろう。

 

影分身による経験値の還元はこれの悪用、あるいは応用に近い、あれも分身の経験値をチャクラに載せて本体に還元しているのだ。

 

神樹の開発者が大筒木かどうかはかなり怪しいが、神樹とチャクラの実を考えるに、本来は他者のチャクラでやるべき事なのだろう。

 

六道仙人はチャクラとは個と個を繋げて一つにするものだと説いたが、それは正しかったという訳だ……。

 

通常、神樹なしで他者のチャクラから経験値を取り込む事は出来ないが、それを可能にする術を開発出来たなら全人類で経験値共有ネットワークを作る事が出来るのかもしれない。

 

そうなれば技術に価値はなくなり、純粋な頭数や、シカマルのようなIQの高さ、俺様のようなチャクラ量がものをいう世界になるのだろう。

 

流石に遺伝子由来の瞳術を再現する事は出来ないが、基本的に孤軍奮闘な大筒木が入り込む余地のない社会になるだろう。

 

……カグヤが白ゼツを量産していたのは数という自分の弱点を補う為のものだったのかもしれないな。

 

◇ ◆ ◇

 

ネットワークを構築する上で、俺様が目を付けたのはやはり影分身だ。

 

心の伝達だけなら山中一族の心伝身の術が第一候補だが、心伝身は伝達に時間が掛かる、しかし、影分身の経験値還元なら共有は一瞬で済むのだ。

 

だが、他者の影分身から直接チャクラ還元を受ける事は無理だ。そんな芸当は神樹の領域だろう。

 

そこで俺様が目を付けたのはチャクラの融合だ、俺様の全情報を持っている影分身と、相手の全情報を所持している影分身を融合させ、分身を解除すれば良いのだ。

 

融合した相手のチャクラを還元する事は出来ないが、融合した時点で還元と同じように情報共有が出来るから問題はない。

 

ここまで便宜上影分身と表記していたが、チャクラの分裂と還元が出来るなら何でも良い、俺様の水千本でも問題はないのだ。

 

つまり、ネットワークの材料は全て手元に揃っているという事だ。

 

俺様はこれ等の細部を整えて一つの術を作った。

 

術のプロセスはこうだ、まずお互いに極小のチャクラ体を用意し、それを物理的に融合させる。

 

融合したチャクラ体はお互いの情報を交換し終えた後、分離し、本体に還元される、この還元は影分身の還元と同じように遠隔で還元する事が出来る。

 

影分身の経験値還元は一瞬で終わる為、チャクラ体に転写された経験値の還元も一瞬で終わる。影分身と違い、情報を転写しているだけだからスタミナ消費も最小限で済む、これなら術者の負担を極限まで抑えられるだろう。

 

後はユーザー側に極小のチャクラ体を用意させる方法だが……俺様は呪印を選んだ。

 

あまり使う機会がなかったが、俺様にとって呪印は十尾から受け継いだ得意分野だしな。

 

独立稼働出来る呪印にチャクラ体の精製と融合、還元を任せれば全自動で情報共有が出来るという訳だ。

 

同時に呪印がセキュリティの役目も果たしてくれるだろう、情報共有が体内で完結する以上、大筒木であっても傍受は不可能な筈だ。

 

この術を実装し終えた瞬間、塵遁や飛雷神は誰でも使える普遍的な技術になるだろう。

 

そうなれば俺様が夢にも思わないような応用忍術や発展忍術も無数に生まれる筈だ。

 

実に楽しみだ。

 

◇ ◆ ◇

 

全国民が経験値を共有出来るようになった結果、予想通り術の開発速度が爆発的に向上した。

 

同時に個々人が抱えている様々な本音を知る事も出来た、例えば本当は研究ではなく菓子作りに従事したい、などである。

 

それぐらいなら俺様としては全然構わない、頭数が減る分、開発力が多少は落ちるだろうが許容範囲だ。

 

経験値が共有される以上、やる気がある時にやる気のある職業に従事してくれればそれで良いのだ。

 

中には穢土転生体になる事を望む変わり者も居た、まぁ永久不滅の不老不死で疲れも痛みもない身体なのだ、子が作れないなど問題点も多々あるが、土くれの身体に憧れを抱くのも分かる気がする。

 

幸い、戦争なら日常茶飯事だし捕虜はいくらでも手に入る、生贄には事欠かないから望み通り穢土転生体へと作り変えてやった。

 

今では不死身の鍛冶師として活躍しているらしい、まぁ好きにすれば良い、なんなら放浪の旅に出てくれても全く問題はないのだ。

 

転職ブームを経た結果、俺様の国にも様々な職業が生まれた。

 

正直、必要なのか首を捻るような職業もあるが……そもそも一部の特殊職を除けば研究職とそのサポートしか存在しなかったのが異常なのだ、健全な流れといえるだろう……たぶん。

 

◇ ◆ ◇

 

あれから五年、たった五年で俺様の国は大きく姿を変えた。

 

俺様の知識から引き出したのだろう、サラっと産業革命が発生し、電気を利用出来るようになり、化学肥料の合成が成された。

 

コンピューターが産まれ、高度な建築技術が産まれ、ナノテクノロジーが産まれ、クローン技術や遺伝子編集技術が確立された。

 

他国の最新兵器が鉄槍なのに、俺様の国は既に中性子爆弾すら手にしているのだ、ぶっ壊れにも程があるだろう。

 

もう大筒木イッシキも怖くない、人工衛星から高精度カメラとサーモグラフィーで座標を特定して核兵器の爆風を転送すれば訳も分からず即死するだろう、した。

 

そう、転送だ。俺様はついに神威のような座標指定型の時空間忍術を手にしたのだ。

 

月に封印されている外道魔像も太陽にぶち込んで始末しておいた、これでカグヤが復活する日は永久に訪れない。

 

流石に感知出来ない黒ゼツはまだ残っているが、国民の誰かと接触した時点でノータイムで塵遁が転送される手筈になっているし、抹殺は時間の問題だろう。

 

あと九世紀もすればウラシキやモモシキがやってくるだろうが、もう負ける気がしない。

 

俺様は成し遂げ、手に入れたのだ。

 

当初の目的であった、大筒木すら跳ね返せる強さと、安寧と平和を。

 




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