抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
青藍島の規制が解除されて早くも2ヵ月が経った。連日の殺人的混雑も一過性でしかなく、それを基準としているせいでやや退屈が見え始めてきていた。そんな夕暮れ時、俺は最愛の妻である礼と一緒に帰路を辿っていた。
「住宅街に入れば静かですね……解除後のブーストもそろそろ終わりでしょうか?」
「最初の一ヶ月は死にかけたかがな……やっと例年通りの入島者数に落ち着いてきて良かったよ……」
彼女が俺の肩にもたれかかってきた。こうやって笑い合いながら日常を過ごせるようになったのはとても嬉しい。家に帰れば今日も温かな家庭が待っているのだ。この玄関の扉の先にはかわいい子供達二人がいつものように待っている。
「おうお帰り親父お袋。今日もお疲れさん」
ちょっとやんちゃだが、この上なく俺の強さを受け継いだ娘のレイラと。
「お帰りなさいお父さんお母さん。もし疲れてるなら僕が晩御飯を作るよ」
俺から生まれたとは思えないほど優しくて、礼から生まれたは思えないほどしっかり者の息子のセレンだ。たまには2人に任せてみるのも悪くないと思い、シェフの気まぐれ料理を期待していると伝えて礼と一緒にお風呂に入る。何故かいつもに増して彼女が魅力的に見えてしまった。
「礼、抱いて良いか?」
「どんな意味でも断るわけないだろ」
彼女と裸のまま抱き合う。普段ならこのままセックスが始まる所だが、今は感動が勝って全く勃起しなかった。そういう日もないと私が追い付かない、と彼女が笑ってくれたので良しとしよう。風呂から上がったらセレンシェフの気まぐれ海鮮チャーハンが待っていた。
「うっひょー! 相変わらずセレンが作る料理は美味そうだな!」
「それには賛同するが……海鮮物の頻度が高くないか?」
「お父さんが記憶喪失になってた時に食べてハマっちゃったんだ。でも、魚類の蛋白質は陸上動物のタンパク質よりも消化が良くて、今日はサバを使ってるから良質な脂も取れるよ」
「相変わらず兄貴は我が家の食卓番だな。んじゃ、あーしはデカチンジャーの準備をするぜ。今日はペニやぁん♡アフター見ようぜ」
家族と一緒に食卓を囲み、一緒に楽しい映像作品を見る。こんなに幸せな事があって良いのだろうか。
「お前はお母さんだけじゃなくて青藍島を救ったんだ。いいに決まってるだろ」
「そうだよ。お父さんは僕たちのヒーローだよ」
「そうだな。あーしたち自慢のヒーローだ」
ヒーロー。子供の頃は憧れていたが、世間擦れしていつの間にか忘れていたその存在に俺はなった。その実感が目から溢れ出る。ダバダバと流れて食事どころではなくなりそうなので床に転がった。
「おい大丈夫か!? 点滴を待ってくるから持っててくれ!」
「逆だよお母さん。持ってくるから待っててほしいんだよね」
「泣いて脱水症状になるほど嬉しかったか? 言ったこっち側が申し訳なるから止めてくれよ親父」
こんな幸せがいつまでも続くと思っていた。しかし、災難というのはそういう時にしか起こらない物だ。
翌朝、俺は全く見知らぬ部屋で目覚めた。ありがちな白い壁紙にありがちな木製のドア、蛍光灯の光を反射するフローリングの床、4~5人座れそうな大きな黒いソファー2つ、それらには挟まれるように置かれたガラスのテーブル。どこかの応接室だろうかと起き上がったら、目の前に黒の鎧を着た何者かが立っていた。
「妾の名前は
声と鎧の大きさと微かな匂いから女性ではないかと推測できた。彼女の歳はよく分からないがそういうお年頃の人なのだろうか。しかし、今の状況の情報を手に入れるには彼女と話すしかない。俺は両手を挙げ、降伏を示しながら質問した。
「どういう経緯と理由で俺はここに来たんだ?」
「経緯は妾の"個性"だ。理由はお前の戦闘技術が必要だからだ」
誘拐プレイが好みということなのだろうか。俺の戦闘能力を買った所は褒められるが、それ以外の全てが褒められない。ただ、このやりとりで分かったことがある。
「あんたに従っていれば帰れるってのは違いないな」
「理解が早くて助かる。事が済めばすぐにでも帰すから安心してよい」
「で、その"事"って奴の内容を聞きたいんだが……説明してもらっても?」
「これから我は
俺はヤバい犯罪に加担しようとしているかもしれない。しかし、抗おうにも己の拳しかなく鎧相手に勝てるとは思えない。引き続き大人しく従うが、少しだけわがままを言ってみよう。
「俺の制服と武器が欲しいんだが……取りに帰っても良いか?」
俺のわがままに彼女はカシャンと頷いて、俺の肩に手を乗せた。
「百聞は一見に如かず……これが妾の"個性"だ。"妾と土口精は世界を移動する"」
すると俺はいつの間にか自分の部屋にいた。多分、彼女は淳之介君の異世界オナホールのようなものを内蔵しているのだろう。俺は大人しく制服と武器を見に纏って彼女の足下に跪いた。
「そうだ。
強大な力に屈するのは非常には気に入らないが、下手に彼女の機嫌を損ねれば二度と帰ってこれない可能性がある。策が思いつくまでは彼女に従うとしよう。そして戻った応接室らしき部屋には新しい人間が2人いた。
「うへっ……随分とイカしたファッションのヤツが来たなぁ……?」
左目に山吹の刺繍が入った眼帯をした、真っ白のマッシュヘアーの明らかにヤバイ男性と。
「あんたがファッションについて何か言えるの? それよりも顔よ。ぱっと見、オッサンって言っていい顔だけれど?」
小柄でショートボブの、血のようにどす黒い赤のドレスを着た少女がいた。誰だお前らと聞く前に彼女が説明し始めた。
「紹介しよう。男の方は
とてもじゃないが賛同しかねる内容だった。だからと言って反対していたら何をされるか分かったものではない。
「俺に殺しを強要しない、っていうなら可能な限り協力しよう」
「じゃあ早く世界を手に入れなさい。アタシに出来たんだから、トンデモ"個性"ならすぐにでも出来るでしょ」
「うへへ……! 命をかけたギャンブルができるならなんでもいいぜぇ……!」
ここまで個性的な連中だと、余程の統率力がなければ瓦解するのは時間の問題だろう。彼女の言う鹿角九玉の技量がどれほどのものか知りたいものだ。
「それでは作戦会議を始めようか、『秩序の三柱』たちよ」
ドアがガチャリと開いて、鹿の頭をした警察官の制服の男が入ってきた。
「申し遅れたね。私の名前は鹿角九玉。この世界を私の絶対的な秩序で平和にしようではないか」
まだあって数十秒だがコイツの事は信頼できないと心の底から思った。とはいえ、何度も言うが協力しないと話が進まなそうなので、諦めて溜息をつきながら了承する。
「平和になった暁にはすぐにでも家に帰してくれよ? 家族が心配しちまうんでな」
「以下同文よ。折角の支配者の日だったんだから」
「絶対的ねぇ……ギャンブルに絶対なんて言葉はありえねぇんだがな……」
こうして俺の異世界での生活が幕を開けた。
俺の担当は本拠地にやってくる不届き者を撃退する事だった。相心曰く、超能力のようなものを持っているから死なない程度に痛めつけれればいいといってたが、戦い方も真面に覚えてない烏合の衆ばかりだったので簡単な仕事ではあった。
「言っとくがこっちには退くに退けない事情があるんでな……気は進まないからもう二度とくるなよ」
「何だコイツ……!? 俺の"
「俺はこの世界で言う無個性だ。超能力頼みの戦いなんてロクな事にならねえぞ」
少々の負傷はするものの、彼女の"個性"によって自然治癒の範疇に収まるならすぐに治る。そんな非日常な生活も次第に慣れていくもので、余裕ができてくるととある欲求が湧き出てくる。
「ドスケベセックスがしてえ」
「何言ってんのアンタ?」
三柱の紅一点が俺を汚物を見るような目で見てきた。すごく興奮した。
「うへへ……まぁ男だからそこは仕方がねぇな……相心に頼んだらどうだ? アイツは色々な物を"想像"で作れるからなぁ」
ということで早速頼んでみた。
「……お主の出自と活躍を鑑みれば妥当な要求ではあるか。では情事の好みを言え。そうすればそれに沿った性処理道具ぐらい作ってやろう」
「まずはギャルの音声、次にその声にあったダッチワイフ、後は拘束プレイ用の縄だな」
「……音声以外は作ろう。音声はPCを使って勝手に作るがよい」
「────つーことで見てよコレ! あの人スゲェな!」
柱2人にもらったダッチワイフを見せつける。金色のポニーテール、水色でタレ目気味の大きな目、右目尻にある泣き黒子、トーストのようにこんがり焼けた肌、俺と同じぐらいの180㎝の身長、B95W66H97の黄金比のスリーサイズ、髪の毛と同じ色でバッサバサに茂っている陰毛。見てるだけで勃起するような至高の逸品だった。
「あーはいはい良かったわね。だから二度とアタシに見せないで。次見せたら"塩基"で溶かすから」
「うへへっ! 俺の女には劣るがそそる女じゃねぇか! 大切にしろよぉ!」
ということで早速試したのだが、肝心の女性器の締め付けが最悪だった。例えるなら綿に突っ込んでいるような感じで、全くと言って良い程締め付けやうねりがなかった。なので速攻でクレームを付けに行った。
「し、仕方ないだろう……妾は異性の体験が無いのだ……」
「じゃあ股から水が出るような機構を付けてくれ。疑似的に飲尿ができるようにしてえ」
「そ、それならいいが……お主、中々高度な性癖を持っているようだな……」
「当たり前だろ『金色の狂犬』だぞ」
こんな感じでそれなりに楽しい日々が続いていたが、やっぱりそういう時は長く続かない。なんと最大の反逆者がやって来るとのことだ。俺は無個性ながら相応の実力と比較的マシな忠誠心を持っているということで、最上階の一つ下の階を守ることになった。
「偵察に行ったモトちゃん、入り口を守ってる響君……言っちゃあ悪いが、まともな人間じゃねえからな……まあ、俺がまともかというと微妙な所があるが……」
羅漢銭を弾いて待っていると、モトちゃんがドアを蹴破って入ってきた。その後ろには何人かの男女がいた。先に聞いた反逆者だと思うが、彼女が先導して入ってきた辺り何が起きたのかすぐに察知できた。
「えっ、モトちゃん裏切ったの!? マジか……裏切り者には縛り乳首だな……!」
「殺す」
モトちゃんを縛り上げ、おっぱいのでかい娘とその彼氏であろう赤い坊主頭の男子を軽くいなし、その中で後ろに控えている未知の反逆者達をどうするか考えた。絶対的な秩序という非現実的な話をする奴と敵対するのだから、おそらくまともな面子だとは考え、このまま戦うのは愚策だと判断した。だからおっぱいのでかい彼女のダッチワイフと引き換えに寝返ることを決めた。そして彼らと一緒に鹿角と相心と戦おうとしたのだが、そこにとんでもない展開が襲ってきた。
「我が名を騙り理を超える者……神を騙り理を超える者……大きすぎる……修正が必要だ……」
紅白の鎧を着た何者かが、2人を切り捨てて立っていた。これが俺と九玉さんの出会いだった。
久々の礼を堪能した事後、俺は夫婦のベッドの上でこの導入部を礼に話した。
「私が寝ている間にそんなことがあったのか……」
「その後皆と協力して九玉さんを止めて、青藍島に帰ろうとしたら出久君と入れ替わっちまったんだ」
「相変わらずお前はとんでもない困難に当たるな……」
「まあ、こうやって帰ってきたからいい思い出だよ」
「……そうだな。ただ……」
礼が俺の股間に手を伸ばす。陰茎と睾丸を優しく撫でてきて、我慢しようと思う前に勃起してしまった。
「向こうでイイ思いをしたんだろ? 私にもお裾分けしてくれよ?」
「もちろんですよ。いっぱい愛するって約束しましたからね」
「お互いまだまだ物足りないからな。今夜は寝かせないぞ」
「そっくりそのままお返しするぜ、礼」
口づけを交わせばそれが合図となって、夫婦の夜が再び始まる。こうやって無事に戻ってきたのだから、満たされるまで愛し合ったって罰は当たらないはずだ。さて、頑張りますか。