悪魔で霊な元人間   作:P223

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110 音楽祭リザルト

 

全てを賭けた音楽祭も終わり、閉幕の時となった。

友情や親愛、その他色々と利用しまくった俺ではあるがそこまでヘイトはなく、愉快にやられた!と反応をしていた辺りみんな悪魔なんだなとは思う。

 

「というわけで!今回の音楽祭は特大ハプニングもありましたが無事終了!結果は……」

 

「A組、問題児クラスのW優勝だー!!」

 

ワァァァァァ!!!

 

舞台もおりて講堂の中心に連れてこられての優勝発表。

いつも通り問題児クラスの面々が中心になってもてはやされているが、今回はそれだけじゃない。

 

「……ほんとに優勝しちゃった」

 

「なぁ俺らやったんだよな……?」

 

「あれだけ頑張ったもんな……夢、じゃないよな?」

 

「ぐすっ……やった、やったぁ……!」

 

俺達A組も今回の中心だ。

結果自体は同点優勝だが、話題性という意味では間違いなく問題児クラスを喰らって、一番だったと思う。

事実、問題児クラスの面々は嬉しいながらも悔しそうな顔をしている者もいる

 

「……レーイーラー?」

 

「あらケロリさん?どうかした?」

 

「何すました顔して調子乗ってんのよ! もう!ほんっとアンタはやってくれたわね!!」

 

「ふふ、驚いたでしょ」

 

「……悔しくて頭がおかしくなりそうよ!!」

 

まぁ問題児クラスで今回の音楽祭の音頭を取ったのはケロリだったのでそうだろう、演出面では最高だったが俺がそれをひっくり返したんだから

いや、悪いとは思っているんだが、他のクラスを偵察してその演出をコピーしてこちらの演目に取り込むとか、悪いことしたなーとか思っている、本当に

 

「にやにやして! 腹立つ!!」

 

「ごめん、罪悪感より嬉しさが勝ってる 本当にこれに賭けてたからさ」

 

「ああもう……! 次は負けないから!」

 

「そうだね、次も私が勝つよ」

 

これだからケロリは好きなんだ。

ここまで利用されてやられたとしてもただ不貞腐れて辞めたりせずに次こそは勝ってやるという反骨精神、最高だ。

 

「はぁー、やられた~ サバトん時になんか変だなとは思ってたがこれとはなぁ~」

 

「アンドロ君、正直君にバレそうでひやっひやだったしね」

 

「ここまで用意してやられたんだから素直に負けを認めるけどな……あーくっそ、褒めるつもりだったのになんも出てこねぇ」

 

「いいよ無理に言わなくても、きみとアロケル君は知略や策略がメインだもんね」

 

「マジでそれなんだよ、後で師匠にめちゃくちゃ煽られそう……最悪だ……」

 

「フルフル軍曹かー、そんなに性格が悪いんだ」

 

「最悪、いまだにギャンブルでも勝ったことないし」

 

ギャンブルか、そう言うのが好きって話をどこかで聞いた気がする。

通用するか分からないけど、一つ俺流の最悪の一手を伝授してみようかな、元々はフルフル軍曹にアンドロとアロケルの署名を取ってきてもらうつもりだった手段だったのだが、不要だったし

 

「じゃあ面白い事教えてあげる、私と一つギャンブルしない? ルールは私が決めさせてもらうね」

 

「ん? まぁいいけど」

 

「じゃあコイントス、今から私がこれを投げて地面に落ちた時にアンドロ君は地面に落ちた時の裏表を当ててね」

 

「あいよ、じゃあ裏で」

 

「オッケー、じゃあ始めるね、コインが表なら私の勝ち……裏なら私の勝ち、落ち切らなくても側面で立っても投げなくても私の勝ち。この勝負が有耶無耶になっても私の勝ちだ」

 

「ちょ」

 

そしてコインを弾いた。

結果は裏。だが、俺の勝ちとなる。

 

「なんだそれ!」

 

「ルールを私に決めさせた時点でゲームオーバーなんだよ、一回きりだけど結構有効な手ではあるよ 反則だからちゃんとした遊びなら当然無しだけどね」

 

「……はぁ、こりゃ勝てないわ 考え方が違いすぎた」

 

「次はどうなるかわかんないけどね」

 

それだけ話すと、アンドロは問題児達の方へと戻っていった。

と、ここでアムドゥスキアスの声が聞こえた。

 

「ってことで付いてきなさいクソガキども!」

 

入間とソイを脇に挟んでそのまま進んでいく、方向的に王の教室(ロイヤルワン)のようだ。

付いて行くと、そのまま王の教室(ロイヤルワン)に入っていき屋上へと向かう、ここに集められたのは優勝した俺達A組と問題児だった。

 

「さぁーて! じゃ、表彰式やるわよ!」

 

塔屋の上に乗ったアムドゥスキアスはそう宣言した。

ソイからラッパを借りて手に持った。

 

「いいことガキども!! この王の教室(ロイヤルワン)は私とデルちゃんの愛の巣なんだから!! 下手に扱ったら喉ぶえ食いちぎって楽器にしてやるわよ!! いいわね!」

 

問題児達にそう言うと、今度はこちらの方を向いた

 

「あんた達もこれで満足しない事! これはゴールじゃなくてスタート地点だってことを肝に銘じなさい!!」

 

そして彼はラッパを口に当てる

するとラッパは形を変え、更に大きく豪華な意匠へと変化した。

そして──

 

♪────────

 

一音。

たったそれだけで世界が回った。

水が空に昇り川をかける、イメージが力になる魔術ならではの技と言えた。

これが元13冠の実力、"王の音"アムドゥスキアス・ポロなのだと。

 

「さぁ、手をお出し」

 

空の川から位階(ランク)章(バッジ)が一人一人に渡される。

音楽祭での位階(ランク)上昇(アップ)の結果が今ここに出たのだろう。

 

「まずはA組、あなた達にはそれぞれ今の位階(ランク)を一~二段階上昇、そして問題児(アブノーマル)達には位階(ランク)"4(ダレス)"を授ける!」

 

「「「おおおおおおお!!!!」」」

 

その場の全員が湧き立った、ここに居る全員がその報酬を受け取れるとは夢みたいなものだろう。

 

「ら、位階(ランク)"4(ダレス)"だよレイラ!?」

 

「やったじゃんエイコ、流石うちのクラスで一番目立っただけあるね」

 

「ほんとね、あたしも"3(ギメル)"だし嬉しいわ」

 

エイコは2(ベト)から4(ダレス)、ガーコは1(アレフ)から3(ギメル)となった。

二人とも二段階上昇で大戦果と言えるだろう。

 

「私も4(ダレス)……それも2番じゃなく、1番を取ってか……!」

 

「流石"強欲な男"、やるじゃん」

 

「レイラさん……ありがとう」

 

「うん!」

 

ココもどうやら2(ベト)から4(ダレス)に上がったようだった。

彼の努力が実を結んで本当に良かった。

 

そして──

 

「これで全員"4(ダレス)"……「あ~ら、だれが全員"4(ダレス)"だって言ったのん?」

 

入間がアスモデウスと喜び合っていた時にアムドゥスキアスが割って入った。

 

「ま……あんただけ仲間外れにしてやりたかったんだけど、あの劇を見た以上そうはいかなくなったわ 受け取りなさい」

 

そして、新たに入間の元に位階(ランク)章(バッジ)が渡された──と、同時に俺の前にも。

 

 

 

位階(ランク)"5(ヘー)"、それが俺たちの新しい位階(ランク)となった。

該当者は入間と俺……そして、ケロリだった

 

一年ながらも5(ヘー)となった俺達に驚きの大合唱があったのだが、ま、ここで言う事でもないだろう。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

音楽祭も終わり、みんなで打ち上げをしようという話になった

場所は魔界でも人気の食べ放題の店"バイコーンキング"だ

この店は和洋中なんでもござれの種類なら無限にある店で席も多いのでクラス30人とダリ先生くらいなら余裕で入る。

世話になったゼラさんも誘ったのだが、彼女は無理に時間を空けてくれていたのか仕事に戻ってしまった

今度貴族会で会う時までは話す事もそうないだろう

 

「それじゃ、優勝を祝って!」

 

「「「かんぱーい!!」」」

 

カチーンッ!とグラスの音が鳴った。

音楽祭の後は疲れと感動で動けるような状態ではなかった皆だが、その状態は何処へやら

興奮した様子で楽しんでいた。

 

「あっはっはっ!! 見たかよ!みんなぽかーんとしてさ!何が起こったかわかってない顔ばっか!」

 

「それな! やってやったって感じだぜ!」

 

「問題児(アブノーマル)連中にも実質勝ちだしマジでテンション上がる!」

 

なんだかんだ普段うるさい男子たちもいつも以上にうるさく楽しそうだ。

 

「にしてもガイストはよくあんな事思いついたよな」

 

「ん? 何が?」

 

「何がってうちのクラスだけ二回やるってやつだよ、」

 

「あぁ、あれねー まぁ私にも色々あるからね」

 

実際はあのような感じの事を前世漫画で読んだから思いついたのだが、それを言うわけにもいくまい

 

「それであのカルエゴ先生に認めさせるんだもんな、すげぇよお前」

 

「それは素直に受け取るけど、一年全員の署名を集めきったのは皆の協力のおかげだよ、私だけじゃ流石に無理だったしね 全部で163名よ? ムリムリ」

 

因みにバビルスの学年で毎年一年が一番多くなっている。

色んな理由はあるが、単純に上級生に上がるのに実力がないと難しいのもあるのだろう。

バビルスの生徒は総勢666名なのに一年だけで163名なのには理由があるという事だ。

 

「そういやドロドロ兄弟の署名集めたの誰だったの? あの兄弟収穫祭以外じゃ不登校でいなかったでしょ」

 

「あー、それ俺なんだよな」

 

「ワルブ君? どうやったの?」

 

「いやさ、あの兄弟って結構ポイント高かったんでちょっと勇気出して取材してもらったんだよ、意外と話すと機嫌よく話してくれてやりやすかったなぁ 署名もその時にちょちょっと」

 

「はー……そりゃ凄い」

 

放送師団の期待の一年なだけあるな、他の生徒の署名も彼が集めたところが一番多かったはずなので意外な才能というべきか、ジャーナリストとしては当然の才能というべきか

 

「他のクラスのコピーも大変だったよなぁ」

 

「あれな、大罪にも重ね合わせてさ、混沌合奏とか結構無理あったよな」

 

「勢いだったしな、別に嫉妬してないだろって思うわ」

 

「正直嫉妬と憤怒は無理矢理だしね、私にはそんなに考えるだけの自信は無いし 専門外ってやつ」

 

作詞に関しては一応頼める悪魔に心当たりがあったのだが、それをすると恐らく俺は今以上にガチガチに契約に絡み取られるだろうから断念した。

これ以上ゼパル家に借りを作るとそれこそ俺がゼパル・レイラになってガイスト家が潰れてしまう。良くない良くない

 

「みんなも頑張ってくれたよね、特に再現組の花形メンツ」

 

「それな、オロバス、ガーコ、ミーチェ、ボボ、ワルブ……後はエイコだな、リリスの再現良く出来たよなお前」

 

「えっ!? 私……? そりゃだって頼まれて必死だったから……出来てたら嬉しいな」

 

「そうだよ、リリスを再現するのに一番重要な"恋を求める心"を表現出来るのはエイコしかいなかったんだから。 それに音楽隊も混沌合奏と魔ーケストラに別れてよく頑張ってくれたよね」

 

因みに、強欲な男がオロバスが続投、龍の悪魔がガーコ、龍に恋した少女がミーチェ、混沌合奏と魔ーケストラは音楽隊のみんな、音の魔神なんかはボボが魔植物を利用して再現してたので最初見た時は驚いた。

音霊の再現は誰がやったかって話になるんだが……まぁ、あれに関しては本物の幽霊を使っている、正確にはスピカに頼んで集めたウィスプたちを俺の魔具に憑依させてなのだが……まぁこれは皆にも内緒である。

吟遊詩人役はワルブ、ぶっちゃけ今回一番頑張ってくれたのが彼なので主役になって貰ったというわけだ

 

「ガイストもストーリーテラー上手かったよな、俺結構ぞわっとしたし」

 

「確かに、どこかでやってたのか? 解散選挙(タイマン)でも司会やってたよな」

 

「うーん、まぁそんな感じ 他の人よりは経験あるね」

 

RAINとしての仕事の一環で何度か番組司会に呼ばれたことがあるからなのだが、まぁ言いふらすと面倒なので言わないつもりだ。

そう言えばこの後も予定があるのでもう少しRAINを休むことになるのだが……マネちゃんにまた仕事を詰められるんだろうな

 

──RRR! RRR! RRR!

 

「あ、電話」

 

相手は入間なようで、何か用だろうか

とりあえず電話を取ってみた。

 

「もしもし?」

 

『あ、レイラさん? 急にごめんね、皆がレイラさんに電話しろって言ってて』

 

「へぇ? 何?クレームかな?」

 

『ち、違うよ! 確かにびっくりはしたけどあれも作戦の内だって解ってるし皆も納得してるから!』

 

「……だろうね、ほんと助かるよ」

 

正直利用しまくった形になるので嫌われたとしても仕方ないとも思っていた。

それがそうでなくなったのは問題児達がこういう方法も一つの戦略と思ってくれたこと、そしてそれだけでくじけない心を持っているからだ。

 

『それで、レイラさんとも皆が話したいってことになったから電話した次第でして……』

 

言葉尻がすぼんでいく、俺にとって迷惑と思ったのだろうか

 

「もちろんいいよ、でも私たちも打ち上げ中だから短めにね」

 

『うん! 良かった、じゃあ皆に変わるね──』

 

 

 

今回の音楽祭は、得る物も多くとてもいい感じに終われた。

一年の行事はこれで大きなものは終わり、後は勉学や軽い実習のみとなった。

 

だがまぁ、俺にとってはもう一つだけある。

この10月の後、11月には魔具コンテストが開催される。

収穫祭や音楽祭のように詰めて努力してのものではないが、師団活動として大イベント。

ま、楽しんでいくとしようか

 




音楽祭終了!
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