大庭雨傘物語   作:Poko.bell

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第36話

 

 

 

山から無事何事もなく墓地に帰宅してホッと一息

 

 

 

なあんて出来る筈もなく、いつか山の妖怪が報復しに来るかもしれないとプルプルと震えながら暮らしている今日この頃。

 

 

「私は善良な付喪神だよ。本当だよ。」

 

 

もしも疑いに山の妖怪がやってきた時の為の誤魔化す練習。

これは欠かせない。

 

 

「へっへっへー。」

 

 

満面の笑顔に無害な妖怪であることをアピールすればばっちり。

疑う余地もない。これなら命乞いの練習までは必要ないね!

 

 

 

はぁ。

 

 

 

…そもそも顔は見られてない筈なんだけどね。

まさか、山に見惚れて周囲の警戒が疎かになっていたなんてことする訳ないでしょうに。

 

弱肉強食の妖怪の縦社会。自らの身を守るためにいつだって私が上下左右死角を作ることはないのだ。多分。

 

 

「……一人で何してるんですか?小傘さん。」

 

「ぴゃぁぁあ!」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

気怠さすら感じられる真夏の猛暑日。

未だ照りつく日の光の中、やってきたのは最近何かとお喋りしにやって来る人間の小さな女の子。

 

 

「異議申し立てます!最近私は背後から驚かされてばっかりで酷い!卑怯!」

 

「いつも小傘さんがやってることでは?」

 

「私のアイデンティティを奪わないでってこと!どうしていつも私ばっかり驚かされるの?」

 

「そもそも私は別に驚かせようと思って声を掛けた訳ではありませんが。」

 

「またまたぁ。私にあんな悲鳴を上げさせておいて謙遜がすぎるよ。阿求ちゃんも密かに練習してるんでしょ?私に憧れて。」

 

「…はい?」

 

「でも驚かせるならもうちょっと声は出した方がいいんじゃないかなぁ。表情ももうちょっと何か作った方がいいかなって思う。」

 

「は、はあ。」

 

「参考にしてね!目指せ、人間百人斬り!」

 

「…さっきの異議申し立ては何だったんですか?」

 

 

驚かされやすい私は周りが見えていないだけなのか、周りの皆の方が一枚上手なのか。

 

…阿求ちゃんに驚かされていることを考えると多分前者なんだろうなぁ。人間に驚かされるなんて本末転倒である。これから頑張らねば。

 

 

「それで今日はどうしたの?いつも一人で来るのに。」

 

 

昼過ぎくらいに偶に一人でふらっとやってくる阿求ちゃん。今日はいつもと違い彼女の斜め後ろに武器を腰に携えた若い男の人が控えていた。

 

チラチラっと目線を向けていたら何も言わずに無表情でお辞儀だけしてきた。

 

私も返しておこう。

礼儀には礼儀で返す、驚かされたら驚かし返すのがマナーである。

 

 

 

…でも何だかこの人ちょっと怖い感じするなぁ。

武器持ってるからなんだろうけど。

 

 

「これにはまぁ少しやむを得ない事情がありまして…。」

 

 

目線を逸らして言い辛そうに言葉に詰まる阿求ちゃん。

 

彼女が言い淀むなんて珍しい。いつも自信満々に私に豊富な知識を披露してくれるのに。

 

 

ふむ。

人里の外れにある静かな場所に年頃の男女二人が足を運ぶ。

 

 

……成程。理解した!

 

 

「ごめん無粋だったね。確かに阿求ちゃんの年頃の女の子だとそういうこともあるか。」

 

「…?」

 

「逢引きって言うのかな?事情があって人目を忍んで落ち合い愛し合う二人。禁じられた恋を叶えるべく全てのしがらみから抜け出すように里から出ていく。二人の逃避行はこれからってところかな。応援してるよ、頑張って!」

 

 

私は人間の色恋沙汰にも精通しているのである。

だから年頃の女の子が衝動に任せてそういうことをしたくなる気持ちも分かる。

 

 

ふふふ。

 

 

いけないいけない。

想像するとちょっと顔がニヤけてきちゃう。

 

 

「何言ってるんですか?」

 

 

そんな変な物を見る目で見ないで欲しい。

流石に冗談だから…。…半分だけ。

 

 

 

阿求ちゃん頭良くて容姿もいいから里でも引く手数多だと思うんだよねぇ。

案外人里ではそういう男の影があったりして。

 

 

「…この方は護衛ですよ。一人で小傘さんに会うのは万が一のことがあるからと一応付いてきてもらっているんです。」

 

 

「あー、護衛かぁ。でもそれってつまり里の人間が私の恐ろしさに気づき始めたってことじゃない?そうだよね!」

 

「人畜無害で下世話好きのニヤけ妖怪なんて誰も怖がらないですよ。」

 

 

何時にも増して棘が多いね。

急にいっぱい刺さってきてびっくりしちゃう。

私が悪いけど。

 

 

「甘いね阿求ちゃん。私は旅をして多くの学びを得てきたんだから。今の私なら人間を驚かせるなんて多分きっとお茶の子さいさい!」

 

「そう言えばそうでしたね。風の吹くまま当てのない旅をするとか変なこと言ってましたけど何処まで足を運んだので?」

 

 

 

 

 

「妖怪の山。喧嘩売って今命狙われているところ。」

 

「………はい?」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

阿求ちゃんにはこの現状に至った経緯を余すことなく伝えた。

結果としてとんでもないことになったとはいえ、旅の中で出来たお友達のことだったり、音楽や風景など私が見て聞いて感じたもの。それはどうしても伝えたかったので結局長々と話すことになってしまった。

まあ旅と言えば土産話とも言うし、これを聞いて阿求ちゃんにも楽しさがいっぱい伝わってくれたら嬉しい。

 

後この現状を打開する方法についてちょっと知恵を貸して欲しいなー…なんて。

 

困った時の阿求ちゃんである。

お母さんって呼ぼう。…心の中で。

 

 

 

「事情は分かりました。私の方から面識のある天狗の方に事の顛末をお伝えしておきましょう。処遇の方も…貴方はただ巻き込まれただけということで、何とか上手く取り計らってみます。」

 

 

溜息を吐き呆れた様子ながらもしっかりと見捨てないで手を差し伸べてくれる阿求ちゃん。頭が上がらない。

 

っていうか天狗さんの知り合いいるんだ…。凄いなぁ。

 

 

「ありがとう。流石阿求ちゃん。相談して良かったよー。」

 

 

「…これからはもう少し危機感を持って動いてくださいね。言っても無駄かもしれませんが。」

 

 

失礼な。いつだって私はリスクを計算して行動に移している。

ただ後ろの警戒が疎かだったり…好奇心に負けちゃったりするだけで

 

 

 

うん。

全く危機管理できてないかも。

反省反省。

 

 

「まあこうなったのもほとんどこいしちゃんのせいなんだけど…。」

 

 

山を下って帰路に就いていた道中、いつの間にか彼女はいなくなっていた。

まるで始めから幻だったかのように、それはそれは極自然に姿を消していた。

 

一緒にいる時は奇抜な言動や全く読めない振る舞いで頭の中に強い印象を植え付けられていたのに、目の前からいなくなるとまるで何も無かったかのように露と消える。

 

 

「…私のことを知ってるみたいだったんだけどねぇ。ほんと、何で忘れちゃってるんだか。」

 

 

存在が希薄というよりは、何だろう…。私の中で彼女という存在そのものの記憶が零れ出てしまうのを止められないみたいな。

 

山で引き起こした事件も山頂での弾幕ごっこも私の頭の中で強くイメージとして残り続けてはいるのだが、ふとした拍子にその相手が"誰"であったのかだけが消え去ってしまう。

 

分からないけど…多分そういう能力なんだろう。

 

今は定期的に日記を見返したりして思い出すようにしている。

またもう一度であった時に悲しませる訳にはいかないからね。

 

だから似顔絵も日記に付け加えておいた。

ついでに仲良くなった大ちゃんとチルノちゃん、ルナサ、メルラン、リリカの分も。

 

結果、旅の日記が子どもの落書き帳みたいになってしまったのは言うまでもない。

恥ずかしいので阿求ちゃんには見せない。

懐の中に大事に仕舞っておくのである。

 

 

…確か以前人里で見かけない容姿の子どもがいると聞いたことが…」

 

 

…阿求ちゃん、顎に手を置いてブツブツと独り言言い始めちゃったよ。

まあよくあることではある。彼女は特に理由もなくふらっとここにやってきては私と喋るだけ喋ってそれで帰る。

彼女は見た目に反して本当に色んな事を知っており、話していて色々と為になることもあり面白く、その時間を悪くないと思っている自分がいる。

 

 

 

でもそんな阿求ちゃんは最近何だかお疲れの様子なのだ。

溜め息が多かったり偶にボーッと虚空を眺めていたり。今も突然会話を辞めて自分の思考に引き籠ったりと…まぁ見ていて色々心配になることが多々ある。

 

私に興味を持って会いに来てくれるのは嬉しいのだが、正直何故ここに来るのかもよく分かっていない。暇だったらこんなにも疲れた顔見せる訳もないだろうし…。

 

…阿求ちゃんは色々なことを私に教えてくれるけど、私はこの子のことをあんまり知らないんだよなぁ。

 

 

だから思うのである。

私ももっと知ろうとした方がいいのかな。と。

 

 

 

 

 

…………よし。

 

 

 

「人間さん人間さん。ちょっといいかな?」

 

 

ずっと黙って話を聞いていた護衛の人間の方に近づき、阿求ちゃんに気付かれないように小さい声で話す。

 

 

「…何ですか?」

 

「阿求ちゃんの事を知りたくてさ。あの子って何か好きな物とか趣味とかって何かない?」

 

「…そんなものを知ってどうなると?」

 

「単純な興味って言われたらそれまでだけど…。あわよくば何かサプライズして喜んでもらえないかなって。」

 

 

彼女にはいつもお世話になっているし世間知らずな私のことを色々気に掛けてもらっている。

今までも与えられた好意をそのままにしておくのはちょっとどうなのかな?と思っていた。

 

阿求ちゃんの事を知るついでに、何か喜んでもらえるプレゼントをして、驚いてもらう。

一石三鳥とはこのことだ。

 

相手を驚かすのは何も物理的に不意を突くだけに留まらないことを学んだ。

色々試してみる。それの第一歩としても丁度良い。

 

 

「……そうですね。それでは花なんてどうでしょうか。阿求様のご邸宅の庭には色とりどりの綺麗な花々が咲いており、それをご自身の手でも手入れなさっていると聞きます。贈り物としても無難でしょうし、珍しい花ともなればがっかりされるなんてことはまずないでしょう。」

 

 

おお。思ったよりもしっかりとしたアドバイス。

人は見た目によらない。怖い様相からは想像もつかない可愛らしい答えでちょっと驚いちゃった。

 

 

それにしても…お花かぁ。

 

阿求ちゃん花の髪飾り付けてるしお花が似合うなぁとも思うけど…。

 

何のお花がいいんだろう。

 

道端に咲いている綺麗なお花を摘んでくる、とかじゃあんまりな気がするし…。

珍しい花と言われてもピンとくるものが何もない。

 

 

「当てが無いようでしたらあちらの方向に探しに行ってみては?噂によると、金色に光り輝く綺麗な花が咲き誇っているとか。」

 

 

 

金色の輝く花とな。

これまた興味深いものである。

 

人間さんが指差した方向はこの前私が旅をした時に向かった方向とほぼ真逆。

 

うん。次なる新天地の開拓の為にも次はこっちの方向に足を運んでみるのも悪くない。

 

 

「よし!そのお花、探してみるよ!ありがとう人間さん。」

 

「…お役に立てたなら光栄です。」

 

 

ふっふっふ。阿求ちゃんの驚いた顔を見るのが今から楽しみである。

 

 

 

…私が大きな声で喋りすぎて阿求ちゃんが二人で何を話してるのかと怪訝そうな顔をしていたが。

まあサプライズのことはばれてないだろうし、いっか。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

次の日、私は人間さんの言っていた金色に光り輝くお花を求めて歩みを進めた。

 

 

「金色の花〜♪どこにあるのかな〜♪」

 

 

まあ正直半信半疑ではある。

 

別にあの人間さんを疑いたい訳では無いのだが、あくまで噂で聞いたというだけの話。

噂に尾ひれが付いて広まった可能性も十分にあり得る。

 

だからこそ確かめ甲斐があるんだけど。

 

花に関する知識はあんまりだが、これでも見慣れてはいる。

あの場所にやってくる人間はお花を持ってやってくることが多いから。

 

あのお花達は何もしなければ僅か数日で枯れてしまう。

それは多分道端に咲いているお花とは違って土の中にある食事?が食べれてないんだからなんだろうけど。

それが不便だなぁと思って、あまり意味はないけれどこっそりお水を上げたりしてお世話するようにはしていた。

 

綺麗だった花が僅か数日でヨボヨボになっちゃうのって…ちょっと心に来るものがあるんだよね。

もっと長く咲いていられたのかもしれないのに、お供え物として炎天下の中供給されるものも何もなく干され続ける。流石にそれは可愛そうなんじゃないかなって。

 

 

まあ…

こうやって何にでも感情移入する私が変なのかもしれないけど。

 

 

でもこういうの考えるのちょっと楽しいんだよね。

私という付喪神という存在を習って、万物には魂が宿るんだからいっそのこと色んなものになりきって思考を広げる。

そうすれば今まで考えもつかなかった良いアイディアが生まれるんじゃないかなぁ…と。

 

 

 

「ふんふふ〜ん♪」

 

 

驚かせるのは如何に想定外を生み出し相手の意表を突けるかどうか。

妖怪が人間の恐怖という感情を利用しているのを見習って、私も驚かせる対象の感情に着目する必要がある。

 

 

 

今回は阿求ちゃんは疲れ気味で感情が負の方に寄っている。

その負に偏った天秤をプレゼントを介して一気に正の方に傾けることで驚かすという訳だ。

ただの思い付きには聞こえるけど勝算は十二分にある。

 

 

 

私は…今もまだあの山の上で見た景色が脳裏に焼き付いて離れない。

 

だから私もあんなサプライズがしたい!

 

と、いうのが本音だったり。

 

 

 

 

 

えへへ。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

暫く歩みを進めているとその光景に割とあっさりと辿り着くことが出来た。

 

金色…というのは少し誇張した表現ではあるが、背の高い黄色の花々。それらがお日様の光を浴びてピカピカと輝いている。

 

それも視界一面を埋め尽くす程に。

 

 

「…これはたまげたなぁ。」

 

 

てっきり数輪しか咲かない幻の花…みたいに思ってたのに。

まさかこんなお花畑だったとは。

 

 

 

お花達は皆顔の方をお日様の方に向けて日向ぼっこをしている。

美しく綺麗なのは勿論のこと、その花々が密集した風景はまさに圧巻。

隙間もない程に埋め尽くされた花々はまるで生きているかのようである。

 

 

「…果てが見えないや。」

 

 

少し飛んで辺りを見回しても先に広がっているのは黄色だけ。

所々で妖精さんが遊んでいたり花の上で眠っていたりしているものの、まるでこの先に永遠とお花畑が続いているのではないかと錯覚してしまう光景だ。

 

…ここまで来ると希少性も何もあったものじゃないね。

一輪一輪にしっかり目を向けると綺麗なことに変わりはないが。

 

 

 

このお花畑が何処まで続くのかという私の中の冒険心が芽を出し始めているが、今日は我慢。

珍しい花だと聞いていたからもうちょっと見つけるまでに一悶着あるだろうなぁとか期待なんかしてない。

何事もなく目的を達成できるならそれでよし。

後はお花を摘んで帰るだけで

 

 

「花を見つめてどうしたのかしら。」

 

 

ふと横から声を掛けられた。

目を向けると日傘を差した緑髪の女性が朗らかな笑顔を浮かべてこちらに近づいてきていた。

 

 

「こんにちは。綺麗なお花だなーと思って。」

 

 

ありのまま思ったことをそのまま口にする。

綺麗だとか美しいだとか言葉足らずな表現しか浮かんでこないのが悲しいところである。

でも本当に綺麗なものを見た時ってそういうものだと思う。

言葉よりも先にその目の前の綺麗なものを一瞬でも多く目に焼き付けておきたいというか。

 

 

「ありがとう。この子達も喜んでいるわ。」

 

 

…妖精さんの羽が生えてないから…妖怪さんなのかな?とか、そういうことを考えていると、彼女は私の真横で立ち止まり、お花の方に目を向けて話し始める。

 

 

「この子達はこの時期に一斉に花を付けて辺り一面を埋め尽くす。太陽の光を浴びて背丈を伸ばしていきながらね。毎年成長の速さには本当に驚かされるわ。」

 

 

 

その顔が何だがすっごく慈愛に満ちたような、まるで我が子を見つめるような優しい顔だった。

 

お花が好きなんだろうなというのが丸分かり。

多分毎年このお花達を見にきているんだろうなぁ。

 

 

「咲いては散ってを繰り返す。見える景色は毎年同じようでいて全くの別物だから面白い。或いはそんな儚い存在だからこそ惹かれるのかしらね。」

 

 

彼女の手が私の頭に乗せられてゆっくりと撫でてくる。

 

私はお花じゃないよと彼女の方を見て訴えかけると、こっちを見てニコッと笑う。

 

 

「花に限らず植物っていうのは皆噂話が好きなの。無情にも足蹴にされ踏み潰されたり、誰かに優しくされて嬉しかった出来事。そんな些細な生の一駒さえ、彼らは風に乗せて何処まででも運んでくれる。」

 

 

…撫でられるのって意外に気持ちがいい。

お花の匂いも相まって多分このまま横になればぐっすり眠れそう。

 

 

「貴方は花に優しくしてくれている。だから花も貴方に興味を持って貴方自身の噂話を流してくれるの。今日は何処に行っていたとか誰と話していたのかとかそんなことをね。」

 

 

乗せられていた手が離れていく。

それをちょっと名残惜しくも思いつつも、頭を振って意識を覚醒させる。

 

…何の話をしてるんだっけ。

 

 

「もしも困ってどうしようもないことがあれば花に伝えて。その時は…私が干渉してあげる。」

 

 

「え?……あっ。」

 

 

彼女は私の手を取って何かを握らせると、そのまま私の返答も待たずに来た方向に帰って行ってしまった。

 

何が何だかよく分からず握られた手を開くとそれは、多種多様な粒状のものが小分けにして詰められている袋だった。

 

これってもしかして…お花の種?

 

 

「た、大切に育てるね!」

 

 

去っていく後ろ姿にそう言葉を投げ掛けると、後ろ手で小さく手を振ってそのまま背の高いお花畑の中へ消えて行ってしまった。

 

…結局何だったんだろう。あの妖怪さん。

別に私ここに来た目的も何も話してないんだけどなぁ。

 

でももうちょっとあの優しい妖怪さんと色々お話ししてみたかった。

 

 

 

…また会えるかな?

 

 

 

 

 

『とある猛暑の一日。私は金色に光り輝くお花達の楽園を目にした。視界に収まりきらない程のそのお花達はおしくら饅頭のように身を寄せ合っていて、とても可愛らしく綺麗であった。

私はそこで友人?へのサプライズプレゼントのお花を見繕うとしていた。そこに、緑髪で花のように優しい妖怪さんがお花の種を見ず知らずの私にプレゼントしてくれた。しかし妖怪さんの名前は聞けず、お礼の言葉すら言えず仕舞いになってしまった。

お花の種はかなり沢山あるので、私も種を蒔いてしっかりお世話し、今度出会えたらお花の状況と一緒に伝えようと思う。

 

 

 

 

因みにサプライズは…色んな意味で大成功だった!やったね!

 

 

 

 

(以下、黄色に塗り潰された花畑に立つ人の形をしたナニカと、目を限界まで開き手足を広げ驚いている人の形をしたナニカの絵)』

 

 

 

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