ハクノが何故アルトリアの元にいるかは少しだけ時間を戻そう。
「ねえ、凛。代わりに中枢に行ってもらえるかな?」
私が少し浮かんでしまった危惧から凛に中枢へ行ってもらおうと頼んだ。
「ええぇ!?どういう事!?なんでいきなりそんな事を言うの!?」
「実は一つ心配があって。私は死者の念が集まって生まれたデッドフェイス。そしてトワイスもトワイスの念から生まれたデッドフェイス。同じデッドフェイスなら取り込むもしくは取り込まれるという事があるかもしれないの。」
私が思ってしまった危惧を遠坂は
「確かにあり得るわ。そうなってしまったらこちらの敗北は確定ね。でもそれでも良いの?貴女はここまで勝ち上がってきたのでしょう?」
「確かにそうです。でも私はそれでも良いです。それに凛がそう言った事に使わないと私は信じていますから。」
そう満面の笑みで言って凛を中枢へと向かわせた。
「との事です。」
「なるほどそうですか。」
「そして先程の事なんだけどちょっと恥ずかしいかな。」
そしてアルトリアとハクノは少しの雑談をした。
「アルトリア、私はね。この聖杯戦争は大変だったし辛かった。歪んだ経験だけどそれでも十分満たされたの。ムーンセル以外の場所を見たかったのが心残りだけどそれでも充分です。」
そう話していたら中枢を黒いドームが覆った。
凛は辿り着いたのかそれとも辿り着けなかったのかそれとも私を待っているのか?
私がそう考えていたらアルトリアは
「では最後の一仕事ですね。」
そう言って自身の剣を渡してきた。
「では行ってきます。」
「ではいってらっしゃい。」
そして私は中枢へと向かった。
「愚かな。ここまでの偉業を見せておきながら最後に過ちを犯したな。」
トワイスはハクノが中枢へと向かうのを見た。
「予想外の結果になったがここまでだよ。人類のためと言いながら自らの生存を、欲望を殺せなかった君の負けだ。」
トワイスは妄念の手を伸ばし
「我々は同じデッドフェイス。その体は私を受け入れる骨格となる。その無傷の筐体、私が引き継ごう。」
そう言ってハクノに干渉しようとした。
だがその妄念の手はハクノの体をすり抜けた。
「何故干渉できない!」
トワイスはそう言い無数の手を伸ばすが全てハクノをすり抜ける。
そのままハクノはトワイスを無視するかのようにすり抜けてそのまま中枢へと向かっていった。
「馬鹿な、そんな事が!」
中枢へとそのまま進んでいくハクノを見て
「私が見えていない?憎んでもいない?敵ですらないと!我らは同じ死から生まれた者。人間の愛憎、感情の澱み、人類が持つ悪として発生するもの。それが何の怒りも疑いもなく生を讃える事などできるはずが!」
トワイスはそう言って無数の触手を伸ばしハクノを捉えようとするがどれもハクノを捉える事が出来なかった。
「死者に生者は掴めない…か。」
ムーンセル中枢に近づく最中に私は今までを振り返った。
今の私にとってはあれもこれも良い思い出と言えるのだろう。
私はアルトリアの剣を構えて黒いドームへと突き立てた。
剣はドームを突き破り気づいたら私は恐らくは中枢へと辿り着いていた。
そして中枢には既に凛が待っていた。