IS世界だとウルトラマンの需要はないだろと思っていた時期がありました   作:八雲ネム

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お久しぶりです


第3話 依頼と取引

 ゴルザとの戦闘が終了した事で、世界情勢は大まかに3つの変化が発生した。

 1つ目は何と言ってもIS神話の崩壊であり、それまで既存の兵器では対抗出来なかったISは後に怪獣*1と呼ばれる様になるゴルザを始めとする巨大生物に対して無力だ、と言う事が判明したのでそれまで不遇な境遇を置かれていた男性が中心となって、ISの性能に対して疑問視する風潮が生まれる様になった。

 勿論、ISの恩恵を受けていた女性を中心に反対意見は出たもののそれまで見向きもされなかった既存の兵器群によって、ゴルザが倒された事実を覆せるだけの物証がなかったためにISが装備する兵器群の転用や新規開発が行われる様になった。

 

 2つ目は、米軍を中心とした各国の軍隊から、ISに取って代わる様なパワードスーツの開発依頼が軍需産業を中心に出された為、当然ながら軍需産業に属する会社の株も保有している俺の所にも話が来たので2つ返事で快諾をして仕様書を作成、俺が立ち上げた会社名義で幅広い産業に伝えて応募を募った結果、数年後にマブラヴシリーズに登場する戦術機が登場する事になる。

 3つ目は怪獣の調査であり、絶命したゴルザの皮膚や骨格を始めとした各種体組織の一部は研究目的で各国の専門機関に運ばれ、新兵器の開発の一助に繋がった様だが残った部分は腐敗による伝染病の蔓延を防ぐ目的で焼却処分されたそうだ。

 そんな中、俺達は今回の件で更識家に呼ばれる事になったのだが内容は何故、怪獣に対してあそこまで適切な判断を伝えたのかと言う疑問をぶつけられたので丁度良い機会なので答える事にした。

 

 

 

 

 

   なるほどな。君がそう言う存在なら納得だ」

「本来なら、もっと早い段階でお伝えするべきでしたが事が事なので切り出す機会がありませんでした」

「別に構わないよ。私だって実際に怪獣が現れなければ与太話として信じなかっただろうからな」

 

 とある建物の地下にある密室にて、自分がウルトラマンだと打ち明けるとスーツ姿の男と話し合いの場を設けた上で普通の人間では入室ができない方法で入室する様に、と言われたので別の空間に移動する要領で入室すると本物のウルトラマンだと信じてもらえた様だ。

 打ち明けた相手は、防諜(カウンタースパイ)を生業にしている更識家の16代当主で刀奈と簪のお父さんなのでそう簡単に外部に漏れない上、彼とは起業してから早い段階で本人から接触があった為に日本の敵ではない事を証明した事に加え、ロボとかの話で意気投合した為、ウルトラマンだと打ち明けるまでは娘さん達の話をよく聞かされていた。

 その為、互いにある程度の気心が知れている間柄なので自分がウルトラマンの一員だと打ち明けた際には、成金の割にはかなりの利率で資産を増やし続けているし、起業する際も恐ろしい程に正確な内容の書類を提出するものだと疑問に思っていたと逆に打ち明けられる事になった。

 

「それで、前もって依頼していた内容の進捗は如何でしょうか?」

「コアに関しては2つが限界だった。各国が水面下で回収に走っていたからな」

「まぁ、当然の反応ですね。もう一つの方は?」

 

 怪しまれない様に、完璧すぎる内容の書類を提出したのが怪しまれるきっかけだったか、と思いながら彼に2つの依頼を出したのだが結果からいれば1つ目は上々だったが2つ目は個人的な意見では遅すぎると感じた内容だった。

 1つ目のコア、と言うのはISを動かす為の中心部品であるISコアであり、これがないとISが動かせないものの開発した束博士が途中で気が変わったか、臍を曲げて467個で生産を打ち切ってしまった。

 しかも、ISコアもブラックボックス化している為に技術者は完全にお手上げであり、新規機体を建造するには既存の機体を解体してコアを初期化しないといけないので搭乗者の選抜は当然、シビアになる。その為のIS学園でもある訳だし。

 まぁ、ウルトラマンの力を使って解析し切ってタネさえ明かせば生産なんてコストを考えなければいくらでもできるので、個人的にはかなりの朗報と言えるだろうが問題なのは2つ目の方。

 

 それは   

 

「政府直属の専従調査班に関してはまだまだだな。議題で終わっている」

「やはり、誰しも自分のケツに火が付かないと実感が湧かないんでしょうな」

 

    怪獣に関する事案について、専門に扱う組織が日本でできるかどうかの動向を探ってもらったのだが、芳しくない様子なのでこちらは怪獣の出方次第だろうな。

 前にも言ったが、怪獣が出てすぐにウルトラマンが駆け付けるとウルトラマン頼りにされる可能性が高い為、人類文明の発達に支障が出るのを懸念したからだ。

 マン兄さんの命を受けてこの星に来ている為、俺やティガ達がいつまでもこの星に居続ける事はできない事から人類が単独で怪獣退治をするまでは援助するつもりだが、それ以上は余程の事がない限り、ウルトラマンとしては静観するつもりだ。

 

「全くだ。それで、依頼を受ける対価に関しては期待して良いのだろうな?」

「勿論です。娘さん達がIS乗りになった際は彼女達が扱う機体は如月工務店で整備しましょう。それで、肝心の娘さん達は?」

「刀奈の方は今年で中学1年になる。実機で同じ年齢の子達と戦える事が嬉しいようではしゃいでいたよ。その分、妹の簪は不貞腐れていたがね」

「多感な時期ですからね。成長が楽しみですよ」

「娘はやらんぞ?」

「まだまだ、結婚適齢期ではないでしょうに」

「はっはっはっ」

 

 その為、彼に依頼をする見返りとして刀奈達がIS乗りになった際はISの技術を保有する会社群*2を束ねる会社   如月工務店を立ち上げていた為、その会社にて刀奈達が操縦するIS機体の整備を請け負う事を彼と取り決めていたのだ。

 その事について、合意したのである程度の雑談をしてから別空間へ転移をして痕跡を消した。

 

 

 

 

 

 16代目楯無 side

 

「これでまずは一安心だな」

 

 彼が立ち去った後、そう呟いたが怪獣と呼ばれる巨大生物が現れた際はウルトラマンかよ、と呟いたものの前々から注目して接触を重ねてきた人物から自身がウルトラマンだ、と言う打ち明けられた出来事は俺からすれば朗報と言えた。

 当初、部下からの報告では偶然にも競馬で大金を得た成金がISの存在で割りを食っていた産業の株を大量に買い、デイトレードで資産形成をしながら会社を立ち上げると言う内容が上がっていたからだ。

 普通の輩であれば長い年月を掛けてコツコツと積み上げるか、浪費癖がついて破産した後で身を滅ぼすかの二択になる筈なのだがそいつだけは例外であり、ここ数年で完璧すぎる程に時勢に乗って急成長した企業の取締役兼資産家と言う立場になったのだ。

 

 防諜組織の長を務める者として、注目しない方がおかしいと思いながら立場を隠しながら接触を試みると、意外にも素直に応じたので話をしていくうちに男として今の歪な状況を変えたい奴だと分かった。

 今は白騎士事件よりも前とは違い、女の立場が急上昇した代わりにそこから出る甘い汁を啜る為に群がる卑しい奴らが便乗して、男からすれば過度な要求や理不尽な扱いを受けるケースが急増し、それによって大勢の人命が失われた。

 勿論、技術の急激な進歩に犠牲は付き物とは言っても今の状況はそこそこの場数を踏んだ俺からしても異常としか言いようがない為、いつかは打破したいと思っていたので年甲斐もなく、ロボなどの話で盛り上がってしまった。

 

 その上で、先日の怪獣騒動によるISの不敗神話の崩壊とそれに伴う自分がウルトラマンだと言う彼の告白を受け、警備が厳重な建物の指定した地下の一室へ誰にも気付かれずに入り込んでこい、と言う無茶振りをそいつに課した所、ウルトラマンの姿であっさりと突破してきたではないか。

 ウルトラマンマーズ、彼自身の口から告げられた名前は特撮ドラマであるウルトラマンシリーズには登場しなかったウルトラマンであり、彼の他にも2人のウルトラマンが地球に来ているようだが交渉をする際に手札を全て見せる奴がいるかよ、との事でその2人に関してはまだ分かっていない。

 そんな彼から、怪獣騒動を契機に自分がウルトラマンだと告げられた時はモンド・グロッソの会場を荒らし回った怪獣に対して、的確なアドバイスをした上で可能な範囲でISのコアを回収してほしい事と内閣府直轄の専従調査班の設置の依頼をしてきたのにはある種の納得感があった。

 

 ISのコアに関しては、彼が設立した会社名義で解析するのだろうが専従調査班の方はいずれ、日本でも怪獣が登場して大暴れする事を予見しての事だろうと推測できるからだ。

 その為、裏から手を回して政府を動かしているものの政府としての動きが遅いので機会があれば、迅速に動けるようにリークをして世論を作る様に部下には動いてもらっている。

 法整備やらは政治屋の連中に任せるつもりなので、きっかけがあればすぐに動ける様にするのがウルトラマンに対する礼儀だろうと思っていると、まだまだ歓喜の感情が出ている事に気が付いた。

 

「まさか、この歳で本物のウルトラマンに会えるとはな。生きてみるものだな」

 

 俺自身、ガキの頃は昭和のウルトラマンを見ていた世代だし、ティガやダイナと言った平成の世でウルトラマンが復活した際は嬉しさの余り、口角が上がる事を止めれなかったからな。

 そんな俺がオリジナルとは言え、ウルトラマンと会話ができて取引ができる事に喜びつつ、娘達のISが彼が手掛ける会社よって調整される事に想いを馳せるのだった。

*1
欧米圏でも日本語をそのまま、ローマ字にしたKAIJUを使用

*2
勿論、俺が札束の力で株を購入した会社を優先した。




刊行当時の刀奈の年齢から逆算して、彼女の親世代は昭和のウルトラマンを見ていた世代だと考えています。
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