自衛官だったけどスネークになったので世界大戦を阻止してみた   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

更新お待たせしました。
気晴らしに書いている程度なので気長にお待ち頂けると助かりますw


第8話 肉弾戦

地上に出る前に、フューリーとの戦いで負った火傷の治療をしている。

鍛え上げられた俺の大腿部は良い具合のレアに焼かれている。

クソッタレ。

 

火傷を負った付近の迷彩服を切り取り、患部を露出させる。

ゴム手袋でもあればいいんだが生憎そんな便利アイテムは手元に無い。

せめてもの処置として水筒の水で手を洗い、患部も洗浄していく。

粗方洗い終わったら火傷用の軟膏を塗っていく。

ここで一番怖いのが感染リスクだが、無菌環境が確保できない状況では贅沢は言えない。

抗菌薬が含まれた火傷用の軟膏を塗り、ガーゼの上から包帯を優しく巻いていく。

かなり応急的な処置だが、あとはこのチートボディーの性能を信じるしかない。

 

「ふぅー」

 

やっと一息つけた。

先程までフューリーの強力な火炎放射に晒されていたからか肌に熱が籠っている。

少し落ち着くと俺のHP(腹減りポイント)が急降下していることに気づく。

そういえば山岳地帯でサソリを口にしてから何も食べていなかったな。

 

「おいツチノコ、何か—————」

 

俺は弾帯のユーティリティーポーチに向けて声を掛けるが、ツチノコがいないことを思い出して口をつぐむ。

アイツは無事に住処に戻れただろうか?

野生のくせにかなりグルメになっていたから、もしかしたらソ連軍の食糧庫にでも住み着いているかもな。

今頃、肥えたネズミと間違えられて処理されているかもしれない。

俺の時もネズミ捕りでキャプチャーしたしな。

あながち間違ってはいないだろう。

 

「・・・・・」

 

俺は静かにポーチに手を突っ込み、テキトーな食料を探す。

その時、手に触れたのは開封済みのカロリーメイトだった。

開けられた金色の包装紙の中には一口だけかじられたカロリーメイトが一つだけ残っている。

さしずめ、後で食べようと残しておいたんだろう。

俺は残り物のカロリーメイトには手を付けず、残っていたワニの肉を口に運ぶ。

 

「・・・腐ってやがる」

 

俺の独り言は静寂が支配する地下壕の虚空へと溶けて行った。

 

 

 

 

<グロズニーグラード 南西部>

 

地下壕の梯子を上り、地上に出ると吐く息が白くなるほど低下した外気が肌を刺してくる。

少しだが雪も降っている。

 

「寒いな」

 

無意識に独り言が口から出てしまう。

その独り言は日本語なのか英語なのかロシア語なのか気になるって?

え?

別に気にならない?

そうですか・・・・・

 

「確かに冷えて来たな。夜はもっと気温が下がりそうだ」

 

マジで心臓が止まるかと思った。

俺が今いるのは地上から一段下がった場所だ。

上の方から突然声を掛けられたんだ。

それも敵本拠地で。

 

っていうかアイツはどうして俺の姿を見ても知り合いにでも会ったかのように世間話をしているんだ?

 

敵兵の姿をよく見てみると左腕に赤色のスカーフを巻いている。

今までの兵士には無かった特徴だ。

ということは—————

 

「隊長から話は聞いている。アンタをエスコートしに来たんだ」

 

ジ・エンド戦の前に立ち寄った小屋でセルゲイが言っていた敵味方を識別する為の工夫がアレなんだろう。

確かに分かりやすいが、ソ連軍の服務規程的には問題ないのだろうか?

まあこいつらはGRU所属の特殊部隊員だし、ある程度の自由はあるのかもしれないな。

 

「お前は?」

 

「ユーリと呼んでくれ」

 

手を差し出して俺を地上に引き上げる兵士はユーリと名乗った。

良かった、また日本人でも覚えやすいソ連っぽい名前だ()

 

ユーリと名乗ったGRUの兵士は他の隊員と同様に目出し帽にOD色の戦闘服に身を包んでいる。

パッと見る限り他の連中と違いはない。

強いて言えば少しガタイが良いくらいか?

 

「それでセルゲイは?」

 

「隊長はアンタの話にあった“髑髏”について調べている。まだ何も報告は無いがな」

 

セルゲイにはXOF—————というかスカルフェイスについて調べさせている。

可能なら捕縛、無理なら情報収集といった具合に動いてもらっている。

FOX主導で行われているスネークイーター作戦だが、俺が任務に失敗した場合のバックアッププランとして裏の組織であるXOFの存在が後に判明した。

 

本作戦間にどんな動きをしていたかは語られていないが、十中八九現地入りしている筈だ。

それがXOFが“部隊として”なのか、“スカルフェイス個人”がなのかは分かっていない。

あまり大人数では動き難い筈だし、ゼロ少佐直属の裏組織という点を見てもこの時代ではそこまでの規模ではないと見積もっている。

FOX自体、少佐、パラメディック、シギント、ネイキッドの4人くらいのものなのだ。

任務によって支援要員は就くが正式なFOXの隊員では無いしな。

 

どんなに多く見積もっても5名程度だろう。

大雑把に見てもスカルフェイス本人、通信・暗号担当、爆破解体・証拠処理、狙撃・護衛、現地協力員管理—————

多少前後はするかもしれないがそこまで的外れな見積ではないはずだ。

大人数では逆に目立つしな。

 

「アンタに差し入れだ」

 

「これは?」

 

「大佐直轄の兵士が身につけている戦闘服だ。これを着ていればグロズニーグラードの屋外であれば問題なく動けるはずだ」

 

「屋外? 兵器廠には?」

 

「兵器廠は無理だ。内部は制服を身につけた士官や研究員、作業員しかいない」

 

「なら予定通り、ライコフに化けるしかなさそうだ」

 

兵器廠内って普通の兵士いなかったんだっけ?

そこまで細かく覚えていない()

 

 

 

 

その後、ユーリと一緒に基地内を少し見て回った。

大方の敵兵の配置や建物の位置関係なんかも頭に入れることができたのは収穫だったな。

彼自身は長く持ち場を空けていられないと言って戻って行った。

間違えて撃ち〇さないように気を付けなければな。

・・・・・あれ?

下手に敵兵を排除できなくなってるし、なんか縛りプレイみたいになってる気が?

なんでセルフで難易度上げなきゃいけないんだよ()

 

誰にもぶつけられない怒りを鎮めるために食糧庫の即席ラーメンとカロリーメイトを全て拝借した。

残っているのは約束された味を提供するロシア製レーションだけだ。

誰も美味しさを約束している訳じゃないから嘘はついていない。

 

そのまま真っ直ぐ兵器廠東棟に向かい、研究員の服に着替える。

どうしてこんな野性味溢れる薄汚れたマッチョマンが研究員として誤魔化せるのか甚だ疑問だが、ガン見されなければどうにかなるのだから不思議なものだ。

ここにいる研究員は軒並みソコロフA、ソコロフBみたいな見た目なんだがな()

 

怪しまれないように気を付けながら棟内を探索する。

ユーリの言っていた通り、戦闘服の兵士はいないようだ。

ワンチャンいけんじゃね?とか思っていたが大人しく言うことを聞いていて良かった~。

アイツ、ただのマッチョじゃなかったんだな()

 

「ん?」

 

その時、図書室?資料室?に入るタイミングで研究員とかち合ってしまった。

すぐに顔を逸らして中に入ったがさすがに怪しまれたようだ。

 

すぐに本棚の方へ移動する。

幸い、図書館や本屋のように本棚によって通路ができているため、研究員を“撒く”ように上手いこと動き回る。

奴は俺の姿を捉えられていない筈だ。

気絶させたり眠らせてもいいんだが、後で騒ぎになる方が面倒だしな。

見慣れない奴を一瞬見かけたくらいでは通報もされないだろう。

知らんけど()

 

っていうか、ちょっと待て。

なんで通路にエロ本が落ちているんだ?

誰だ、仕事しないで欲求満たそうとした奴()

けしからん、この本は没収です!

 

・・・・・そういえばしばらくトイレで用を足してなかったな。

たまには文明人らしくトイレに行くとするか。

べ、別に他の目的がある訳じゃないぞ?

ただ“用を足し”に行くだけだ!

 

そうと決まれば行動に移すのだけは早い。

後先考えていないだけだろって思ったそこの君!

全くその通りだ。

何故かって?

トイレに入った瞬間に“ある人物”と出くわしてしまったからだ。

 

なんだか今日は俺の進行方向によく人が現れるな。

どうせならパツ金の巨〇美女と出会いたいものだ。

 

「ん? 何をしている?」

 

そこには『俺は雷、雲の化身』そっくりニキが佇んでいた。

いやーマジで似てる・・・というか髪色が違うくらいで本人ですやん()

血縁関係があるとかそういうレベルじゃない。

バーダック→孫悟空→孫悟天並みにそっくりだ。

ラディッツと悟飯ちゃんが仲間外れなのは一旦置いておくとして、血縁関係の無いターレスも似てるんだからまあ別にいいのか。

下級戦士はタイプが少ないとかそういうヤツだろ(なげやり)

 

・・・・・こんなイケメンが下級戦士というのは納得がいかない。

見れば見るほど腹が立ってくる。

なんだかぶん殴りたくなってきたな()

 

「こんなくだらない物を持って何をするつもりだ?」

 

ライコフはそう言いながら俺が手に持っていた大人☆な雑誌を取り上げると、目を細めながら顔をしかめている。

ああ、そうか。

コイツ、女が嫌いなのか。

確かに裸の男が収録された雑誌があれば俺も似たような反応をするだろう。

それどころか跡形もなく破り捨てた後に白燐手榴弾で燃やし尽くすだろう。

 

行き過ぎてなければ別に他人の性的趣向に口を出すつもりも否定するつもりもない。

 

「ん? よく見たら中々良い身体をしているじゃないか」

 

そう言いながら俺の身体をベタベタと触ってくる。

おいおい、トイレは“そういうこと”をする場所じゃないぜ?(特大ブーメラン)

 

「少佐、ここではなんですし上のロッカールームでは?」

 

「なんだ、お前もそういうクチか? 仕方ないな、大佐には黙っているんだぞ?」

 

何が“そういうクチ”なのかはよく分からないが、ライコフは足取り軽く2階にあるロッカールームへと進んで行く。

 

「さあここには誰もいない。お前と俺の二人だけだ」

 

ライコフはせっかくのイケメンが台無しなほど鼻の下が伸びている。

加えて鼻息荒く俺の服を脱がしに掛かっている。

 

「ぐはぁ!?」

 

気持ち悪いからとりあえずぶん殴っておく。

突然俺の拳が腹部にめり込んだことに驚いたようだが何故かライコフの鼻息の荒さが激しくなっている。

 

「嫌いじゃない・・・嫌いじゃないぞぉぉぉ!?」

 

「うわ()」

 

「ぐはぁぁぁ?!」

 

一瞬のうちに軍服を脱ぎ捨てたライコフは雷模様の入ったパンツ一丁の姿で襲い掛かって来た。

そこに俺のアッパーカットがライコフの顎にクリーンヒットする。

確実に意識を刈り取った一撃の筈だった。

しかしライコフは産まれたての小鹿のように足を震えながらその場に立ち上がる。

いや足にキテますやん()

 

「こんな逸材がいたとは・・・俺の目も節穴だな」

 

いやだから、なんで恍惚とした表情で俺を見るんだ?!

頬赤くなってるし!

鼻の下伸びてるし!

 

「さあ感じさせてくれ! 俺に生きる実感をくれ!!」

 

「嫌だぁぁぁ!」

 

いやそれフランクのイエーガーのやつ?!

俺は襲い掛かってくるドМ(?)の魔の手から逃れる為に持てる技術を総動員してライコフを悦ばせ—————痛めつける。

この表現も違う気がするな()

 

 

 

 

「もっと・・・・・もっと———だ」

 

「うわぁ()」

 

ライコフの顔は原形を留めない程に腫れ上がり、身体の至る所には痣ができている。

既に意識の無い状態だがその口からはさらなる悦び()を求める言葉を発している。

 

と、とにかく当初の予定とは違うが、無事にライコフの軍服を手に入れることができた。

奴をこのままにしておくこともできないし、とりあえずロッカーの一つにぶち込んでおく。

この状況さえ、ライコフにとってはプレイの一環として受け入れる可能性が頭をよぎる。

 

「・・・まあ俺には関係のない話だ」

 

絶頂状態(?)のライコフを放置して俺は西棟に続く道を進んで行く。

 

長い廊下のガラスの向こう側にはふざけたサイズの戦車が鎮座していた。

あれがシャゴホッドか。

実際にこの目で見るとその存在感に圧倒される。

良い意味でもそうでなくても、デカいものはそれだけで人の心を引き付けるものだ。

 

え?

例えばなんだって?

うーん、恐竜とか豪華客船とか?()

戦艦大和とか実物見たらヤバいと思うんだよね(語彙力)

 

と、とにかくRPGでも歯が立たない程の装甲を誇るアレを破壊しなければいけないのは今のうちから気が重くなる。

核でも撃ち込んだ方がはやいんじゃねーか?()

ほら、ザ・ボスが持ち込んだ弾頭(デイビー・クロケット)が残ってたじゃん?

・・・・・いやダメか。

周囲への生態系なんかへの影響も大きいしな。

うん、やっぱりダメだ。

 

え?

い、いや別にツチノコのことが頭をよぎった訳じゃないぞ?

決して。

 

 

 

話は変わるがこのまま進めばヴォルギンにフルボッコにされる未来が見えている。

ライコフじゃあるまいし、俺には痛めつけられることに快感を覚えるという趣味はない。

 

ここで秘密裏に大佐を排除できれば割とスムーズになるんだよな。

だが間違いなくザ・ボスも現れるし、部屋の外ではオセロットも待機している。

実際のところは二人ともアメリカの命令で動いている訳だが、その後にどう動くかは想定しきれない。

ちょっと不確定要素が多すぎる。

 

かなり極端な話だが、ソコロフを助け出せないなら危険を冒してまであの部屋に向かう必要はない。

事実、奴は『もう疲れた』とか抜かしやがる予定だしな()

 

さて、割と大事な局面だぞ。

ボコられたり、拷問されたり、目を撃ち抜かれるというイベントはこっちから願い下げだ。

 

シャゴホッドの実験データとC3爆薬はタチアナ—————もといEVAが持ち去った。

核戦争は回避する。

これは最優先事項だ。

そうなるとシャゴホッドの破壊とヴォルギン排除はマスト、どさくさに紛れて賢者の遺産を頂いてデイビッド・オーのポジションを狙うか?

どうしよう、全く興味がない()

 

あー、言語に堪能というスキルを活かしてそっち方面で食っていくのもアリだな。

シビリアンに向いてなかったら最悪細々と傭兵としてやっていくという選択肢もあるし。

とりあえず金だ、金。

金はあっても困るものじゃないしな。

 

そうなるとこの段階でヴォルギンを排除してしまうと地下金庫とやらにあるマイクロフィルムが手に入らないのか。

正史だとスネークを拷問している最中にヴォルギンが遺産の在りかを口にして、それを嗅ぎまわっていたEVAを捕えたんだよな?

 

賢者の遺産を手に入れるには『遺産を持ち出さないとヤバい』とヴォルギンに思わせないといけない訳だ。

さて、どうするか。

・・・・・っていうか遺産手に入れたら働かなくてもいいやん()

 

と、とにかくセルゲイに連絡を取ってみるか。

 

『こちらセルゲイ、無事にグロズニーグラードに入れたか?』

 

「ああ、ユーリがエスコートしてくれた。アンタのお陰だ」

 

『それは何よりだ。こっちも例の“髑髏”を探っているんだがまだ時間が掛かりそうだ』

 

「無理はするな。かなり危険な相手だ」

 

『了解だ。それで? 何か用があったんじゃないのか?』

 

「ああ、実はグロズニーグラードの地下金庫について情報が欲しい」

 

『地下金庫だって? そんな所に何の用がある?』

 

うーん、正直に話していいものなのか?

セルゲイらは危険を冒して俺に協力してくれていることは確かだが、知り合って間もない。

それにヴォルギンの直轄だからと言って賢者の遺産について情報を持っているかも定かではない。

とりあえず地下金庫についての情報が欲しかっただけなんだが・・・・・

 

『・・・・・まあそれは置いておくとして、地下金庫の場所だったな? 俺も噂程度にその存在を聞いたことがある程度だ。そもそも普通の隊員には近づくことすらできない場所だからな。アンタ、今どこにいる?』

 

「兵器廠西棟に続く通路だ。ガラスの向こうにあるシャゴホッドを見学中だ」

 

『今のソ連で最も機密性が高い最新兵器だからな。ツアーを楽しんでくれ』

 

「そうさせて貰おう。それで、例の地下金庫についてだが」

 

『すまない、確実な情報は持っていないんだ。そこにいるということは少佐の制服を手に入れたんだろう? その状態なら安全な筈だ。情報を集めるから少し時間をくれ』

 

「わかった」

 

さてと、セルゲイから連絡が来るまで少し時間が掛かるだろう。

この間にソコロフを救出したい所だが逃げ出したことがバレれば面倒なことになるし、基地内の警戒レベルも引き上げられるだろう。

そうなったら遺産を手に入れるとかいう話ではなくなってくる。

 

せっかくライコフに変装していることだし、自分でも情報を集めてみるか。

とりあえず東棟へ戻ろうと思った所に、複数名のGRUの隊員が姿を現す。

戦闘服姿だから東棟配置の隊員ではない筈だ。

シャゴホッドの警備要員か?

 

彼らの横を通り過ぎようとしたが、何故か兵士達は俺の行く手を遮る。

何か用でもあるのだろうか?()

ちょっと少佐殿は忙しいのでそこを通してもらえませんかね?

 

うーん、どうしよう。

声を出せばライコフじゃないとバレるだろうし。

・・・・・あ、良いこと思いついた。

ガッツリ武力行使でいこう。

ライコフは普段からここの隊員に対して暴力を振るっているから、コイツらをぶん殴っても“いつものこと”で済まされる筈だ。

 

よし、そうと決まれば即行動☆

 

俺は一番近い敵兵の両肩を掴んでそのまま地面に引き倒す。

通称“直投げ”だ。

そのまま足を入れ替え、身体を回転させながらもう一人の敵兵の腕をガッチリと掴んで遠心力も利用しながら強靭な腕力で地面に叩きつける。

間髪入れずにもう一人の兵士の腕と胸倉を掴んで—————背負い投げ~☆

若い人にはikkoさんのネタは通じないか?

どうしよう、とても心が痛い。

この悲しみと怒りはどうすればいい?

 

「う、動くな!!」

 

俺は残り一人になった兵士にロックオン☆して即座に拘束する。

ぶっとい前腕と二頭筋に首を絞められた敵兵は抵抗することもできずに昏倒する。

 

うんうん、CQCの違和感もだいぶなくなったな。

原作と違って今の俺は別にナイフが無くたってCQCを使える。

だってナイフ無かったらCQC使えないとか謎だしな()

・・・・・誰かに怒られる前にこれくらいにしておこう。

 

っていうか最後のヤツはどうして動くなって言ったんだ?

この姿は何をしても許されるチートモードじゃないのか?

中身がダメってことか!?

そうなのか?!

どうしよう、なんだか悲しくなってきた。

 

「見事なCQCね、ジャック。とてもブランクがあるとは思えないわ」

 

「!?」

 

東棟の扉から現れた人物に驚きを隠せない。

そこにはザ・ボスの姿があった。

見られた?

どう考えても誤魔化せるものではない。

何故ならこの技術はザ・ボスとネイキッドが二人で生み出した唯一無二のものだからだ。

 

「・・・・・どうして逃げなかった」

 

辛そうな、そして悲しみが含まれたような声色でザ・ボスが言葉を続ける。

そこにもう一人のイレギュラーが現れる。

 

「ん? 少佐、ここで何をしている? 部屋で待っていたんだぞ?」

 

最悪だ。

ソコロフが捕らえられている西棟から姿を現したのはヴォルギンだった。

奴は廊下に倒れた兵士を見て顔に笑みを浮かべる。

 

「くっくっくっ、私を置いて一人で楽しんでいたようだな」

 

「コイツは少佐ではない」

 

「ボス? それは一体どういう意味だ?」

 

ザ・ボスの言葉を受けて不思議そうに疑問の言葉を口にするヴォルギンだったが次の瞬間には俺の前にきて股間に手を伸ばしてくる。

いや、意外とガッツリ掴まれて痛いんだが?

 

俺は反射的にその手を振り払う。

しかし眉をひそめたヴォルギンは再度俺の股間に手を伸ばす。

文字通り急所を握られるというのは生きた心地がしない。

 

ヴォルギンはモノの形を確かめるようにニギニギしてくる。

いやめちゃくちゃ気持ち悪いんだが()()()

俺の息子は酷く傷ついたようで身体の中に引っ込んでいく。

おい、損害賠償請求だぞ?

 

「お前は誰だ!!」

 

いや逆ギレぇぇ

キレたいのはこっちだ。

 

「とぼけなくてもいい。少佐のことなら何でも知っているからな」

 

そう言いながら後ろを向くヴォルギンに俺はCQCを仕掛ける。

背も高く、ガタイの良いヴォルギン相手では上手く首を絞められない為、地面に叩きつける。

 

「ぐはぁ?!」

 

俺はそのままヴォルギンに追い打ちを掛けようとするが、ザ・ボスが間に入ってくる。

というか俺の身体を掴んで来ようとするから避けざる負えなかった。

ここでヴォルギンの意識を刈り取れればボスとの一騎打ちに持ち込めたんだがそう簡単にはいかなかった。

 

俺達は互いに間合いを読み合う。

ザ・ボスほどの実力者には雑な攻撃は通用しない。

カウンターを貰ってジ・エンドだ。

 

「があぁぁ!」

 

そこに立ち上がったヴォルギンが割って入ってくる。

ボクシングの元世界ヘビー級チャンピオンというふざけた経歴を持っているヴォルギン相手に正面から殴り合ったって勝ち目はない。

っていうか変装用のマスクしているから息がし難いんだよ!!

 

「邪魔をするな!」

 

そう言いながら立ち上がったヴォルギンをザ・ボスが押し倒す。

・・・・・せっかく立ち上がったのに大の大人が2回も地面に転がるというのは少しだが同情する。

俺なら恥ずかしくてとてもじゃないが人様の前に立てないだろう。

 

「さすがはボス、これはジュードウの一種か?」

 

「いや我らはCQCと呼んでいる。接近戦での基本だ。私とこの男で編み出した」

 

そう言いながらザ・ボスは俺に視線を向ける。

やめてください。

俺を巻き込まないでください。

 

「ではコイツが例の侵入者か。伝説のコブラ部隊だけに飽き足らず、イワンにまで手を出した報いを受けさせなければな」

 

『くっくっくっ』と残忍な笑みを浮かべながらヴォルギンの身体から電気が発生する。

まるで超サイヤ人2だな。

髪はナッパだけど()

 

「・・・・・殺すのか?」

 

「当然だ。だがまずはイワンと同じ苦しみを味わってもらおう」

 

確かにライコフはボコボコにしたが奴はそれを喜んでいたし、むしろ欲していたぞ?

同じ苦しみという定義は俺には当てはまらない筈だ。

 

申し訳ないが俺には黙って殴られる趣味は無い。

だが逃げ場が無いのも事実だ。

東棟へ続く方向にはザ・ボスとヴォルギンがいる。

思い切って西棟に走り込むか?

実際の西棟はかなり大きな建物だが、原作ではソコロフが捕らえられている部屋とそこに続く通路が描かれていただけだから詳しい構造は不明だ。

だが目の前の怪物二人を同時に相手にするよりはマシな筈だ。

 

そう考えて間合いを取りながら後ろの様子を確認しようとした所で西棟からGRUの兵士たちがこの通路になだれ込んできた。

 

こういうのを何て言うんだっけ?

前門のREX、後門のRAY?

いや、分かっている。

冗談でも言ってないとどうにかなってしまいそうなんだよ。

 

「手を出すな。コイツは私がやる」

 

俺に向けてAKを構えていた兵士たちは大佐の言葉を受けて銃口を下ろす。

それが合図になったかのようにヴォルギンが前に出てくる。

バチバチと稲妻が発生し、兵士たちは感電を恐れているのか何なのかは知らないが後ずさって行く。

俺もどさくさに紛れて後退しようと試みるが—————まあ無理だよな()

 

こうなったらやるしかない。

息苦しいマスクを脱ぎ捨て、俺はCQCの構えを取る。

 

「・・・・・アメリカの犬め!」

 

ライコフのマスクを脱ぎ捨てると、ヴォルギンは親の仇でも見るかのような熱い視線()を向けてくる。

俺は男には興味ないんだが?

ふとヴォルギンの向こう側にいるザ・ボスと目線が交差するが、彼女は辛そうに目線を外す。

そして背を向けると東棟へ向けて歩み出した。

 

よし、チャンスだぞ。

ヴォルギンをどうにかすれば何とかなるかもしれない(語彙力)

とりあえずソコロフは後回しだ。

どうせ俺の侵入はバレてしまったし、この状態で学生時代文化部に命を捧げて来たみたいなキャラのソコロフを連れて脱出なんて不可能だ。

用済みになったとしても今すぐ処分されるなんて事にはならない—————と信じたい()

 

・・・・・と、とにかく今は目の前のバイセクシャルのサディストをどうにかするのが先決だ。

改めて見ても酷い字面だ。

さっさと退場いただこう。

 

俺の失礼すぎる内心を知ってか知らずか、ヴォルギンは鬼の如く形相で俺に突進してくる。

おいおい、ボクサーがタックルなんてするなよ?!

俺は体重移動と足捌きで、寸の所でヴォルギンのタックルを避ける。

奴が纏っている電気がバチバチと嫌な音を立てているがそんなことに構っている余裕はない。

特に躱された時のことなんて考えていなかったのだろう。

俺を掴み損ねたヴォルギンは隙だらけの背中を俺に晒している。

すぐに後ろから奴の身体を掴んで先程のように地面に叩きつけてやる。

 

しかしヴォルギンは再びその場に立ち上がると、今度はボクサーらしく脱力した腕を顎の付近を守るように構えてリズムを取っている。

 

そして俺との間合いを計り—————俺の鼻に鋭い衝撃が襲い掛かってきた。

ツンと鼻を刺すような痛みの次の瞬間、俺の鼻からは大量の血が溢れてくる。

奴を見ても先程の構えから何も変わっていない。

十中八九ジャブを放ってきたんだ。

グローブを着けていないその拳の速度はもはや人間の反射速度を超えている。

ボクシングでは被弾前提ともいえるジャブが、素手の時には必殺の攻撃力を備えるのだ。

 

くそ、鼻血が滝のように溢れ出てきて上手く呼吸ができない。

ボクサー相手なら掴んだり寝技に持ち込みたい所だが、奴との体格差とあの鬱陶しいバチバチのせいで上手いこと切り込めないでいる。

 

加えて廊下という限定された空間のせいで奴との間合いが上手く取れない。

言い訳ばかりしてても始まらない。

俺はスポーツをしている訳じゃないんだ。

どんなに卑怯な手を使ってでも勝てば良いんだ。

俺は腰部のマカロフを引き抜いてヴォルギン目掛けて撃ち込む。

奴は腕を前に突き出し、電気のフィールド?のようなものを形成して弾丸を防ぎやがった。

どう考えても反則だ()

 

そして装弾数の少ないマカロフはすぐに弾切れになる。

俺はマカロフに新しい弾倉を叩き込みながらあえてヴォルギンに向かって行く。

銃弾を防ぐほどのエネルギーを使ったんだ。

少しは隙が生まれるかもしれないと考えたんだ。

ある意味賭けだったが俺の予想は的中した。

フィールドが消え去ると、息を切らして雷を帯電していない生身?のヴォルギンが現れる。

即座に顎や鳩尾、肝臓や膝関節に対して打撃を加え、最後にもう一度地面に直投げする。

 

「ぐあぁぁぁ!」

 

獲った!

俺は先程フレッシュな弾倉に交換したマカロフをヴォルギンの眉間付近に照準する。

概ね、目と鼻を結んだ逆三角形の奥に脳幹は存在する。

ここを撃ち抜けば人間は糸が切れた人形のように一瞬のうちに絶命する。

 

俺はヴォルギンを見下ろしながら引き金に指を掛ける。

そして引く次の瞬間、強力な握力で腕の関節を決められる。

俺は突然の乱入者に視線を移すと、そこには純白のスニーキングスーツを着込んだザ・ボスの姿があった。

 

「ボス・・・!」

 

「大佐を殺させる訳にはいかない」

 

「さすがはザ・ボスの弟子ということか。私としたことが油断した」

 

そう言いながらヴォルギンはその場に立ち上がる。

伊達にヘビー級の世界王者に君臨していた訳じゃない。

そのタフさには目を見張るものがある。

・・・・・ってそんなことを言っている場合じゃない。

万事休すだ。

 

「あとは私に任せてもらおうか」

 

「・・・・・」

 

ザ・ボスは一瞬の間を空けた後に俺を解放する。

だがそれは俺にとって死刑宣告と同義だった。

 

ヴォルギンは左フック、右アッパー、左のボディーブローとコンビネーションを放ってきた。

最初の左フックで正確に顎を撃ち抜かれた俺はその場に崩れ落ちるが、ヴォルギンは俺のダウンを許さなかった。

まるでその場に釘付けにするかのように再び右アッパーで顎を撃ち抜かれ、脳天まで衝撃が突き抜ける。

そして盛大に隙を晒している俺の肝臓目掛けて正確に巨大な拳がめり込んで来る。

肝臓に強い衝撃を受けたことで横隔膜が激しい痙攣を起こす。

既に俺は何が起きているのか認識することすらできない状態だった。

 

そんな状態の俺はもう一度強い衝撃を受けて意識を手放すのだった。

 

 




はい、お疲れ様でした。

原作から少し逸脱するかと思いきや、結局大佐にボコボコにされました。
どうしてこうなった()

ここからまた物語が動いていくと思うので、また気長にお待ち頂けると嬉しいです。

それではまた近いうちに—————
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アヴォリオンだ!(作者:マイmk3 )(原作:宇宙戦艦ヤマト)

コレは、Avorionで遊んでいた男が技術チート付けられて宇宙戦艦ヤマト(リメイク版)の世界へ投げ込まれる話しである。▼「とりあえず、Avorionで作ってた5km級の戦艦作りたいな」▼宇宙戦艦ヤマトの世界に、Avorionで作った宇宙船を持って行ってオレツエーがやりたくて書きました。▼初作品の為お手柔らかにお願いします。


総合評価:1476/評価:8.3/連載:26話/更新日時:2026年05月09日(土) 23:26 小説情報

異世界ントム(作者:色々残念)(原作:クロスオーバー)

現代日本から生まれ変わり、ドラゴンクエストモンスターズの世界でモンスターマスター兼波紋使いとなって、ポケットモンスターの世界で波導使いにもなった波紋と波導の使い手が、ダンまち世界で幼馴染みのフリュネと生き抜いて大往生してから、また別の世界に生まれ変わり続けていく話▼ちなみにそれぞれの世界で相棒ポジションとなるのは、個性的な相手になる


総合評価:1282/評価:8.24/短編:52話/更新日時:2026年05月19日(火) 21:07 小説情報

騎士王は迷宮都市でひっそり暮らしたいけど、エクスカリバーのビームの撃ち方とかわかりません(作者:meiTo)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

▼・一般人の30代男性▼・Fateはネットや広告などで知ってる程度▼・ダンまちも殆ど知らない『にわか系』です。▼※勢いと創作意欲がある時だけ書きます


総合評価:1047/評価:6.55/連載:15話/更新日時:2026年03月29日(日) 16:17 小説情報

≠ハサウェイ(作者:なべを)(原作:ガンダム)

「ハサウェイ・ノア」として生を受けてどう生きるかをつらつらと書き記したもの▼


総合評価:2471/評価:7.08/完結:39話/更新日時:2026年03月08日(日) 20:00 小説情報

転生して型月版・沖田総司になったけど、労咳を克服したら明神弥彦の母になっていた件 〜るろ剣世界で最強のママやってます〜(作者:だいたい大丈夫)(原作:るろうに剣心)

かつて京都を震撼させた「人斬り抜刀斎」と並び称された、新選組一番隊組長・沖田総司。▼労咳の運命を越え、彼女が手にしたのは平穏な明治の世と、亡き夫が残した一人息子・弥彦だった。▼しかし、その剣はまだ、錆びついてはいない。▼「たまには人を斬っておかないと、腕が鈍るでしょう?」▼昼は息子の教育に頭を悩ませる士族の未亡人。夜は月夜に紛れ、暗殺者として死体の山を築く。…


総合評価:3060/評価:6.94/連載:80話/更新日時:2026年05月19日(火) 12:00 小説情報


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