推しの子のキャラがただ理不尽に救われて幸せになるだけのお話 作:百合好きの獣
原作:推しの子
タグ:ガールズラブ オリ主 死亡キャラ生存 ご都合主義 百合 アイ生存 ゴロー先生生存 カミキヒカル(善)
だから幸せにするね……
そんな思いから産まれた怪文書
何でも許せる方向け。
とにかく推しの子のキャラたちが幸せを感じる姿が見たかったの。あたしは。
・ライブ
「……はいお前らこんすい〜。星野家唯一の第二世代、クリスタルことすいちゃんだよ〜」
「誰がサファイアだ」
「世代……? サファイア……? あ、ルビーです! よろしく〜!」
〇きちゃ
〇まってた!
〇第二世代www
〇ルビーちゃんかわいいヤッター!
画面が切り替わると、ほんわかぱっぱと妙に気の抜けるBGMを背景に、三人の美男美女が映し出された。
輝く金の髪に、理知的な青い瞳の引くほど顔面が整った美少年、星野
同じ金髪でありながら、小顔にくりっとした赤い瞳が煌めくアホほど顔面が整った美少女、星野
そして。
「……というわけで、今夜もにぃにとねぇねの三人でゲームを遊びます」
二人を兄姉と呼ぶのは、腰まで伸ばした白い髪を揺らし、ほっそりとした顔が儚げな雰囲気を醸し出す星野
キラキラネームの行き着く先みてぇな名前の三人は、とっても仲良しな三つ子ちゃん。
「……今度は何をさせる気だ」
「すい、もうアクアを廃人一歩手前にするようなゲームはやめてね……?」
……仲良し、なはずだ。
「……にぃにには、『おこづかいクエスト』は早かったか」
「俺だけじゃなくてお前以外の全人類が手を出しては行けない呪物だろ、あれは」
「あれを実の兄に配信でやらせようとする精神がもう完全にすいって感じ」
〇あれは娯楽じゃなくて苦行だろ
〇苦労して溜めたお金を秒で没収されて精神崩壊しかけてたの笑ったwww
〇すい(形容詞)
呪物と称される程のクソゲーを兄にやらせ――しかも配信で世界中に発信しながら――精神を崩壊させかけたらしいが、仲良しなはずである。
『おこづかいクエスト』は、様々なミニゲームをこなしながらお金をため、目的のおもちゃを全て買うことでクリアとなるゲーム。
ただし、ミニゲームは基本的に1度しかできず(再度プレイするには特殊なアイテムが必要)、一度に所持できる金額は非常に少なく、貯金しようとすると高確率で没収され、さらに貯金する際にそこそこの頻度で手に入るアイテムを所持していると貯金額が強制的に半分になるという恐ろしいゲームだった。
さらに昔のゲームなのでセーブなんてものはなく、電池式の携帯機なので電池切れによる即リセット。アクアはなんとか目標金額近くまで溜めた後に電池切れでデータが消し飛び精神崩壊しかけた。
「……安心してほしい。今日はクソゲーはお休み。むしろ神ゲーをやるから」
「…………………………」
「うぅわアクアがすんごい警戒してる」
〇wwwwwww
〇もう騙されんぞ……って顔してるww
〇騙されんぞ(67敗)
〇負けすぎィ!
保護したての野良猫のように警戒心MAXでいるアクアをよそに、すいは一本のゲームソフトを取り出した。
「……今日やるゲームはこれ! ドナポン帝国〜〜!」
説明しよう。
ドナポン帝国とは、陣地取り合い系のすごろくとRPG的要素を合わせたパーティゲームだ。すいの言葉通り、ゲーム性が高く昔のゲームながら非常に高評価を獲得している。
が、ゲームの仕様的に相手の足を引っ張っぱる妨害や攻撃したりなどの手段が豊富で、友情崩壊ゲーとして有名でもある。
ほんとに仲良くする気ある????????
◇
配信終了後。
「「……………………」」
「……むっちゃ疑心暗鬼になってて草」
裏切りに裏切りが重なり、盛大な足の引っ張り合いの末配信は大盛り上がりだった。代償として兄妹の絆はブレイクされたが。
配信のハイライトは、堅実に積み重ねをしていたアクアがモンスターとの戦闘やイベントで満身創痍になったところをルビーに襲われて素寒貧になった末、すべてをかなぐり捨ててルビーを狙う復讐鬼と化したシーンだった。地獄か???
なお、すいは初手からショップを襲いまくった挙句、確実に利益をねん出できる転売グリッチを発見しやりたい放題やっていた。これもう勝てないなと思ったルビーが二位の座をモノにするためにアクアを狙ったのが戦争の始まりであった。
結果、アクアとルビーは二人して借金まみれになり、すいは終始けらけら楽しそうに笑いながら犯罪の限りを尽くすディストピアが完成していた。
配信がきちんと終了している事を確認し(二敗)、パソコンを閉じたすいは未だにゲームでの裏切りを引きずっているアクアとルビーに抱きついた。
「うおっ」
「わっ」
「……んふふ〜!」
短い手で抱き寄せるようにして、二人の顔の間に埋もれて満足げな笑みを漏らす。
アクアとルビーはそんなすいの頭と背中をそれぞれ撫でてやりながら、仕方ないなぁといった風に苦笑した。
「……楽しかったか?」
「……うん、にぃにと、ねぇねと一緒にゲームするの、すっごく楽しいよ!」
「よかったね、すい」
たとえクソゲーの中でも特級呪物のものをやらされて精神崩壊させかけられても、友情崩壊ゲーで疑心暗鬼にさせられようとも、すいのこの笑顔を見れば「まぁ、すいが楽しかったのならいいか……」となってしまうのが兄と姉の性だった。そして次の配信で後悔するまでがワンセット
ゲームでの禍根は水に流し――すいに見えない背後でギリギリとお互いの手を握りしめ合いながら――アクアとルビーはぐりぐりと顔を押し付けるすいの体重と、心地よい体温を味わっていた。
その時。
「わっ!!」
ソファで仲良く団子となっている三人の背後から、一つの影が飛び出した。
「ママ!?」
艷やかな黒髪に、銀河を閉じ込めたような星の瞳。3◯歳を超えてなお衰えぬ美貌の持ち主――星野アイ。
かつて伝説のアイドルとして君臨し、もひとつおまけに伝説の炎上事件――星野アイ三つ子暴露事件――もかました、大物芸能人。
アクア、ルビー、すいの実母である。
「また三人だけで仲良くくっついちゃって〜! お母さん嫉妬しちゃうぞ!」
アイは、がばりと愛しい我が子たちをまとめて腕に抱く。
アクアは少し恥ずかしそうにしながらも、いつもの事だと諦め混じりの笑みを零し。
ルビーとすいは幸せそうに母の抱擁を享受する。
そこには、確かに幸せな家族があった。
「皆でゲームしてたの?」
「……うん。にぃにとねぇねが内ゲバしまくってて面白かった」
「あれはルビーが悪い」
「ちょっ、アクアがドヤ顔でマウント取って煽ってきたのが発端でしょ!?」
ぎゃあぎゃあと言い合いをするアクアとルビーを見て、すいが笑う。すいが火付け役なので愉快犯でしかないのだが、子供たちが楽しそうにしているのを見てアイもつられて口を開けて笑った。
「あはは! 三人の仲が良くてお母さんは嬉しい! ……あ、そうそう、すいにお土産があったんだ」
そういえば、とアイは足元に放り投げていたハンドバックからお土産を取り出した。
すいへと手渡されたそれは、中古ゲームのパッケージ。
「……古代学園黙示録ルナ・ギ・ア?」
「よくわかんないけど、けっこう昔の中古ゲームなのに◯◯千円もしたし、目立つように陳列されてたから多分面白いやつだと思うよ!!」
「……ありがと、おかーさん!」
星野玖利星瑠、15歳。
クソゲーをこよなく愛する若干のマゾ気質。そのカルマは生来のモノではなく、後付けで備えられたものだという事を、嫌な予感がしてゲームタイトルを検索したアクアは察し、その元凶をじっとりとした目で見た。
◇
アクアにとって、末の妹であるクリスタル――すいは守るべき妹だ。
それは、彼女の体質が理由であった。
先天性白皮症――いわゆるアルビノと呼ばれる遺伝子異常を、すいは抱えていた。
雪のように真っ白な肌と髪に、血のような赤い目。ともすれば神秘的な雰囲気すら伺える容姿だが、それらはメラニンという黒色や褐色となる色素を作れないからだ。
メラニンは髪・肌・目の色を決めるだけでなく、紫外線や強い光から体を守る機能がある。これが無いと、日中外に出て太陽の光を浴びただけですぐに肌が赤く火傷のようになってしまうし、最悪の場合皮膚がんにまで発展する。
多感な時期を、同年代の子供と一緒に外に出て満足に遊ぶ事すら出来ないのである。
これは、アクアにとって――産科医である雨宮吾郎にとって、非常に心痛な事であった。
しかも、アクアやルビーと違い、すいは前世の記憶が無い無垢な子供なのだ。これが自分であったなら、とアクアは臍を噛む。自分であれば、日の光を存分に浴びれないというのは思う所があるかもしれないが、別に室内でずっと本を読んでいることは苦になることは無い。
自分が変わってやれれば、と思ったことはこれまでに幾度となくあった。だが、代わってやる事等出来やしないのが現実だ。
日の当たらない室内から寂しそうに外を見るすいの姿は、前世で受け持っていた患者の姿と重なった。
だから、代わりにめいっぱい可愛がる事にした。
室内での遊びに積極的に付き合ってあげたり。
絵本の読み聞かせや、成長した後は勉強をつきっきりで見てあげたり。
玖利星瑠と書いてクリスタルと読むという、自分の愛久愛海と同等かそれ以上にギラギラしている名前を、クリスタル=水晶から取ってすいという可愛げのあるあだ名を考えてあげたり。
日常生活で障害となりそうなものを事前に全て排除したりと、甲斐甲斐しく世話を焼いた。もう一人の妹であるルビーには、かまってやれずに申し訳ないと思いながら。
誤算だったのは、それにもう一人の妹であるルビーも乗っかったことだ。
兄と姉の二人して溺愛、甘やかしをこれでもかと享受し続けた結果――
全方位無自覚甘えん坊小悪魔天然マゾクソゲーハンターとかいう恐ろしい怪物が産まれた。
産まれてしまったのだ。
甘やかされまくった結果無自覚に甘えん坊となり、アクアの薫陶によって『人に好かれる作法』を駆使する小悪魔となり、ルビー・アイの天然さもしっかりと受け継ぎ、アイが何故かピンポイントで持ってくるクソゲーによって甘やかされがバカみたいなリバウンドした結果クソゲーで理不尽な目に合う事に快感を覚えるようになった。
おまえらのせいです。あーあ。
これにはアクアやルビーもさすがに「とんでもないものを生み出してしまった……」とフランケンシュタイン博士のように頭を抱えたが、結局生み出された怪物の甘え
せめてクソゲー趣味だけはなんとかならねぇかな……と、アクアは諦観しながらも切に思うのであった。
◇
ルビーにとって、すいは目に入れても痛くないほど可愛い可愛い妹だ。
前世を天童寺さりなとして過ごした記憶から、生まれつきハンディキャップを背負わざるを得なかったすいに感情移入しているのもある。
が、それはそれとして、すいをデロデロに甘やかすのには別の理由もあった。
すいは、ルビーがバブみを感じずにはいられない実母、星野アイにそっくりなのだ。
ルビー自体も輪郭や目元など、見れば親子であることが分かるくらいに似ているのだが、すいはそれに輪をかけてアイと似ていた。
顔立ちだけでなく、ミステリアスな雰囲気も。
まあ、ミステリアスなのは雰囲気だけで蓋を開ければ『年上を絶対悩殺する甘えの怪物』かつ『クソゲーを愛するマゾ気質』なのだが、それもそれで可愛いとルビーはポジティブに受け入れている。というかその怪物作成にがっつり関わってもいるから何も言えないというのが正しい。
雪のように白く儚いアイJr.ということで、ルビーはそれはそれは猫可愛がりした。
高校生となった今でも一緒にお風呂に入るし、罷り間違ってもどこの馬の骨ともしれない野郎に取られないよう念入りに言い聞かせ続けた。
結果として、怪物のステータスに『性愛対象:女性』が加わった。何してくれてんだ。
血の繋がった家族であるためルビーがその対象になることは無いが、それでも時折すいが自分を見る視線にゾクゾクとしたものを感じる事もある。獲物を見定める目だった、と現場を目撃したアクアは語る。尚ルビーもルビーでおんなじ視線を母の
とかく、ルビーにとってすいはアイやせんせと同じく人生の宝物だ。
自分もみんなと同じように芸能活動をしてみたいと、動画配信サイトで配信者と活動する事になるとは思いもしなかったが、最愛の妹がやりたいのであれば全力で応援してあげるのが姉たる者の務めだろう。
故に。
「はぁー!? すいが不細工って目ん玉腐ってんのか!? 百人中千人が認める絶世の美少女だろうが!! ”ルビーちゃん可愛い”? ありがと~っ! でもすいを推せ!! ”クソゲーを好む精神性だけが理解できない”? ……それは、まあ――ぅうるせぇ!! それも愛せ!!! それが推し活だろうが!!」
今日も今日とて、すいアンチとSNSでレスバを繰り広げるのだ。一瞬負けかけてなかった????
〇星野愛久愛海
星野愛久愛海!!あなたを曇らせ罪とお労しや罪で訴えます!!理由はもちろんお分かりですね? あなたが気高い覚悟で自己犠牲を果たし、皆を泣かせたからです!
覚悟の準備をしておいてください。近いうちに幸せにします。
アイを生かします、有馬かなとも問答無用でくっつけます。結納金の準備をしておいてください!あなたは妻帯者です!!人生の墓場にぶちこまれる楽しみにしておいてください!いいですね!!?
〇星野瑠美衣
せんせは存命だし推しの子供になれるし顔の良い兄と可愛い妹に囲まれてるしで今一番いい空気を吸っている。
15歳になったよ♡ せんせ♡ 結婚しよ♡ 責任取って♡
パパについては長い長い葛藤の末、仕方なく忸怩たる思いだがパパとして見ている。顔が良くなければ許さなかった。
最近の悩みは妹のぼでぃたっち(意訳)にちょっと堕ちそうになっていること。
〇星野アイ
生きてるし愛を知れたし憎からず思ってた人と正式に夫婦になれたし子供は可愛いし元メンバーと仲直りも出来たしで幸せな人生を送っている。
完璧で究極なうえに母パワーによって無敵になってしまった3〇歳。怖いもんなんて無ェ!
実は三つ子の母でしたという歴史的大炎上事件を「うるせぇ! 私の歌を聞けぇ!」で全員の脳を焼いて黙らせた。
芸能星人が地球に侵略してきた場合、人類代表として選ばれるのは間違いなくこいつだというのはもっぱらの噂。
ところで芸能星人ってなんですか????
〇旦那
光堕ち。
〇星野玖利星瑠
ともすれば愛久愛海とどっこいなキラキラネームをつけられたオリ主。転生者ではない。
父母姉妹に過剰なまでの愛を注がれた結果、属性過積載の怪物と化す。
好きなクソゲーは理不尽難易度系。理不尽に晒されることで生を実感し快感を得るタイプの怪物。
姉に手を出さないのは家族だからではなく既に彼女に想い人が居るからである。NTRは趣味じゃねぇんだ。なお居なかったら普通に"食っちまう"つもり満々であった。
であったじゃないが。
続きません。