時は地球歴390年。
そこから僅かに70年ほど遡ったとき、太陽系外惑星にあたるルビコンIIIでは、未知の新物質の発見が報じられた。
コーラルと呼ばれるそれは、爆発的な増殖力を持ちながら、情報伝達能力にも優れ、コーラルの蔓延する密閉空間では電子機器が互いに干渉出来る程に高い伝達速度を持つ特性がある。
また、動植物の素早い成長を促し、可燃性のため燃料としても扱え、増殖力の高さから夢の新物質として多くの企業の目に留まり、そしてルビコンでは20年にも渡る大規模な争奪戦が繰り広げられた。
そして、ルビコンは一度滅んだ。
コーラルの爆発増殖と燃焼による、惑星系の大半の焼失のためである。アイビスの火と呼ばれた大災害から50年。地球歴にして390年にして、ルビコンから新たなコーラル反応が検出された。
企業は失っていたコーラルへの熱を再燃させ、またも激しい争奪戦に乗り出すこととなる。
ルビコンIIIの僻地、雪と汚染燃料によって酷く汚れに濡れそぼったベリウス地方に一人、男が立った。
その傍らには、人の乗る事がない無人ACだけがある。