朝。ナザリック地下大墳墓の転移地点。
いつもの黒系統の装備に身を包んだ俺が向かうと、そこにはすでに遠征用の格好をしたアウラと、荷物や地図を何度も確認しているマーレが待機していた。アウラの傍らには、厳選された数体の魔獣が控えている。
「ちゃんと来たね、お兄ちゃん。寝坊するかと思った」
アウラがニシシと笑う。
「昨日お前らに睡眠時間削られた奴に言う台詞かよ」
マーレが申し訳なさそうに眉を下げる。
「で、でも八幡さん……ちゃんと眠れましたか?」
「お前は優しいな。姉とは大違いだ」
「あっ、今の聞いたからね?」
そんな家族めいた軽いやり取りをしていると、コツ、コツ、と重厚な足音が響き、アインズ様が姿を現した。
俺たち三人の空気が一変する。俺も即座に片膝をつき、深く頭を垂れた。
「お待ちしておりました、アインズ様」
「うむ。皆、準備は万全のようだな」
アインズ様は俺たちを見渡し、出発前の短い訓示を始めた。
表向きの目的は「アウラとマーレに同族との交流経験を積ませること」。だが、アインズ様は強いトーンで念を押した。
「現在、エルフ国はスレイン法国と交戦中だ。決して観光気分だけでは動けん。常に最悪の事態を想定し、警戒を怠るな」
(……ほらやっぱり、ただの友達作り旅行じゃないじゃん)
俺が内心で勝手に納得していると、アインズ様はこちらをチラリと見て、一つ頷いた。
(……八幡があれほど詳細な危機対応計画を練っていたのだ。私もより慎重な姿勢を見せるべきだろう)
――という、お互いに「こいつは俺より深く考えている」と思い込む、いつものオーバーロード的すれ違いが発生していたが、知る由もない。
「では、転移門(ゲート)を開く――」
「あ、お待ちくださいアインズ様!」
アウラが声を上げ、俺の方を向いた。
「八幡。……覚えてる?」
「なんだ?」
俺が一瞬首を傾げると、マーレが小声で付け足した。
「全員で帰るって……約束です」
「ああ、分かってるよ」
俺はため息をついた。
アインズ様が「何の話だ?」と問うと、俺が説明するより早くアウラが言った。
「八幡が、勝手に死に残らないための約束です!」
「言い方」
その言葉を聞いて、アインズ様がピタッと固まった。
(……八幡よ。お前、双子を逃がすために自分だけ犠牲になるような、そんな危険な作戦を考えていたのか?)
アインズ様は静かに、しかし絶対の威厳を込めて俺に告げた。
「八幡。無謀な自己犠牲は許さん。……これは、絶対の命令だ」
「…………御意」
双子は満足そうに頷き、俺はまた一つ、軽々しく命を捨てられない理由を背負い込むことになった。
《ゲート》を抜け、目の前に広がったのは見渡す限りの大森林だった。
第六階層も深い森だが、こちらは完全な天然の原生林。空気の匂い、虫の羽音、植物の息吹、地面の湿度。すべてが人工物とは違う、圧倒的な『野生』に満ちていた。
「す、すごい……第六階層とは全然違います」
マーレが目を丸くして感動し、アウラも即座に森を観察する。
「魔獣の縄張りがいくつかあるね。かなり広い」
アインズ様は三人を見ながら、(……こういうのが旅行らしいのかもしれないな)と少しだけ休暇気分を味わいかけたようだが、俺は景色を楽しむより先に『人為的な痕跡』を探していた。
「アインズ様。周囲を確認してきます」
「あ、うむ……」
そこからは、準備回で決めた役割分担の完璧な実践だった。
俺が近距離の人的痕跡を探り、アウラが魔獣を飛ばして広域索敵、マーレが地形・植物・水脈を読み解き、アインズ様が全情報の統括を行う。
「東側は?」
「大型魔獣が二体います。人は全くいません」
「北側は地面がかなり湿っています。大人数で通れば……跡が残ると思います」
「じゃあ、そこから確認する」
アインズ様は、完全に手足となって動く実務的な調査隊の姿に、深く感心して頷いていた。
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おまかせ
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八幡+シャルティア
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八幡+アルベド
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八幡+デミウルゴス
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八幡+コキュートス
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八幡+アウラ
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八幡+マーレ
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八幡+アインズ様
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八幡+メイド達