《隠密化》《無音歩行》《千里眼》《影潜み》。
俺はアサシンのスキルをフル活用し、大森林を高速で進んだ。最短距離を走るのではなく、木の枝や岩の影、高所を利用し、自分自身の痕跡をほぼ完全に消し去りながら。
しばらく進むと、俺は木の上でピタリと足を止めた。
天然の森なのに、一直線に木々が失われている。伐採跡、切り株、無数の足跡、馬車の車輪の跡。
「……分かりやすすぎるな」
法国が作った進軍路だ。
地面に降り、斥候技能を使って情報を読み取る。
足跡の重なり、馬車の轍の深さ、糞尿の臭い、焚き火の跡の数。
(……万単位、か)
正確な人数は断言できないが、極めて大規模な軍隊だ。
(友達作り旅行の近所に何万人規模の軍隊がいる時点で、この企画だいぶ狂ってないか?)
さらに進み、《千里眼》で遠方を視認する。
天幕、補給物資、魔法詠唱者らしき者たち。俺はそれ以上近づかず、「普通の兵士より明らかに動きが違う者」がいないか警戒した。
ふと、法国軍の後方に目を向ける。
そこには、拘束されたエルフたちや、怪我を負い運搬される者たちがいた。
俺の表情が険しくなる。エ・ランテルで聞いたエルフの店主の話、奴隷狩り、ミーシャの母親の記録。
(……やっぱり、同じ国か)
俺の隠密と暗殺術なら、見張りの兵士を殺して捕虜を助けることは簡単だ。
だが――俺は動かなかった。
(助けられるかどうかと、助けていいかどうかは別だ)
昨日、新人のゼクスたちへ言った言葉が、そのまま自分に返ってくる。法国は国家であり、今の俺は魔導国に所属する人間だ。独断で兵士を殺害すれば国際問題になりかねない。
(人に偉そうな説教しといて、自分だけ例外じゃ笑えねぇ)
俺はギリッと拳を握りしめ、その場から無音で撤退した。
理不尽を見過ごすこと。それは小さいけれど、組織の人間(歯車)としての重要な成長だった。
拠点へ戻り、アインズ様の前へ膝をつく。
「戻りました」
「怪我はないな?」
「ありません」
その答えに、アウラがホッと息を吐く。
俺は地図へ法国軍の位置を書き込み、ただの観察結果だけでなく、分析を添えた。
「法国軍は、ただ王都を急襲するつもりじゃありません。森を伐採しながら、後方から補給できる道を作っています。多少時間がかかっても、確実に王都まで押し切る気だと思います」
「道を作ってるなら、退却路も確保してるってことか」
アウラが分析に参加し、アインズ様も満足げに頷く。
「あと、エルフの捕虜を確認しました」
俺の言葉に空気が少し変わる。
「救出したのか?」
アインズ様が問う。
「いいえ。……命令にありませんでしたから」
少しの間を置き、アインズ様は深く頷いた。
「正しい判断だ」
俺にとっては少し苦い称賛だったが、間違っていなかったと確信できた。
挿絵のリクエストです。
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おまかせ
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八幡+シャルティア
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八幡+アルベド
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八幡+デミウルゴス
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八幡+コキュートス
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八幡+アウラ
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八幡+マーレ
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八幡+アインズ様
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八幡+メイド達