【7/20オーバーラップ文庫から発売!】NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした   作:ぜんはいざ

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今回はオホ声通り越して悲鳴。

「……で、考えたことというのが、バルドベルク家の屋敷への侵入なんですの?」

 

 その日の夜、醜いオークの屋敷の前に来た俺達だが、早速ヨゼフィーネにジト目を向けられてしまった。

 

「先生がここへ訪問するのは、明日の夜。それを考えると、今日しか時間がないからな」

 

 さすがに昼間に忍び込むのはほぼ不可能だし、何より夜であればきっとあの男は油断している。

 その確信が、俺にはあった。

 

「ですけど、夜とはいえ玄関には門番がおりますわ。屋敷内にも、使用人や警護の兵がきっと……:

「んふ♪ 門番でしたらー、今日はもう眠っちゃいました」

 

 ヨゼフィーネの懸念なんて、地上最強の生物にかかれば瞬殺である。

 やはり圧倒的な暴力の前では、全てが無力なのだ。

 

「さあ、行こうぜ」

「ちょ、ちょっとお待ちなさい!?」

 

 慌てるヨゼフィーネをよそに、俺はお構いなしに屋敷の敷地内へと入った。

 

 すると。

 

「グルルルル……ッ」

 

 唸(うな)り声を上げる、放し飼いの犬達。

 見たところ、ドーベルマンっぽい犬種のようだ。

 

「んふ。いい子だから、静かにしていてくださいねー……あなた達も、死にたくないでしょ?」

「キャウンッ」

 

 可愛く一鳴きすると、一斉に地面に寝転がり、腹を見せて服従ポーズを決め込むイッヌ達。

 やはり動物のほうが、エマの強者としての気配に敏感なのかもしれない。

 

「やっぱりエマはすごいなー……」

「えへへ……ニコさんに褒められましたー」

 

 そんな彼女は、遠い目をして褒める俺の言葉に、嬉しそうにはにかみつつ身体をくねくねさせる。

 ただでさえバチクソエッチな身体をしているのにそんなことをしたら、俺のサレ夫スティックが主張して歩きづらくなっちゃうんだが。

 

「それでニコラス殿、何を探しているでござるか?」

 

 ここまで空気だったフーゴが尋ねる。

 

「きっと今頃、人間の屑(くず)みたいな真似をしてやがると思うんだよ。だからその現場を押さえに行くんだ」

 

 というか、人間の屑(くず)どころかオークなんだけどな。

 

「グフフ……そういうことでござったか。なら拙者達は、確かめないわけにはいかないでござるな」

 

 何かを察したのか、フーゴがよだれを拭(ぬぐ)いゲスい笑みを浮かべた。

 期待しているとおりのことが行われているとは思うが、だからといって人を選ぶとは思うぞ。

 

 その時。

 

「ん゛ご゛っ゛!? ん゛ぐ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ゛ッ゛ッ゛!」

 

 オホ声どころかほぼ悲鳴に近い絶叫が、屋敷内にこだました。

 

「あっちだ!」

「はい!」

 

 絶叫のした方角へと、俺達は駆け出す。

 さっきまで下品に笑っていたフーゴも、さすがにあの悲鳴はただ事じゃないと思ったようで、いつになく真剣な表情。クッソ似合わない。

 

 だが。

 

「行き止まり……」

 

 確かにこっちから悲鳴がしたはずなのに、目の前は壁とちょっとした家具しかない。

 コップの時のように隠し部屋がある可能性が高いのだろうが、生憎『ルミナスの壊れた日々Ⅶ』ではそんな部屋が存在しなかった。

 

「とにかく調べよう!」

「ええ!」

 

 俺達は行き止まりの壁や家具を、手当たり次第調べる。

 そうしている間にも、絶叫は壁の向こうから響いていた。

 

「っ! ニコラス!」

 

 ヨゼフィーネに呼ばれ、彼女の傍(そば)に駆け寄る。

 そこには。

 

「なるほど、な……」

 

 家具の下に、怪しげな四桁のダイヤルがあった。

 正しい数字を合わせれば、隠し部屋への入り口が現れるって寸法か。

 

「どうするでござるか? 一万通りも試していられないでござるよ」

「分かってる」

 

 さて……どうしたものか。

 おそらくルートヴィヒや『ルミナスの壊れた日々』に関係する数字だとは思うが、皆目見当がつかない。

 

 四桁のダイヤルを見つめ、思案していると。

 

「んふ♪」

「「「っ!?」」」

 

 そんなもの関係ないとばかりに、エマはダイヤルをぶん殴り、拳で粉砕してしまった。

 力技にも程がある。

 

「ニコさーん、隠し通路がありましたよー」

「そ、そうだな……」

 

 どうしよう。ここまでエマの独壇場なんだが。

 役立たずな自分に思わず落ち込んでしまいそうになるが、気を取り直して通路を進むと、鉄の扉があった。

 

「も、もう嫌っ! お゛、お゛お゛う゛!? お゛お゛お゛お゛う゛ッ゛ッ゛ッ゛!?」

 

 激しい振動などとともに聞こえる、悲鳴と絶叫。

 この声に、俺以外にも聞き覚えがあったようで。

 

「まさか……彼女、なんですの……?」

「おそらく、な……」

 

 ヨゼフィーネは信じられないといった様子で、見開いた目で扉を凝視する。

 中にいるのは、ルートヴィヒ。

 

 そして。

 

「あの屑(くず)野郎の娘、エルマで間違いない」




お読みいただき、ありがとうございました!

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