【7/20オーバーラップ文庫から発売!】NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした   作:ぜんはいざ

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間男達の雇い主。

「あの屑(くず)野郎の娘、エルマで間違いない」

 

 彼女のステータスを視て、俺はそう確信している。

 そうでなければ、こんなの説明がつかないだろ。

 

「エマ」

「はい!」

 

 俺が名を呼んだ瞬間、エマは鉄の扉を蹴破った。

 

 そこには。

 

「ブヒッ!? な、なんだ貴様等は!」

 

 ご立派様をぶら下げ、本来のオークの姿になったルートヴィヒと、鎖で吊るされ、穴という穴を塞がれ見るも無残なエルマがいた。

 しかもご丁寧に、彼女の下腹部には淫紋のようなものが刻まれていて。

 

「……ふざけるな」

「ブ、ブヒ……?」

「ふざけるなよテメエエエエエエエエエッッッ!」

「ブギャッ!?」

 

 ああ、もう駄目だ。

 俺はこの魔物を、許せそうにない。

 

 武器を持っていないにもかかわらず、俺は素手で殴りかかった。

 相手はオークキング。こんな攻撃、通用するはずがないと分かっているのに。

 

 でも、そんなことはどうだっていい。

 女の子をこんな目に遭わせるコイツを殴れれば、それでいい。

 

 そんな俺の怒りが分かったからなのか。

 

「プギェ!? ブ、ブゴ!? グピュッ!?」

「余計な真似をしないでくださいねー……その時はオマエ、ただで死ねると思うな」

 

 醜いオークの後ろから、首をつかんで持ち上げるエマが。

 彼女の言葉が本気だと分かったからなのか、あるいは彼女の放つ殺気で身動きできないのか、とにかくルートヴィヒは、俺に殴られるがままになっている。

 

 だけど。

 

「ハアッ……ハア……ッ」

 

 俺の拳じゃまともにかすり傷一つ負わせることも難しくて、逆にこっちの拳が血だらけになる始末で。

 こんな時、エマの十分の一……いや、百分の一でも強さがあればと思う、今日この頃。

 

「ニコラス……」

 

 そんなことをしていた間に、ヨゼフィーネはエルマを救出し、布で彼女をくるんでくれていた。

 さすがのフーゴも、この隠し部屋のあまりの光景に絶句している。

 

「……コイツは魔物だから、このまま駆除してもいいとは思うが」

「駄目、ですわよ。それではこの男の罪を、正しく(・・・)裁けませんもの」

 

 自暴自棄になり、醜いオークを殺そうと考えた俺だったが、ヨゼフィーネの言葉で思い留まる。

 確かに彼女の言うとおり、ここで殺害なんてしたら、色々と面倒なことになるからな。

 

 俺はエマやヨゼフィーネ、それにフーゴを巻き込んだ以上、迷惑をかけないように責任を取る必要があるのだから。

 

「おい」

「ブ、ブヒ……?」

「オマエはこれから、ルミナス帝国によって魔物として討伐される。……その前に、どうしてオマエは魔物なのに、侯爵なんて身分を持ってやがるんだ?」

 

 ルートヴィヒの髪の毛をつかみ、俺は尋ねる。

 普通に考えて、魔物が帝国の貴族をしているなんてあり得ないんだ。

 

「答えろ」

「んふ♪」

「ブヒ!? はは、はい! 全部包み隠さず答えます!」

 

 既に死ぬことは確定であるにもかかわらず、それでもエマに怯え全てを語り出す。

 彼女の強さは、死の恐怖すらも容易く凌駕するらしい。

 

 まず、このオークは悪知恵が働くようで、本来のバルドベルク侯爵を殺害し、本人に成りすましていたということ。

 それを可能にしたのが、姿を変える魔道具なのだそう。これについては後程語るとして。

 

 無事バルドベルク侯爵に変身したコイツは、早速この屋敷を掌握。本人に成りすましているわけだから、簡単ではある。

 

 だが、ここで誤算が生じた。

 エルマが、この男の正体に気づいてしまったのだ。

 

 そのため、醜いオークは口封じとして殺害……ではなく、あえて肉便器にして逆らえないようにすることを選んだ。

 そうすれば、成りすましが発覚するのを遅らせることができると考えて。

 

「……それで、オマエは彼女を散々いたぶったってわけか」

「は、はいでしゅ……」

 

 顔を涙と鼻水とよだれでぐちゃぐちゃにして、オークは頷く。

 フーゴの時も汚ないと思ったが、コイツの醜悪さはその比じゃないな。

 

「じゃあ次だ。その変身の魔道具、どうやって手に入れた」

 

 ちなみに俺は、この魔道具の存在を知っている。

 『ルミナスの壊れた日々Ⅸ』に登場する、特別なアイテム。

 

 そう……クリームヒルト先生がヒロインの『ルミナスの壊れた日々Ⅶ』から二シリーズ後の作品で、間男の一人が使用するんだ。

 

 というか、やっぱりNTR系同人エロゲは、シェアワールドしてはいけないと思う。もし前世に戻れるのなら、製作した同人サークルには絶対にクレームを入れてやる。

 

「そそ、その……」

「早く言え」

「は、はい! 実は僕の雇い主(・・・)が、バルドベルク家を乗っ取るように指示して、その際にこの魔道具を託されたんです!」

「雇い主?」

 

 その言葉で、俺はすぐさまピンときた。

 コイツの職業欄にあった、『アルバイトC』。

 

 やはり三人の間男の背後に、黒幕がいる。

 それもその黒幕は、おそらく同じ人物。

 

「それで、その雇い主というのは?」

「そ、それは、その……」

「んふ♪ まだ分かっていないみたいですねー」

「っ!? い、言いましゅ! 言いましゅ!」

 

 めき、という骨にひびが入る時と同じ乾いた響きが聞こえると同時に、言い淀んでいたルートヴィヒは慌ててその名を告げる。

 

 それは。

 

「ヴィルマー=マンシュタイン伯爵、です……」




お読みいただき、ありがとうございました!

『NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした』

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また、久しぶりに新作を書きました!

『後方腕組みで傍観を決め込む背景モブの僕、【怪文書】の差出人だと密かにバレて破滅予定の悪役令嬢に粘着された。』

面白いですので、こちらもぜひぜひ! よろしくお願いします!!!
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