皆さんこんにちは。前の続きが途中なのに思いついたので書いてしまいました。多分クオリティはそこまで変わってないよ。他のと同様に続きは期待しないでね。良ければご覧ください。

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運命の始まり

 

 今でも夢に見る。全ての始まりの日のことを。"俺"という人間が、本当に始まったあの日のことを、俺は覚えている。

 

 最初は何処かの組織、その培養槽に入れられていた。周りを見れば自分と同じ顔をした『イキモノ』がいた。気味が悪かったのを覚えている。そんな俺達をどこか実験体のように見ていた奴らの事も。

 

『プロジェクト・モザイカは……』

 

『完璧な生命体……』

 

『成功したのは……』

 

 それ以上は記憶していない。記憶しても無駄だったし、何よりも覚えていたくなかった。

 

 それからしばらくして、俺は連れ出された。研究員が『成功例』と呼んでいた一人に。追手はなかった。追う意味も無かったのだろう、『成功例』なのだから。

 

 そして俺達は——家族となった。

 

 もう一人の『成功例』は『織斑千冬』になり、俺は『織斑一夏』になった。生み出された人間(カイブツ)二人という親のいない姉弟になった。

 

 その後、『姉』は友人という『篠ノ之束』の家族が運営する剣道場に通うようになった。俺も連れて来られたが、全く興味が無かった。『友人』らしい『篠ノ之束』も、俺に興味を抱いて無かったから都合が良かった。

 

 だから『姉』の稽古をしている所を抜け出して公園へ遊びに行ったり、図書館で本を読んだりしていたが、いつも見つかって『姉』に連れ戻され叱られた。だが俺には響かなかった。

 

 そしてあの日も、俺は剣道場から抜け出して町を歩いていた。ある曲り角を曲がって、俺は誰かにぶつかって後ろに転んだ。

 

『——ああっ、ごめんなさい‼︎大丈夫かしら⁉︎』

 

 一目見て、綺麗な人だと思った。赤い笠をかぶり、肩に竹刀袋をかけた派手な色合いの服を着た女性。

 

『うぁー、やっちゃった‼︎こんな美少年を受け止められなかったなんて、この武蔵、一生の不覚‼︎』

 

 なんか小声で言っていたような気がしたが、多分気のせいだろう。はっきり耳に聴こえてしまったのもただの気のせいに違いない。俺の手を引っ張って立ち上がらせた時も俺の手を握って弛んだ表情をしていたのも絶対に気のせいだ。

 

 ——それはともかく。軽く咳払いをした女性は『武蔵』と名乗り、修行として腕のある剣士を訪ねて旅をしているのだと言った。

 

『そんな訳で、この辺にそういう人いないかしら?』

 

 その問いに対して俺は。

 

「……剣士は知らない。でも、剣道場ならある」

 

 そう言って彼女を、『姉』が稽古をする剣道場へ連れて行った。

 

 ——俺がこの時、『知らない』と言っていたなら、この場所で彼女とぶつからなければ、『俺』の運命は、人生は別の道を進んでいただろう。

 

 そう思えるほどこの出会いは運命で、この時の俺はまだそれに気づいていなかった。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 私は逃げている。夜の街をひたすらに、あの脅威から。唯一と言っていい友人の"彼女"に助けを求める事は考えたがやめた。『奴』が相手では、幾ら彼女でも危険すぎる。

 

 背後から迫って来る音が聞こえる。そして——突き出された槍が、私の肩を貫いた。

 

「……ッ‼︎」

 

 私は声にならない叫び声を上げ、近くの廃工場に転がり込んだ。当然、見失う訳もなく『奴』も追ってくる。

 

「よく逃げたじゃないか。とはいえ、もうここまでみたいだな」

 

『奴』がそう言う背後から、あの男がやって来る。『奴』の主。『奴』を従える男。

 

「猿の分際でずいぶんと手間をかけさせてくれたな。アーチャー、手早く始末しろ。見られた以上、生かしておく訳にはいかんのでな」

 

 あの男の言葉に『奴』は——アーチャーと呼ばれた男はそれに応えた。

 

「了解だ、マスター。……そういうわけでな。お前さんに恨みはないが、ここで死んでもらう。何か遺言があれば聞いてやるぞ?」

 

 その言葉に、私は肩を手で押さえたまま立ち上がり、吐き捨てた。

 

「……地獄に堕ちろ、このクソ野郎共」

 

 私の返答にアーチャーは応えず。無言で槍を突き出して来る。狙いは心臓。私はそれを避けられる状態ではない。終わりだ。そう思って目を閉じた。

 

 しかし何秒経っても心臓を貫く衝撃は襲ってこない。おかしいと思って目を開くとそこには。

 

「悪いが通らんよ、それはな」

 

 私の目の前に誰かが立っていた。両手に持った刀で突き出された槍を受け止めている。刀で弾き返し、そのまま何度か打ち合う。刀と槍がぶつかり合い、金属音が響く。

 

「バカな、猿が英霊を召喚しただと⁉︎ありえん‼︎貴様、何のクラスだ⁉︎」

 

 アーチャーのマスターがし、叫ぶ。しかしその人物は冷静に言った。

 

「お前たちが確認していないクラスを考えれば答えは出る。それよりどうする? このままやり合うか? それとも引くか?」

 

 そう問われ、アーチャーのマスターはアーチャーに目配せし、聞く。

 

「……アーチャー、どう見る」

 

 自らのマスターの問いにアーチャーは応えた。

 

「やれなくはないが……あのサーヴァント、かなり腕が立つな。かなり手強いぞ。それに……()()()()()()

 

 その返答にアーチャーのマスターは熟考した。そして。

 

「…………フン。命拾いしたな、猿。せいぜい足掻くがいい。行くぞ、アーチャー」

 

 そう言ってアーチャーとそのマスターは去って行く。危機をひとまず切り抜けたようだ。

 

「……行ったか。まあいい。さて……」

 

 その人物は両手の刀を鞘に収めこちらに向いた。そして問う。

 

「サーヴァント、ライダー。お前が、俺のマスターか?」

 

 これが、私——『篠ノ之束』が召喚したサーヴァント、ライダーとの出会いで。

 

 私達の長い戦いの始まりだった。

 


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