11月2日ー午前3時。
病院の駐車場から一台の黒い車が出てきては総務省のほうへと向かう。
「ちょっと菊岡さん!か弱い女の子をこんな雑に扱うのはよくないと思いますよ!」
「僕は君が男だってことを知っているんだ。いまさらそんなネタは通じないよ」
「アアアア」
車の後部席にて、紬は大量の荷物とともに埋もれていた。
メガネとスーツ姿の後ろ姿はかっこいい菊岡さん。
「いいねぇ朝の光は」
助席にて、ブラックコーヒーを飲んでは「苦っが」と表情をする花紗音。
大変カオスな車内である。
その時、車の外からカシャリとシャッター音が聞こえた。
紬は気になって車の外を覗こうとするが荷物で動けなかった。
◇◇◇
総務省
地下駐車場へとやってきた三人は車から降りる。
紬に関してはなだれ落ちたといったほうが正しいのかもしれない。
「…トラックじゃん」
「外見は、だね。」
ドアを開けるとあら不思議中にはまるで高級ホテル…
ではなかった、セミダブルのベッドが一つ狭めのテーブルに最低限のキッチン。
トイレはない、棚と冷蔵庫と。
「異議あり、ベッド一つしかない」
「あらやだ紬ちゃん、昔一緒に寝てたじゃない」
「すまないね、外見に力を入れすぎてしまったようだ」
「なにそのラブコメでよく見る強引展開、てか何、僕花紗音ルートなの?アルゴに一筋なのに?」
一人で何か言っている紬を置いては花紗音に車のカギを渡す菊岡さん
「あの、もしこの事件解決しなかったらこの車の費用は」
「もちろん、君の自腹だね」
「あぁ…」
キャンピングカーに荷物をまとめては菊岡さんは紬へとひとつプレゼントを渡す。
包装されたそのプレゼントは洋服が入っているかのような感触だった
「早めのクリスマスだよ」
包装を開けると予想通り洋服が入っていた。
「おぉーいい衣装じゃないかー!かわいい猫ちゃんのパーカーにぃー…スカー…ト?」
「君へのプレゼントだ、ではご武運を祈るよ」
さっそうと去っていく菊岡さん。
彼はそんなのがタイプだったのだろうか、いやただのいたずらだろう。
「もしかして女装すればばれないってことじゃない?」
「いや姉さん?そんなバナナ…」
「お姉さん命令、着なさい。」
「嫌です」
「着なさい」
紬は圧に負けた。
キャンピングカーに入っては早速着替える。
「あぁぁぁ嫌ダァァこれ光瑠の罰ゲームがましに思えてきたぁ…」
紬出てくると可愛い女の子へと完全に変身できていた。
それを見た花紗音は少し悩んだのちゴムバンドを取り出しては紬の髪をいじる。
ポニーテールになった紬はさらに伊達眼鏡をつけられた。
「よし完璧いこう」
「スースーするの何これ…」
二人はキャンピングカーへと乗り込み総務省から出発した。
「出発早々だけどダイブするからよろしくな。」
「えー、私もやりたい」
「運転中でしょ…」
紬はアミュスフィアを取りだす。
「とりあえず、昼になったら戻ってくる」
「りょーかいー」
「では行ってきますのリンクスタートォ」
紬は今回、ALOではなく最近話題になった「GGO」へとダイブすることにした。
何と言ってもリアルマネートレード。クレジットを換金するシステムがある。
これで少なくともお小遣いを稼ぐことはできるかもしれない。
「名前はアルゴノーツっと…いややっぱアルゴスか?…」
ネームは「ノーツ」となった。
見た目は自動で決まるためさっさと開始して強い武器を手に入れたいところ。
「さぁレッツゴー!」
街にスポーンした紬ことノーツ。
しかし彼は自身が視界が高いことに気づきガラスのほうを見てみる。
すると目の前には王子様のような人物がいた。
高身長、まるで王子様のような髪型、そして男から見れば謎に吐き気を感じるチョー絶イケメンのお顔…
「よし、諦めよう」
さっそうとログアウトボタンを押そうとする。
しかしスキンで苦手なタイプが出てしまったからってゲームをやめるとか恥だ。
「リリルにしなくてよかったよ」
チュートリアルなんてすっとばしさっさと武器屋へとやってくる。
手持ちの所持金じゃあまりいいものは買えそうにない。
「一攫千金と行きましょーか」
ノーツが手にとったのは地雷。
踏んだら即死の爆弾、これで大金持ちを爆破していこうという作戦。
器用さと耐久性に特化するこで暴発への対策も可能…なはず。
「地雷を探し出せるスキルがあることを想定して設置するか。買えたの一個だけだし丁重に扱わなきゃ…」
さっそくフィールドへ出たら周りを厳重に警戒しながら目的地へと向かう。
装備など買っていないため一発でも当たれば死ぬ。
いいドロップがある場所はあらかじめ調査済み。
無事目的地へとたどり着いたら歩幅で計算を行う。
「相手が車でも徒歩でも…近くに洞窟があって上から飛びそうだから…」
設置した場所は洞窟から少し離れた場所。
ただの平地に設置した、一見すぐばれそうな場所だった。
ノーツは洞窟に隠れてはその時が来るのをじっくり待つ。
自身のスキンを触り触りしてはイケメン顔に思わず吐き気を…なんてしているとき
「かかった!」
でっかい爆発音が鳴り響いた。
急いでドロップ品を回収しなければほかのプレイヤーが集まってくる。
ドロップ品を鑑定している暇などない
「回収回収!!」
踏んだのはモンスターと戦っていたソロプレイヤーだったそう。
薬莢は大きくショットガンを使用していたかと思われる。
◇◇◇
無事プレイヤーと遭遇せず街に到着したノーツ。
改めてドロップ品を確認する
「じ、地雷四つ分…」
かなり得をした。
GGOって設置型の地雷ってあるんですかねぇ…